曽野綾子のレビュー一覧
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著者の語る内容に多く共感できるのに、批判的な気持ちが湧き起こる。
内容は著者が高齢者の人々に送る檄文だと思って良い。
老人だからと言って甘えるな。
できる限り自立しろ。
老境に至った喜びを感じ、老境だからこそできることをしろ。
等々。
かなりの部分に共感でき、自分もその様に生きなければ、と思う。
ではなぜ批判がましい気持ちが湧くのか。
それは著者が自分と自分を取り巻く人々の生き方を正しいものとしてひけらかしている様に読めてしまうから。
自分は一部の愚かな年配者がするような、あんな事、こんな事はせず、代わりに年配者として正しい方法を常に採用して実行しています、と。
とは言え、本書を素直に読んで -
Posted by ブクログ
サダム・フセインとの戦争時にあらためて、出版し直したものとあります。
荒野に暮らすアラブ(ベドウィン)が自然の中を生き抜くための、習慣、神とのかかわり方、考え方を伝えてくれる一冊です。
アラブのIBMということばがでてきます。
I:インシャラー 約束の念押しを迫ると答える 意味は、神の思し召しがあれば、ようは、100%保証したわけでない
B:ブクラ いつできるかと問う答え。明日、でもいつになってもブクラのままである。
M:マレシ 約束が履行されなかったことについてなじるとその答え。理のないこと、過ぎたことは仕方ないじゃない。
気になったことは以下です。
・アラブ諸国の人たちは、スポーツで -
Posted by ブクログ
曽野綾子の思想的原点はどこにあるのだろう
いくつかの初期作品に触れた感触だけで想像するに
太宰治の影響が強いのではないか
勝手にそう思っている
「ビショップ氏殺人事件」
昭和30年代のはじめだから、朝鮮戦争の少しあと
優しいアメリカ人の見せる父性に対して
若き日本人の抱える甘えと屈託が
殺人事件を引き起こす
「華やかな手」
女子生徒に人気のある大学教授
彼は赤ん坊のとき、事故で片方の手首を失っている
不具の意識から結婚を避けている様子だが
しかし人生に絶望してはいない
明確ではないけれどもキリスト教への傾倒が垣間見える
「消えない航跡」
生きてるときは嫌なやつと思っていても
死んだあとで -
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ネタバレ曽野綾子「至福の境地」2006.6文庫(2002.6刊行)。①老化対策、園芸、麻雀、ダンス、色々あるけど、一番は家事をやること(同感です) ②学内の暴力には、退職後の自衛官、警察官に期待(同感です)③入学式の国旗・国歌は常識(同感です)④演説は人を感動させる内容を語れ(そのような機会があればw、そう努力します)⑤老人になると健康保持を最大の仕事にしている人はどこにでもいる。健康は傍迷惑でないという点で素晴らしい。しかし、できれば片手間でそれができたらもっと粋なのである。(最大の仕事にはしていないつもりですが、片手間でもないです。無粋かもw)
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●本書は、やや決め付け的かつ説教的な表現が多いので、取分け若者には賛否両論あると思います。これは、著者の自信の表れと思います。しかし、読んでみると、共感する事も沢山あります。
●例を上げると、❰主張①❱多数に従うのは自分の個性を失うことではなく、他の存在を認めること。 ▶私の意見①;私は若かりし頃、会議の場で自説に拘った発言を繰り返しました。その時、私の尊敬する人が私の発言に一定の理解を示した上で、多数の意見を尊重すべきだと諭され、バランス感覚の重要性を認識しました。 ❰主張②❱年長者が年下の者に、様々な話をする事で世間の機微を伝えていくのは、人間社会にとって大事な事。 ▶私の意見②; -
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「鸚哥とクリスマス」
善人でございといった顔をして
敗戦後の日本をのうのうと生き延びている人々
ラジカルで感じやすい若者たちに言わせれば
それはよほどの悪党か
鈍感な馬鹿ですと自己紹介してるようなものだった
そんなアプレゲールの時代に
そういう許婚を持ったことが耐えられない
しかも相手が本当の善人であるだけに、なかなかそれを言い出せず
婚約の解消も延ばし延ばしになっていた
そういうお嬢さんの話である
「遠来の客たち」
箱根のホテルで、米軍関係者を案内する仕事に携わっており
英語が上手いので重宝がられているお嬢さん
彼女は、性格の優しい軍医に好意を持っていたが
粗暴で理不尽なところもある隊長に -
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曽野綾子氏の著書にしては語り口が丁寧で、雑誌に連載されているエッセイのような皮肉めいた強烈な批判がなかったように思うが、日頃から述べられている意見の中から老人に関する点に焦点を当て、わかりやすく論述している。私は無宗教なので、宗教に対する意見が異なることを除けば、著者の意見には全く同意できる。利己的でわがままな人たちがいなくなるよう、教育を改めていくべきなのだろう。外国からの日本人に対する評価は、今より戦前の方がずっと高かったと思われる。したがって、戦前のような、日本人の心としてのつつましやかさや、人や自然に対する敬意と感謝、奉仕の精神をはじめ、大和魂に代表される、長い歴史に培われた純粋でさわ
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「生贄の島」に続いて1971年に発表された曽野綾子氏の渾身の沖縄ルポですが、今回は渡嘉敷島で起きた集団自決は、果たして定説通り赤松大尉の命令だったのかという真相に迫る内容です。
著者は赤松犯人説の根拠となる残された資料に当たるうちに、不思議なことに気づきます。
根拠の資料とされる3種類の文献の肝心なところの描写が一言一句同じだという奇妙さに。
ここから、作家としての勘を働かせながら、残された当時の文献と当事者たちに話を聞いていく。
真相に迫ろうとするこの過程もスリリングで面白いので、是非読んでほしいのですが、最終的には筆者は白黒どちらかという判断を避けています、いや正確に言えば、判断で