工藤精一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ロストフ伯爵家とボルコンスキイ公爵家の人々の交際。旺盛な実行力に富むアンドレイと、繊細な感受性で自己の内面に没頭し人生の永遠の真理を探究するピエール。二人の若い貴族に仮託してトルストイの深遠な人間観が吐露され、彼らの生活を通してロシア社会の実態が鮮やかに映し出される。
この巻ではそれぞれの人物の恋愛模様が数多く織りなされていて、読んでいる方もドキドキしたり、ハラハラしたりさせられた。
当時と現代の男女間の距離感の違いがたくさん見られ、当時の生活を少し垣間見ることができて、読みやすい巻だった。
個人的には、ナターシャが不憫すぎて、最後は幸せになってほしいなと思わずにはいられなかった。 -
Posted by ブクログ
2007年03月04日
「マイ・ボス☆マイ・ヒーロー」というとても好きだったドラマにツルゲーネフという作家が出てきて以来、何かその作家の作品を読みたいな、と思っていました。たまたま池袋サンシャインで開催されていた古本市で『父と子』の文庫本が6冊ぐらいあったので、一冊買ってみました。
ニヒリスト故に何もかも切り捨てるバザーロフは、自分の頭が考えることと心が感じることの葛藤に苦しみながら、最終的に自らも切り捨ててしまったのかもしれません… 対してアルカーヂイとカーチャの恋模様はワトーの絵画のようにふわふわとしていて、自分の考えに固執するバザーロフが哀れにさえ感じられます。
おそらく初めて