曽野綾子のレビュー一覧
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日本の高齢者に対して、老いの時期をどのように生きるのが、良い生き方なのか曽野綾子が訓戒を述べる書である。
教訓・訓戒を垂れるわけなので、当然上から目線であり、その訓戒が巻頭から巻末まで延々と続くので、なんだか読み終わるまでの間ずっと「お前たち日本人はこんなところがダメなんだ」と叱られているような気分になる。
さすがに世界をまたに活躍してきたエクゼクティブなので、現代日本の高齢者が置かれた状況について、世界的視点から新しい発見を与えてくれる。なるほどと納得し、共感する箇所も多い。
しかし、これほど延々と説教されると、なんだかしょんぼりとしてしまう。 -
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ネタバレ著名な作家などがそれぞれの3・11をふりかえり、これからどうすればよいかそれぞれの視点から提言を述べる作品。
この本で一番驚いたのは、病を患っていたため、この震災で不安や無力感を感じなかったといった著者がいたことだ。このことから、他人や未来への不安や自分の無力感はある程度自分に余裕がないと生じない感覚なのだと感じた。
しかし、震災直後に起こった買いだめの現象から、今回日本人が感じた不安のベクトルは自分に向いていなかっただろうかと感じた。
また、どん底はつづかないと励ましている著者がいるが、何もなくても、毎日が先の見えないどん底だと感じている人々である現代人に伝わる言葉なのだろうかと感じた。 -
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もともと雑誌化状況にあった新書界の、311後の加速たるや…。本書は発行2011年6月。
しかし絶対に全てが緩んでくるはずの半年過ぎにこそ、読んで兜の緒を締めようと、満を持しての(?)トライです。
筆者9人がそれぞれに挙げた声であれば、その言葉をこそ復興の精神として留めたい!と胸に響いた一節もあれば、この人がこんなに底の浅いことでなんとする?と首をかしげる部分もありましたが。。。そんな感想をもてるのも、今だから、なのだということです。
「復興の精神」というガッツなタイトルの中で、ひとつ橋本治氏による“病人の視点”は目からウロコでありました。 -
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教育の最終責任者は、自分である。その次が親である、教師は三番目である。
自分と親たちは、その責任を果たしてきたか。この問題は、誰かを詰問すれば、済むことではない。静かに、継続的に、客観的に自問し、自分の美学と哲学で自分を教育し直すほかはない。
人は皆、善人ではなく、はたまた、悪人でもなく、人はさまざまである。
裏表をもつということは、つまり、大人になるということである。
しなければならないことは、強制的にさせ、したいこともさせる、その両面をカバーするのが、人間を創ることである。
勇気をもって真実をつげる。
生きることが、基本的にむづかしい土地ほど、人々は、物質文明になり、同時に優しく -
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この作者の本は初めて読みました。
読んでいて圧巻。まあ色々と。
それぞれ共感する所と自分とは考えが違うところとありましたがそれでもここまで痛快に言い切ってしまう切りかたは見事。
この方が見ていらした世界の様と今の日本の在り方、そして自分が見てきた世界と文書で知っている世界。そして自分が捉える日本の世界。違うところがあって当たり前なのです。
確かにそれを違う、といえる言論の自由はすばらしい。まず、自分の意見を言うところから、ですね。自分の中に知識が無くては意見なんていえるはずも無いのですから。
勉強不足を痛感。もっとアンテナを高くしなくては… -
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2011年3月11日に大きな地震が起きた。買い置いていた曽野さんの本に手が伸びたのは、落ち着かないニュースに触れ、何もできずにいるなかで、何らかの指針を求めてのことかもしれない。確かに、この時期のために用意されていたかのような言葉が並んでいるかのような気さえする。
○自由というのは、したいことをすることではない。するべきことをすることです――旅先でのインド人神父の言葉(p.42)
○民主主義は平時にだけ機能する。緊急時や異常時には、瞬間的に民主主義は停止し、族長支配にスイッチが切り替わる。異常時にはまず停電するから、民主主義が必要とする手順を踏むことができない。だからその場にいた誰かが、臨時 -
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「夫婦の情景」
夫婦にも色々な形があり、どの形が一番よいというのはおそらくないのだろうと思う。幸せ不幸、お金持ち貧乏、健康病気、子どもの有無など・・・一つとして同じものなどない。
日ごろ感じたことやそんな気持ちになった事があったなーあと。
短編集のなかで感じ考えさせられました。
「下らないから、おもしろいんだよ。下らないものをばかにしちゃ、いけないんだぜ。下らないものの方が往々にして高級なんだから」
「勉強していると、新しい知識が砂地に水が染み込むように感じられます。今まで、どうしてこういう勉強をしないでいられたのか、信じられないくらいです。」
「想像力のない連中がはびこっている」 -
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やっぱりソノさん、読み終わったあと「ほー」と満足のため息をつけるエッセイ集。でも一件、ちょうど池田小学校を宅間守が襲った時期で、いくつかエッセイにも取り上げているのだが、特アにも公私ともによく出かけておられるソノさんの見方としては、池田小学校が「事件の忌まわしい思い出を払拭するために、事件のあった校舎を全面改装する」と決めた池田小学校に憤りを感じておられた。「一生のうち、そんな大事件に出遭う確率からいったらもう過ぎたのだから、安心して暮らせる。改装などいきすぎ。たくましい心を育てなければ」とのことなのだが、私立でもあるしそんなに目くじらを立てるほどのものか、とも思ったけれど、それも平和ボケなの