曽野綾子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者の語る内容に多く共感できるのに、批判的な気持ちが湧き起こる。
内容は著者が高齢者の人々に送る檄文だと思って良い。
老人だからと言って甘えるな。
できる限り自立しろ。
老境に至った喜びを感じ、老境だからこそできることをしろ。
等々。
かなりの部分に共感でき、自分もその様に生きなければ、と思う。
ではなぜ批判がましい気持ちが湧くのか。
それは著者が自分と自分を取り巻く人々の生き方を正しいものとしてひけらかしている様に読めてしまうから。
自分は一部の愚かな年配者がするような、あんな事、こんな事はせず、代わりに年配者として正しい方法を常に採用して実行しています、と。
とは言え、本書を素直に読んでいくと高齢者となった人々、なりゆく人々の行き先案内兼応援歌になります。
*気になった点
p72 「死に様」と言う言葉を使っている。
意味を汲み取る事はできる。
が、古来からある「生き様」から発生した戦後の造語だと言う事らしい。
藤沢周平さんがお金を積まれて使いたくない言葉として挙げているそうです。
大森洋平さんの「考証要集」という本に載っていました。
ま、「老いの才覚」は時代物でも戦前物でもないので問題はないのですが、たまたま記憶に残っていたので。 -
Posted by ブクログ
サダム・フセインとの戦争時にあらためて、出版し直したものとあります。
荒野に暮らすアラブ(ベドウィン)が自然の中を生き抜くための、習慣、神とのかかわり方、考え方を伝えてくれる一冊です。
アラブのIBMということばがでてきます。
I:インシャラー 約束の念押しを迫ると答える 意味は、神の思し召しがあれば、ようは、100%保証したわけでない
B:ブクラ いつできるかと問う答え。明日、でもいつになってもブクラのままである。
M:マレシ 約束が履行されなかったことについてなじるとその答え。理のないこと、過ぎたことは仕方ないじゃない。
気になったことは以下です。
・アラブ諸国の人たちは、スポーツで、国旗のものに結束することはある。だが、彼らにとって大切なのは、部族の概念である。
・電気のない土地では、ほとんど例外なく民主主義が定着しない。民主主義を育てたのは電力である。それならば電力の恩恵を受けない土地では、どういう支配体制が行われているかというと族長支配なのである。
・「人に食べ物をやる時は、満足するまでやれ。殴る時は、徹底的に殴れ」
自分で守らなければ、自分も家族の生存も不可能なのである。
・戦いをおこす原動力はいくつもあるが、もっとも普遍的なものは復讐である。正義のためでは、人はなかなか動かないが、自分の家族、財産、権利、あるいは、恥に加えらえた暴力を人は決してわすれることはない。
・女は、ベールと墓以外何ももっていない。
・ともかく人は生き抜かねばならない。暑さ寒さ厳しく総じて水も不足している土地で生き抜くには、それほどたやすいものではない。そこで人は死なない方法を考える。自然も人間をとり殺すが、何より恐ろしい敵は人間なのだから、相手を見抜く眼力を養わなければならない。
・「他人を信じるな。自分も信じるな」
信じるということは、疑うという操作を経たあとの結果であるべきだ。疑いもせずに信じるということは、厳密にいうと行為として成り立たないし、手順を省いたという点で非難されるべきである。
・「他人の家では思っていることをしゃべらず、ドアを開けず、質問をするな」
肉体的力を支えるのは精神力である。自制、知識、他人の話を聞く姿勢などについて、多くの格言を残した。
・「人は見かけでは半分しかわからない。会話ですべてがわかる」
この観察法は人があふれる都会でも有効である。だか最近は、スマホやゲームに時間を費やす人が増え、会話は衰退の一途とたどるばかりだ。健全なのはむしろアラブのほうだ。
・「血の一滴は、千の友に匹敵する」
友情の中でさえ、命の危険が問題にされることは承認済みなのである。血を流す勇気もなく、命をささげる決意もなく、金銭さえも捧げない人間になんの友情が期待できるだろう。
・「議論の下手な男の下は長くなる」
おしゃべる男の話は内容がない
・荒野に暮らす人々にとって、人間は人間としてそこにいてくれるだけで貴重品だ。
・通常、花嫁は血のつながった一族からもらうことになっている。つまり、妻にするのは従姉妹をもらうことになる。、
・結婚のみならず、生活上の経済、社会的地位などを守るに、他人は決して信用しない。すべて、同宗教であって、しかも血族である人々によって固められるのである。
・学校に通えないベドウィンたちは、親が教師の役目もかねる。親はしばしば文字を読むこともできないであろうが、それでも生活の上では子供たちの偉大な師である。
・複数の妻を持つ夫は、どの妻をも平等に扱わなければならないことになっている。
・貧困こそ、我々の中の卑怯さと残忍さを露呈し増幅する。
・アラブ(ベドウィン)は帰ってくる
彼らは他部族と確執があれば決して忘れない。彼らと戦った人々はそのことを知っているのであろうか。 が終わりのことばです。
目次は次の通りです。
はじめに
第1章 神 追うものと追われる者は、共に神の名を口にする
第2章 戦争 一夜の無政府主義より数百年にわたる圧政の方がましだ
第3章 運命 世界は二人の人間に属した。殺された男と、彼を殺した男と
第4章 知恵 水を節約するように言われた途端に、誰もが水を飲み始める
第5章 人徳 あなたには栄誉を、私には利益を
第6章 友情 歓迎されない客人は、大英帝国のようにいつまでも居座る
第7章 結婚 私は妻にお前なんか離婚だといった。すると彼女はベットにおいでと命じた。
第8章 家族 家に老人がいないなか、一人買ってこい
第9章 貧富 貧乏は叡智
第10章 サダム・フセイン バスラの反乱以後は廃墟 -
Posted by ブクログ
曽野綾子の思想的原点はどこにあるのだろう
いくつかの初期作品に触れた感触だけで想像するに
太宰治の影響が強いのではないか
勝手にそう思っている
「ビショップ氏殺人事件」
昭和30年代のはじめだから、朝鮮戦争の少しあと
優しいアメリカ人の見せる父性に対して
若き日本人の抱える甘えと屈託が
殺人事件を引き起こす
「華やかな手」
女子生徒に人気のある大学教授
彼は赤ん坊のとき、事故で片方の手首を失っている
不具の意識から結婚を避けている様子だが
しかし人生に絶望してはいない
明確ではないけれどもキリスト教への傾倒が垣間見える
「消えない航跡」
生きてるときは嫌なやつと思っていても
死んだあとでは良いやつだったように印象が変わることもある
それがセンチメンタリズムだ
大人の世界にはあまりないことだが
しかし、真実の裏付けがあるとなれば話は別だ
たとえそれが下世話な興味で暴かれた真実であろうとも
「競売」
物質主義によって迷信を退け
勝利の美酒に酔いしれる
しかしその直後
戦後失われつつある人の心への感傷をくすぐられ
あっさり騙されてしまう
「人生の定年」
会社の上役が交通事故で死んだ
しかし本当は保険金狙いの自殺だったんじゃないか
そんな噂の真相を探るうちに
殺人事件の可能性まで浮かび上がってくる
最後のほうに「日本浪曼派の詩人」が出てくるあたり
ミステリというよりは
戦後日本人の孤独を書いた文芸作品と言うべきだろう
「佳人薄命」
曽野綾子のミステリ作品は
真相を探る探偵にこそ
心の闇を見出そうとするところがあって
それが独特の味になっている
センチメンタリズムを否定したくない気持ちは
あったかもしれない
この作品では「読者への挑戦」に相当する台詞が用意されており
一見、正統派の本格ミステリと思わせるのだが
その後にさらなる展開がある
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Posted by ブクログ
ネタバレ曽野綾子「至福の境地」2006.6文庫(2002.6刊行)。①老化対策、園芸、麻雀、ダンス、色々あるけど、一番は家事をやること(同感です) ②学内の暴力には、退職後の自衛官、警察官に期待(同感です)③入学式の国旗・国歌は常識(同感です)④演説は人を感動させる内容を語れ(そのような機会があればw、そう努力します)⑤老人になると健康保持を最大の仕事にしている人はどこにでもいる。健康は傍迷惑でないという点で素晴らしい。しかし、できれば片手間でそれができたらもっと粋なのである。(最大の仕事にはしていないつもりですが、片手間でもないです。無粋かもw)
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Posted by ブクログ
●本書は、やや決め付け的かつ説教的な表現が多いので、取分け若者には賛否両論あると思います。これは、著者の自信の表れと思います。しかし、読んでみると、共感する事も沢山あります。
●例を上げると、❰主張①❱多数に従うのは自分の個性を失うことではなく、他の存在を認めること。 ▶私の意見①;私は若かりし頃、会議の場で自説に拘った発言を繰り返しました。その時、私の尊敬する人が私の発言に一定の理解を示した上で、多数の意見を尊重すべきだと諭され、バランス感覚の重要性を認識しました。 ❰主張②❱年長者が年下の者に、様々な話をする事で世間の機微を伝えていくのは、人間社会にとって大事な事。 ▶私の意見②;私は会社勤めの時に良き先輩と上司に恵まれました。人を思いやる心、特に弱い立場の人への配慮。感謝の気持ち、自分一人では何も出来ない・・等、です。最後に、受け入れられない筆者の主張を書きます。❰主張③❱月に一冊の本も読まないのでは、近い将来、馬鹿みたいな老人になることは目に見えています。 ▶私の意見③;読書は人間形成に必要と考えています。しかし、経験も大切と思います。従って、主張③は多様性を認めない表現で納得出来ません。
●但し、冒頭に書きましたように、経験に裏打ちされた、含蓄に富む内容も多々あるので、一読の価値はあります。 -
Posted by ブクログ
「鸚哥とクリスマス」
善人でございといった顔をして
敗戦後の日本をのうのうと生き延びている人々
ラジカルで感じやすい若者たちに言わせれば
それはよほどの悪党か
鈍感な馬鹿ですと自己紹介してるようなものだった
そんなアプレゲールの時代に
そういう許婚を持ったことが耐えられない
しかも相手が本当の善人であるだけに、なかなかそれを言い出せず
婚約の解消も延ばし延ばしになっていた
そういうお嬢さんの話である
「遠来の客たち」
箱根のホテルで、米軍関係者を案内する仕事に携わっており
英語が上手いので重宝がられているお嬢さん
彼女は、性格の優しい軍医に好意を持っていたが
粗暴で理不尽なところもある隊長に、何も言えない彼の気弱さを見て
おおいに幻滅する
「海の御墓」
戦前、国際法の学者として日本の外務省に招聘されたが
日本の自由に肩入れしすぎたため
自国籍を剥奪されてしまった英国人の話
アメリカを毛嫌いし
そのために妹の寿命を縮めた後悔はあれど
晩年は理解者に囲まれる
ラストシーンは一見虚無的ながら
ヒューマニズムに裏打ちされた手触りがある
「雪あかり」
婚期を逃した女と男が
なんとなくつきあい続けているのだが
互いに結婚するつもりなんかまるでないという話
なんでそんなことになってしまっているのか
この作品では、母の古い価値観と、現代社会とのあいだで板挟みになり
疲弊して無気力へと陥った男の様子を窺わせている
「身欠きにしん」
自分はぜんぜん大したことのない人間だという
自虐的自己認識を得ていたおかげで
見た目はアレな上に面白味もなく
堅実な性格だけが取り柄の男と結婚してしまい
それでいつしか気づいたら
郷土の偉人を支える妻ということになってしまっていたのです
「蒼ざめた日曜日」
世にありふれたフェイク(偽物)をめぐる四つの物語
偽金づくり
社会にあわせて自分を偽る女
義眼の少年
落ち目の劇作家、など
人々は真実に憧れ、怯え、あざ笑い、また嫉妬する
「冬の油虫」
夫との精神的なすれ違いに妻は不満を持っている
しかし夫はそのことにまるで気づいていない
という話