工藤精一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ぺトラシェフスキー事件で逮捕され、死刑宣告を受けたのち、刑の執行直前に恩赦によってシベリア流刑を言い渡されたドストエフスキーの、獄中体験をもとにした記録。「死の家」とは監獄のことである。
ドストエフスキーは、それぞれに強烈な個性をもった数々の囚人や刑吏の言動を克明に記録し、その心理状態に透徹たる観察眼を向ける。人間が非人間的になる様を剔抉する描写は、流石だ。
囚人は、過酷な監獄生活の中で、粗暴であったり狡猾であったりと野獣的な存在に陥っている。然し、その描写は必ずしも常に陰鬱な調子を帯びているわけではなく、獄中に生きる者たちのしたたかな生活力、ときには明るさや人間味さえ感じさせるところ