工藤精一郎のレビュー一覧

  • 死の家の記録

    Posted by ブクログ

    囚人でもクリスマスには神聖な気持ちになるし年に一度の特別な日を子供のようにはしゃいでいるのがなんか泣ける。超閉鎖空間で暗くて自由が無い生活、独自の雰囲気と慣習、でも強い個性のさまざまな囚人たち…面白い。囚人病院で足枷をしたまま死んでいった人が印象的、囚人達の殺人の思い出話や身の上話が沢山、足枷を取って出獄するラストシーンは最高、卒業感ある。辛い生活の中でも希望を捨てない著者の過去を追体験した。

    0
    2017年02月17日
  • 戦争と平和(三)

    Posted by ブクログ

    何不自由無く遊んで暮らす大富豪の青年がいて。優しく純粋な大富豪は、パーティ三昧な無為の中で人生に悩んでいます。

    大富豪の心の友、大親友の青年は、親の代からの誇り高き軍人、高潔で有能な高級士官。ナポレオンと祖国との戦争に巻き込まれながら、天真爛漫な美少女と運命の恋に落ち、婚約。

    美少女の兄も軍人。士官。
    悩み無く軍隊勤務を楽しみながらも、実家が経済的に没落していく気苦労。家の経済の為には、愛し合う貧しい幼馴染との結婚が許されない。

    天真爛漫な美少女は、不良の嘘と誘惑によろめいてしまい、婚約は破棄される。騙された愚かさに気づいた美少女は、絶望して自殺を図る。そんな彼女を慰めた大富豪の青年。親

    0
    2016年12月01日
  • 戦争と平和(二)

    Posted by ブクログ

    「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」
    「ハチミツとクローバー」「3月のライオン」
    「天然コケッコー」「まんが道」
    「リアリティ・バイツ」「卒業」
    「北の国から」「ふぞろいの林檎たち」

    そんな名作たちを、ぎゅっと濃縮したような味わい。

    #

    あれから、たったの数年…10年も経っていない。

    若く、世間を知らず、獏とした不安と、根拠のない傲慢に包まれて。
    家族や友人を中心とした狭い人間関係が、世界の全てだと思っていて。
    傷つきやすく、すぐに無邪気な幸せと笑顔に戻れた、軽やかに危なっかしく踊りながら、てぶらで疾走する。そんな若者たちが。

    社会に出る。社交をする。新しい人間関係。変わっ

    0
    2016年11月25日
  • 戦争と平和(一)

    Posted by ブクログ

    オシャレやファッションが好きな人は「オシャレis我慢」と言うそうです。寒かったり、ちょっとキツかったりするのを、我慢しないとね、ということなんでしょうね。

    ホントのところで言うと、読書でも何でも、色んな趣味も、やっぱり我慢が大事です(笑)。ほんとにヨロコビを得るためには。

    (ってまあ、半分冗談ですけど、そういうと人間関係も仕事も家族関係も、恋愛も、なんでもそうなのかも知れませんねえ…)

    #

    やっぱり19世紀の小説ですから。
    うーん。冒頭は若干入りにくいかもですね。
    僕の個人的な方法論としては「もう、4割くらいはなんだか分かんないけど、分かんないまま読み飛ばしていく」というのが常です。

    0
    2016年11月21日
  • 未成年(下)

    Posted by ブクログ

    ドストエフスキーの中で、頭一つ抜けて面白い。紙とインキでこんなことができるともっと早く知っていたら、物理をやってはいなかったに違いない。

    繋がりがあるようでばらばらな話(逆のパターンは世に溢れている)が、未成年の思想を糊付けする、そんな、ばらばら感の点で最もドストエフスキーらしい。

    物語の中に、罪、罰、白痴、悪霊、といった言葉も登場するが、これらは…ちょっと気を利かせ過ぎかも知れない??

    0
    2016年11月19日
  • 未成年(下)

    Posted by ブクログ

    養父マカールが亡くなってからの終盤の実父ヴェルシーロフの独白に近い対話が迫真。写真について、神について、恋愛における慰みでなく愛について。

    白眉はヴェルシーロフが聖像を叩き壊す場面。その後も分裂する人間像が余すところなく描かれる。

    タチヤナ・パーヴロヴナの人の良さも少ない叙述ながら、光っていた。

    完全な理想的人物はありえず、どこか破綻しているが、憎めないのがドストエフスキーのメインキャストか。

    最後の先達のコメントがこの小説の歴史的な意義を示しているのも嫌味がなく、構成的にさすがという他ない。

    0
    2016年11月16日
  • 未成年(上)

    Posted by ブクログ

    自殺、妊娠。腹の探り合い。実父(ヴェルシーロフ)に子(アルカージィ)はあるときは不信、あるときは絶対の崇拝と激しく揺れ動く感情。祝宴性が全開だ。上巻終盤に出てくる親子の対決?の場面は見物だ。キーアイテムは手紙。ロシアにおけるサモワールの意義の描写もなにげなくいい。

    0
    2016年11月15日
  • 死の家の記録

    Posted by ブクログ

    ストーリーというより、エピソードの描写力が神がかっている。ありありとその情景、皮膚感覚、味わい、歌声が迫ってくるのである。

    動物、演劇、風呂、病院‥どれも迫真だ。

    一人一人の人物描写もまるでそこにいるかのようだ。

    貴族と民衆の溝の深さの描写も凄まじい。

    随所に織り込まれる、犯罪や刑罰に関する哲学的考察にも唸らされる。

    0
    2016年10月01日
  • 戦争と平和(三)

    Posted by ブクログ

    トルストイによる戦争論から始まる第三巻。
    三巻は戦争とそれに伴う政治思考が多いです。

    ロシア人名についてのメモ。
    ❖名前に男性形と女性形がある。
    ⇒名字の場合、(ボルコンスキィ家の場合)父と兄「ボルコンスキィ」、妹と妻「ボルコンスカヤ」
    名前の場合、男性「アレキサンダー」、女性「アレキサンドラ」。男性「イリア」、女性「イリナ」など。
    ❖名前の中に父称(父親の名前)を入れる。
    ⇒(ボルコンスキィ家の場合)
    父「ニコライ・アンドレーヴィチ・ボルコンスキィ」
    息子「アンドレイ・ニコラーエヴィチ(ニコライの息子)・ボルコンスキィ」、
    娘「マリヤ・ニオコラーエヴナ(ニコライの娘)・ボルコンスカヤ」

    0
    2022年11月24日
  • 戦争と平和(二)

    Posted by ブクログ

    二巻は人間描写が多いですね。
    ニコライの狼狩、アンドレイとナターシャの舞踏会場面など美しく印象的な描写も多々あり。

    ロシア人名についてのメモ。
    ❖名前に男性形と女性形がある。
    ⇒名字の場合、(ボルコンスキィ家の場合)父と兄「ボルコンスキィ」、妹と妻「ボルコンスカヤ」
    名前の場合、男性「アレキサンダー」、女性「アレキサンドラ」。男性「イリア」、女性「イリナ」など。
    ❖名前の中に父称(父親の名前)を入れる。
    ⇒(ボルコンスキィ家の場合)
    父「ニコライ・アンドレーヴィチ・ボルコンスキィ」
    息子「アンドレイ・ニコラーエヴィチ(ニコライの息子)・ボルコンスキィ」、
    娘「マリヤ・ニオコラーエヴナ(ニコラ

    0
    2020年01月15日
  • 戦争と平和(一)

    Posted by ブクログ

    子供の頃「小学館世界名作全集」で読んで知ったつもりでいる”名作”がたくさんあるんですが、やっぱりこれはいつかちゃんと読まなきゃいけないよなあと私の読書課題だったので取り掛かってみた。

    まずはロシア人名について。
    私はフィギュアスケートファンなのですが、スラブ系選手を本名でなく愛称で応援したり、本名が長ったらしかったり、兄妹なのに名字が微妙に違ってたりしてるので、ロシア人名についてとりあえずこのくらいの認識を持っている。

    ❖名前(洗礼名)には、愛称、省略形がある。
    ⇒リザヴェータは「リーザ」、ニコライは「ニコレンカ、ニコールシカ、コーリャ」、エフゲニーは「ジーニャ」など。

    ❖名前に男性形と

    0
    2019年10月23日
  • 戦争と平和(四)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    長かった…。全登場人物が収まるところに収まった、という感じ。

    個人的には主人公たちよりナポレオンの記述部分が
    面白かったです。

    最後はエピローグという名前の論文。しっかり読めてないので
    またじっくり読みたいです。しかし、こういう本を現代の作家が
    出したらクレームの嵐だろうなーと想像しました。小説の最後数十ページが論文ですから。

    0
    2016年01月16日
  • 死の家の記録

    Posted by ブクログ

    人間の本質について一つの答えが書かれていたように受け取った。心理の書き込みはやはり非常に緻密で、この作品の場合は形而上学的というより写実的であるし、五大長編より少ないページ数なのに、読み込むのにはやはり相応の体力がいった。これがドストエフスキーの転機になった体験かと思うと、一文字余さず特別な文章のように思えて、読んでいるあいだ中ずっと襟を正す気持ちだった。
    それから、罪と罰、白痴、悪霊、カラ兄の原形が垣間見える人物が出てくるとなんとなく嬉しい気持ちになった…

    0
    2015年12月19日
  • 戦争と平和(三)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    第2巻から打って変わって戦争とモスクワ侵攻。
    主人公ピエールもナターシャも出てくるけれど
    個人的にこの巻はナポレオンがメイン。

    モスクワの火災はロシア軍の組織的な放火だったとされているが、
    トルストイは『当然燃えなければならないような、
    そうした条件の中に放置されたために、モスクワは
    燃えたのである。』と、無秩序な都市で火災が起こらない
    わけがないとしている。真実はどちらでしょうか。。

    第4巻、主人公ピエールの活躍に期待。

    0
    2015年11月07日
  • 戦争と平和(一)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ナポレオンが統治するフランスvsロシアを背景に
    若者たちがどう生きていくか、が描かれている…が
    なにせ4巻中の1巻、起承転結の起、物語は始まったばかり。。

    登場人物は多いけどとりあえず、ピエール・ベズウーホフ、
    アンドレイ・ボルコンスキィ、ニコライ・ロストフ、ナターシャ・ロストワを
    押さえておけばなんとか読み進められます

    「真実を語ることはひじょうにむつかしいことで、若い人で
    それができるものはきわめてまれである」(p561)とあるように
    若者が人生の岐路に立ち、これから迷っていく、そのスタートラインの第1巻。
    2巻も楽しみです。

    0
    2015年10月10日
  • 未成年(下)

    Posted by ブクログ

    『未成年・上巻』の終盤あたりから面白さが増してきて、下巻は過去に起こった出来事や事件が、主人公・アルカージィを通しながら明るみになってゆく。

    感銘したのは、アルカージィと実父ヴェルシーロフが感情をむき出しにして、じっくりと語り合うシーン。
    父親をだんだんわかりはじめてきたと率直にその場で告白する息子と、父親は息子のナイーブな喚声が大好きだと言いながら、語る言葉一つ一つに深い思想がしみとおっている。

    『未成年』はアルカージィの成長過程を描く手記で、回想と記述のプロセスによって自分自身を再教育している。
    私が個人的に好きな登場人物、タチヤナ・パーヴロヴナ伯母さんは、主人公をバックアップするいい

    0
    2015年08月18日
  • 死の家の記録

    Posted by ブクログ

    ドストエフスキー作品の中では読みやすく、エンタメ度が高い。てか、一番おもしろい作品かも。
     作者自身の経験(1850年頃の獄中生活)をもとに描かれた体験レポートである。獄中にいる様々な人物についての考察の繰り返しであり、それがなによりおもしろい。ドストエフスキーの観察眼、描写力がすばらしい。
     大変おすすめの一冊であった。

    0
    2015年05月09日
  • 父と子

    Posted by ブクログ

    ツルゲーネフの最高の作品である。父たちと息子たちの世代の対立が柱としてあり、ニヒリストとはなんぞやの描写も興味深くおもしろい。それぞれの人の心のあり方を緻密に積み上げて、新しい時代に変わりつつある背景が浮かびあがっている。正に今の日本で読まれるのが望まれる。

    0
    2015年03月08日
  • 戦争と平和(二)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    第一巻で整えられた舞台と、大きな大きな予感とが交錯し、絡み合って、目にも綾な物語が織りなされる第二巻。

    本当にどれも素晴らしいエピソードばかりで、何から、そして誰から言えばいいのかわからない。
    だがあえて言えば、前半がピエールで後半がナターシャ、だと思う。

    ピエールがフリーメーソン会員になるのには本当に驚いてしまった。一体彼はどうなってしまうのだろう、宗教的なものに目覚め、彼と言う人間は変わってしまうのだろうか、ととても心配した。
    しかし、ピエールはやはりピエールのままだった! 彼は苦悩し、求め、そして行いをするが、それは彼にとって結果を生まない。物事は常に彼の思い込みを嘲笑うかのように、

    0
    2013年12月02日
  • 戦争と平和(一)

    Posted by ブクログ

    秋なので、思い切って大長編に挑戦!! ということで、かなり背伸びしてみるのもいいだろう、と思い『戦争と平和』を手に取る。

    しかし、意外や意外。思っていたよりも、全然、難しくない!! むしろ、すごく読みやすーい!!
    描かれているのが19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入ということと、俗にいう「登場人物500人超」に読む前から尻込みしていたのが嘘みたい。登場人物はいきいきしており、展開がスムーズで、雰囲気は明朗である。

    特に人物描写の素晴らしさには、目を見張るばかりだ。いろいろ言ってはキリがないのだが、とにかく、膨大な数のそれら登場人物が、ことごとく第一印象を裏切らないのである。
    これは別の言い

    0
    2013年10月21日