江川卓のレビュー一覧
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『カラマーゾフの兄弟』は光文社の亀山郁夫訳で読んでいたけど、別の訳者のものも読みたいなと思っていたところにこちらの中公文庫が発売されたのでずっと気になっていて、やっと読めるタイミングがきたので全巻購入。
この中公文庫では、かなり細かい後記・注解がはいっているのがよかった。
これはこういう意味だとここで教えてもらわないとなんとなくで流し読んでしまう部分も多いかと思うので。
それと、ドストエフスキーの父のことや亡くなってしまった子ども(アリョーシャ)のことなど、元ネタになったと思われる出来事も結構記載されている。
『カラマーゾフの兄弟』は5年おきくらいで再読していることになるけど、やはり何度読 -
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私にとって、最終巻の主人公はイワンだ。
最終巻を読むまでは、ミーチャの激しい情熱やアリューシャの素朴な聖人さに魅力を感じていたが、最後になって、イワンの印象が強烈に変わった。あの冷徹な理性を持った彼が、「大審問官」の挿話を語った彼が、「神がいないなら、すべては許される」と考えていた彼が、スメルジャコフの殺人を聞きてひどく狼狽し、悪魔にとらわれ、衰弱していくとは驚愕だった。これまで、あれほど知性の強さを誇っていたのに、いざ自分の罪を眼前にすると、あれほど脆くなるとは思わなかった。
彼にとって「神がいないなら、すべては許される」という思想は、あくまで頭の中の仮説だった。しかし、スメルジャコフはその -
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一巻を年始から読み始め、約一ヶ月半かけてようやく最後まで読み切りました。
この巻に収められた第四部の中盤以降からが一番おもしろい。
そこにたどり着くまでの長い長い旅路で挫折しなくてよかった…!
一言で言うなら……いや、言えないな。
父殺しができごとの中核にあるにせよ、そこに秘められた思想はあまりにも多様で今の自分には整理できない。
ただ漠然と感じたことは、矛盾や逆説こそが人間であり愛なのだということ。
法的に罰されることよりも、むしろ法から赦されること、逃れることこそが真の罰である。
そして人間は真の罰を求める。少なくともドミートリイは。
自分を罰するために、憎き恋敵に赦しを乞うたカ -
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作品情報
タイトル:罪と罰
著者:フョードル・ドストエフスキー
形式:Audible(7割)+書籍(3割)
かかった時間:約27時間
読みやすさ:★★☆☆☆
罪と罰 (上)/ドストエフスキー, 江川 卓|岩波文庫 - 岩波書店
罪と罰 (中)/ドストエフスキー, 江川 卓|岩波文庫 - 岩波書店
罪と罰 (下)/ドストエフスキー, 江川 卓|岩波文庫 - 岩波書店
Audible版『罪と罰 上 』 | ドストエフスキー | Audible.co.jp
読み方に関する振り返り
Audibleと書籍を併用。Audibleはハードルを下げてくれた一方、登場人物の名前が入り組んでおり、メモ -
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第一編から第二編の中盤までは、正直読むのがつらいくらい退屈だったけど、第二編の「大審問官」以降グイグイ引き込まれました。
人物の造形を読者に伝えるためなのか、最初のほうはとにかく無軌道なおしゃべりが延々と続き、ストーリーもないので苦しい…。
でも、「大審問官」からはおしゃべりも理路がわかりやすくなってきて、ストーリーも動き始める。
作中屈指の名場面と言われる「大審問官」はもはや物語というより聖書の考察ですね。
キリスト教において標榜される自由とは何かが、単なる個人の経験ではなく、聖書の読み込みと解釈から考えられている。
聖書やキリスト教に内在する逆説を暴き出していくという点で、脱構築的手 -
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第2巻を読み終え、主人公アリョーシャに対する印象が劇的に変化した。第1巻における彼は、周囲が強欲の怪物ばかりであったがゆえに、相対的に「若くして完成された聖人」のように見えていた。しかし今巻では、「中途半端な人物」という印象になった。兄に侮辱されたスネギリョフに恥辱を忘れる代わりにお金を無心する、という浅慮に手を貸してしまったり、恋愛経験などなさそうなのに、カチェリーナに、本当はイワンが好きなのだと言ってみたり、どこか浅くて半端な行動をとっている。そういえば、物語のまえがきに、アリューシャは「明確さを欠いた活動家」と作者が言っていた。
スネギリョフがアリョーシャの提案を拒絶する場面は、今巻 -
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15年ぶりの再会。あの過剰な語りをまた経験したくなり、本を開いた。過剰な語りは過剰な感情と行動を伴い、有無を言わさぬ力で、読者を物語の世界へと深く引きずり込む。
色々と過剰で、化け物のような人々。このような人間がいるのかと思えるほど、感情と行動の起伏が激しい。今巻は特に、カラマーゾフ3兄弟の父親フォードルと長兄ドミートリィが目立つ。序盤の山場は、ゾシマ長老との会食での大立ち回り。強欲で好色なフョードルは、自ら道化のような役回りを演じる。自分でこしらえた感情を自分で真に受けて感動するもんだから、どこまで本気で、どこからが演技か境目が無くなってしまう。その結果、彼の人物像は、凡庸な理解が及ばない、 -
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ラスコーリニコフの思想を知れる第三部は非常に面白い。
つまり、根本思想というのは、人間は自然の法則によって、大別してふたつの部類に分けられる、ひとつは低級な(凡人の)部類で、自分の同類を生殖する以外何の役にもたたない、いわば材料にしかすぎない部類と、もうひとつは、自分の環境のなかで新しい言葉を発する天賦の才というか能力を持っている人間です。145
第一の部類、つまり材料となる部類は、だいたいにおいて、その本性から言って保守的で、礼儀正しい人たちで、服従を旨として生き、また服従するのが好きな人たちです。
第二の部類は、つねに法の枠をふみ越える人たちで、それぞれの能力に応じて、破壊者ないしはそ -
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訳者あとがきにあるように、一読してある種の熱気や漠とした不安を感じたら、二度でも三度でも読み返せばよい。それに耐えうる読み応えを持つ作品である。
難解な作品であることは間違いない。一つには、帝政末期ロシアの社会事情に我々の馴染みがないこと、もう一つは主人公ラスコーリニコフがインテリの半狂人ともいうべき心性の持ち主であること、三つ目は凝りに凝った文体が千ページ超のボリュームで展開すること。
だが凄まじい熱気と激情だけは一読しただけでも感じとることはできるだろう。なんだかよくわからないけど『罪と罰』を読破したってだけでも、ちょっと誇らしく感じることができるのではないだろうか。 -
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罪を犯した後の生々しい感覚や自己嫌悪の感情が緊迫的に描かれていてすごい。ページを捲る手がどうにも止まらない。人物たちの話が現代にも繋がる感覚があるため、読んでいる途中一旦自分でそのことについて考えを巡らせる時間が発生する。これが最高すぎる。読書であり何かを考える時間。
ラズミーヒンいい奴。ラスコーリニコフ、苦手な性格と思いきやなんだかんだおもしろくまさしく人間という感じ。酔っ払った女性が男にあとをつけられていて助けようとするも突然「どうにでもなっちまえ」的な感じで急に無関心になるところが何故か印象に残った、どういう思考回路、、?
ラスコーリニコフってすごいハムレットじゃんと思った。 -
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ネタバレ就活をしながらダラダラと読み終わった。
あまり、タイミングが良くなかったかもしれない。
罪を犯したが未だ罰せられずにいる主人公は、罪が露見する恐怖や、後ろめたさから生じる孤独感に苛まれる。
彼が許されざる犯罪を行った理由は、自分や家族が置かれた環境を変えること、そして彼の理論を実証することにあった。
極貧の中で精神を病み、流行思想にかぶれた彼はついに強盗殺人を実行し、偶然にも成功させてしまう。
彼は罪を贖うことで恐怖や孤独から解放されたいと感じ、自分が犯人であることを仄めかすような行動を取り始める。
しかし、彼は自分の理論の正しさを示すため、そして「人間」であろうとするために何度も -
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ネタバレオーディオブックで聴きました。以前、罪と罰を読んだ時は、登場人物の呼び方が複数あり分かりにくかった。そのため、登場人物やあらすじを見ながら聞きました。
1章1 老婆からお金を借りる。
ラスコーニコフは、ある計画実行のために老婆からお金を借りる。その後、近くの汚い居酒屋に初めて行き、ビールを飲んで落ち着く。
1章2 ソーニャの父マルメラードフに絡まれる
酔っ払いの話がダラダラと続くのだか、思わず笑ってしまう。
「私が酒を飲むのは、この酒の中に苦しみを、共感を見出すためなんです。苦しみたいから飲むんです。」・・・よくわからない。
酔っ払いのマルメラードフが家に帰り、妻に髪をつかみ部屋に引っ