工藤精一郎のレビュー一覧

  • 戦争と平和(四)

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    難しくて全4巻読み切るのに日数はかかったけど、内容の濃い、面白い作品だった。読んで良かった、この時期(混沌としたコロナ禍の時代、かつ個人的にも悩み多い時期)に読めたことにも意味があるかと。

    第4巻について言えば、『エピローグ』は良くも悪くも意表を突く展開だったな、と。特に最後の方は難しすぎて読むのがしんどかったけど、著者の主張をできる限り受け止めたつもり。

    登場人物が多い(しかも主人公レベルが複数人いる)中で、ある時はナターシャに共感し、ある時はマリアに自分を重ね、でも結局自分に一番近いのはピエールかなぁ…なんて思ったり。アンドレイも通ずるところ大アリだなぁ…。

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    2022年01月18日
  • 戦争と平和(二)

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    第1巻よりはだいぶ読みやすいと感じられた。そして、一層面白いと感じた。

    登場人物の個性がかなり際立っていると感じられた。
    とは言え、同じ人物でも、ある時には人生に絶望していたかと思えば、ある時には人生にまばゆいばかりの光を見出したり。この第2巻では、メインキャストのナターシャもアンドレイもピエールも、その両方を経験している(…と記憶している、ロストフもだったか?)。
    それがとても「人間臭さ」を感じさせるし、自分にとって身近に感じてしまう。ずっと昔のロシアと21世紀の自分が、近くに感じられる。

    あと、描写も相変わらず素晴らしい。特に、ロストフが狩りに出かけた時の描写がいいと思った。

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    2021年08月31日
  • 死の家の記録

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    ドフトエフスキー後期の傑作群の源泉であり、彼個人の人生における最も重要なターニングポイント。
    一般の人々が当然経験しえない異常な状況下にこそ、彼の文学の素材があり、それこそ啓示とも言える監獄での強烈な出会いと閃きが、カラマーゾフや罪と罰などの大作を作り上げた。
    そういうの考えるだけでも泣けてしまう。
    文章も読みやすくユーモアも点在してて相変わらずリスペクト。

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    2021年08月29日
  • 死の家の記録

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    ドストエフスキーが実際にシベリア流刑に処されたときの体験を元に書かれたのが本書らしい。
    シベリアでの囚人たちの生活が見事に書かれていてとても興味深かった。
    やはり人間観察がうまい。
    自分がどんな立場で、誰に愛され尊敬されているのか、誰に憎まれ嫌われているのかなどもしっかりと把握していたようだ。

    笞の過酷さ、不衛生な環境など辛い面ももちろん多かったが、演劇などの催し物でみんな楽しげにしてたり、監獄だからといって一定して暗いだけではなくさまざまな人間関係や浮き沈みがあるんだなぁと知れた。

    小説というより記録の色合いが強いので、難しく深読みしたりする場面が少なく、今まで読んだドストエフスキー作品

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    2020年12月28日
  • 戦争と平和(四)

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     戦争をバックに恋愛物語と簡単にとらえるにはトルストイの歴史観、哲学観がぎっちりとあってその重圧に圧倒されてしまった。

     恋愛の方はナターシャとマリヤがしあわせになってちょっと拍子抜けだけれども、めでたしめでたし。若いころ読んだらきっと感激していい気持ちになったと思う。

     その若者達のはつらつした苦しみ、悩み、生命の躍動、高揚を挿しはさんで、地に流れる歴史のとらえかたの叙述に目を見張らされた。

     「歴史が動いていくのは一人の英雄傑物の意思ではなく、おおぜいのひとびとの総意である」というような、少々辟易の感もあったが(文章が饒舌で)なるほどと思った。

     それにしても権力や地位を得るため

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    2020年12月23日
  • 戦争と平和(二)

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    「恋の鞍替え、結婚のゆくえ」

    『戦争と平和』の伯爵令嬢ナターシャは浮気性なのか?それとも、人間というものはふと魔が差したようになるものだというトルストイのメッセージなのか?

     ダンスを踊って夢中になり、あまりにも唐突にアンドレイ公爵と恋に落ち、婚約期間が一年間ということになると、その間に遊び人のアナートリー・クラーギンに鞍替えしてしまい、しかも破綻して恥じて毒を飲むなんて、信じがたい。幸い命はとりとめたけれども、病気になってしまう哀れさ。

     でも、登場する男性たちは適当に遊んでいる風だ。女性だって目移りするのは当然だとでもいうのか。

     この小説に登場する若い夫婦たちは、結婚してすぐと不

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    2020年12月23日
  • 戦争と平和(一)

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    たぶんこの小説の主人公は「戦争」と「平和」なのだろう。しかし長くて登場人物が多いので、読みとったあらすじを書いておいたほうがよく理解できると思うので。(まっさらな気持ちでこの小説を読もうと思う方はこれを読まないほうがいいかも。)

     「第一巻 第一部」

     アウステリッツの戦いでナポレオンに負ける前のロシア帝国、ペテルブルグやモスクワの貴族社交界は爛熟していた。

     貴賓の館で開かれるたびたびの夜会では、ナポレオン戦争の話題と権力出世お金をめぐって権謀術数が繰り広げられていた。

     中心人物はワシーリィ公爵。皇帝の顕官でありながら手元不如意。なぜならアナトーリとイッポリットいう二人の不肖の息子

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    2020年12月23日
  • 死の家の記録

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    ドストエフスキーが四年に渡る獄中生活を元に書いたルポタージュ。架空の人物による手記の体裁だが恐らく作者の体験した事と思われる。あらゆる囚人との出会いが文豪の糧になったのは間違いなく登場してくる囚人達のリアリティは凄い。個人的には妻殺しのエピソードと犬や山羊の話が印象的。少佐の末路などは時代を超えた教訓とも言える。
    傑作。

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    2020年12月13日
  • 父と子

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    これは傑作です!!!
    言わずと知れたロシア文学界の巨匠の一人・イワン・セルゲーヴィッチ・ツルゲーネフの代表作『父と子』。
    僕は、ロシア古典文学にちょっとはまっていてフョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーやレフ・ニコラエヴィチ・トルストイの傑作を読み漁ってきましたが、実はツルゲーネフは初読みなのです。ですから今回は心して読ませていただきましたよ。

    『父と子』ですが、ロシア語の原題では『Отцы и Дети』となります。
    英題だと『Fathers and Sons』になっていますが、原題に忠実に訳すと
     『父親たちと子供たち(いずれも複数形)』
    となります。
    『Дети』は英語だと『C

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    2020年11月21日
  • 戦争と平和(四)

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    コロナで混乱する現実社会からの逃避?的に読み始めて、
    頭の中でパラレルワールドのように展開。
    あらためて感じる人間観の鋭さ。
    上が命じたとおりに人は動きはしない。
    民衆の動く方向に、司令官が合わせていく。

    欠点のない人間もいないし、
    欠点だけの人間もない。

    若いうちに読んで起きたい気もするけど
    40歳を越えて分かることもある。
    60歳くらいで再読したら。また発見がありそう。

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    2020年05月30日
  • 戦争と平和(三)

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    戦争も大詰め。名将が知略を尽くす戦争ではなく、
    個人間の殴り合いの延長にえるような、
    決して格好よくない戦争が描かれる。

    伏兵のために、兵を伏せる場所、
    事前準備の段階では確かにマヌケな
    場所に見えるかも。

    トルストイの歴史認識や、人物描写が
    冴え渡る1冊。

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    2020年05月17日
  • 戦争と平和(一)

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    天然なヤツ、嫌味なヤツ、人生舐めているヤツ、
    ゾロゾロ出てくる登場人物。
    しかし、不思議に憎めない。
    それぞれが、自分の生を生きている印象を受ける。
    ちょっとした、仕草でキャラを描ききるのが
    文豪の筆力か。

    高尚な哲学的な展開を想像していたら
    生々しいまでに人間的。

    あと三冊も一息に読めそう。
    (ロシア人の名前は覚えにくく、誰だっけと思っても、
    勢いで読んで、「ああ、あいつか」と思い出すくらいで読むのがコツ?)

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    2020年05月03日
  • 未成年(下)

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    「未成年」はドストエフスキー五大長編の中でも難解、つまらないなどという噂を良く聞いていたので、読み始めるのが少し躊躇われていましたが、
    これこそ躊躇わずにできるだけ若いうちに読んでおきたい本だと強くお勧めできる作品でした。
    主人公による一人称の手記として記述されているため、登場人物の激しい心の動きに主人公のこれまた激しい心の動きが重なりあって、確かに全ての筋を理解するのは難しいでしょう。
    しかし、自分のことも他人のこともなかなかわからない主人公の目線に入り込んで、「あぁ、この人はこういう人だったんだ」と登場人物を徐々に理解しつつも、たまに裏切られたりする気持ちを共有して読み進めると、登場人物が

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    2020年04月27日
  • 戦争と平和(一)

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    学生時代に読んでてよかった。
    夢中でトルストイにハマったのは正解

    今だと戦争と平和、アンナカレーニナ、
    復活とロシア文学にハマるほど
    エネルギーがないわ
    大作に挑戦するのは大切だ。
    心に今も残ってる。

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    2020年03月14日
  • 父と子

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    (01)
    ロシアに過ごされるひと夏の物語(*02)である.人物たちや彼女ら彼らの関係は様々ではあるにせよ,基本的には,二人組という単位があって,どのようなペアが組まれるのか,あるいはそのペアと別のペアが接近し,また3人組や5人組へと変奏されることもある.約30章からなる物語で,中盤の第14章の舞踏会のシーンにおいて人物たちは最もざわめいてはいるが,前後の章では,親子(父と子,母と子),兄弟姉妹,恋人未満たち,友人たち,夫婦たちという単位に還元される.そのなかでは,バザーロフとパーヴェル・ペトローウィチとがとりもつ関係は,遠い関係ともいえるが,社会的対立の様相は,この二人の関係に極まっている.

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    2020年01月19日
  • 戦争と平和(三)

    購入済み

    どの頁を開いても楽しめる

     全巻を紙の本、解体してタブレットに入れたり、ブックライブから購入したりした。また、過去にテレビで放送された、「戦争と平和」の番組を録画したりした。
    どの頁を開いても、人物がまず生き生きと描写されていて、まるで映画を見ているようにも感じられる。
     長編なので、、また、人物の名前を覚えるのが大変だが、どの頁を開いても
    ストーリーを抜きにして楽しめる。

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    2019年10月27日
  • 戦争と平和(一)

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    アンナカレーニナが面白かったので、続けて手に取ったこの本。登場人物と人間関係が把握できるまで少し我慢が必要だが、その後はすっと話に入っていけた。後半はのめり込みすぎて、終わるのが勿体無い!という気持ちを久しぶりに味わった。大満足。

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    2019年10月13日
  • 死の家の記録

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    読むのは3回目。今回始めてこの作品の重要さに気づいた。ドストエフスキーは獄中体験からその後の創作のインスピレーションを得ていたのだと思う。たとえばキャラクター。彼の作品に登場するキャラの多くは、おそらく獄中にいた囚人をモデルにしている。…という発見に興奮していたものの、訳者解説に同じことが指摘してあってがっかりした。

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    2019年09月08日
  • 戦争と平和(一)

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    ネタバレ

    「ナターシャピエールアンドざグレートコメットオブ1812」っていう、ものすごい長い、しかし戦争と平和のお話ですよーっていうアピールがすごいタイトルのミュージカルを、見るに当たって読まなきゃと思ったのだけど、まあ読み終わらない(T-T)初日が明け、観劇し、千秋楽が終わってようやくよみおわりました。

    トニー賞を取った?あれ?とってないか、ノミネートされたやつなんだけど、冒頭に登場人物紹介ソングがあって、その紹介ソングと、ナターシャが生田絵里香ちゃん、ピエールが井上芳雄さんという顔変換があってやっと読み終われたの。ありがとう井上芳雄様。

    だいたい、ロシア人、名前がややこしく、愛称が本名からはかけ

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    2019年02月01日
  • 死の家の記録

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    トルストイも絶賛した本書。
    だからというわけじゃないけど、これは万人受けしやすい内容で、私ももれなく、いい作品だと思った。

    他のドストエフスキーの作品は癖があるので、かなり好き嫌いが分かれそうだけど(私は好きな方)、この作品は誰でもとっつきやすいのではないかと思う。

    シベリアに流刑されたドストエフスキーの獄中実体験を基に書かれている。

    罪をおかし、足枷をつけられ何年も狭い世界で耐えること。
    そこには耐えるために、目的を持ち、喜びを見つけ、足枷を外せる日を待つ。

    最後のシーンは感動する。

    また読み返したくなる作品だ。

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    2017年09月05日