野梨原花南のレビュー一覧
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“「リッツは僕が守るよ」
何が出来るか自信はないけれど、マルタは心の底から素直に思い、素直に言って、素直に口に出した。
自分の心にある、静かに光る恒星のようなもの。
時々感じるその苦しいような熱さに、この時マルタは一人で誓った。
「リッツは僕が守る」
リッツは顔を真っ赤にしてひとつ震えた。泣きそうだった。
「だって、ほら」
マルタは大きく息を吸って、それからいつものように笑う。
「リッツがいないと、僕、生活できないよ」”
ええっと?
展開が意外すぎて。
えーっと、っと。
頭の芯が冷えていくような鳥肌。絶望に似た虚無感。
続きが気になる。
高校でのマルタの行動が好みだ。
“「待ってよ」
シェ -
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“「……デアスミス……」
掠れた声で思わず呟く。震えているのが悔しかった。
デアスミスはバーチとマルタのテーブルの横に立ち止まった。
「はじめまして、マルタ・サギーさん。いつもリッツが世話になっています。ありがとう。私はウィリアム・デアスミス。リッツの兄です」
デアスミスは曇りのない明るい、人好きのする笑顔でそう言って軽く両手を広げた。
マルタは頭の中が真っ白になった。
デアスミスはその彫刻めいた美しさの右手をマルタに差し出す。
マルタは何も考えずにその手を取りそうになった。
吸いこまれそうな青灰色の瞳。
「おいこらデアスミス」
不機嫌なバーチの声がして、マルタは出しかけた手を引っ込め、浮かせ -
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“リッツの方が一瞬正気に戻るのが早く、ババロアはリッツの手に渡り、あっという間に食べられてしまったが、マルタはうわ、とられたと一声あげたきり、ナフキンで口元を拭って立ち上がりマリアンナに微笑んで言った。
どうやら少し照れているようで、一瞬視線が定まらない。
「あの、えー。アラン・レイ高校三年のジョン・ジョアンと申します」
嘘吐けマルタ・サギー。
「こちらは僕の後輩の」
とマルタに視線で促されて、リッツははっと我に返り、立ち上がって着衣を直し、顔を真っ赤にして口元を拭う。
「一年のデニス・エルロイです」
嘘吐けリッツ・スミス。
バーチはにこにこと二人を見つめる。
なんだ。
なんの冗談なんだこれは -
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“「兄さんは手段を選ばない。派手なことが好きな人だから、事務所に火をつけることぐらい平気でするだろうね。そうなる前に僕は自分で兄さんを捜して、彼の前に出なくてはならないのかも知れないのだけど、出来れば見つけたくない」
「だから、オスタスに係累のない僕のとこにトーリアスが君を預けたのか」
「うん」
だってマルタなら。
親も兄弟も友人もいないんだから。
とばっちりでマルタが死んでも、ふつうにオスタスで生活している人よりも全く被害が少ないから。
「あーなるほどねぇ。そっか。でもさ、リッツ。いいんだよ。別に」
マルタの言葉にリッツは視線を上げてマルタを見つめる。
マルタは笑っていた。”
カード戦争の -
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“今日から助手のリッツは茶を淹れてやりながら、食事の間も婉曲にさんざん言ったことをまたぶつぶつ言う。マルタがカード使いであったことは、未だに少し複雑だ。
「カード使いならそうって言えよ。つか、あんなん推理も捜査もあったもんじゃないじゃん。ドクトル・バーチのお陰じゃないか……って、ドクトル・バーチってどんなんだろ。会ってみたいなー」
温めたカップにお湯を注ぐと、脳の奥まで届く様な香りが辺り一面に広がる。ご満悦で匂いを嗅ぐリッツは、リッツの寝床を作っているマルタを呼ぼうとしてふと気がつく。
雑然と物が置いてある棚の上に同じ文字らしきものが書かれている紙があった。
「なんだこれ。呪文かな」
リッツは -
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“「バーチャルとリアルの区別って何だと思う?」
(中略)
丸太は話を聞きながら、なんとなく窓枠に腰をかけて空を見ていた。確か春。五月の若葉。桜は散って、少し暑い陽気の日だった。布団干したいなぁと思った。
「鷺井は?」
誰かに訊かれてぼんやり答えた。
「……自分がそこにいるかいないかじゃないの」
自分が言った答えがもし合っているなら。
丸太はラーメンのスープをぐい、と飲み干して器を置いて言った。
「ごちそうさま。ありがとう」
認めなきゃ。”
結構面白い。
マルタの性格とか。
語り口調が読みやすいし、カードのことやオルタスの世界観にも惹かれる。
まだ謎は、たくさんあるのだけど。
“「疲れただろ -
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最近「ハリポタ」を思い出したからか「魔法学園モノ」が
読みたくなり、読んでみました。
評判イマイチなのでどうかなー、と思いましたが、イマイチでした。
キャラ・世界観・恋愛、どれも中途半端というか描写不足。
折込の作品紹介に主人公フォルミカが「ワケあり」のように
書かれてるので、ぶっとびぶりが楽しみだったのですが、この巻
だけでは腕っぷしと気が強そうという印象くらい。
このフォルミカとヒーロー・リキト君の恋の行方が軸になってるようですが、
この2人の心の通わせ方も弱いなぁ。
同じ野梨原先生の短めの作品でも、「逃げちまえ!」は凄く良かった
んだけど…世界観もキャラも明確だったからだろうな。
とは -
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いよいよ最終巻。
巻を追うごとに(特にアストレア登場から)アザーが主役っぽくなってましたが、結末はまるで彼のためかのようでした(笑)。
1巻の時点ではマダーの呪いのお話で、もしかしたらマダーとポムさんがラヴいのかと思いましたが、良い意味で裏切られました。
アストレアとアザーの正体はもうとーーーっても自分好み。
この二人こんなに愛らしい素敵だったっけ?みたいな。
もうマダーは今に始まってませんがアダーの乙女モードは微笑ましいやら。
カイ君が寂しいままだったのが少しだけ切ないですが、彼まで春が来たら丸く収まりすぎか(笑)。
で、ポムさんが脇役かというとそうでもない。
アストレアに1番対等に対峙出 -
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何と!次で最終巻だそうで(T_T)
読んだら確かに納得する部分がありました。マダーに関してはほぼ解決です。彼女が彼女だった時点でもうこうなりそうでなるべくしてなった感じですが。
彼女は体より前に心が女になったんですね(笑)。
挿絵の彼女も今までよりぐんと女らしいんですが、そんなトコロにもあったのかも。
カイ君も遂に一念発起しますし、彼の問題もひとまず解決。
しかし相手が相手と相手なので、彼のムズムズはしばらく続くことでしょう。
しかしまだアストレアとルリの問題、そして主人公ポムさんの問題がまだ未解決。とりあえずアストレアかっこいいよ。
最後にちょぴっとだけ登場のピーター君と共に、気になるところ -
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よかったり悪かったりする魔女4巻。
表紙の通りというか、アザー様主役でないですかです(大笑)。
考えてみれば、結構賢いポムさん、超楽天家マダー、地味可愛いカイ。困ったちゃんでヘタレなアザーが1番物語動かしやすいキャラかもしれません(笑)。
そのアザーの泣き所?アストレア様のお話に少しだけずずいと入ります。
全巻の問題はスノウ王女よりアストレア様だったのね、てスノウ王女も今回も暴れてますが。
でもマダーがアダーの元に戻ってきたので何だか安心出来ました。
主人公ポムさんは最初マダーとくっつくものと思っていたのですが(オイ)、どんどん魔女仲間のピーターと良い感じに。
彼初登場から好きだったので嬉し -
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これまで「伯爵の末娘」⇒「公爵夫人」とどんどんタイトルの女性の身分が上がっていたこの作品、今回は遂に王女です。
とはいえこのスノウ王女は前回のカデットのように可愛い女性ではなく、絵は無いですが男性のようにがっしりした女性な模様。
彼…もとい彼女には美男蒐集癖があり、マダーが彼女の餌食となり囚われの身に。
その最中に性別入れ替えファッションの舞踏会なんかも登場。
その展開、性別不詳状態のマダーに目をつける(ただし王女が目を付けた際の姿は男性)趣味、彼女のように囚われているとある人物の容貌からするに王女は自分の見た目を少し気にしているのかなぁと思えます。
今回いじけ虫(切ない事情があるんですが)ア