平安寿子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この物語には、多くのテーマが埋め込まれていると感じました。何を言いたいのか、は読み手によって変わると思います。
私が印象的だったのは、物語の主人公の1人である鷹子の言葉でした。
「世の中、難しく考えることはない。生命さえあれば、偶然ぽろりと落ちた土の上で咲けるのよ。」
「うんと若かった二十代の頃のほうが、もっと先行き暗かった。これから先の世界がじぶんのためにあるなんて、到底思えなかった。」
結婚して妻となり、子供が産まれて母となり、その後何になるのだろうか?家族での役割を取ったら自分に何が残るのだろうか?そんなことが頭をよぎる女性も少なくないような気がします。タンポポの綿毛のように、私達はど -
Posted by ブクログ
ネタバレ大好きな平さんの短編集。
今回はすごく共感できる話っていうのはなかったけど、いろいろな愛の形があって面白かった。
とくに気に入った話は以下↓
『利息つきの愛』
ゲイのくうちゃんのお言葉が身に染みた話。
「ダメだよ、恋愛しなくちゃ。愛情を出し惜しみしてたら、自己愛だけですっからかんになるだけだよ。あるだけ使いきれ。そうしたら、自分でも気付いてなかったタンス預金が出てくるんだから。そういうもんだよ、思いきり出せば、ちょこっとでも利息が入るしさ。ケチはダメ。ケチは、モテない。ゲイにもストレートにも」(246頁)
私もなんとか損得勘定で生きるのやめようやめようと思っているんだけど…なかなかできないん -
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家族で食卓を囲むことが少なくなった。
「個食」と言われ、1人で食べる時が増え、中食(なかしょく…持ち帰り惣菜・弁当)産業が発達し、家庭の食卓に日本食、中華、イタリアン、フランス料理風とごちゃごちゃ並べられる時代だ。
例えば、朝から肉まんと焼きそば、とりから揚げにポテトサラダなんて…。
そんなゴタゴタ感の物語が『グッドラックららばい』。
導入部、娘の高校卒業の式に出席した帰りに突然蒸発してしまった母がいる。式服姿にハンドバックひとつで。
このことを知った家族、まじめでおとなしい父、我関せず手前勝手な姉、中学生だけど甘ったれでおこりんぼの妹が織り成す驚きと戸惑いは、笑わされる。ここは平安 -
Posted by ブクログ
失恋した主人公が結婚相談所で仕事することになる話。そこの女所長を始め、みんな曲者ばかり。
独身者には耳が痛いセリフも多いです。
結婚相談所「真婚」はまだ立ち上がったばかり。でも、普通の結婚相談所では行くところがなくなった人々がやってくるので多少痛いことを言ってでも癖を直してもらって結婚をしてもらうようレクチャーや指導が行われます。
なかなか、リアルだと思いましたよ。
お節介ですが、今はここまではっきり言ってくれないと誰も結婚の世話なんてしませんからね。
主人公は、女所長に電気工事でやってくる緑川との仲を取り持ってもらうために真婚で働くうち、やりがいを感じ始めます。お仕事婚活小説です!