工藤精一郎のレビュー一覧

  • 未成年(下)

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    ドストエフスキーの本は一度読んだだけでは理解が完全ではないと言われてますが、この本は苦戦しました。
    まず、登場人物が多い!
    これから読む方は書き出しながら読むのをお勧めします。

    内容としては、とにかくごちゃごちゃしています。
    というのもヴェルシーロフが何人もの女性を抱えるのは今で言う「ゲス不倫じゃないか!」とも言えますが、調べてみるとこの頃のロシアは離婚という法律がなく、一度結婚したらずっと離婚をせず、ヴェルシーロフのようにカテリーナに結婚を申し込むような二重三重結婚はよくあることだそうで、日本人の感覚で言うとちょっと信じられないから余計に混乱してしまう理由の一つでもあると思います。

    一番

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    2017年08月29日
  • 戦争と平和(一)

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    戦争と平和が交錯する中で自身の信念や想いを揺さぶられ、翻弄される人々の心の変遷を描いたドラマ。その中に著者の考える歴史学と様々な事件や事象についての見解、解説、考察が織り込まれています。

    新しい登場人物が次々に現れる物語の序盤は感情移入もままならず、読みにくさに苦戦しました。最初は相関図を片手に読み進めるのもいいかもしれません。やがて物語が大きく動き始めるとそこからは打って変わって読みやすくなり物語に惹きこまれていきました。

    登場人物のセリフや、著者自身の言葉で伝えられるメッセージには深く考えさせられるものがあります。
    壮大なドラマの中でそれらに出会い読み解いていく面白さ。とても有意義な読

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    2024年05月23日
  • 未成年(上)

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    まず五大長編を読破して安堵…主人公のアルカージイが同い年で若さの権化で恥ずかしくてしょうがないけど等身大の共感があって今読めてほんとに良かった、真に人間的で人道的で善良な大人になりたい、そんな若者を導くドストエフスキーからのメッセージがたくさんあるんだろう

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    2017年02月17日
  • 戦争と平和(四)

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    もしも、自分が出版社の編集者で、レフ・トルストイさんが、「戦争と平和」を持ち込んできたら。

    読んだ上できっと、ひとつだけダメだしをすると思うんです。

    「大変面白いんですが、全体に時折、あなたの歴史観、歴史考察の部分がありますね。特に、第四巻に多いです。この部分は、思い切って全部カットしましょう。それでも全く物語としての面白さは損なわれません」

    で、もし抵抗されたら。

    「では、少なくとも、第四巻のラスト、物語が終わってから文庫版で80ページもある論文みたいな部分だけでも、全カットしましょう」

    と強く訴えると思います。

    「どうしてもこだわるのなら、それは別の本として出しませんか?あるい

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    2016年12月05日
  • 戦争と平和(四)

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    最終巻第四巻は戦争の記述が多い。
    後半1/4は物語を終結させトルストイが論じる戦争、歴史、民俗、人間と神のあり方などで締められる。

    ※以下登場人物の生死などネタバレしておりますのでご了承ください。※


     【ベズウーホフ伯爵家】
     ❖ピエール(ピョートル・キリーロヴィチ・ベズウーホフ伯爵):
     三巻ラストでモスクワでの破壊工作とナポレオン暗殺計画を疑われてフランス軍捕虜に。
    過酷な捕虜生活。他の捕囚者との交流と身近な死。
    捕虜体験はピエールをどう変えたのか。

    解放されたピエールは、アンドレイ公爵の妹マリヤと、ナターシャ・ロストワと再会する。

    改めてナターシャへの愛の喜びに浸るピエール。

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    2017年08月17日
  • 戦争と平和(四)

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    ナポレオンのロシア遠征、モスクワの破棄、ボロジノ会戦など歴史の出来事が分かりやすく書かれてる。しかし、それよりも当時のロシアの文化、生活が興味深い。個人的に血のかよった文化、生活はあまり想像ができなかったけど(寒いからという偏見、馴染みがないというのもあるかな)、豊かで人間味あふれる登場人物からガラッと当時のロシアのイメージが変わりました

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    2014年09月01日
  • 父と子

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    観念を重点を置き、世界を変えようとしない親の世代。

    対して、若い世代は行動することを重点ををおいた。

    これは、先に観念を作ったもの達がいたから、次に繋がったのではないだろうか。

    世界は日々進歩している、前進するたび、過去のことは古く考える。
    しかし、過去があるからこそ、新しいものが生まれるのだと知りました。

    また、恋愛感情は必要ないと、考えていても人は誰かに恋をして、最後に求めるのは安心、恋したものを選ぶのだと思いました。

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    2014年05月30日
  • 戦争と平和(四)

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    幸福な読書だったなぁ、と思う。

    3巻から作者トルストイの「語り」が多くなり、うーん?と思う部分もしばしばあり、もっと正直に言えば辟易する部分もなきにしもあらずだった。しかし、それでも、私はもうこの物語を読み終えてしまった。

    『戦争と平和』というタイトルの通り、トルストイが描きたかったのは、おそらく「人間の意思」だったのではないかと思う(個人としても、「われわれ」としても)。しかし、この最終巻である4巻を読んで特に感じたのは、トルストイは人間の「仕組み」や「歴史」を描くよりも断然、人間の「魂」を、感情と性格を描く方がまばゆいばかりの光を放つということだ。
    彼の人間を描く筆、それもたくさんの、

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    2014年01月22日
  • 戦争と平和(三)

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    3巻はそのほとんどを戦争シーンが占めており、登場人物がそれぞれに生き生きと動き詩的な美しさを感じる2巻に比べると、やや退屈に感じてしまった(それでもすごいんだけど!)。

    トルストイは「戦争」の中で何度も何度も、「歴史とは一人の人物や一つの原因が作るのではない」と強調する。これがあったからこうなった、ということはなく、それは後世がその結果からただ線を引き繋げて言っているに過ぎないのだと。その場の全て、どれとも誰とも言えない、あえて言うならば「その時」こそが歴史であり、「その場」こそが民衆なのだと。
    そして、それらが積み重なり、その時その時が終わって振り返ってようやく、我々はそれを「歴史」として

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    2014年01月05日
  • 戦争と平和(三)

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    ネタバレ

    「要塞をとることはむずかしいことではない、むずかしいのは戦争に勝つことだ。」

    途中で飽きて1カ月ぶりに読むと、再び引き込まれました。
    ナポレオンのモスクワ遠征から、ロシアのモスクワ放棄について書かれています。戦争の現場では多くの血が流れており、上流階級層では悲劇的な話が平和に語られています。

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    2013年10月18日
  • 戦争と平和(一)

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    ネタバレ

    「この一線を越えるのは恐ろしい、だが、越えてみたい気もする。」

    アンナ・ミハイロヴナによるボリスのための画策、アンドレイ公爵による死への願望、ロストフによる皇帝への羨望。様々な人間が様々に交差しながら、それぞれの信念のもとに行動している小説。舞台はものすごい広がりを見せる。

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    2013年08月24日
  • 父と子

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    新時代の子たち、旧時代の父たちの衝突をテーマにかかれたもの。この主人公?バザーロフがニヒリストの元祖。功利主義者で、現実主義者で、観念的なものはなんの役にもたたない!というバザーロフだけど、なんかかわいい。ロシア文学の大御所をとってかわいいは失礼だけど。笑
    恋愛なんてロマンのさいたるものをもちろん愚弄嘲笑するけど、やっぱり感情には逆らえなくて、葛藤して、だからすごく歯がゆい結果に。でも、最後には……

    友人アルカージイの恋との対比もおもしろい。

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    2013年01月29日
  • 未成年(上)

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    ドストエフスキー五大長編の中でも、難解な作品と評されることのある「未成年」。
    少年から青年への成長途中である主人公が、父との再会、女性への恋、理想の追求と挫折などの様々な体験をし、一段上の精神の成熟さを獲得していく物語です。
    経済的・社会的には「未成年」という留保がつきながらも、思想的には自身を「成熟している」と考え、そのコンフリクトに苛立ち悩んだり、「自分が正しい」という自信と「自分は未熟なだけではないか」という懐疑との間に揺れ動き、一貫性を保てなかったりという主人公の苦悩は現代人にも共感できるのではないでしょうか。

    大変示唆深い作品でした。

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    2012年01月15日
  • 父と子

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    初恋を読んだ頃はまだロシア文学に本格的に触れる前だったので感動は薄かったのだけど、この物語にはとても感動しました。

    物語の展開にも文章にも一切の無駄がなく、描かれる自然や人物は素晴らしく魅力的。

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    2012年01月13日
  • 父と子

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    作者は詩人
    物語を俯瞰的に眺めながらの進行におどろき。
    作者のすごさを感じた。
    当時のニヒリズムはまだまだ甘い。ニヒリズム的な黎明期だったからか。
    考えが甘いと思った。

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    2011年07月28日
  • 罪と罰(下)

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    登場人物の精神状況があまりにおおげさじゃないかなんて感じたりもしたんです。一つ一つの行動に根ざす感情が誇張されているような気がする。それは、冷静な日本人だからそう思うのかもしれません。この時代、決闘なんかもあったロシア人にとっては、そういう心の揺れとか激情というものはありきたりのものだからこそ、こういう小説が生まれたんだともとれます。

    ロシア文学初挑戦。
    ドストエフスキーなんて名前とイメージから、
    けっこう堅めの文学なのかなぁと予想して読んでみたのですが、
    これがそんなこともなく、読ませられる小説で、面白く一気に読んでしまいました。
    名作なんていわれると、真面目くさっていて、倫理観とかをおし

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    2025年06月06日
  • 父と子

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    他人の親の悪口をいうのは止めましょう。従来の親子意識に加え、貴族意識が絡まってくるので、この時点で小説のネタとしては合格なのだろう。父と子のやりとりはもどかしい。でもあるんだよな、こういう感じ。みんな仲良くしてよね。

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    2011年05月08日
  • 死の家の記録

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    予想外に面白かった。死の家に閉じ込められた徒刑囚がこんなにも人間味に溢れているとは思わなかった(あくまで今作中の話だが)。特に動物に関わるエピソードは微笑ましい物が多い。
    時間があったらもう一回読みたい。

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    2011年04月29日
  • 戦争と平和(一)

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    言わずと知れた名作でめっちゃ長編。読みきるのに1ヶ月かかりました。

    ナポレオンによるロシア侵入という歴史小説という面と、戦争の最中でロシア人がどう考えどう行動するかを書き表した面と2つの面から見ることができます。


    皇帝や総司令官といった権力者と、一市民とを等しく詳細に表現されていて、それがためにめっちゃ長編なんですが、登場人物もメチャクチャ多く読み進めるにつれて、これ誰だっけ?と分からなくなることもしばしば。


    所々、各人の思想や言動でおもしろいなぁと思うところもあるけど、その前後の経緯が頭から抜けてしまって、ぼやっとしてるのが現状。もう何度か読んでみないと理解は深まらないような気がし

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    2011年04月24日
  • 死の家の記録

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    ドストエフスキーが投獄されていた時のことを参考にして書いたほぼノンフィクション。
    かなり時間をかけて読んでしまったので名前が全く覚えられなかったですw反省。
    彼は刑務所をプラスの面、マイナスの面両方から見てるんですね。抑圧されて荒れてしまったことから、風呂や病院の不潔さ、貴族に対する態度、これはマイナスの面、プラスの面は囚人たちの団結力とか、演劇の感性度とか。それからムショ内の商売、取引。
    彼は病院に入院してこれを書いていたらしいですが、それにしてもすごいなって思います。立派な記憶力、観察力を持っていて、だからこそあんな長大な小説が書けたのでしょうね。

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    2011年03月27日