Posted by ブクログ
2019年12月06日
フォロワーさんお薦めの1冊です。
新感覚時代小説。
南町奉行所で風烈廻方同心を拝命している紅藤月也とその妻沙耶。
月也は「のほほん」としている性格で、夫としてみると「じつに好もしい」のですが、はっきり言って月也は「ぼんくら」。夫としては最高、同心としては問題あり。
第一話は、初夏の頃。
一軒一軒...続きを読む「奉行所に届けを出したくない」程度に盗んでいく盗っ人が、何軒か入ります。
月也に小者(付き人)がいませんが、沙耶が自分が小者になると申し出て…。
沙耶の作る質素だけど薬味のきいた納豆や豆腐などの料理がとても美味しそうでした。
紅藤家の朝食の基本は覚弥(かくや)で、拍子木に切った大根にたっぷりの葱、鰹節、醤油をかけて食べるのだそうです。
第二話は、七夕近く、朝顔の季節。
梅の花の砂糖漬け(口臭を消すための)買いたいけれど月也の前で恥ずかしくてなかなか買えない沙耶。
二人は、鰻屋の店の中で盗賊に手籠めにされた娘が首を吊るところに出くわします。
女を手籠めにして口を封じている盗賊。
噂を広めないように犯人を捕まえなくてはいけない事件です。
芸者の音吉に相談すると半玉のおりんとおたまが「唐がらし〈年端もいかない男の子)を使うのはどうでしょう」と提案します。
沙耶は男装をして唐がらしの牡丹の客を装い犯人をおびきだそうとしますが、牡丹に告白されてしまうという、少々、色っぽいお話。
梅の花が事件の鍵ですが、今で言えばガムのようなものでしょうか。
女湯にウグイスの糞がぬか袋につめておいてあったり、風流なものがこの時代には色々あったのを知り、面白く読みました。