橋爪大三郎のレビュー一覧
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この書名の「元気な」は「日本」ではなく「論」にかかる言葉。日本史の18の質問を社会学的観点から語り合う。まずはなぜ日本は土器が発展したのか?から。なぜ日本で大きな古墳が発達したのか。なぜ日本は貴族階級、そして武士階級が生まれたのか、天皇を超える存在になろうとした信長を象徴する安土城など、興味深い根源から考えさせてくれるテーマが多い。貴族の代表格でもある藤原氏は爵位を継承していたわけではない、その権力の根源がどこにあったのか。武士の存在は日本にしかない!などは全く考えたこともなかったが、実にスッキリとした感じ!幕府と天皇の関係を巡る微妙な力関係が、北条義時の承久の乱の戦後処理、後醍醐天皇の失敗などから解き明かされる。天皇制が残る謎の解明でもある。平安時代の女流文学から発展した平仮名・片仮名論議も面白い。片仮名は最もプリミティブな感覚の層を表現する文字だとの説明は全くその通り!「常備軍がなく、国税も徴収しない徳川幕府がなぜあれほど強力だったのか。それは誰もが、幕府は強いと思っていたその意識にあった」とは皮肉ではなく、それでこそ幕末に急に幕府が弱まっていく謎が解けるように思った。
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ネタバレ■読んだきっかけ
・中国出張するにあたり、行く土地の歴史・地理・文化・国民性を知っておきたかったから。
・ニュースや人の話で聞く、中国の悪いイメージ(自己中心的・反日)は、あくまで日本側の視点なので、中国側の視点も知りたかった。
■本の内容
・社会学者3人による、「中国」についての鼎談であり、どちらかと言うと親中で中国に詳しい橋爪氏が、他二人の疑問点(以下のようなこと)に答えていくかたち。
・中国のような大きな帝国が、二千二百年も前(秦の時代)にできたのは、どうしてなのか。いかにして、帝国としての統一性を実現し、維持することができたのか。
・中国人=アグレッシブで自己中心的なため、統一国家に不向きでは?
■印象に残った主張
中国の車の運転の激しさについての以下の意見は、中国に行って深く納得できた。
「中国には交通ルールはない。強いて言うと、事故を起こさないというのが交通ルール」
ルールがないと見える一方で、彼ら相互の、行動の予測可能性はきわめて高い(究極の帰結主義による秩序)。
■感じたこと
(1)疑問設定の重要性
・中国に関する、社会学者たちの鋭い疑問の数々を読み、何となく納得してしまいそうなことでも、良く考えたら不思議なことは深く追求する、ということが大事なんだと感じた。
(2)知識の不足を知る
・近代中国についての章を読み、自分が毛沢東の時代についてあまり知らないことに気付かされた。今の中国を知るためにも、他の本を読んで知識を補強したい。 -
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文章についていえば、対話形式になっていながら受講生の質問に橋爪さんがあまり答えていないように見える。聖書自体、難解な書物だからしょうがないが。
内容は、旧約聖書から創世記・出エジプト・申命記、新約聖書からマルコ福音書・パウロのローマ人への手紙・ヨハネ黙示録が収録されている。創世記では、アダムとイブ、カインとアベル、アブラハム契約など、時折海外の小説に登場する言葉について理解が深められた。神は7日間で世界を作るが、そのとき、天と地、夜と昼など、徹底的な二分法を使って無秩序から秩序を形成する。かつて、内田樹の私家版ユダヤ文化論で、ラカンについての説明を読んだが、ラカンは世界には初めから二分法があり、それが世界の骨格になっているという見方をしていた。天地創造はそのようなラカンの発想に影響を与えたのではないかと思う。戦争を生き延びた軍隊の司令官の言葉にはパターンがあり、「ここで何もせずに死ぬか、動いて死ぬか」などの二分法が良く見られるという(これも内田さんの街場の戦争論だったかな)。二分法というのは人間の心理に深く根付いた、発想なのかなと感じた。出エジプト記は2015年公開のエクソダスという映画で少し触れたが、教義についてはこの本でよくわかった。また、アメリカの建国や、マルクスの革命観は出エジプトに似ている点が多い。申命記は細則の規定のような気もして読み飛ばしてしまった。マルコ福音書はキリストの生涯について、ローマ人への手紙では、パウロの教義についての論理的展開、黙示録では世界最終戦争について。黙示録はマルクス主義的で、労働者や奴隷などに親しまれた物語で、ニーチェはその精神を奴隷精神と揶揄している。また、世界最終戦争の展開は多くのSF映画に見られる。欧米の作品は、下敷きに聖書を用いているものが多く、この本を読んでオマージュに気付けたら良いなと思う。 -
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ルターが、農民を皆殺しにしたほうが良いと述べたことについて、「あぶない一神教」の性質を感じた。
オレはルターが好きだし、ドイツ語聖書が引き起こした歴史的な作用はあまりにも大きかったと考えてて、わざわざルターが住んでたドイツの家まで訪ねて行ったくらいなんだけど、同時に、ルターには、一神教の危なさを感じないわけにはいかない。
ルターが1543年に書いたユダヤ人を差別する文章『ユダヤ人と彼らのうそについて』では、ユダヤ人をけちょんけちょんに貶す非常に過激な言葉が綴られており、ここまで差別する?っていうくらいひどい。
日本人から見れば、意味が分かんないほど激しい憎悪。
キリスト教とユダヤ教の、埋めがたい溝を感じた。
当時は、ルターだけが偏狭だったのではなく、キリスト教社会全体にユダヤ人差別が蔓延していて、カトリック側のユダヤ人差別はもっとひどかったらしいのだが。
ヒトラーが、最も尊敬するドイツ人としてルターをあげてたらしいんだけど、あのユダヤ人差別の文章とも、関係があるんだろうな。
「シナゴーグを焼き払い、ユダヤ人の家を打ち壊し、ユダヤ教の経典を没収し、従わないラビを処刑し、高利貸しを禁じて金銀を没収し、ユダヤ人を農奴として働かせるべきだ」
って書いてあった。
イスラエルで、シリアで、イラクで、ヴァチカンで、アメリカ合衆国で、EUで、中国で、インドで、インドネシアで、これからも、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の、危険な相互作用は、続いてゆく。
地球上の人口の多くの割合を占めるのは一神教の信者たちだからだ。
橋爪大三郎が、アメリカでは、ユニテリアンに所属しているという話はおもしろかった。 -
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中高生向けに、戦争、宗教、歴史、幸福について等の言葉をただ単に砕いて説明したものじゃないかと思うが、読んでいくと深みが分かってくる。ふむ、確かに中高生に読ませて、感想などを話し合ったら勉強になりそうだなぁ。
【もっと知りたい!】
アメリカの独立戦争、南北戦争
フランス共和国、ナポレオン
【心に残る】
他の人と自分を比べてはいけません。これは、幸福になる秘訣のひとつです。他の人なんてどうでもいいと思うことです。それは、自分を大事にすることに通じます。他の人とくらべるなら、皆のために頑張って自分の苦労をいとわない人と比べなさい。
【読みたいと思ったおすすめ本】
赤坂真理 愛と暴力の戦後とその後
大澤 思考術
小室直樹 痛快!憲法学 -
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Honzで見つけた本であり、私もつくし世代に当てはまる(年齢的に)のでこの本は読んでおこうと思ったのがきっかけであった。
読んでみると私自身に当てはまるものや、同世代でありながら意味がわからない行動に関してもよく分析がなされていて非常に面白かった。今の若い者は「ゆとり世代」や「さとり世代」などと言われてあまり良くない印象を持たれている。私自身そのように一括りに見られるのは相当に腹がたつ部分もあるのだが、今の若い人達をよく捉えた表現だと思う部分もある。しかし本書の「つくし世代」は違う面か観察し、比較的良い方向へ分析をしている。
そして筆者自身マーケティングの仕事についていた経験から、若者を消費者として捉える商品開発、CM作りなどマーケティングに使えるアイデアもふんだんに盛り込まれており、ビジネスマンにも一読の価値がある書籍だと感じた。
(恥ずかしながら、私はタイトルの「つくし世代」のつくしは植物のつくしだと最初は思っていた。しかし後になって「尽くし」のつくしだと判明したときにすごく腑に落ちた。笑) -
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著名な社会学者達の対談だけあって視点が多岐に渡っていて面白い。
人類史の中で、他の文明とか他の文化の真似や影響なしで独自に文字をつくったところは4つしかない。メソポタミア、エジプト、マヤ、中国。
頭の中が漢字でフォーマットされた中国人が日本を理解することは難しいという指摘は興味深い。
また一方で、日本には行動規範となるテキストが存在しない。イスラムのコーラン、インドのヴェーダ聖典、中国の経典。特に戦後の日本は何をよりどころにしてきたかといえば米国であろう。パックス・アメリカーナの中で平和を享受してきたわけだ。
経済の視点では、西側陣営で起きている資本主義の社会主義化と中国に代表される社会主義という名のもとでの資本主義化が議論されている。
中国の社会主義市場経済は、長期ビジョンに基づく発明であるとも言えるが、中国への富の集中を米英が簡単に許すとも思えないため、政治問題へ発展していくことは十分に考えられる。
何れにしても、小国日本が主導権を握ることはできない状況にある。米中関係のなかで日本がどの様な役割を演じるかに過ぎない。 -
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3人の社会学者が、中国について話し合うという本。前半は中国、中国人に関する基本的な謎について。なぜ中国人は、日本人から見ると自己主張の強い人たちに見えるのか、中国人にとっての宗教とは何か、そもそもなぜ広大な地域が国としてまとまっているのか、といった問題や、共産党と毛沢東についての話。後半は中国の歴史問題に関する認識の捉え方と日中関係のあり方を論じている。
今回の3人のうちの2人が参加している『ふしぎなキリスト教』がとても面白かったという記憶があって、中国についてはまともに知らないけど、読んでみた。とても面白いけど、難しかった。まず中国の歴史、特に戦時の日中関係や日本の行動について、おれはあんまり分かっていないというのが大きな問題だった。というか、こういう無知については、著者らも問題にしているところだ。さらに、著者らはやっぱり学者なので、「AにおいてはBということがあるけれども、中国の場合はどうなのか」といった話の展開をすることが多いが、おれとしては「AにおけるB」の部分がよく分からないので、余計に難しい。
それでも特に前半は、面白いと思ったことがたくさんあった。まずヨーロッパのように、宗教があって政治があるということではなく、政治的統合があって、諸子百家のような「政策的オプション」がある(pp.36-7)という点。そして「文官優位の根本」(p.80)について。軍事力を排除するために、科挙のような物差しを使ってとにかく序列をつけて、その序列にはみんな従うということで合意しているということ。トップが間違っていても、みんなで従っておけば争い合わずに済むという知恵のようなものがある、というのは、おおよそ日本人には発想できないところではないだろうか。また、「漢字によって言語がつくられた」(p.88)というパラダイム転換は、もう少し考えてみたい。漢字があって、その読み方を色々な集団がそれぞれに付けていった、ということらしい。次に、「ネタがベタになる」(p.124)という表現。手段がいつの間にか目的になるという、日本の近代史でよく見られる現象、ということらしいが、歴史の勉強をするときには何がネタで何がベタなのかということを押さえていないといけないと言うことが分かった。最後に、中国の「社会組織の原則」(p.162)について。「1自分は正しくて立派」、「2他者も自己主張している」、「3自己と他者が共存するために枠組みが必要」ということで、「順番システム」を作り上げるというのが、面白かった。(15/05/24)