カラマーゾフの兄弟 4
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カラマーゾフの兄弟 4

小説・文芸
1,430円 (税込)

7pt

4.3

父フョードル殺害事件の裁判が進展する一方で、カラマーゾフの兄弟たちはそれぞれに転機を迎えていた。
やがて、あの夜の真相が明らかになる。
彼らは、ロシアは、そして人類の運命は――「現代の予言書」として読み継がれてきた一大叙事詩はついにクライマックスへ!
好評の注解付き江川訳、完結(全四巻)。

〈解説〉頭木弘樹

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外文学
  • 出版社
    :
    中央公論新社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    中公文庫
  • タイトル
    :
    カラマーゾフの兄弟
  • タイトルID
    :
    1912715
  • ページ数
    :
    544ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年08月21日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    3MB

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カラマーゾフの兄弟 の一覧

1~4巻配信中 1巻へ 最新刊へ
1~4件目 / 4件
  • カラマーゾフの兄弟 1
    1,320円 (税込)
    ドストエフスキー作品の謎に最も迫った翻訳者・江川卓による魂の訳業、初文庫化。 各巻に、訳者自身による詳細な注解を付す。〈巻末資料〉訳者解説
  • カラマーゾフの兄弟 2
    1,320円 (税込)
    大審問官の問い、ゾシマ長老の死……カラマーゾフ(黒塗)家の一族をめぐる壮大な愛憎劇は、やがて殺人事件へと向かう。〈巻末資料〉ドストエフスキー年譜
  • カラマーゾフの兄弟 3
    1,320円 (税込)
    カラマーゾフ家の人々の間にさまざまな思惑が入り乱れる中、ついに父フョードルが殺害される。 はたして犯人は……。 好評の江川卓訳第三巻。(全四巻)
  • カラマーゾフの兄弟 4
    1,430円 (税込)
    父フョードル殺害事件の裁判が進展する一方で、カラマーゾフの兄弟たちはそれぞれに転機を迎えていた。 やがて、あの夜の真相が明らかになる。 彼らは、ロシアは、そして人類の運命は――「現代の予言書」として読み継がれてきた一大叙事詩はついにクライマックスへ!  好評の注解付き江川訳、完結(全四巻)。 〈解説〉頭木弘樹

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    私にとって、最終巻の主人公はイワンだ。
    最終巻を読むまでは、ミーチャの激しい情熱やアリューシャの素朴な聖人さに魅力を感じていたが、最後になって、イワンの印象が強烈に変わった。あの冷徹な理性を持った彼が、「大審問官」の挿話を語った彼が、「神がいないなら、すべては許される」と考えていた彼が、スメルジャコフの殺人を聞きてひどく狼狽し、悪魔にとらわれ、衰弱していくとは驚愕だった。これまで、あれほど知性の強さを誇っていたのに、いざ自分の罪を眼前にすると、あれほど脆くなるとは思わなかった。
    彼にとって「神がいないなら、すべては許される」という思想は、あくまで頭の中の仮説だった。しかし、スメルジャコフはその思想を「実行の手引書」として受け取ってしまった。 自分の知的な遊戯が、実父の殺害という「生々しい血と腐臭」を伴う現実として突きつけられた時、彼の強固な論理は一気に決壊したのだろう。実態の伴わない思想は、実行という現実の前には脆い。
    スメルジャコフはイワンに向かって、「あなたこそが真の殺人者だ、私はあなたの手先に過ぎない」と言い放つ。イワンにとってスメルジャコフは、自分の中にある「醜悪な本音」を具現化した鏡のような存在になった。あれほど軽蔑していた男が、自分と最も深く繋がっていた。この自己嫌悪は絶望に近かったであろう。
    スメルジャコフとの最後の会談の後のイワンの様子の急速な変化は最終巻の白眉だ。彼は、必ず法廷でスメルジャコフの殺人を告発するという決意を固くし、自己満足と歓喜を感じていた。帰り際、酔っぱらって雪の中で眠りこけていた農民を1時間もかけて助けるほどの余裕も見せていた。しかし、家に着くや否や、その自己満足も歓喜も余裕も消え失せ、悪魔との長い対話が始まる。この短い間に彼の中で何がおこったのか。あの自己満足と歓喜は、正気の最後の灯だったのか。
    イワンが雪の中の農民を助けたのは、自分自身に対する道徳的なアリバイ作りだったと思われる。直前に「父殺しの教唆」というおぞましい真実を突きつけられた彼は、無意識にその対極にある「人命救済」を行うことで、魂のバランスを取ろうとした。また、「自分は明日、法廷ですべてを告白し、真実を明らかにするのだ」という決意が、彼に一時的な道徳的優越感を与えた。このアリバイと道徳的優越感により、自己満足と歓喜が一時的に訪れた。しかし、イワンが自室に戻ると、この一時的な麻酔が溶け、自分が置かれている地獄のような恐怖の板挟みに陥っていることに気づく。告白すれば、世間に軽蔑され、スメルジャコフと同じ地平にまで堕ちる。黙っていれば、 一生、スメルジャコフの影(共犯意識)に怯えて暮らす。麻酔が切れた瞬間、この板挟みに押し潰されてしまったのだ。
    そして、自分自身の醜悪な部分を具現化した悪魔との長い対話がはじまる。悪魔は、「新しい人間は、神の座に立ち、古い道徳や法律を超越することができる、こうして「すべてが許される」」、と会談の最後に言うが、大審問官の挿話を考えたイワンにしては、稚拙な内容に感じる。これまでのイワンが言う「すべては許される」は、人類の苦悩を背負い、神に反旗を翻す言葉だった。しかし、スメルジャコフとの会談を経て現れた「悪魔」が語る「すべては許される」は、あまりに安っぽく、俗悪なスローガンに成り下がってしまった。スメルジャコフの醜悪な実行によって、高邁な思想が、殺人の稚拙な言い訳にまで引き釣り下ろされてしまった。
    イワンの結末はあまりにも救いがなく、憐れに思う。法廷で、正気とは思えない言動で、自分とスメルジャコフの犯行を告白したことによって、その告白の内容は真剣に取り上げられず、しかも、彼の愛する女性カチェリーナに憐れまれ、彼女に恥辱を伴う救いの手まで取らせてしまう。さらに、それによって、自分の代わりに訴えられている兄の冤罪を確定させる結果になってしまった。イワンが望まなかった結果がすべて実現してしまった。彼は発狂したが、まだ死んではいない。果たして救われるのだろうか。
    この長い物語は、ヨハネ福音書第12章24節の引用からはじまった。
    「まことに、まことに汝らに告ぐ。一粒の麦、もし地に落ちて死なずば、一粒のままにてあらん。されどもし死なば、多くの実をもたらすべし」
    長兄ミーチャは冤罪で流刑地に飛ばされ、次兄イワンは発狂し、私生児スメルジャコフは自死した。最後に残ったカラマーゾフ、アリョーシャは子供たちと「カラマーゾフ万歳」と合唱し、物語が終わる。死んで子供たちに新たな実をもたらしたイリューシャとそれを導いたアリョーシャ。(自我を捨てずに)死んでいき何の実ももたらさなかった者(スメルジャコフ)、死に切れない(自我を捨てられない)者(イワン)、死んで子供たちに新たな実をもたらした者(イリューシャ)、それを導いた者(アリョーシャ)。最後に希望的な雰囲気で万歳が唱えられたということは、イワンもいずれ救われるはずだと思う。
    「カラマーゾフの兄弟」を初めて読んだのは10年以上も前だった。大審問官の話以外はほとんど忘れてしまったが、深くて暗いという印象だけは頭の片隅にずっと残っていた。以前はただひたすらに暗いという印象だったが、今回10年以上ぶりに読んで、その暗さは豊かな暗さ、人間の深さの表現だったのだと気づいた。それゆえに、この名作は救いでもあるのだと思う。人間は複雑で、豊かで、深いものである。しかし、日々の生活の中で、単純になっていく。単純であると枠にはまりやすくなる。社会に都合の良い枠、他人の欲望に都合の良い枠にはまって、精神の身動きが取れなくなる。この名作は、人間が、自分が、本来複雑で、豊かで、深いものなのだということ、御しがたいものだということを、思い出させてくれる。第3編 第3章「熱い心の告白——詩に託して」でミーチャがアリョーシャに自らの情熱と苦悩を独白する場面での言葉が頭に浮かぶ。
    「・・・人間の心は広いよ、あまりに広すぎるくらいだよ、おれは狭めたいくらいだ。・・・」
    この名作は、読む者を精神の窒息から救い出してくれる。

    0
    2026年02月22日

    Posted by ブクログ

    一巻を年始から読み始め、約一ヶ月半かけてようやく最後まで読み切りました。

    この巻に収められた第四部の中盤以降からが一番おもしろい。
    そこにたどり着くまでの長い長い旅路で挫折しなくてよかった…!

    一言で言うなら……いや、言えないな。
    父殺しができごとの中核にあるにせよ、そこに秘められた思想はあまりにも多様で今の自分には整理できない。

    ただ漠然と感じたことは、矛盾や逆説こそが人間であり愛なのだということ。

    法的に罰されることよりも、むしろ法から赦されること、逃れることこそが真の罰である。
    そして人間は真の罰を求める。少なくともドミートリイは。

    自分を罰するために、憎き恋敵に赦しを乞うたカチェリーナ。
    そしてそのカチェリーナを赦さないことでカチェリーナに罰を与えない、すなわち真の救いを与えないグルーシェンカ。
    そんなグルーシェンカを非難しつつ、だからこそそんな彼女を愛さずにはいられないドミートリイ。

    ドミートリイの無実を証言すれば自分にも事件の原因があったと自白することになるとスメルジャコフに脅されながらも証言するイワン。
    そしてそのイワンを救うために、ドミートリイを法廷で売ったカチェリーナに感謝するドミートリイ。

    ここに直線的な愛はない。
    カラマーゾフは「理想の深淵」と「堕落の深淵」の双方をのぞき見ることができる一族だと検事は言うが、その両義性は愛のあり方にもかいま見えるし、実はそれは人間全員に言えることなんじゃないかなあ。

    「カラマーゾフ万歳!」の唱和と、博愛の人アリョーシャの旅立ちで閉じられるこの小説は、矛盾と逆説だらけであるがゆえに破滅に向かう愚かさと愛らしさを持った人間の行く末を問うているのかもしれない。

    0
    2026年02月13日

    Posted by ブクログ

    年始から始めた長い長いカラマーゾフマラソンをようやくゴールしました。頑張って読み切ったことで、読書経験値がはぐんっと上がったと思います(正直、途中から、早く他の本を読みたいなと思いながら我慢して読んでいた節があります。)。

    長男が父親に対して殺人未遂を起こす本作品。男児2人の父親である私にとって、少々ショッキングな内容でした。

    最終巻で、印象に残ったのは長男が述べた次の言葉。

    『果たして親父はおれのためにおれを作ったのだろうか。あの瞬間、おそらくは酒で情欲を燃え立たせたかもしれぬあの瞬間には親父はおれを知らなかったし、俺の性別も知りはしなかった。そして親父から譲られたものといえば飲酒癖だけだ。それが親父の恩恵のすべてなんだ…おれを生んだ父が、そのあと一生涯おれを愛してくれなかったとしたら、そのためにどうしておれが親父を愛さなくてはならないんだ?』

    こんな父親にはなりたくないと思うけれど、どんなに子煩悩にみえる父親でも、心のどこかにカラマーゾフ的な要素を持ち合わせているのではないか。親子、愛、欲望とはどういうものなのか、どうあるべきなのか、そんなことを考えさせてくれる作品でした。

    1800年台のロシアでも、現代の日本でも変わらない、男性に備わった何か普遍的な特徴が本作で描かれているように感じました。聖書的な側面もあり、内容の解釈は相当に難しいのだろうと思います。ただ、読書初心者の私でも、感じることが多々あり、晩年のドストエフスキーの凄みが感じられる作品であったと思います。

    0
    2026年07月15日

カラマーゾフの兄弟 4 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外文学
  • 出版社
    :
    中央公論新社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    中公文庫
  • タイトル
    :
    カラマーゾフの兄弟
  • タイトルID
    :
    1912715
  • ページ数
    :
    544ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年08月21日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    3MB

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