工藤精一郎のレビュー一覧
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「イワンデニーソヴィチの一日」と、この「死の家の記録」は、
私の中でベスト・オブ・シベリア流刑小説の地位を常に争っています。
いや、これらの他に読んだことないんですが。
こちらに関しては、貴族がいきなりシベリアに来て精神的にかなり参ってる感じにぐっときます。
お風呂の不潔さにうひゃー、とか囚人服がベトベトしててうげーとか。
特にお風呂(サウナ?)の描写は圧倒的に迫ってきます。
囚人の垢とか髪の毛とかが、自分の足にからみついてきてぬるぬるしてる気がします。
とにかくもう迫力があるんですよ。
他に好きな場面は囚人がクリスマスなどのイベント事に心からウキウキしてるところかな。
どんなにどん底に落 -
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これを一人の人間が書いたのか!とおもう。500人を超える登場人物をひとりひとり緻密に書き分け、みな血が通った人間にしたてあげている。友人から「どういうストーリー」ときかれてうーんとうなってしまった。ピエールのことをいえばいいのか、アンドレイか、ナターシャか、ナポレオンか・・・一人一人の人生が生き生きと、そして丁寧にえがかれている。いくつもの物語が交錯して、まったくどう説明していいか見当もつかない。これはその時代のロシアを偉大な文豪が鋭利な刀で切り取ってきた作品ですとでもいえばいいのか。
歴史はどうしてつくられるのか。一部の有名人によって形成されるのか。作者はちがうという。目に見えない動き、と -
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法を犯して罪を背負った人々に、足枷をはめさせ労役を科し、鞭の浴びせて自由を奪う。
そんな死の家に押し込まれた囚人たちの生活模様を描いた物語。
壁の中での生活は、本当に人を更正させることができるのか。
考えさせられる小説です。
この作品は、ドストエフスキーの実体験をもとにリアリズムの手法によって書かれていて、19世紀ロシアの監獄のスケッチとしての価値もあり、また、優れた観察眼による緻密な人間描写は、文学としての完成度を最高のものにしています。
「カラマーゾフの兄弟」を始めとする、ドストエフスキーの後年の大作たちの原点とも言える、大変素晴らしい作品でした。 -
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間違いなく読んで良かったと思える小説でした。
物語がひと区切りする時にはトルストイの哲学的な考察が挟まり、正直1回読んだだけでは総てを理解し受け止めることは出来ません。
戦争の場面は読んでいて集中力が途切れることがしばしばあったし、読んでいて退屈を覚えるくだりも結構あるけれど、物語の緻密な構成と豊かな人物描写が実に魅力的。
読み進めていくうちに登場人物達に対する愛情が深まり、愛を知る喜びも、大切な人がこの世を去る時の喪失感も、今までの人生で感じてきた総ての感情が作品を通じて呼び起こされて、自分自身の過去についても振り返らずにはいられませんでした。
この作品を読んでいる間、私の心は1800年 -
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長い、とにかく長い。
別に登場人物のかけあいや心理描写は長くてくどくて結構なのですが
エピローグの二部の所が死ぬほど長く感じました。っていうかくどい・・・
回りくどい説明口調で更に読みにくい。トルストイ自身の考えを述べているのでしょうけど、殆ど頭に入りませんでした。
要約すると10ページくらいでまとまるのでは?
読後感がそこで全てそぎ落とされた感じです・・・ちょっと切ない。
それでもこの作品はすごかった。最初から最後も良い意味でも悪い意味でも。
今は同じ作者のアンナカレーニナを読んでいますが、そっちの方が断然読みやすいです。私自身が歴史にあまり興味が無いというのもありますが・・・
こんなに -
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ネタバレ全4巻、2500ページ余りからなる巨作です。19世紀初頭、ヨーロッパに吹荒れたナポレオンの嵐、そしてナポレオンによるロシア遠征(ロシアでの呼称は「祖国戦争」)とその失敗、アウステルリッツの戦いなどの歴史的背景を盛り込み、戦争に関わる貴族、軍人、そして農民たちを描いています。登場人物は550人を超えるが、それぞれの人を人間味溢れ、魅力的に描くのがトルストイの特徴でもあります。
実は、学生のときにチャレンジしたのですが、1巻を読み終えることができずリタイアした思い出があります。今回も1巻には苦戦しましたが、1巻の後半になると、アウステルリッツの戦い、三帝会議など歴史物のテンポの良さが出てくるので -
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ネタバレ前巻から思っていたのですが、やっぱりニコライ老公爵は私は嫌いです。
今巻で亡くなりましたが、その最後もマリヤと和解しているように描かれていましたが、私としてはうーん。という気持ちです。
アンドレイとナターシャがまさかの元鞘。
私がアンドレイだったら絶対に許さないし、私がナターシャだったら絶対に赦してくれなんて言えない。
二人はアナトーリの事で色々と面倒くさそうだなあ。死んじゃったのに。
ピエールは最後においおい!って感じで終わりましたが・・・
あと一巻だと思うと名残惜しい気がします。皆どのようにして平和を掴むのか・・・
戦争の一番の被害者は民衆だなー、と、略奪行為をする兵士たちを見ながら -
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ドストエフスキーの小説のストーリーはいつもよめないですね。だからこそ飽きずに読んでいられる。
貴族、ヴェルシーロフと農奴の女の間に生まれた私生児、
アルカージイの手記という形でつづられる物語でした。
タイトルにもあるように、アルカージイは19歳だったかな?
未成年なんです。そんな青年の未熟さや愚かしさを隠そうともせず、
アルカージイは(物語の中での)事実を述べていきます。
あまりにもおしゃべりで、なんでもかんでもしゃべってしまうところなんかには、
辟易としてしまうような部分もありました。
また、賭博にはまったり、父の金を当てにして豪奢な生活を
おくるところなんかには、未成年らしいなぁとも思