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最大の政治団体、家族と国家による暴力。
日々、私たちはそれに抵抗している。
家族は、以心伝心ではなく同床異夢。
DV、虐待、性犯罪。最も身近な「家族」ほど暴力的な存在はない。
イエは「国家のミニチュア」に陥りやすいのだ。その中で、私たちは日々格闘している。いわんや、被害の当事者は闘い続けている。
絶え間ない加害に対し、被害者がとる愛想笑いも自虐も、実はサバイバルを超えたレジスタンスなのだ。
エスケープでもサバイバルでも、レリジエンスでもない。
私たちはレジスタンスとして、加害者に後ろめたさを抱かせる――。
被害を認知することは服従ではなく抵抗だ
■家族は無法地帯である
■愛情交換という暴力
■家族における暴力の連鎖は権力による抑圧委譲
■報道では虐待だけが選ばれて強調される
■殴られれば、誰もがDV被害者と自覚するわけではない
■被害者は不幸の比較を犯してしまう
■父のDV目撃が息子をDV加害者に陥らせる
■被害者支援に加害者へのアプローチは必須だ
■彼らの暴力は否定するが人格は尊重する
【目次】
まえがき――母の増殖が止まらない
第一部 家族という政治
第一章 母と息子とナショナリズム
第二章 家族は再生するのか――加害・被害の果てに
第三章 DV支援と虐待支援のハレーション
第四章 面前DVという用語が生んだもの
第五章 「DV」という政治問題
第六章 家族の構造改革
第二部 家族のレジスタンス
第一章 被害者の不幸の比較をどう防ぐか
第二章 加害者と被害者が出会う意味
第三章 加害者アプローチこそ被害者支援
第四章 レジリエンスからレジスタンへ
第五章 心に砦を築きなおす
あとがき
主要参考文献一覧
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Posted by ブクログ
アジールとしてのカウンセリング
愛情はぐくみ思いやり温かさと共に語られて来た家族の関係を一切消去し、代わりに、
支配、力、被害加害、戦略、駆け引き、作戦といった言葉を登場させる、いわば、心理学から政治学へのパラダイム転換。家族はこのように政治的に解釈されることで変革の可能性、起動点が見えてくる。
137.138ページ。
世界観が、ガラリと変わるところ。
具体的には、私を主語に、私を語る、他人行儀な話し方を家族にすることで、境界をつくる!
もし大きな問題を抱えて停滞萎縮している方がいたら、まるで福音のようなことばであり実践できる道ではないだろうか。
信田さよこ先生節で、その世代であればこその、
明るいことは単にバカであることの証明でかり、肯定することは表層的で思索しないことの表れだった、とズバズバ書いておられるのも面白いなあ。
今の世の中、中身のない、バカっぽい、ネアカに通じる自己肯定感教が蔓延していてそこからはなにも生まれてこないのに人生観世界観自分の個性や信条なしの外形標準的な自己肯定感への持ち上げ、なぞりあげがあふれている。経済と政治の問題として。搾取の方法論として。
アディクションは心の中の問題ではなく行為の問題である、と明言し、心理学や司法や犯罪やさまざまな垣根棲み分けを、暴力、アルコール依存なもどの行為としてとらえ、こころの問題に還元することを提唱されている。歴史の問題でもあり、政治やイデオロギーの問題の中でやりこめられていることもある。被害者は被害者になるなという加害目線でのキャンペーンなど、社会、国家の側の言い分、誘導である。
被害者が自己認知する時にうまれる被害者の強さ意思の表明や明確性。被害者にならないために、とか、盗撮に気をつけましょうというなめたキャンペーン、プロパガンダをぶっつぶし、家父長的暴力、家庭内暴力、性暴力そして最近は認知度が上がりつつある、暴力を伴わない夫婦や恋人の関係性に基づく暴力に抵抗し告発しレジストしていきたい。
どのページも示唆に富み共感と勇気を呼ぶ。238ページ、後書き前の最後のパラグラフ、DV被害からの回復とは、被害者という自己定義を脱することを意味するのだ。始まりがありそこから脱する長いプロセスの一時期、レジスタンスのために必要なのが正義である。正義に寄りかかることで味わう「正しさ」という力に時として被害者は眩惑される。この危険性を自覚するために、思い出すべきは、城跡をみればそこに残っているのは礎石だけであり、闘いのあの砦はいつか必要なくなるのだ、ということば。圧巻。
知識は連鎖する。つたない知識への欲望からここへ辿りつけたことに感謝しかないし誇りに思う。
たまたまなんてことはない、伝統的なんてこともない、国家権力の意志として明治以降に形成され強固に守られてきた日本の家族観、おかしいと子どもののころから感じていたことが、積み上がるレンガのように、そうだ、構造的だ、たまたまなんかじゃないし伝統やあたりまえでもない、前に進め、認めるな、家、親、子の問題は国家の暴力につながるという自覚を強くしろ、意識しようと改めて思う。たまたまなんかじゃないんだ。
Posted by ブクログ
あの事件を起こしたのが、自分と同じ年の人だったと知ったとき、すごくショックで、気持ちがまとまらないまま書店でこの本を手にとってフラフラとレジへ。
著者がカウンセリングを通じて向き合った膨大な事例から、家庭における暴力の存在とそれを取り巻く国家の意図を鋭く問い、被害者支援と加害者更生に必要な新しい考え方を示した一冊。
虐待の事例は読み進めるのがつらくて、ときどき本をおいて深呼吸する必要があったけれど、著者の考え抜かれた言葉選びと文章を、できる限り読みこぼしたくなくて、一文一文をかみしめながら読む。
国家によって生じた戦争神経症も、家族の中の暴力も、長い間ないものとされてきた点で相似形を描いていること、衝撃的だったけど、どこかで納得している自分もいて。
そして、強者によって行使された権力を、自分にとっての弱者に同じように行使することを「抑圧委譲」という言葉で丸山眞男が表現したことを、この本で初めて知りました。
怖いくらい、日本の社会をよく言い表している言葉だと思う。
先の戦争がどのようなものだったのか、国家や軍にどのような意図があったのか、考えるのは重く苦しいことだし、私1人の力はあまりにも小さくて、有効な手立ても思いつかないけれど。
やっぱり、気がつかないふりをして生きていくことはできないから、自分なりに知識を身につけたり、目の前で起きていることを言語化しようと努力することだけでも、続けていきたいなと思います。
Posted by ブクログ
心理療法士の信田さよ子氏の2021年の著書。暴力はいかなる理由があれ絶対的悪であるとの前提で書かれている。DV.依存症.(アディクション)アダルトチルドレン(AC)性的虐待をテーマに詳細に論じられてます。
今の日本人のもっている家族観は明治に入ってつくられたらしい。男は家父長として一家を支えるという意識、まずは戦後民法からして、間違ったジェンダー意識を明治から植え付けられてきた。男のDVも多くの事例はこの事を起点としている。家族を絶対視する考えは改めなくてはいけない。家族もそれぞれ人格を持ち同床異夢の世界で生きているのだから。自民党や安倍政権、日本会議が推し進めようとした明治いらいの家族主義を守ろうとすることではDVの解決にはほど遠いと信田さよ子は言っている。?、ん
Posted by ブクログ
半分以上読んでも、タイトルの意味するところが分からなかったが最後の方で繋がった。内容は既知のものもあれば逆もあり、全体的にとても興味深く読んだ。
家族という無法地帯。児童虐待とDV。子供の頭を叩くのも、生意気な妻を蹴るのも、ちゃぶ台を引っくり返すのも、家長からみれば「仕方のないこと」であり、家庭内に暴力など存在しないのだ、という下り。
引きこもりは、本人よりも両親のケアが先と著者は言う。両親のチームワークの形成。引きこもりが原因で破綻する夫婦は多いからだ。
第二次世界大戦からの復員者の心的被害。妻や子供への苛烈な暴力。これはベトナム戦争後のアメリカでも見られる。
「プライバシー原則とは、家長という私的権力の支配圏に対して公的権力が介入しないという密約の産物ではないのか」
(上野千鶴子)『生き延びるための思想』
Posted by ブクログ
筆者はカウンセリングという仕事を大変知的に行なっていることがよくわかる。
「共感」みたいなものを示されるよりも説得力があるしより深い関心を持てる。
・虐待やDVにおいては、「被害者側に立つことこそが中立である」というのは繰り返し唱えていかないといけない。
・虐待とDVはつながっている(抑圧移譲)
・家族の問題解決のためには「構造改革」
→「この人がこうなったのはなんでなのか」という原因を探す「因果論」ではなく、「この問題は、こういう状況の元で発生する」という「システム論」的に考えることで、問題を実際に解決することができる
・加害者像の構築こそが被害経験に意味を付与する。そういう意味では加害者アプローチこそが被害者支援。もちろん、加害者を改善しないと同じ被害がまた生まれてしまうというのもあるが。
今でもフェミニズム的活動の被害者支援のプレーヤーは、加害者へのアプローチを拒否しがち。
また、筆者は「被害者権力」についても触れている。報道に携わるものとしてこの存在は感じるし、権力化には報道が加担しているとも思う。
ただ、これを否定するのは大変難しい。なぜならその人は被害者だから。
筆者も「被害者としての当事者性を獲得することと、被害者の権力化とをわかつものとは何か」と書いているけど、答えは明確には出ていないよう。
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ビジネス・実用
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