橋爪大三郎のレビュー一覧
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社会学の立場から「法」の基礎をわかりやすく解説している本です。
とはいうものの、いわゆるポストモダン法学が問題にしているような、法の基礎についての考察を展開することが、本書のもくろみではありません。本書の議論の枠組みになっているのは、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」の発想を借りつつ、著者自身の「言語的社会学」の観点から解釈された、アメリカの法哲学者ハートの法哲学の理解であるといってよいと思います。もっとも、こうした論点について掘り下げた説明はなく、むしろそうした議論の枠組みを前提に、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教の宗教が、近代法の形成にそれぞれどのような関係をもってきたのかということについての歴史的な解説がなされています。
そのほか、日本社会における法のありかたや、リバタリアニズム、国際法などの諸問題にも触れられていますが、いずれもかいなで程度にとりあげられているといった印象です。 -
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アメリカがどのような行動原理に基づいているのか、その歴史的背景と今後の展望について、分かりやすく解説しています。
アメリカでは、個人の自由を束縛するような中間集団の力が弱く、個人がそのつど合目的的なアソシエーションを組むことになります。そうしたアメリカの全体を束ねるのは国家しかありえないというのが、著者の示すアメリカの社会像です。また、旧大陸からの伝統を拒否して厳格な個人主義を掲げるアメリカの性格が、ピューリタニズムと深い関わりを持っていることが説明されます。
さらに、トクヴィルをはじめ、パーソンズ、サムエルソン、リースマン、サリンジャーといった人びとの言葉を紹介しつつ、個人主義とピューリタニズムに根ざしたアメリカ社会のあり方についてより詳しい説明が加えられます。その後、今後の世界情勢においてアメリカがどのような位置を占めることになるのかという問題や、今後の日本の対アメリカ戦略について、著者自身の考えが提示されています。
文化的にアメリカを見ようとすると、そのあまりの多様性に幻惑されてしまいがちですが、本書ではアメリカの行動原理をシンプルに提示することがめざされています。 -
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宗教を、深遠な境地への道とみなすのでもなく、怪しげなオカルトとみなすのでもなく、社会の中で宗教がどのような役割を果たしているのかという観点から、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教について、分かりやすく解説しています。
「文庫版あとがき」に、著者は次のように言います。「本書について、「簡単すぎる」「知っていることが多い」という評を目にする。/それでよいのである。/本文を繰り返し声に出して読んでほしい。そして、まるごと暗記してほしい。そういう目的で書いたのだから」。宗教を敬して遠ざけるのではなく、セキュラーな立場から位置づけ正しく対処するための基礎的な知識を整理した本と言ってよいのではないかと思います。 -
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橋爪大三郎、大澤真幸、宮台真司の3人が、中国をテーマに語り合った本。
中国という国のあり方は、ヨーロッパの近代国家を基準にして作られた西洋の社会学の枠組みでは説明しきれないところがあるにも関わらず、文化左翼的な立場からの中国論者たちはポストコロニアル批評などの西洋の現代思想を当てはめることで中国を理解しようとしてきました。本書はそうした一方的な中国への共感を戒め、理論社会学についても独自の思想を展開し、中国の実情にも詳しい橋爪を中心にして、理論と現状分析の双面にわたって中国を分析しています。
日中の歴史問題や、今後の日中関係についての議論も、たいへん興味深く読みました。ただ、座談会形式ということもあって、それぞれの論点の背後にある問題領域が見通しがたく、社会学についても中国についても詳しい知識を持たない読者としては、少し読みづらく感じてしまいました。 -
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ネタバレ日の丸・君が代から始まった加藤・橋爪の毎日新聞の論争が、司会の竹田を交えた鼎談である本著を生みました。左からの主張ともいうべき国際関係論の加藤は「もし責任があるとすれば、戦後真実を語らなかった責任だとして、家永三郎・井上清・丸山真男ではなく、三島由紀夫こそ、その責任を正しく追及した人だ」と展開する。また、死んだ300万人の日本人たちへの責任はまずアジアで死んだ2000万人への責任に真直ぐに向かうことから始まると。これに対して右からの主張ともいうべき社会学の橋爪はむしろ天皇機関説的な立場から「天皇という場に選択の余地がなく座らされた個人の責任を追及したくない、それは主権者である日本国民としてのプライドでもある」と主張する。2人の立場から考えられる一見常識とは逆転したような主張が逆説的で面白く、日本国憲法の成り立ちについても学ぶことが出来る内容の濃い、ずっしり読みごたえの有る極めて真面目な本です。
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ネタバレ2000年以上にわたり論理学の教科書であり続けるアリストテレスの『オルガノン』p26
記号論理学
フレーゲ『概念記法』
ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
「写像理論 picture theory」:世界(出来事の集まり)と言語(命題の集まり)はぴったり一致している。p71
【『論考』のエッセンス】p74
①世界は、分析可能である。
②言語も、分析可能である。
③世界と言語とは、互いに写像関係にある。(同型対応している)
④以上、①〜③のほかは、言表不能=思考不能である。
「世界は、言語があるようにあり、言語は、世界があるようにある」p88
マタイによる福音書21章42節
Jesus said to them, "Have you never read in the scriptures: 'The stone that the builders rejected has become the cornerstone, this was the Lord's doing, and it is amazing in our eyes.' p111
『哲学探求』
「言語ゲーム language game」:規則(ルール)に従った、人々の振る舞い。p116
・家族的類似
Eg. 足し算を理解すること
「逆スペクトルの懐疑」:色についての感覚が、人と逆さまになっているのではないかという疑い。p127
「数列」「考えるな、見よ」p133
数と言葉は同じ起源を持つ。
「...根拠を求める営みには終点がないかのようである。だが、根拠のない前提が終点になるのではない。根拠なき行動様式、それが終点なのだ」「確実性の問題」
【言語ゲームと論理学】p170
①世界は、無数の言語ゲームの渦巻きである。
②言語ゲームの全体については、のべられない。なぜなら、それ自身が新しい言語ゲームになるからだ。
③個々の言語ゲームについてなら、のべられる。これを、論理学という。
④論理学は、もとの言語ゲームの効力に影響しない。
Cf. H.L.A.ハート『法の概念』p172
「法のルール説」vs「法の命令説」(ホッブズやマルクス・レーニン)
【あとがき】
ウィトゲンシュタイン=星の王子さま? -
Posted by ブクログ
人間社会から自然に発生したであろう、法という概念。何であるか?と問われ、すぐには回答できそうにない。法が起こる歴史的過程で、宗教とのかかわりが密接である事を知る。ユダヤ教やイスラム教は、教義そのものが法律である。キリスト教は政治に上手に利用された感じがする。仏教では、教義は社会ルールとはならなかったようだ。中国社会では儒教で支配、日本では宗教は全く別物と言う感じがする。法感覚が他民族とずれているのかもしれない。寛容さ、順応性を持ち、場の「空気」により、支配を行っていた。リバタニアリズムは、民主主義における、経済的自由と人格的自由を基軸とする。自由とは?どこまで民営化するか、などの問題を含んでいる。国際法とは法ではない。
講義ノートのようだ。平易な説明であり、分かりやすい。専門用語の使用は、控えめである。全体的な構成、話の流れも良くできていると思った。