住野よるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ小説でこんなに大泣きしたのは初めてだった。
予想外の結末で、それがまたやり切れなさで悲しさや切なさを倍増させていた。
登場人物の気持ちの描写が丁寧にリアルにされていることで、物語にどっぷりと浸かることができたし、その分結末の展開にくるものがある。
色んな人が言っていることだけど、読む前と後じゃ『君の膵臓をたべたい』っていうタイトルの捉え方が変わるはず。
読んだ後に表紙を見て、『君の膵臓をたべたい』かぁ、、、ってなる。
主人公の絶望も、桜に伝えたいことも、ぐちゃぐちゃな感情も何もかも全部全部込められてるからずっしり。
1つのこの言葉に託されたものが多すぎると思う。
でも、ひっくるめて主人公の出した今の最良が『君の膵臓をたべたい』なのだろうなと思った。
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Posted by ブクログ
ネタバレ捻くれたストーリーですが面白かったです。主人公が、「俯瞰してるつもりで周りを全て見下して、自分では意見も言えないし行動もできないけど、自分の思い通りにならなかったら駄々こねる精神年齢お子ちゃま」として上手く描写されてると思います。ストーリー中のような大事件を起こさないだけで、こういうこと言いつつ、SNSで愚痴だけ言ってる人って多いと思います。特に高校生から大学生は一気に自由度が上がって、主体的に動かないと何もできなくなるので。
一方で主人公と決別した秋好は、入学時点では主人公と同レベルの精神性(まあベクトルは違いますが)だったのが、様々な行動で成長して行ってますね。
事件が起こった後の話も結構厚く書いてくれていて面白いなと思いました。当然取り返しはつかないんでしょうけど、主人公も結局前向いて生きるしかないってわかった感じですよね。 -
Posted by ブクログ
以前から気になっていた作品で、今回ようやく読むことができた。映画版はまだ未見。
読み始めた当初、正直に言えば主人公には少しイラッとしていた。あまりにも後ろ向きで、人との距離を置こうとする姿勢に、「もっと素直になれないのか」と思いながらページをめくっていた。
しかし読み進めるうちに、その感情の正体は、主人公への嫌悪ではなく「同族嫌悪」だったのではないかと思うようになった。
私は創作物において、いわゆる「リア充」の恋愛模様を見せられるのがあまり得意ではない。学生同士の青春恋愛ともなればなおさらで、見ているだけで心が痛くなることもある。
ところが、本作はそういう作品ではなかった。
主人公は友達がほとんどおらず、本ばかり読んでいる孤独な高校生だ。学生時代、学校で誰とも一言も話さずに帰宅する日の方が圧倒的に多かった自分と、どこか重なって見えた。だからこそ強く感情移入できたし、一方で、そんな主人公がヒロインから特別な存在として見られていく姿には、羨ましさや嫉妬のような感情も覚えた。
途中、主人公がヒロインと一緒にいるだけで「ストーカー」と陰口を叩かれる場面がある。
さすがに、それだけでそんなレッテルを貼るのは極端ではないかとも思った。しかし、「あいつはそういう奴だ」と根拠もなく周囲から決めつけられてしまう空気感には、不思議なほど現実味があった。コミュニケーションが得意ではなかった学生時代を思い返すと、「こういう理不尽さは確かにある」と感じられた。
一方で、ヒロインの親友が主人公に強い怒りを向ける理由については、最後まで完全には理解できなかった。それでも、人の感情というものは必ずしも論理だけでは説明できないし、高校生という年代なら、なおさら複雑なのかもしれないと思う。(もちろん、主人公に暴力を振るった元彼については擁護の余地はないが。)
印象に残ったのは、ヒロインの「これは偶然でも運命でもない。すべては選択の結果」という趣旨の言葉だった。
自己啓発などでも耳にする考え方ではあるが、死を目前にした彼女の口から語られることで、単なる前向きな格言ではなく、一つの人生観として胸に響いた。限られた時間を生きるからこそ、一日一日の選択を大切にする。その言葉には、不思議な説得力があった。
読み終えた今、この作品は単なる「泣ける恋愛小説」ではないと感じている。
人との関わり方、生き方、そして誰かと出会うことの意味を描いた青春小説だった。そして、自分自身の過去や価値観まで振り返らせてくれる作品でもあった。
結末は切ない。それでも読後には不思議と温かさが残り、前向きな気持ちになれる。多くの人に長く愛されている理由がよく分かる一冊だった。