曽野綾子のレビュー一覧
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曽野綾子氏の文章は初めて読んだが、その印象は、しっかりとした芯のあるおばあ様といった感じで、明瞭な言葉の数々には押し付けがましさはなく、むしろ「洗練」という言葉が適切に思う。
『日本の自殺』(文春新書)で指摘されている、文明の内部崩壊のプロセスと共通する内容もあり興味深く思ったが、簡単に言えばその基本にあるのは「これからの日本人に対する憂い」である。
混沌のない世の中など蒸留水みたいで魚も飼えない、という曽野氏の言葉はまさにその通りで、混沌は恐れるものではなく、人生を豊かにする楽しみだ。
混沌を楽しめるか否か。憂いに対する答えの一つはそこにある。 -
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ネタバレ人が生きていく上で大切なものは何かと言う事を書いた本。
なるほど、便利な社会になればなるほど人は生存本能を退化させることになる。確かに、インターネットの検索ボタン一つで得られた情報でそれが分かった気になる。それも怖い。
以前、食品の賞味期限が話題になった事がありますが、情報に踊らされるのではなく、自分の舌で感じる事も必要かなと。それもまた、人の生存本能を奪ってい気がする。先進国よりも発展途上国の方が幸福度が高いと言うのも分かる気がします。
関係ないかもしれないけど日本人が温泉が好きな理由って、一番自然な姿で自然に帰る事が出来るからじゃないかなと思ったりして。本能にもリラックスは必要。
幸福 -
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ネタバレ■学校へのお礼の気持ちが学費納入
書籍「夫婦口論」(二人で「老い」を生きる知恵)
三浦朱門&曽野綾子著・扶桑社新書(育鵬社刊・229頁)から。
最近、静岡県がクローズアップされている、教員の不祥事。
もう策がない、と悩むのもわからなくないが、
それって個人の病気だから・・で片付けるのも、あまり進歩がない。
解決になるかわからないが、本著のメモにヒントを見つけた。
正式には、もう少し長い。「学校に教育してもらうことに対する、
ささやかなお礼の気持ちが、学費納入」とある。
先生と生徒、さらに保護者との理想的な関係を、表現していると思う。
大切な自分たちの子どもを、一人前の人間として教育し -
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ネタバレ「これから」をどう考えるか。3・11以降を生きる杖。
と、帯にあった通り、東日本大震災を経、これからをどう生きるかを9人が語っている。
養老孟:精神の復興需要が起きる
これを読みたくて買った一冊。いつもと違う養老センセ。スラスラとその思いのままに語り、面倒だから説明はヤメ、と突き放されるようないつもの文章よりも、ずっとずっと、静かでゆっくりとした口調で語られている。
「周りがうるさくなってくると静かにする。ブレーキをかける。そういう習性が身に付いているのです。」(本文より抜粋)という姿勢からきているのかもしれないが、意外なほどに、淡々と「これから」を語っていた。
「生きていれば、さまざま -
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ネタバレ◆結論 ~ 星の数 ~
★★★:暇な時間で読めば良い、読書の「費用と時間」と「内容」のバランスが釣り合っている
◆感想文 ~ 読む前、読んだ後 ~
◇読む前の感想
NHKの朝のニュースで取り上げられているのを見て、興味が湧いたので買いました。
「目上を敬う」というのは当然のことと納得していますが、私自身、経験として「この老人、甘え過ぎとちゃう?」とか、「なんかカッコ悪いで」とか思うことがありましたので、どうすればカッコイイ老人になれるか、と思い買いました。
◇読んだ後の感想
著者は経験も経歴も人生観も凄い方です。そのため、老人に対して「こうするべき!」という内容が、キツイですね。
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ネタバレアラブの価値観に触れることが出来ます。それは、日本的なものでも欧米的なものでもありません。砂漠の民が何を祈り、どんな気持ちで戦っているのか、短い格言を通して手軽に知ることが出来ます。
=====【以下、引用】=====
■p23
*もしも神が許さなかったら天国は空っぽになる(アラブ)
■p27
*断食して祈れ。そうすればきっとよくないことが起こる(レバノン)
誤訳でも誤植でもない。信仰などで事はよくならない、という皮肉な現実認識である。
■p33~p34
現代においてもなぜこの部族対立が続くかというと、これも私の実感にすぎないのだが、こうした心理の育つ土地には、今でも電気が -
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[ 内容 ]
神、戦争、運命、友情、家族、貧富、そしてサダム・フセインまで―。
素早く、簡潔に、かつ深くアラブ世界を理解するには、彼らの世界の格言を知るに限る。
「追う者と追われる者は、共に神の名を口にする」「一夜の無政府主義より数百年にわたる圧政の方がましだ」など、古来より伝承され数多ある中から530を厳選。
そこに加えられた著者独自の視点、解説によって、鮮明に浮かび上がる「アラブの智恵」とは。
[ 目次 ]
第1章 神―「追う者と追われる者は、共に神の名を口にする」
第2章 戦争―「一夜の無政府主義より数百年にわたる圧政の方がましだ」
第3章 運命―「世界は二人の人間に属した。殺された男 -
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20年位前に初めて読んでから、ずっと同じ熱をもって
心の中にあった作品。
事あるごとに、色々な方にこの本を薦めてきたように思う。
しかし今回読み直してみて、20年前のような衝撃はなかった。
自分の中に蓄積されてきた経験と、小説の中の経験がある
程度イーブンになってしまった故だろうと思う。
だからこそ、主人公の女性に対して今となってはとても苛立つ。
分かるからこそ。
「恋愛」という不可思議でクレイジーで不条理な罪と喜びの
極みにあって問う、「愛」の真理という深遠なテーマには、
改めて深く引き込まれ、心に大きな手ごたえを受けた。
「この悲しみの世」
という言葉が、当時の私には重く切なく響いた