工藤精一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この小説で一番すごいと感じたことはラスコーリニコフたちが対決を行うシーンの筆圧である。よほど心の中で自分を追い詰めた経験のある人でなければあのような一種の狂乱ともとれる人々のやりとりは描き出せないのではないかと思う。解説でもドストエフスキーの波乱に満ちた生涯が紹介されている。
様々な人々の信念や思想がぶつかり合うシーンは見るものを圧倒させる。もはや読む側までも心理描写を追っていく過程で徐々に酔っているような感覚に陥りさえする。解説にもあった通り、ラスコーリニコフの語る理論はかつて作者が抱いていた理論であり、収監と、深い内省を経て否定された。作者は抱いていた思想の決算をこの小説を通して行った。特に私は、信じることのできる絶対的なもの(それは神か、あるいは思想か)を持たない人の苦悩と苦しみが非常に目立って描かれていたように思える。 -
Posted by ブクログ
「地下室の手記」を面白く読めたので、「罪と罰」に再チャレンジ。かなり夢中になって読めたかも。
世の中には凡人と非凡人がいて、非凡人は大衆のより良い未来・革命のために法を破る権利を持っているという独自の理論を携え、それなら自分という将来有望な若者が貧困に喘いでいるのではなく、金を持っている害悪な老婆を殺したって何の罪がある?と考え、青年ラスコーリニコフは実際に殺人を犯してしまう。(150年以上前の小説だから書いてもいいと思ったけど、ネタバレになった方いたら申し訳ない)
警察ポルフィーリィとの会話は探偵小説のようだし、ソーニャとのやりとりは(だいぶメンヘラな)恋愛小説のようだし、全体感としては病的な思想を抱えた人間の心理観察をしているような感覚にもなる。
超一人称なのに、常に発狂寸前の緊張感の中にある登場人物がいかれすぎてて共感しようもなくて第三者の視点になる。
ドストエフスキーの凄さって一言で言えるものじゃないけど、精神状態が言葉と行動に現れる時の描写の緻密さだなあって思う。
自分自身でも自分の言動に説明がつかない精神を病んだ人間が、自分なりに納得するために辻褄の合わない意味づけをしたり、思いこみを事実と信じ込んでしまった時に、どんな言葉を発してどんな行動をとってしまうかっていう心理描写や仕草の描写がリアリティありすぎて、本人も近しい経験ないし心理状態になったことがあるからこそ書けるんだなって思う。
ドストエフスキーと太宰治について何作品か読んで、彼らは内省で起こっている複雑な現象をその瞬間の感情の発露ではなくて、文章で、しかも時系列で外在化させることができるのが異質なんだなって思った。
-
Posted by ブクログ
上巻だけでも中々面白かった罪と罰の下巻!
殺人を犯したラスコーリニコフが捕まるか捕まらないか。一体どういう結末に持っていくのか。
事件と直接かかわりがなことから、本筋と関係ないと感じていた様々な登場人物が、序盤では「脇道にそれてばっかりで本筋が薄まるな」と感じていたが、下巻から次々と関わっていって、なるほど、そう絡んでいくか、と話の攪拌の仕方の妙に感心してしまう。ペトルーヴィチ、マルメラードワ夫人、そしてスヴィトリガイロフ。
良い物語は、ひとつのストーリーでも複数の読み方が出来るものであるという。
この各登場人物の絡まり方が、まさ複数の読み方をなさせるコツなのだろう。
最終章まで中々立ち位置が謎だったソーニャが特に味わい深い。
なぜラスコーリニコフがずっとソーニャに絡んでいくのか、そして独白したラスコーリニコフに対するソーニャの対応も中々不可解だった。
最後に一気にラブストーリーのような分かりやすい愛の話でまとまるが、重要なのはソーニャの信仰心なのだと、あとがきを読んで理解した。
ここの部分、おそらく多くの日本人にはピンとこない部分じゃなかろうか。
ロシア正教なりキリスト教に通じている必要があるのだと思う。
宗派によって違って告解だとか痛悔だとか言われるが、懴悔と言えばイメージしやすい。
神との関係が幼少期から染み付いている人は、その罪の意識によって苦しむ。
そこで罪を独白し赦しを乞うことで、その苦しみから解放されるのである。
法によって裁かれるのはその次という精神性がそもそもある。
徹底して神との関係性を重視しているソーニャは、罪を独白し、また自らの過ちについて苦しんでいるラスコーリニコフを見捨てず、信仰心を復活させ、自らの人生で以て導くという使命を感じたのである。
信仰がない私としてはそこに気付くまでにかなり時間がかかった。
が、理解すると、タイトルが罪と罰というのにもより説得力が増してくる。
最近、ドストエフスキーの生涯に関する本を読んだ、
ドストエフスキー自身がギャンブル依存に苦しみ、お金使い尽くし系であり、そこから抜け出した経験を持つ。
この実体験が、どうも一般読者としてはここも共感しがたい、上巻のセミョーン・マルメラードフの自白に繋がっている。
そしてドストエフスキーの最後の妻の一面が、ソーニャに投影されていると想像が容易い。
自らの人生を投射した作品、さすが重厚で、読んで良かったと心から言える作品だった。 -
Posted by ブクログ
登場人物を覚えるのが大変!汗
ロシア語って覚えにくい、、けど物語が壮大で意外にサクサク読み進められる。
戦闘シーンは個人的に興味が浅いのか、あまり面白いとは思えなかったけど当時の戦争に対して、それぞれの立場からどのように考えていたかが知れて示唆深い。なんといっても現代を生きる私たちでは理解し得ない感情も、地位や性格含めなるほどだからかと多少納得できたのはとても良い読書体験だった。
戦争をイケナイと考えることはそうだしその通りなんだけど、ここまで深く学ぶことにも人間が同じ過ちを繰り返さないためにもとても意義のあることな気がする。感情的にだけじゃなく、当時の背景を知るって凄い大切なことやな。
次冊も楽しみ! -
Posted by ブクログ
自分勝手な考え方により、自分の行いを正当化して犯罪に走ってしまう。これは犯罪を犯す人全般に共通して言える心理だが、その犯罪後の公開により、自分という人間を貶めたり、自分の罪を人に告白することで、罪悪感を軽くしようとする考えや、他人への善行により、人間としての自分の価値を高め様と考え、行動することに非常に共感した。特に、自分の罪に対して自分自身で自らを罰する行動を行うことで、より精神的にも肉体的にも辛い状況に追い込まれること。そこから、自分自身で這い上がる力がない場合には、只、無償なる愛と呼ばれる人との繋がりのみがその人を救う力を授けるだけだと考える。
-
Posted by ブクログ
3巻は、ボロジノの会戦の記述(ナポレオン登場)多く、戦争が人々の日常生活にまで及びます。トルストイの戦争に関する考察も入ってきます。戦場の様子は身の毛もよだつ恐ろしさ。
登場人物それぞれの境遇が大きく変化し、読みどころ多し。再会を果たす人々もあり、期待感増し増し。戦場で負傷したアンドレイの心情描写は、白眉です。ピエールの行動にはビックリで、ナターシャと共に心の成長が見られます。
起承転結の“転”に当たる3巻は、まさに「戦争」と「平和(人々の様子)」の核心に迫っているのではないかと思いました。
以下、ネタバレ的感想、つれづれです。
・アンドレイの妹マリヤの身に大きな変化(父の死、領地農民の反抗、ニコライとの出会い)
→父との関係で、心を痛めてきたマリヤにとうとう人生の春がやってきた感じで嬉しかった。一方、ニコライに思いを寄せていたソーニャが不憫。
“不釣り合いは不縁の元”という諺が思い浮かぶ。
・アンドレイの、戦争の勝敗を決める理論→勝つと決心した方が勝つ
↓
『坂の上の雲』の日露戦争の場面が思い浮かぶ。
・アンドレイの言葉が忘れられない。
「戦争はご愛嬌じゃない、世の中でもっともいまわしいことだ、だからそれを理解して、戦争のゲームなどしないようせにゃならんのだ。・・・・人間は知恵の木から果実を食べすぎると、よくないのだな」
・ボロジノの会戦→ナポレオンが勝利を得なかった最初の会戦
↓
ナポレオンは、鼻風邪をひいていた!
・人々を殺したのはナポレオンではない。兵士たちであるというトルストイの考え。(ナポレオンの命令ではなく、それぞれの希望)
↓
とても興味深い
・ピエールが戦場に赴く展開にビックリ!ピエールの成長が見られそうな予感。
・クトゥーゾフ(ロシア最高位公爵)についてトルストイの考察
↓
会戦の運命を決定するものは、総司令官の命令でもないし、軍の位置している場所でもないし、砲や死者の数でもなく、それは軍の士気と称される目に見えぬ力だ→『坂の上の雲』をまた思い出す。
・アンドレイ、戦場で負傷し治療を受けているとき、恋敵アナトーリと再会。片足を切断していた。ナターシャのことを思い出し、全てのものへの愛を知るアンドレイ。死なないで、もう一度ナターシャとのよりを戻してほしいと思ってしまう。
・ナターシャとアンドレイの奇跡的再会に感動!逆境が2人の心を変え、絆を深めている。
・ピエールのナポレオン暗殺計画、未遂に終わる。フランス軍の捕虜となる。→逆境がさらに、ピエールの心を変化させる予感。
-
Posted by ブクログ
ロシア国内と国外(戦争の場面)に分かれます。
【国内】5つの家庭(ドルベツコイ家、ロストフ家、ボルコンスキイ家、クラーギン家、べズーホフ家)の人間模様が混み入っています。貴族の社交場がはじめに描かれますが、考えようによっては、人間同士の駆け引きは戦争のようです。
遺産を巡る争いで、父の財産を受け継ぐのがピエール(男性)。純粋といえば純粋ですが、ごちゃごちゃ色々考えているわりには、何だか肝心なところがはっきりしない人。
そんなピエールの財産目当てに付け込むワーシリイ公爵。自分の娘エレンとピエールを結婚させようと画策します。
そのエレンが魔性の女のようで、うわー怖い!エレンがピエールを誘惑する場面、「ピエール、しっかりしろ!」と言いたくなってしまいました。
ワーシリイ公爵、息子(アナトール)の縁組も企てます。ボルコンスキイ家のマリアに目をつけます。
男女関係なんかドロドロ。当事者だけでなく、親が入ってくるところがなんとも・・・時代が違うからなぁ。こういうのも人間同士の戦争みたい。
【国外(戦場)】
戦場の場面描写は、生々しく臨場感バッチリ。アウステルリッツの戦い、世界史で出てきたなあと思い出しました。
本書のはじめの方で、ピエール(べズーホフ家)がアンドレイ(ボルコンスキイ家)に「なんのためにあなたは戦争に行くんですか?」と尋ねる場面があります。→この小説の大事なところかなぁなんて思いました。最後まで読むと違うかも。いずれにしても戦争中の人物の心情変化は、最後まで注目していきたいです。
アンドレイの応えを要約すると、「分からないけど、何となく行く必要性を感じている。今の生活にあきたりない。」
彼には身重の奥さんがいるのに、“なんて男の人!奥さんがかわいそう”と私は思ってしまいますが。
現在の日本とは違って、戦争が目の前に迫っている時代を考えると、それにしても・・・・・・・戦争は恐ろしいなあ。
アウステルリッツの戦いでロシア軍大敗北。アンドレイ、撃たれ倒れる。そこに彼の憧れのナポレオン登場。ナポレオンに気づいたときのアンドレイの心情描写、読みどころです。
本書の読みはじめは、登場人物の多さに圧倒されてしまいましたが、名前と人物同士の関係性をメモし、メモしたものを確認しながら読むことで理解できました。理解できると面白くなりました。
このような長い海外の小説を読んだことがないので、ちょっと心配ですが、“途中でやめたら女がすたる!”と思って、最後まで読みきりたいです。 -
Posted by ブクログ
「死の家の記録」名前がかっこよすぎて、本屋さんで目に付いた瞬間、(あっ、これは買いだな、、、)ってなりました。
ロシア文学かつ、ドストエフスキーのシベリア行き時代の本。とんでもなく暗い話を想像していたけど、実際は施設や環境が暗いなだけで、中の人間たちは元気。なんなら少し楽しそうに見えるほどだった。3日位だけなら行ってみたい。
最初の方は目新しかったけど、ストーリー性がなく、中盤からは正直飽きて、読み進めると眠くなった。
囚人は、自分を対等に扱ってくれる上官達に行為を持つっていうのが親近感を覚えた。上から目線で優しくされても、ただのマウンティングオナニーにしか思えないんだよね。
あとペット話が好き。犬が頑張って生きて囚人たちと仲良くしようとしてるのに、蹴られたり最終的には皮を剥ぎ取られたりしてるのが面白い。最終的に可愛がってた犬が殺されたのに、ペトローヴィチがそこまで悲しんで無いのも、当時の監獄の雰囲気が伝わってくる。 -
Posted by ブクログ
ナポレオンのロシア遠征、ボロジノの会戦からフランス軍のモスクワ入城までが第3巻の主要な舞台だ。ボロジノの戦いを第三者的な目で見るピエール、彼の心の中にはナターシャがいるが、その行動は因循だ。一方、ナターシャの放埒な行動に傷ついたアンドレイは軍隊に戻りクトゥーゾフと共に戦いに臨む。瀕死の重傷を負ったアンドレイはその心の中にナターシャが棲むことを知る。二人はモスクワのロストフ家で偶然再開するが、この場面は本作品中、最も美しいシーンではないかと思う。ピエールはナポレオンの暗殺を志向するが、放火の疑いでフランス軍に逮捕される。ピエールの行動、ナターシャの恋の行方、ロシアから撤退するナポレオンの思い、第4巻に期待するところが大きい。
-
Posted by ブクログ
登場人物が多いので細かいことは気にせず読み進めたが、それでも結構な時間がかかった。細かく区切られてるため少しずつ読みやすいが、一区切りついてつい休憩してしまうのが原因だと思う。
全編通して500人以上の登場人物がでてくるらしいが、ひとりひとりの解像度がめちゃくちゃ高い。現代日本とはだいぶ文化が異なるのに、こんな人いるなーというのがたくさんでてくるし、こんなときあるなーという場面と心情がたくさんでてくる。
ストーリーもわりと展開するので、登場人物の多さに混乱さえしなければそこまで読みづらさはない。とりあえず思い切って読みはじめてよかったとは思っている。 -
Posted by ブクログ
1巻は序章だったのか?と思えるくらい2巻で一気に物語が動き出す
ぼんやりしていた各人物像と関係性がクリアになっていき、ようやく読みやすくなる
こんな長編モノは恐らく二度と読めないので備忘録のため、あらすじを残しますのでネタバレご注意ください
あまりに膨大なので主要人物にそってまとめることに
■ベズーホフ家
ピエール
莫大な財産を手に入れたちょいダサ男(眼鏡&太っちょ)のピエール
妻エレンが他の男(ドーロホフ)と親密になり逆上して決闘をしちゃったり…
はたまたフリーメイソンに入会しちゃったり…
(秘密結社の宗教団体というよりここでは村の寄り合いの延長みたいな感じだけどね)
勘違いに突っ走り、私財を投じて聖堂を建設したりと、かなり寄付をしている模様(いいように巻き上げられております)
うーんかなり精神的に参っていらっしゃる
しっかり踏みしめようと努めるほど、ますます足下から沈んでいくのを感じるピエール
求めているものとのギャップに苦しみすさんで荒れた生活が続く…
まだまだ青いピエール君
環境を変えたって駄目なのよ、君自身が変わらないとね
純粋で良い子なんだけど、意志も弱く流されやすいし、何か変えたいと思っても頑張るも観点がズレてるし…
不器用で困ったちゃんである
本来は愛されキャラなんだけどなまじ財産と悪妻をもってしまったばっかりに運命にもてあそばれている真っ最中
■ロストフ家
ロストフ家のお坊ちゃマンこと長男ニコライ
もう呑気で平穏な良家のお坊ちゃまではいられなくなり試練が立て続く
試練その①
ピエールと決闘し負けたドーロホフ
今度はソーニャに惹かれ、厚かましくもプロポーズ
ニコライを愛しているソーニャはもちろんきっぱりお断り
腹いせにドーロホフはニコライを賭博の席に招き、こてんぱんにニコライを叩きのめし大損させる
財政難の父に頭を下げ借金をするハメに…(しかしドーロホフって恐いわぁ!サイコだ)
試練その②
連隊へ戻ったニコライ
ドイツのとある村で足止めを食らうことをきっかけに補給が途切れだし、連隊が飢餓状態に
仲間であるデニーソフが飢えた隊員のため味方の歩兵から食糧を略奪し暴力沙汰となり、傷を負ったデニーソフは病院へ
(ちなみにデニーソフはニコライ妹のナターシャにプロポーズ、が母親にしっかりに断られる)
入れられた病院はあふれんばかりのチフス患者ばかり
痩せて黄濁している者、多くの意識のない者、さらには漂う死臭(死体の片付けが追いつかないのだ)
デニーソフの大ピンチのためにプライドを捨て、野心家マザコンのボリスを頼る
ニコライはまっすぐな気持ちを持ちながらも、大人の駆け引きをしなくてはならない世の中に嫌気を感じつつも立ち向かう
試練その③
遅ばせながらようやく居候ソーニャの魅力と変わらない彼女の愛情に改めで気づくニコライ
が、二人の結婚に両親は猛反対
特に母親はこの財政状況を立て直してもらえるような資産家との結婚を願うため狂ったように反対
大いに反発し、親子の縁が切れる直前までいってしまう
とうとう母親は病床に臥せる
…とまぁ、こんな試練が続く続く
兎にも角にもロストフ家の経済状況がかなり悪化している状態
母親から帰郷をせがまれ、父に代わり立ち向かおうとする
戦時下っぽい出来事にも立て続けに巻き込まれていく
果たして自分の力でどこまで這い上がれるのだろうか
でもね世間知らずだったニコライ君
なかなか頑張ってるのよ
少しずつだけど大人になりつつあるわよ~
一方、天真爛漫のおきゃんな娘ナターシャ
ナターシャは16歳に
もう4年も会っていない(一応彼氏だった)野心家ボリスとは母親の反対もありジ・エンド
さて次なる出会いは素敵な舞踏会
踊りの得意なナターシャをアンドレイが誘い二人は恋に落ちる
生命の抜け殻となっていたアンドレイに幸せが訪れる
しかしアンドレイの頑固な禿山引きこもりの老父(ボルコンスキー公爵)が大反対
二人に試練を与え、1年会えない遠距離恋愛となる
最初のうちは「ママあの人に会わせて!早く!」と駄々っ子レベルだったが、
時間の経過とともに鬱屈した気持ちが腐りだすアンドレイ不在の彼の実家ボルコンスキー公爵家を訪れることになるナターシャ
追い打ちをかけるように、老父から今まで受けたことのないほどの冷遇を受け、心がさらに折れまくる
そんなナターシャの目の前に現れたのが成金貴族クラーギンの息子アナトーリ(禿山老父の娘マリヤを狙っていたが失敗した最低男)
傷ついた心の隙をチャラ男アナトーリがすかさず狙い撃つ
弱り切って隙だらけのナターシャがまさかのご乱心
駆け落ち未遂にまでに発展し大問題に
心より頭が先に動いてしまうアンドレイは冷静にきっぱりナターシャと別れる
どうなるナターシャ!?
さてロストフ家絡みでとても気に入ったシーンが2カ所ある
その①犬追猟
猟犬130頭と20数名の騎馬の猟師が繰り出す大掛かりな狩り
このシーンはスピード感とリアルさを感じる描写が生き生きとして面白い
ちょっと映像で見てみたい
(ロストフ家経済状況本当に悪化してんの?庶民にはお金持ちのレベルがよくわからない)
その②伯父の家
このシーンは今までの本書で一番お気に入りだ
丸木の裸壁のあまり清潔ではない小屋
素敵な家政婦の素敵なたくさんの料理
(料理の描写がにくいにくい ほかほかした湯気とおいしそうなにおいが立ち込めているのがわかる このお家に招かれたい!)
すべてに潤いと、まじりけのなさと、白さと、快い微笑がこもっている素敵な家政婦
そしてバラライカ(ロシアで人気のあるギターに似た楽器)やギターの神がかった演奏
たまらずナターシャが踊り出す
素朴で暖かい幸福な時間
(こちらは映像化しちゃダメよ 膨らむ妄想をめいっぱい楽しめるシーンなんだから!)
■ボルコンスキー公爵家
アンドレイの妻リーザが産気づく
いよいよ…というときアンドレイが戦場から帰ってくる
一瞬の再会直後妻リーザは死ぬ(無事出産)
逆に精神的に参ってしまったアンドレイは軍務につかず2年間もの間引きこもる
しかしここでまさかのピエールが(失礼)アンドレイの心を動かす
アウステルリッツ以来はじめてあの高い青空を見る
そうナポレオンと会った時、彼の背景に見た青く高い空
彼の内部に眠っていたよりよい何かが目を覚ます
アンドレイの心境の変化には自然の風景が伴い美しく分かりやすい
この描写方法が面白い
こういうところはトルストイ作品の素敵なところだ
一方老父と娘マリヤはモスクワへ
老父の老衰が進行し、忘れっぽいわ、怒りっぽいわ…とさらに嫌な頑固爺に!
完全なる虐待者となり娘マリヤを辱め、卑しめ、挙句の果てに出て行けと言わんばかりに…
ひぇ~歪んだ愛情が怖すぎる
孤独で追い詰められつつあるマリヤ
そんな中、兄の2人目の嫁になるかもしれないナターシャに対してよい感情を持てない
マリヤも心の拠り所がまったくなくなってしまい、崩壊寸前!
というわけで2巻は戦争描写等は一切なく、どちらかというと、各登場人物たちの目まぐるしい動きがドラマ仕立てとなり読みやすい展開に
歴史的にはロシアとフランスが最初の講和条約が署名される
印象的なのはピエールとアンドレイの真逆なキャラ
悶々としながらピエールが考えていた「領地改革」
それをあっさり行動に移しを実行してアンドレイ
対照的な二人の行動を物語っている
器用で感情より先に頭で考えてしまうアンドレイと不器用で気持ちが内側にばかり向いてしまい空回りするピエール
二人の長所短所がかわるがわる波のように満ちたり引いたりする様は興味深い描写だ
そしてナターシャのまさかの大波乱
さらにはマリヤとナターシャの複雑な心境のぶつかり合いが興味深い
二人はそれぞれ良い人柄(特に「戦争と平和」の登場人物の中ではかなり良い方)なのだが、
人間のもつ嫌らしい部分がここで露出する
トルストイの鋭い感性が光る部分
さぁ盛り上がってきたよ~
なのだが、何だろう…
読みだすと止まらないし、面白いとは思うのだが…
1冊読み切る間に、なんとなーく他の本に浮気したくなる
内容がモリモリ過ぎで疲れるというか…
うーん…確かに面白いのだがトルストイは相性がよくないのだろうか…