江川卓のレビュー一覧

  • 罪と罰 上

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    人の精神状態はあらゆる行動の基盤だ。アリストテレスは情念によってではなく理性によって行動しようと欲する者のみが善を行うことができると言うが、理性が感情をコントロールするのは並大抵のことではない。輪郭をもった感情が理性によって変化していくことはどの程度可能なのだろうか。

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    2014年04月13日
  • 悪霊(上)

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    「地下室の手記」→「罪と罰」→【悪霊】→「カラマーゾフ」の順で読んでいくと、長さ的にもムリなく、ドストエフスキーの根暗な魅力にハマれると思います(^ω^)

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    2014年02月24日
  • 悪霊(下)

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    ピョートルとキリーロフが対決し、両者の関係は修復不可能になる。主人公とされるスタヴローギンは最後まで影が薄くて五人組を裏で動かす大悪党として映ってこない。本筋に関わらないのに何故こんなにステパンが登場するのか?いつ果てるともつかない夜の営みのような、モヤモヤ感がいつまでも続いた後の突然の火事や暗殺のシーンは生々しい。ピョートルが啓示を与え悪事を働いたモノどもは逮捕されるが、一人ピョートルだけが国外逃亡する。何故こんな奴に大の大人が掌中の駒として操られるのか、隷従するのか、現代でもそういうことは起こり得る。

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    2015年09月06日
  • 悪霊(上)

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    帝政ロシア末期、地下組織が脱退者を殺害したという「ネチャーエフ事件」をモチーフに書かれた。革命勢力を揶揄しているとして、ソ連時代は弾圧された問題の小説。子離れしない親を持つ各々の息子スタヴローギンとピョートル。二組の親子を中心とした人間関係を成す多彩な登場人物たち。やはりキリーロフが好きである。語り手の一人称は誰だろう?と思っていたら、いつのまにか「G」という名前で呼ばれる人物として物語の中に入り込んでくる。個人的には「スタヴローギンの告白」はあまり好きでない。10年位前に改版されて文字が大きくなった。

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    2015年09月06日
  • 罪と罰 上

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    某犯罪学の教授曰く、法学部生が読むべき本。有名文学作品というと暗くて重いというイメージだったが、先が気になる展開のおかげもあってサクサク読めた。タイトルからして深いテーマを扱っているがあまり身構えずに読み始めても楽しめると思う。大学生くらいなら主人公の考え方に共感できてしまう人も少なくない…ような気がする

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    2013年08月25日
  • 罪と罰 下

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    ネタバレ

    主人公にかなり感情移入していたので救いがある終わり方でよかった。最後の短い部分ではあるが刑務所の中での主人公の変化は読んでいて安心?できる。

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    2013年08月25日
  • 罪と罰 下

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    下巻では一つ一つの会話を噛みしめ、読む時間を多く費やしてしまった。が時間を費やしても読んでおきたかった一冊と言えるはず。1860年代のロシア人も、2010年代の日本人も、大事なところはさして変わらないのではないのか?という思いを持ちながら読み進めていった。

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    2013年07月27日
  • 罪と罰 中

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    とにかく人間の感情、悲哀、エゴ、理不尽さなどが隅々に描かれている。中編になって、やっと登場人物の名前(と愛称)をおぼろげながら把握できてきた。ラスコーリニコフの罪がいつ暴かれるのか、スリリング。

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    2013年07月10日
  • 悪霊(下)

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    「完全な無神論でさえ、世俗的な無関心よりましなのです」雑誌連載時にはその内容ゆえに掲載を見送られた「スタヴローギンの告白」内で用いられる、上記の言葉が個人的ハイライト。そう、無神論というのは「絶対的な神が存在する場所に、絶対に何も置こうとしない」という思想を信仰する、一つの宗教的態度である。宗教に無関心な人にでも、星に祈りたくなる夜は来る。あなたが好きなものを語る時、それは一つの信仰告白が行われているということなのだ。それでも僕らは何かを信じずにはいられない、人は真に堕ちきるには弱すぎる存在なのだから。

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    2013年01月23日
  • 悪霊(上)

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    ドストエフスキーの長編小説の中でも最も難解といわれるこの『悪霊』だけどその分より深淵に踏み込んだ、どうにも救われない個人の内面というテーマの描かれ方は随一。見栄や思想、強欲、宗教、そして時代…誰もが目に見えない「何か」に心を奪われ、病人の様に生きている。キリスト教には病人の代わりに悪霊を引き受けてくれる豚たちがいる。だけど僕らには、そんな病を引き受ける豚はいない。目に見えない何かに取り憑かれたまま溺れていく人は今も沢山いるわけで、そんな人達になんとか呼吸の仕方を伝えようとするような、例えるならそんな小説。

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    2013年01月22日
  • 罪と罰 下

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    そして長い物語の最後にあるエピローグは格別に美しい。罪と罰はひとえに救済の物語なんだと思う。社会的圧力に苦しむ人、他人の欲望に苦しむ人、そして罪悪感や自らの自意識に苦しむ人。そうした人たちに対してドストエフスキーは暖かい眼差しを込めて、人間であることを最大限肯定しようとする。「彼はただ感じただけだった。思弁の代わりに生活が登場したのだった。」ここには許された者のみが持ちうる開放感が込められている。そう、殺人も、淫蕩も、詐欺も自殺も、アル中も狂人も見栄も強欲も金貸しも、ここでは全てが救われているのだから。

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    2013年01月14日
  • 悪霊(上)

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    「ニコライ・スタヴローギンは事実、部屋の中にはいっていた。彼はごく静かに部屋にはいってくると、一瞬戸口で立ちどまり、もの静かな眼差しで一座をみわたした。」

    やっと出てきたか、と言いたいけど、スタヴローギンの登場で物語は動き出す。

    ヒントは二つある。

    (ヒントその1)
    ミハイル・バフチンはドストエフスキー小説の特徴を、

    「自らの意思と声を持つ、自立的な存在としての登場人物を設定し、

    相違なる思想同士の、事件に満ちたポリフォニー(多声楽)のような対話が実現している。

    そのジャンルは民衆的な笑いの文芸、カーニバルにたどりつく。」と述べている。

    (ヒントその2)
    ドストエフスキーは世界中

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    2012年10月23日
  • 悪霊(下)

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    ドストエフスキーのなかでも、なぜだか今まで読むことをためらっていた一つ。(タイトルがタイトルだからでしょうか)

    しかしながら、そうしておいて良かったように思える。

    高校生ぐらいの自分が、スタブローギンに出会ってしまっていたら、完全にハマってしまっていたでしょうよ、恐ろしいことに。

    非常に魅力的な作品。

    10年ぐらいしたら、もう一度読もうと思って、傍線をいくつも引いておいた。。。

    そういえば、大江健三郎氏の作品で、この悪霊が根柢のトーンとなっているものがありますので、ご興味ある方はどうぞ。

    キリーロフがシャートフに”永久調和の訪れ”を告白するシーンは、大江氏の『洪水は我が魂に及び』の

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    2012年09月22日
  • 悪霊(下)

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    ネタバレ

    こんなに好きな作品にめぐりあったことに感謝してます・・・。
    人によってはこれ以上ないというほどハマれる作品ではないでしょうか。
    ドストエフスキー独特の思想がこれでもかというほど盛り込まれてて、謎もあふれかえるほど出てきます。
    主人公のスタヴローギンのように考えて考えて苦しみ続けたい人にオススメ!

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    2012年06月13日
  • 罪と罰 中

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    ネタバレ

    上巻の冗長さが嘘のように、中巻以降は山場につぐ山場である。息もつかせぬ展開と言ってもあながち過言ではなく、いよいよ作者の本領発揮という感じだ。

    中巻の見どころは、主人公ラスコーリニコフと予審判事ポルフィーリイの2度にわたる対決と、ラスコーリニコフとソーニャの密会である。中でも、ラスコーリニコフとポルフィーリイの初回の対決は際立ってエキサイティングだ。推理小説ばりの心理戦が展開されるだけなく、ここで初めて主人公の思想の全容が明らかになるからだ。上巻でちらりと示されたテーマが、さらに過激な形をとって再び読者に提示される。

    すなわち、人間は「凡人」と「非凡人」に大別される。凡人は従来の思想の枠組

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    2022年09月06日
  • 罪と罰 中

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    話も少しややこしいしロージャの目くるめく心境の変化に混乱しそうになるけど、何が一番取っ付きにくくしてるかっていうとロシア人の名前長い。いろんな形で呼ばれててわかるまでややこしい。ロジオン・ヌマーヌイチ・ラスコーリニコフ(ロージャ)。ながい!

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    2011年11月04日
  • 悪霊(上)

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    結構難しい。いや、かなり。
    カラマーゾフの兄弟と並ぶドストエフスキーの思想書と書かれてるけど、こっちの方がより観念的というか。最初のほうとか、ステパン氏の説明にどれだけ割くんだという感じ。

    それでもさすがなのは、読ませられる。各キャラクターが非常に際立ちます。ピョートルはいけすかないし、悪魔超人スタヴローギンは、全く嫌いになれないし、それらを取り巻く社交界のこの毒な面面や、シャートフの悲惨さ。ドラマドラマで、楽しい。

    1か月かかりました。持ち運びが大変。

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    2011年08月22日
  • 悪霊(下)

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    やはり世紀の傑作と呼ぶに相応しい作品であることは間違いない。
    とりわけ下巻に関しては、上巻では恐怖の対象でしかなく、
    もはや完璧と思われていたスタヴローギンやピョートルといった
    革命的思想をもった若者たちの化けの皮が剥がれるかのごとく、
    ある意味、誰よりも人間味というものが垣間見えた気がした。
    その中でも物語が佳境を迎える舞踏会の混乱から放火事件への流れは、
    完璧に組み立てられた構成に変な話しだが美しくもさえ感じてしまった。
    全てにおいてドストエフスキーの描く人間模様というものは
    現代においても決して色褪せることなく、通ずるものがある。
    それはスタヴローギンが選んだ結末においてもだ。

    巻末に

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    2011年08月19日
  • 悪霊(下)

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    ドストエフスキーといったら、やっぱり衝撃作「罪と罰」?名作中の名作「カラマーゾフの兄弟」?もちろんそれらは外せないけど、この「悪霊」も彼の思想がぎっしり詰まった必読書です。

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    2011年08月01日
  • 悪霊(上)

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    農奴解放令によっていっさいの旧価値が崩壊し、
    動揺と混乱を深める過渡期ロシア。
    悪霊に憑かれた豚の群れが、
    湖に飛び込んで溺死するという聖書の記述から
    無神論的革命思想を悪霊と見立て、
    それに憑かれた人々とその破滅を描く。
    そんな裏表紙の触れ込みのドストエフスキーの大作、悪霊。

    罪と罰で遅かれ、初めてドストエフスキーに触れ感銘を受け、
    そして次に選んだのがこの悪霊。
    罪と罰で慣れたのか、今回は読みやすく感じる。
    やはり人間の心理描写を描くのにすごく長けているというか、
    時代性というものを感じずに読み進めることができる。
    とても100年以上前の作品とは思えない、ある意味新しさがある。

    重苦し

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    2011年05月18日