信田さよ子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すごくわかりやすくて興味深く読んだ。
苦しんでいる人たちが自身の状況に気づくきっかけになればいいと思う。
今のこの関係、苦しいな、と思ったらぜひ。
山田詠美の『風味絶佳』、映画『嫌われ松子の一生』、映画『ジョゼと虎と魚たち』、社会現象になった韓ドラ『冬のソナタ』などの、エンターテイメントを例にとっている章もある。
『風味絶佳』は恐ろしいと思った。幽霊やお化けなんかより身近で、”いつのまにかそうなっている”のが、怖い。
『ジョゼと虎と魚たち』は好きな映画で、二十代で観た当時は「恒夫ひでー」と、思ってたのだが、“共依存”というキーワードでこの映画を観ると、なるほど、そうかと思える結末。
思えば「恒 -
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母の死をきっかけに読みました
苦手意識があり長らく距離を置いてきた母親の死をきっかけに読みました。
虐待を受けたわけではなく、それなりに母からの愛情を感じるし、大人になるまでお金に困ることなく育ててくれてたのだから母に冷たくしては親不孝だ…でも私の気持ちとしては、一緒の空間には居たくない。これまでこういったレビューは書いたことがありませんでしたが、思わずレビュー投稿したくなるほど、同じような葛藤を抱える方に是非読んでもらいたい良書です。 -
Posted by ブクログ
あの事件を起こしたのが、自分と同じ年の人だったと知ったとき、すごくショックで、気持ちがまとまらないまま書店でこの本を手にとってフラフラとレジへ。
著者がカウンセリングを通じて向き合った膨大な事例から、家庭における暴力の存在とそれを取り巻く国家の意図を鋭く問い、被害者支援と加害者更生に必要な新しい考え方を示した一冊。
虐待の事例は読み進めるのがつらくて、ときどき本をおいて深呼吸する必要があったけれど、著者の考え抜かれた言葉選びと文章を、できる限り読みこぼしたくなくて、一文一文をかみしめながら読む。
国家によって生じた戦争神経症も、家族の中の暴力も、長い間ないものとされてきた点で相似形を描いて -
Posted by ブクログ
読もう、読もう、と思いながらもなかなか読めずにいましたが、ようやく読めました。
印象に残ったことをここでは2つだけ書きます。
選択不能性について。
ものすごく少ない選択肢の中からしか選べない状況にある人がいるということを、私はどれだけ理解して「自己選択」「自己決定」の言葉を使ってきただろうかと、自分の理解の浅さを感じました。
性暴力、DV加害をどのように見ていくかについて。
頷くばかりで納得しかない感覚でした。
怖さや危うさを改めて感じました。
カウンセリングから、社会調査から、多くの方の声を聴いてこられたお2人の言葉には、とても説得力がありました。
加害者の被害者性を取り扱うことのリス -
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Posted by ブクログ
「言葉を失ったあとで」というタイトルだが、中には言葉を失うほどの壮絶な経験をした人々の言葉をなんとか引き出してケアに繋げようとするそれぞれの現場について語られていた。
DVや虐待、性被害などは身体の傷だけでなく、心の傷も深く苦しい。それを語れるのは言葉でしかなく、言葉にならないからこそ辛いのだと思う。
信田さんがカウンセリングにおいて「抽象的な言葉を禁ずる」と語っていたのがとても印象的だった。「愛着障害」などと言ってしまえばそれできれいにまとまって終わってしまう。しかし、その言葉を禁じることによって、具体的に残るのは「比喩」だという話は、「自分の言葉で語ること」とはどういうことか、あるいは「世