【感想・ネタバレ】素晴らしい一日のレビュー

あらすじ

「わあ、奇遇だなあ。二年ぶり?」「お金、返して」。三十路目前でゲットした恋人に逃げられ、勤務先は倒産、貯金残高は減るばかり。ドツボにはまった幸恵は、昔付き合った男・友朗に貸した金を取り立てて、人生を立て直そうと考えたが……(「素晴らしい一日」)。卓抜なユーモアがたまらないオール讀物新人賞受賞作を含め、憂きことばかりの人の世をもがきながら生きるダメ男とイコジ女たちにエールをおくる、傑作ビタースィートコメディ。平安寿子のデビュー作!

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Posted by ブクログ

好きよー好きよーあなたー。って。ジャンル的にもう好みっていうのはあって、この系統のは、はっきりいって好きなのである。この系統って言うのは、ダメっぽい男女が織りなす人間模様、的な。これを男性作家が書くと、ダメ男と思いきやいざという時はやるやつだぜ、みたいな格好良い系になるけど、女性作家が書くと、実にだらしない。このだらしなさが、例えば普段は真面目に働いてるけど、休日はロハスーとか言いながらブルータスカーサでも読んでるみたいな、ある種の憧れをもって迫ってくる。この背徳感というか。
世の中頑張らないやつもいれば、頑張らないやつもいて、頑張ってもダメな人もいれば、頑張らなくても大丈夫な人もいて、それが世の中ってやつなんだぜ?とか場末の飲み屋で語りたい。それが大人の嗜み。でもそもそも一人で飲み屋とか行けないから、そこからだわー。

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2018年07月29日

Posted by ブクログ

・素晴らしい一日
・アドリブ・ナイト
・オンリー・ユー
・おいしい水の隠し場所
・誰かが誰かを愛してる
・商店街のかぐや姫

中学校のとき、クラスの男子が読み上げた作文を思い出しました。
「ぼくは、最初の1ページを読んで面白くない小説は読みません」
この本は「ぜひ読め」とお勧めできる。

“日曜日の朝っぱらから不精髭をはやし、ボサボサ頭にくたびれたジャージの上下という格好でパチンコをしている三十七歳の男に相応しい呼び名は一つしかない。
甲斐性なし。”

この出だしだけで引きこまれるでしょう?

その甲斐性なしに「貸した金返せよ」と言いに行った一日の話なんだけど、その男がもう本当にダメなやつで、頼りないしいい加減だし、でも最高にハッピーな笑顔の持主。
はたして幸恵は彼から貸した二十万円を返してもらうことができるのか。

6つの短編は、どれもこれも頼りない男が出てきて、ちょっと情けない面を見せたりするけれど、それは決して不快ではない。
それどころか、読み終わったあとは元気が湧いてくるくらい。

例えば「オンリー・ユー」の主人公は、三十三歳独身イケメンの中原という男で、まあモテる。
「有能なのは十分わかってるからさ。もう少し、肩の力を抜いていいんだよ」なんてことを平気で言えるやつなのである。
そんなこと言われたら、男社会で日々悔しい思いをしている女ならコロッといくよね。
さて、一体誰が誰に手玉に取られていたのでしょう。

全てを言葉にするわけではない。
言わない言葉が伝わるのは、そこに至る行動が、今までの付き合いが、彼や彼女という人間を教えてくれているから。
その書き方が上手いんだよね。
「素晴らしい一日」がデビュー作ということだけど、クオリティの高さはなかなか見ないほどだと思う。

「おいしい水の隠し場所」の主人公ルイみたいな女の人が、私はたいてい好きなんだけど、今回は「商店街のかぐや姫」の努にやられました。
家業のスーパーの経営もろくに出来ず、ふらふらしては時々浮気する。
財布も持たずに家を出たからと、妻の月恵にホテルまでお金を持ってきてもらうようなやつ。
だけど、ちゃんと人のことを見ているの。
手のさしのべ方が上手いのよ。
そういうの、いいなあ。

幸せというよりも、どちらかというとちょっと不幸寄りの人たちばかりが出てくるのに、読んだ後は「すべて世はこともなし」って思えてくるから不思議。
明日も生きていけそうです。

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2016年05月23日

Posted by ブクログ

初めて入った本屋さんで、サイン入り初版本を購入。
文庫とはいえ、ちょっと得した気分。

そして内容もよかった。
物語にどっぷり できれば長く浸かりたいので、めったに短編集は読まない。
が、人物描写が見事で、一気に物語りに入り込め、そしてとても魅力的だった。

ダメ男から魅力を引き出す手腕はピカイチです。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ダメな男がいろいろと・・・w いいですね、こういうの結構好きです。あんまりダメな男は、友達にも持ちたくないですけどね~ww

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2013年07月30日

Posted by ブクログ

ようやくたどりついたデビュー作。

でもこれから読み始めていたとしたら、平さんの魅力に気づけたかどうか。
表題作を始め、すべての作品にその後の作品の原型が見える。そしてこの短篇集がいちばん田辺聖子さんの影響を感じられると思う。
「素晴らしい一日」や「アドリブ・ナイト」はかなりぶっ飛んだ設定だと思うのだが、そういうことを一切感じさせず、先を読みたくなる文体やリズム感がある。
描写が非常に具体的で、それを読むだけでもたくさんのことがわかるようになっている書き方は、読むのはとても楽なんだけど、書くのは難しい。
平さんは稀代のストーリーテラーなんだな。

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2012年02月28日

Posted by ブクログ

主人公が昔付き合った男性から借金の返済をせまり、一緒にいろんな人に会いに行く。ふつうの人はこんなにお金でつながってないとは思うけど。

でもいるのかなこんな人。

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2010年02月01日

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平安寿子さん「素晴らしい一日」、2005.2発行(文庫)。短編6話が収録されています。タイトルの素晴らしい一日と商店街のかぐや姫が印象深かったです!だらしない男の生き方を見事に描いてる感じがしました。私は大嫌いですが~(^-^)

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2018年03月22日

Posted by ブクログ

作者デビュー作の短編集。キャラクターの描き方が独特でダメ男でさえ憎めない。脇役のキャラクターも想像ができる。

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2017年11月13日

Posted by ブクログ

作者ご自身によれば「クスッと笑えてちょっぴり身につまされるビタースィートな大人のコメディー。」ということですが確かにそのとおりでした。えー何でこうなるの?と思わず嫌になってしまいそうな重い出来事の中にも吹いてしまいそうな笑いが隠されている、そんなお話を集めた短編集でした。
『おいしい水の隠し場所』で学校の体育や部活が終わったあとの水道の水が一番美味しいというエピソードはそうかも、と思えました。その時その場所でしか味わえないものってありますよね。

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2015年01月31日

Posted by ブクログ

友達から貸してもらいました。イ・ユンギ監督による映画がとてもよかったようで。
個人的には、最後に収録されている「商店街のかぐや姫」が一番好き。
あとがきを読んだら、作者は田辺聖子を愛読しているようで、成程、「仕方ないなぁ」と苦笑してしまうような登場人物たちの描き方には、近いものがあるかも。

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2011年10月16日

Posted by ブクログ

映画「素晴らしい一日」を観てから読んだので、映画と違ってゲスと言うか俗世臭丸出しと言うか、突拍子もない設定の割りに中身はリアルでビックリした。
世の中ドラマの様にそううまい事いかないんだけどそれなりに楽しくやれますよ、安心して気楽に生きましょう。
そんな肩肘張らないメッセージを読んだ気がした。
気のせいかもしれないが。

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2011年07月19日

Posted by ブクログ

 著者のあとがきが面白い。
「 生きていくのは楽じゃない。世の中イヤなヤツばっかりだし、夢や希望は北極星みたいに遠くで光っているだけ。
 わたしは七歳のときから、そう思っていた。・・・」そんな作者が繰り広げる短編集。

 それぞれの話の主人公が女性なので、登場人物に共感するのは、女性が多いであろうという感じは受けるが、男性諸君にも読んでいただきたい作品である。女性心理と登場する相対する男性を味わっていただきたい。

 この作品は、人生のどん底にありながら、そこからささやかな幸福を見出せる・・・そんな気がしてくる作品である。私としては、表題作に出てくる登場人物、友朗の<最高にハッピー>な笑顔が自然に出来たら、これからの人生、ささやかだけれども、何か素晴らしい出来事が起きるような、そんな気がしてくるのである。

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2010年02月15日

Posted by ブクログ

引き続き、平さんの本。デビュー作?らしい。短編でした。
グットラック〜の方は、毒がきいててそれがまた面白かったんだけど、これは、ちょっと素直な感じで、デビューしましたって感じ。
にしても、タイトルである最初の短編「すばらしい1日」は、なにがどう素晴らしいのかは、ちょっとよくわからなかったけど、調子のいい友朗のキャラが楽しかった。
この短編の中では、一番最後の「商店街のかぐや姫」は面白かったな。義母さんに惚れて結婚するなんてちょっと面白い。家族に反発してしまって、父親に本当は認められたい主人公の気持ちもすごくよくわかって面白かった。
平さんの本、これからも読みすすめよう

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

恋人に逃げられ、勤務先は倒産。ドツボにはまった三十歳の幸恵は、昔付き合った男に貸した金を取り立てるところから人生を立て直そうと考えたが…(「素晴らしい一日」)。卓抜なユーモア感覚が絶賛されたオール読物新人賞受賞作を含め、憂きことばかりの人の世を、もがきながら生きる人間像を軽やかに讃える傑作六編。

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2010年05月24日

Posted by ブクログ

表題作は、目立たず小さく小さく生きていれば安定した人生は守られると考えていたのに、それが破綻することによってひらきなおる(?)30前の女性の話。このパターンはありがちだが、不運の嵐でへこんだときに、数年前に男に貸した20万円を返してもらっていないことを思い出して取り返しに行く。しかも男は持ち合わせのお金がないから、一緒に男の知り合いに片っ端から連絡して借金をたのみ、20万円を取り戻す・・・という執念話は受ける。でも借金でもなんでも、久しぶりに何か理由を作って音信不通の人に連絡をとってみるのってスリリングで楽しい。いずれ私もやってみようかな・・・と思ったりして。

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2009年10月04日

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