工藤精一郎のレビュー一覧
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ドストエフスキーの小説のストーリーはいつもよめないですね。だからこそ飽きずに読んでいられる。
貴族、ヴェルシーロフと農奴の女の間に生まれた私生児、
アルカージイの手記という形でつづられる物語でした。
タイトルにもあるように、アルカージイは19歳だったかな?
未成年なんです。そんな青年の未熟さや愚かしさを隠そうともせず、
アルカージイは(物語の中での)事実を述べていきます。
あまりにもおしゃべりで、なんでもかんでもしゃべってしまうところなんかには、
辟易としてしまうような部分もありました。
また、賭博にはまったり、父の金を当てにして豪奢な生活を
おくるところなんかには、未成年らしいなぁとも思 -
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この本は表面上は『妻を殺した貴族の監獄の記録』と言うことになっていて、小説の形を取っているのだが、実際はドストエフスキー自身の監獄の体験記と言う形のドキュメンタリーである。
ストーリーと言うものはほぼなく、監獄の情景や人間の、密度の濃い描写が延々となされるため、読み続けると疲れるかも知れない。しかし時々手にとって少しずつ読んでみることで、19世紀ロシアの『滅び去った民衆』、つまり『最底辺の人々』の暮らしぶりに自分を共鳴させることができる。
その意味で、『カラマーゾフの兄弟』よりも現代に流行ってもいいと思える一冊。格差社会の現在の日本の中で、我こそは最底辺だと自称する自虐的な人たちが最近 -
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切れ目なく続く展開と交差の連続。
瀕死のアンドレイと、一度は彼を裏切ったナターシャの再開があまりに美しく、震えた。
導かれるまま、いやらしくもない、劇的な場面の応酬で、☆五つ。
指導者がすべての手綱を握っているかのように思われがちだが、そうではない、抗いがたい何かによって時代が動いていく。
指導者は戦争を始める事もできなければ、終わらせる事もできない。そこに彼の感情や思想はなんの影響力ももたない。
ではいったい、戦争とはなにか?
実際の戦争を細かに描写しながら、個人の心の中や民衆の生活の中にあるそれを見事に浮き彫りにしていく。
戦場と社交界
個人感情と神
それぞれのものだと思っていたものが、 -
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「地下室の手記」を面白く読めたので、「罪と罰」に再チャレンジ。かなり夢中になって読めたかも。
世の中には凡人と非凡人がいて、非凡人は大衆のより良い未来・革命のために法を破る権利を持っているという独自の理論を携え、それなら自分という将来有望な若者が貧困に喘いでいるのではなく、金を持っている害悪な老婆を殺したって何の罪がある?と考え、青年ラスコーリニコフは実際に殺人を犯してしまう。(150年以上前の小説だから書いてもいいと思ったけど、ネタバレになった方いたら申し訳ない)
警察ポルフィーリィとの会話は探偵小説のようだし、ソーニャとのやりとりは(だいぶメンヘラな)恋愛小説のようだし、全体感としては病 -
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上巻だけでも中々面白かった罪と罰の下巻!
殺人を犯したラスコーリニコフが捕まるか捕まらないか。一体どういう結末に持っていくのか。
事件と直接かかわりがなことから、本筋と関係ないと感じていた様々な登場人物が、序盤では「脇道にそれてばっかりで本筋が薄まるな」と感じていたが、下巻から次々と関わっていって、なるほど、そう絡んでいくか、と話の攪拌の仕方の妙に感心してしまう。ペトルーヴィチ、マルメラードワ夫人、そしてスヴィトリガイロフ。
良い物語は、ひとつのストーリーでも複数の読み方が出来るものであるという。
この各登場人物の絡まり方が、まさ複数の読み方をなさせるコツなのだろう。
最終章まで中々立ち位置 -
Posted by ブクログ
登場人物を覚えるのが大変!汗
ロシア語って覚えにくい、、けど物語が壮大で意外にサクサク読み進められる。
戦闘シーンは個人的に興味が浅いのか、あまり面白いとは思えなかったけど当時の戦争に対して、それぞれの立場からどのように考えていたかが知れて示唆深い。なんといっても現代を生きる私たちでは理解し得ない感情も、地位や性格含めなるほどだからかと多少納得できたのはとても良い読書体験だった。
戦争をイケナイと考えることはそうだしその通りなんだけど、ここまで深く学ぶことにも人間が同じ過ちを繰り返さないためにもとても意義のあることな気がする。感情的にだけじゃなく、当時の背景を知るって凄い大切なことやな。
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Posted by ブクログ
ロシア文学不朽の名作。
金貸し老婆を殺害した大学生ラスコーリニコフ。偶然成立したかのような完全犯罪の犯行後の苦悩。家族や友人たちとの複雑な関係性。嫌疑を抱く予審判事との心理的攻防。追い詰められ緊迫した対決。
果たしてラスコーリニコフは逃げおおせるのか、犯罪者として裁かれるのか。
底辺に流れるのはペテルブルグの下層民の貧困生活。特に飲んだくれ元官吏の死や娼婦に身を落としたその娘。悲惨な家族の生活などもラスコーリニコフの心理的苦悩を増幅させ、最後まで目を離さず一気に読み通せる大作。
最初に挑んだのはロシアに興味を持っていた高校時代。今回はインフルエンザに罹り自室隔離状態になったのでゆっくり完読。 -
Posted by ブクログ
自分勝手な考え方により、自分の行いを正当化して犯罪に走ってしまう。これは犯罪を犯す人全般に共通して言える心理だが、その犯罪後の公開により、自分という人間を貶めたり、自分の罪を人に告白することで、罪悪感を軽くしようとする考えや、他人への善行により、人間としての自分の価値を高め様と考え、行動することに非常に共感した。特に、自分の罪に対して自分自身で自らを罰する行動を行うことで、より精神的にも肉体的にも辛い状況に追い込まれること。そこから、自分自身で這い上がる力がない場合には、只、無償なる愛と呼ばれる人との繋がりのみがその人を救う力を授けるだけだと考える。