工藤精一郎のレビュー一覧
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これを一人の人間が書いたのか!とおもう。500人を超える登場人物をひとりひとり緻密に書き分け、みな血が通った人間にしたてあげている。友人から「どういうストーリー」ときかれてうーんとうなってしまった。ピエールのことをいえばいいのか、アンドレイか、ナターシャか、ナポレオンか・・・一人一人の人生が生き生きと、そして丁寧にえがかれている。いくつもの物語が交錯して、まったくどう説明していいか見当もつかない。これはその時代のロシアを偉大な文豪が鋭利な刀で切り取ってきた作品ですとでもいえばいいのか。
歴史はどうしてつくられるのか。一部の有名人によって形成されるのか。作者はちがうという。目に見えない動き、と -
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間違いなく読んで良かったと思える小説でした。
物語がひと区切りする時にはトルストイの哲学的な考察が挟まり、正直1回読んだだけでは総てを理解し受け止めることは出来ません。
戦争の場面は読んでいて集中力が途切れることがしばしばあったし、読んでいて退屈を覚えるくだりも結構あるけれど、物語の緻密な構成と豊かな人物描写が実に魅力的。
読み進めていくうちに登場人物達に対する愛情が深まり、愛を知る喜びも、大切な人がこの世を去る時の喪失感も、今までの人生で感じてきた総ての感情が作品を通じて呼び起こされて、自分自身の過去についても振り返らずにはいられませんでした。
この作品を読んでいる間、私の心は1800年 -
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長い、とにかく長い。
別に登場人物のかけあいや心理描写は長くてくどくて結構なのですが
エピローグの二部の所が死ぬほど長く感じました。っていうかくどい・・・
回りくどい説明口調で更に読みにくい。トルストイ自身の考えを述べているのでしょうけど、殆ど頭に入りませんでした。
要約すると10ページくらいでまとまるのでは?
読後感がそこで全てそぎ落とされた感じです・・・ちょっと切ない。
それでもこの作品はすごかった。最初から最後も良い意味でも悪い意味でも。
今は同じ作者のアンナカレーニナを読んでいますが、そっちの方が断然読みやすいです。私自身が歴史にあまり興味が無いというのもありますが・・・
こんなに -
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ネタバレ前巻から思っていたのですが、やっぱりニコライ老公爵は私は嫌いです。
今巻で亡くなりましたが、その最後もマリヤと和解しているように描かれていましたが、私としてはうーん。という気持ちです。
アンドレイとナターシャがまさかの元鞘。
私がアンドレイだったら絶対に許さないし、私がナターシャだったら絶対に赦してくれなんて言えない。
二人はアナトーリの事で色々と面倒くさそうだなあ。死んじゃったのに。
ピエールは最後においおい!って感じで終わりましたが・・・
あと一巻だと思うと名残惜しい気がします。皆どのようにして平和を掴むのか・・・
戦争の一番の被害者は民衆だなー、と、略奪行為をする兵士たちを見ながら -
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切れ目なく続く展開と交差の連続。
瀕死のアンドレイと、一度は彼を裏切ったナターシャの再開があまりに美しく、震えた。
導かれるまま、いやらしくもない、劇的な場面の応酬で、☆五つ。
指導者がすべての手綱を握っているかのように思われがちだが、そうではない、抗いがたい何かによって時代が動いていく。
指導者は戦争を始める事もできなければ、終わらせる事もできない。そこに彼の感情や思想はなんの影響力ももたない。
ではいったい、戦争とはなにか?
実際の戦争を細かに描写しながら、個人の心の中や民衆の生活の中にあるそれを見事に浮き彫りにしていく。
戦場と社交界
個人感情と神
それぞれのものだと思っていたものが、 -
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ネタバレラスコーリニコフ、働かないのに、ばあさんを殺して金品を奪うことはできるなんてね。
ばあさんだって、金持ちなのに働いてたぞ。
地道に働く人を見下してるんだろうね。
いや、自分以外の人間を全て見下してるのかな。
「自分は境界を越えられる特別な存在か?」
を試す実験台にされたばあさんと、ついでに巻き込まれたばあさんの妹は不憫でしかたない。
罪を犯したあとからのストーリーでは、犯人だとバレバレの挙動不審者になっていた。
このあと、ラスコーリニコフに幸せな未来は来そうにないな。
難しい小説だと思い込んで、ラスコーリニコフの妄想的思考と現実は乖離しているのではないかと予想しながら読み進めたけれど、 -
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ロシア文学へ初挑戦。
タイトルや出版年から堅苦しい難解な内容を想像したが、苦労する箇所はあったものの全体的に読みやすく、面白い物語だった。
◼︎苦労した箇所
●人名の把握が困難
ただでさえ日本人にとって馴染みのないロシアの人名であるのに、ミドルネームやニックネームが多用されている。
しかもそれが会話文のみならず、「地の文」でも統一されずに用いられているので、1人の登場人物について様々な呼び名が飛び交い、「これ誰だっけ?」が頻発する。
ネットで拾った相関図を手元に置きながら読み進めたが、それでも苦労した。
◼︎良かった点
①全体的な読みやすさ
19世紀後半〜20世紀初頭の海外文学はときどき触 -
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この小説で一番すごいと感じたことはラスコーリニコフたちが対決を行うシーンの筆圧である。よほど心の中で自分を追い詰めた経験のある人でなければあのような一種の狂乱ともとれる人々のやりとりは描き出せないのではないかと思う。解説でもドストエフスキーの波乱に満ちた生涯が紹介されている。
様々な人々の信念や思想がぶつかり合うシーンは見るものを圧倒させる。もはや読む側までも心理描写を追っていく過程で徐々に酔っているような感覚に陥りさえする。解説にもあった通り、ラスコーリニコフの語る理論はかつて作者が抱いていた理論であり、収監と、深い内省を経て否定された。作者は抱いていた思想の決算をこの小説を通して行った。特 -
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「地下室の手記」を面白く読めたので、「罪と罰」に再チャレンジ。かなり夢中になって読めたかも。
世の中には凡人と非凡人がいて、非凡人は大衆のより良い未来・革命のために法を破る権利を持っているという独自の理論を携え、それなら自分という将来有望な若者が貧困に喘いでいるのではなく、金を持っている害悪な老婆を殺したって何の罪がある?と考え、青年ラスコーリニコフは実際に殺人を犯してしまう。(150年以上前の小説だから書いてもいいと思ったけど、ネタバレになった方いたら申し訳ない)
警察ポルフィーリィとの会話は探偵小説のようだし、ソーニャとのやりとりは(だいぶメンヘラな)恋愛小説のようだし、全体感としては病