神楽坂淳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「神楽坂淳」の長篇時代小説『うちの旦那が甘ちゃんで』を読みました。
「池波正太郎」、「木村忠啓」、「月村了衛」の作品に続き時代小説です。
-----story-------------
はっきり言って「月也」は「ぼんくら」である。
「月也」とは、南町奉行で風烈廻方同心を拝命している、「沙耶」の旦那のことだ。
のほほんとした性格から、盗人を見つけても取り逃がすことが多く、付き人である小者たちは愛想を尽かして次々に辞めていった。
小者は同心が私費で雇い、捕り物のときの補助や身の回りの世話をしてもらう。
一心同体で捜査にあたり、小者がいなければ同心本来の能力の半分も発揮できないと言える。
次の小物をどうやって手当てすればいいのか。
考えあぐねていた「沙耶」が思いついたのは、なんと自分だった。「御用だ!」。
―新感覚時代小説。
-----------------------
2018年(平成30年)に刊行された「うちの旦那が甘ちゃんで」シリーズの第1作… 現在では、7作目まで刊行されているようですね、、、
軟派なタイトルに、軟弱な主人公… どうかなー と思ったのですが、これが意外と面白かったですね。
主人公の「紅藤月也」は南町奉行所の風烈廻方同心で、武芸の腕は一人前だが、おぼっちゃま育ちの、のほほんとした性格… 手柄をたてる同心の下で働きたい岡っ引き等の小物は、「月也」を見限って逃げてしまう、、、
そこで、同心の娘でしっかり者で頭も冴えている妻「沙耶」が、「月也」の小物役となり、夫婦二人三脚の夫婦同心として事件を解決していく展開が愉しめました。
第一話は、商家に押し入り、被害にあった商家が奉行所に被害を出さない程度の少額だけを奪う盗賊を捉える物語、、、
「沙耶」は、角寿司のおかみ「喜久」や夜鷹蕎麦の「お清」、高利貸しの「お種」、銭湯のおかみ「お良」たちの協力を得て、盗賊の誇りを傷つけるような罠を仕掛け、見事に誘い出すことに成功する。
第二話は、首を吊ろうとしていた鰻屋の娘「前(さき)」を救うべく、「沙耶」が囮になって犯人を捕まえる物語、、、
「沙耶」は、芸者の「音吉」の協力を得て、強姦魔を誘き寄せるための水茶屋を開店し、自らも男装して客に成りすまし、強姦魔を見事に誘い出すことに成功する。
「月也」と「沙耶」の夫婦同心の活躍… もっと読んでみたいですね。 -
Posted by ブクログ
諸葛亮の策を考えていたのは嫁の黄月英だった!的な話の戦国版で、信長のアイデアはだいたい嫁の帰蝶さまの発案!で押し通す歴史再構築作品。タイトルと共にくだけた文体はラノベ風で、主人公はもしかして侍女の皐月?(地の文がなんとなく皐月のモノローグにも思える。)冒頭にも書いたようにとにかく帰蝶さまがチートキャラで全てを見通す全能神のような存在。そういう面でもなろう系ラノベっぽく(本の厚みも)それが鼻につかない人なら楽しめると思う。そこに至る根拠や辻褄合わせはしっかりしているので通説との違いを楽しむのも良いかも。ただ、織田家がまだ尾張の守護代で帰蝶さまの輿入れ前から始まるので序盤の展開はやや間延びしてる気も。
恋愛要素は……あ……ある?……かもしれない……いや、ほとんど感じないんだけど!! -
ネタバレ 購入済み
金四郎の得意な潜入捜査 始まる
おけいは、父、堀田一定に強制的に金四郎のもとに送られ、金四郎の側で暮らしている。おけいは押しかけ女房なのだ。
その一定が今度は、相手がその気でないのなら家に戻るようにと言い渡した。おけいは、身勝手な父に振り回されていると不満を感じる。おけいは金四郎のことが好きなんだ。今後一月の期限でどちらかに決めろと言われても、おけいには家に戻る気は無い。
祝言も挙げない男と女が、仲は好いが、長屋暮らしを一緒に送ること自体とても不自然である。
金四郎の実家におけいが訪れた時、金四郎は夫婦として固めの杯を交わすよう言われも、当てにならず及び腰だ。全くだらしない。優柔不断で決断力のない男である。
「遠山の金さん」は、お白州で悪人たちの嘘や言い逃れを見破り、裁きを下す名奉行ぶりが頭に浮かんでくる程の人だ。
この物語の舞台では、金四郎は未だ奉行所勤めではなくただの「遊び人」だが・・・それでも社会の常識は当然わきまえているはずである。祝言も挙げずに女と暮らすことなど許されない。
そして今回の捕り物でも、金四郎はおけいと一緒に取り仕切った。夫婦だったからこそ、今回の捕り物劇は成功したのである。盗賊・血煙一味が、江戸市中の呉服屋の大店を襲って、店の者全員殺害し大金を盗む極悪の大泥棒の事件をだ。
そして血煙一味の次なる標的である薬師問屋の被害を未然に防いだ。盗賊の頭領から気に入られた金さんが得意な潜入捜査で、事件は素早く片付けられた。
けれど最後に言いたいのは、物語を読み進めていると気になるところが多少あった。金四郎夫婦が滝浴みを済ませて王子から家に帰る際、夏の真っ只中、袷の着物を着て帰るというのは妙である。袷は冬の着物であるはずだ。もう一つは、金四郎が自分の弟を父と呼ぶのである。明らかに間違いでは無いか。物語をこの先読み進めるには、読者は普通の状態で読めない。だから私は一人の見物人になりきって読んでいくしかなかった。不甲斐ないが、私は野次馬の感想を書いたのかもしれない。
-
購入済み
金さんの妻は「おけい」
江戸下町、諏訪町で金四郎とおけいが長屋で暮らしていた。おけいは、佐倉藩堀田一定の娘であるからお姫様の身分だ。父の命令で金四郎のもとにやってきた押しかけ女房、それも見習いという。おけいは、長屋の住民たちとも付き合いは良く、住民たちから沢山の手助けを受けて江戸の暮らしに困ることはなかった。
亭主の金四郎は、長崎奉行の息子であるから武士である。しかし、金四郎は今は無職で稼ぎがない。だから市中を巡り歩いて、好く賭場に出入りしている遊び人である。生活はおけいが勤める舟八の料理屋の奉公で凌いでいる。おけいは、金四郎がいずれ岡っ引きや奉行所同心になることを望んでいる。
金四郎が或る賭場で稼いでいた時、王子に住む天一という天麩羅料理人から借金の請人になることを頼まれた。天一は金四郎にとって初対面の男であり、場所がらから考えれば奇妙な話しである。しかし、金四郎の人の良さが前に出て請人を引き受けてしまう。
王子は江戸とは離れて、町奉行の管轄が及ばない場所である。それ故、面白い商売が繁盛している。天麩羅も江戸では火事の元になるので、料理として提供することは禁止されているが、王子では気にせずに営業できた。趣向を凝らした商売、風俗営業などいかがわしい商売も多い。江戸とは違うという珍しさで客を集めていた。
吉兵衛は、天一に金を貸し、店の大家でもあった。
そこで、天麩羅が未だ人々に知られないことを残念に思う吉兵衛が打った芝居であった。金四郎の身分を慮り、引き込んでの謀り事のように思える。そうした催しを行い、天麩羅料理が世に広がることを期待したのである。
天麩羅の料理の味比べの勝負が仕組まれた。金四郎はこの勝負にどうしても勝たなければならない。天一と金四郎夫婦の味比べである。そして料理時の演出では、刺青を纏った金四郎と梅の絵を肌に描いたおけいの華やかな姿。勝負は金四郎夫婦の勝ちであった。
こと、刺青に関して言えば、武士としての存在を失う程のものだが、おけいが自らの肌に梅の絵を描かせたのは亭主を庇うためでもあり亭主を立てたのかもしれない。
-
ネタバレ 購入済み
この緩さが良い
人が良くて、のんびり、おっとり、手柄とは、縁がないけれど、妻の手料理を食べているだけで、幸せを感じてくれる夫。妻も、それに満足している。そういう夫婦も良いかも。
-
ネタバレ 購入済み
ほっとする
難しい、頭が痛い事ばかり起きる世の中を生きていると、こんな軽~く気が抜ける話を読むと、ほっとする。凄い謎解きが有る訳でも、凄い捕物が有る訳でも無い、軽~いこんなの話が読みたくなる。