平安寿子のレビュー一覧
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kamosigiさんより。
わたしにとっても平 安寿子はすっかりお馴染みになりつつあります。
今の自分はどっちかっていうと恋愛モードじゃないので、
読み始めはどんな感じだろう?と探りながらだったけど、
読み始めてみるとそこは持っていきかたがうまい!3人がうまく絡んで、
それぞれのストーリーも興味深く、
女として、いろいろ考えさせられて、どの世代にも、どの環境でも楽しめる作品になっているのでは、と感じます。
余談だけど、ストーリーの中に映画ネタがたくさん出てくるので、
映画好きのわたしには別視点からもおもしろかった。
思わずその作品観たくなってしまった。
でもまさか、内田けんじまで登場すると -
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ネタバレ平安寿子さんて、現代社会を良く良く見ていると思う。新しいことに敏感だから、テーマが古くない。
今作は、カフェを始める30代女性のお話。
それまで普通の会社員なのだから、
カフェ経験なんて、もちろんなし。
平さんが描くのだから、夢見がちな独身女性の希望的な物語で終わるはずはない。
キツイ現実が待ち受けている。
夢も大事。現実も大事。
成功も挫折も、自分の生きてる現在から
生まれていくって、当たり前なことが、
この本を読むと、実感できます。
平さんのお話は、辛口であるけれど、
不安を残さないすっきりした終わりがあるから、
いつも爽快な気持ちで読み終えることができる。
やっぱり好きな作家さんで -
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残念ながら、平安寿子さんの敬愛するアン・タイラーを読んだことはない。
でも、それが読みたいなって平さんの作品を読むたびに、
強く思ってしまう。
アン・タイラーもこんなに、涼しく乾いた文体で、
ぐさりぐさりとあたしのココロに刺さるんだろうか?
アン・タイラーの紡ぎ出す物語もこんなにも、
あ、これもあたし、これもあたしって、会ったこともないのに、
まさにあたしの分身がそこにいるんだろうか。
他の本の書評でも書いたけれど、
あたしは読書しながら基本、登場人物の誰かを止まり木にする。
ゆったりと羽を休めてそうして、同じ目線でモノを見る。
泣いて、笑って、怒って、焦って。
だから海外物を読むのは -
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ネタバレこれと一緒に『ひとり暮らし』(谷川俊太郎)、『おばさん未満』(酒井順子)をレジに運ぶのは、我ながら「……いいのか?」と思わなくもないけど、まぁよし。
読みやすく、共感ポイント満載で、おもしろかったです。「嫌い」っていうより、恋愛にプライオリティをおいて生活するのが「苦手」な女性3人の話、という感じ。26歳の翔子、29歳の喜世美、35歳の鈴枝、それぞれがそれぞれの理由で「苦手」感をもっているんだけど、まったくモテないわけではなく(鈴枝なんて、美人設定だし)、ちゃんとみんなお声がかかるのだ。でも、そこにのっかれない。冷静であろうと自分を客観視して突っ込みを入れたり、譲れなかったり守りたかったり… -
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私も24歳の頃はるかみたいだった。なんにもわからなくて、なんにも自信がなかった。流されるようにして生きていたと思う。だから彼女の成り行き任せなところはわかるような気がする。
龍子おばさんは、ちょっと今の私みたい。すぐに偉そうに社会評論家みたいなことを言ってしまうあたりが。年を取って、いろんなことを見聞きしてくるとどうしても「大きくまとめて全体を見ると」みたいなこと言いたくなるんだよね。
その二人の掛け合いを中心にして物語は進む。進む、と言っていいのか?と思うほどストーリーは展開しないのだけれど。
これは、それぞれの章で取り上げられている話題について、読者も一緒になってあーだこーだ言い合うような -
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登場人物がみな、ちょっとずつイケてない。自分勝手だったりぼんやりだったり。でも現実にはそんなもんなんだよなあとも思う。
「愛はちょっとだけ」の絵真と麻衣子のやり取りは面白かった。こんなふうに言いたいことを言い合ってしまっても、また繋がっていくことが本当にあるんだろうか、と思ってしまう。
登場人物が少しずつ繋がっていく連作短編は、人生や人間をいろんな側面から見られるから面白い。
「それでいいんだよ!」という力強い肯定ではなく、「まあしょうがないよね、そういうふうにしか生きられないんだから」という明るい諦観みたいなものがある。「それでいいんじゃない?」と、肩を叩いてくれてるみたいだ。 -
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どれだけ読んでも、平さんの描く男や女たちにうまく馴染めない。
自分ではそうとう変人というか柔軟な価値観を持っているつもりでいたのだが、それをはるかに上回る変人や困った人、ダメ男にわがまま女が次から次へと登場してくる。
初めは読みながらムカムカしている。なんだこいつは、なんでこんなことできるんだ、とんでもないやつだと思いながら読んでいるのに、どういうわけか物語のラストにくると、ふいに愛しくなってしまうのだ。
そうだね、そういうことはあるよね、それしかないよね、そういうもんだよね。
そんなふうに思ってしまう。
羨ましくもないし楽しくもないのに、平さんの描く小説世界で呼吸するのが気持ちよくてたまらな -
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これもまた、共感しづらい主人公であった。
たぶん、世間並みの評価だと進藤晶生はどうしようもない奴ということになるだろう。どうして米屋の仕事を本業にしないのか。そっちのほうがよほど実のある仕事ではないか、と。
でも晶生は自分がやりたいと思ったことをやり続ける。たとえそれが世間的にみてナンセンスだったりバカバカしかったりするようなことでも、あるいは自分の身が危険に晒されたとしても、それでも「いいこと」を見つけることができるのだ。
晶生に会ってみたいか、一日デートしてみたいか、と自問してみると、ちょっと躊躇する。言葉だけでいい気持ちになることはできるけど、たぶんそのあとで倍以上の虚しさに襲われるだろ -
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本を読んでいて楽しいのは、今までに出会ったことのない価値観に出会えることだ。
表題作の「Bランクの恋人」。主人公はどっちかというと嫌味なやつ。モテる努力をしているというあたりはわりと受け入れやすいが(それでもやや鼻につく)、後半で、しっぺ返しをくらう。
「あなたは人を愛せないエゴイストよ。自分だけが好きなのよ。そんな男誰が好きになるもんですか。(中略)付き合ってる人、どのくらいいるのか知らないけど、どんなにたくさんいても本気で思われてないんなら、誰もいないのと同じだわ」
よくある小説ならここで主人公は大打撃をうける。反省して自分の行動を改めようとすることもよくある。
しかしこの作品の主人公は違 -
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ようやくたどりついたデビュー作。
でもこれから読み始めていたとしたら、平さんの魅力に気づけたかどうか。
表題作を始め、すべての作品にその後の作品の原型が見える。そしてこの短篇集がいちばん田辺聖子さんの影響を感じられると思う。
「素晴らしい一日」や「アドリブ・ナイト」はかなりぶっ飛んだ設定だと思うのだが、そういうことを一切感じさせず、先を読みたくなる文体やリズム感がある。
描写が非常に具体的で、それを読むだけでもたくさんのことがわかるようになっている書き方は、読むのはとても楽なんだけど、書くのは難しい。
平さんは稀代のストーリーテラーなんだな。 -
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ピカレスクというからどんな凄まじい悪党が出てくるのかと思ったら、小市民的でちゃちなゆすりばかりしている男が主人公でちょっと拍子抜けした。
それでも平さんの筆致は例によって鮮やかで、ついつい読まされてしまう。
読んでいるうちにだんだん、檜垣が嫌じゃなくなっていった。読み終わった時には、ある種の潔さすら感じ始めていた。ここまで徹頭徹尾自分の欲求に正直だと、かえって清々しいとすら思える。
騙しのテクニックの勉強にもなったかな。私自身はどっちかというとカモになる方の人間だと思うから。
相棒の畑中里奈も不思議な女だが、ベタベタクニャクニャしてないところが好感がもてる。たしかに「スパイ大作戦」だ。
読んだ -
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わたしは今でこそこんなんだが、実は昔からもこんなんだった。
だったら“今でこそ”じゃねーだろ、というツッコミがあるだろうが、まあ、若い頃は今よりほんのちょびっとだけ『恋愛』に取り組んでいた姿勢があるので、とりあえず“今でこそ”ということにしてみた。
どっちにしても不得手は不得手なのだが。
本書は先日の福岡遠征の帰り、天神商店街の本屋にて遭遇し、つい買ってしまったのだが、まあなんでしょね、登場する3人のヒロインたちのいろんな部分に
「うー、わかるわかるー」
という共感の連続で、やんなっちゃった(笑)。
おかげで、これまで考えたことがなかったが、この本読んだら、いったいわたしはいつ頃から『恋愛』