野梨原花南のレビュー一覧
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女の子が強くてかっこよくてかわいい。野梨原さんの持ち味ですね。男の子たちはやるときはやってかっこいいんですが、よか魔女も女の子にまずは惚れます。ミュージカルの主役にいそうな赤毛にそばかすのキュートな魔女っ娘は性格男前だし、呪いをかけられた娘は見た目も中身も男前。よかったり悪かったりする魔女がいてもいいんじゃないかとヒロインが言うのですが、それって、人間がそうなんですよね。完璧にいい人もいなければ悪い人もいない。その時々の判断と、見方、立場によっていくらでもラベルが変わるのです。結局は本人がどうしたいのか、どうするのかということ。当たり前のことだけど、言葉にするのは難しい。そんなテーマが描かれて
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ネタバレ野獣へと姿を変えられた、穏やかで穏便な王子様と、ちょー美しいお姫様のお話。
王子様の名前はジオラルド。お姫様の名前はダイヤモンド。
ジオラルドが親友だと思っていた魔法使いタロットワークに獣になる魔法をかけられたところから物語は始まっていて、そんな獣の姿のまま山にこもっていたジオラルドのもとに、人間にはあまり魅力を感じないダイヤモンドが無理やり押しかけ女房をしにきて、真実の愛に目覚めた二人は、見事呪いを解くことに成功する、めでたしめでたし、のはずが。
ダイヤモンドは、ジオラルドの獣の姿の方が好きだったと言い出し、もう一度魔法をかけてもらうために、ジオラルドの生まれ故郷へと旅立つ……
という話で -
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物語の中心は相変わらずマダーだけど、個人的興味はすっかりピーターに。
チャコーレアに二人の関係を勘ぐられ、
「あたしとピーターはそういうんじゃないの!」
「って言ってるけど、実際どうなのそのへん?」
「あっ、えーと、さぁどうなんでしょう」
ここまではよくあるパターンだけど、その後二人になった時に
「お前が、俺のことそんなんじゃないってチャコーレアさんに言ったとき、俺、なんかちょっと複雑だった」
こう言えるキャラはなかなかいない。
自分の想いをはっきりと自覚しているわけじゃないから自然と言えるのかな。
そうだとしたら、その後さらりと手をつないで歩くあたりも含め、相当なたらしだわw
そん -
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よかったり悪かったりする魔女第二弾。
今回はアザーの幼なじみのカデットが登場。
色々頑張ってるんだけど、マダーにやりくるめられている様子が一番可愛かったw
しかもマダーは意識せずにやっているっていうからね。
天然キャラってあまり好きじゃないんだけど、こういうのは好きだw
そりゃカイも苦労するわ。
今回のポムグラさんは「やや悪い」魔女といったところか。
カイに渡した薬の騒動、ジャッロが紳士(笑)だったからよかったものの…。
数人(しかも身内)を除いてみんな寝入っちゃってる状況って、冷静に考えると恐ろしいよね。
しかしカデットの使った薬については、
「あたし、ひどいかなぁ」
「人の心を弄んだり -
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普段はまったく読まないジャンルだけど、友人からお勧めと貸してもらったので読んでみた。
ドキドキわくわくですごく面白いというわけじゃないけれど、安心して読める面白さ。
魔女を目指す主人公のポムグラニットは、「おとぎ話に出てくるのは大抵よい魔女か悪い魔女」なので自分は「よかったり悪かったりする魔女」を目指すという優柔不断なんだかしっかりしてるんだかよくわからないキャラクター。
このひねくれていながらも友情に熱く、序盤の頼りないものの話が進むにつれてどんどんかっこよくなっていく様は読んでいて微笑ましく、応援してあげたくなるね。
作品の雰囲気もよかった。
語り手であるポムグラニットのキャラクタ -
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ネタバレ同じタイトルでも登場人物が違うから、違う話かと思ったら、続編でした。
しばらくぶりだったので、前のストーリーをすっかり忘れてましたけど、だんだん思い出して、そうそう、エロさんのお話でしたね。
エルンストはまたしてもあぶれて(っていうか、エロさんを諦めてたら、ちゃんとエッティラとくっつけてたんですけど)、横からかっさらわれちゃいました(^^ゞ
デービットも初恋を9年も温めて、始終、エッティラへの気持ちがダダ漏れしてるのは、なんかいいです。
気になったのは、なんか空白が多いんですよね。口調っていうか、なんていうか、それがちょっと読みづらかったです。
まあ、この状態だと最後8月10日が来るま -
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“言うとマルタは、ベストの内ポケットからカードを一枚抜いて、立てた。
そのカードを見て、デアスミスは失笑した。
「ここで『名探偵』のカード?」
失笑はやがて大きくなり、デアスミスは身を反らして笑った。
「はは、ははは、ははははははは!!」
部屋に笑い声が響いた。
「なんのつもりだね。ここに、解かれるべき謎はないだろう?そのカードの使いようがあるのかな」
「あるさ」
マルタはデアスミスを見据えて言う。
「あんたは強くて僕は弱い」
マルタの真っ黒な瞳が、デアスミスの青灰色の瞳を射抜く。
マルタの顔は泥と血で汚れきっていたが、視線は澄んでいた。星のように。
「どうやったらひっくり返せるかって、それは -
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“「リッツ」
マルタの困った声。それを聞いてもリッツは顔を上げる気にならない。なにか、強い感情で頭ががんがんする。
七年。
七年だと?
なんで。
なんだそれ。
「リッツ」
心配する声。
マルタの。
リッツは強く目を閉じる。涙がこぼれた。耳鳴りがする。七年。二十五歳。マルタ。マルタ一人で。モリカワさん?知らないところで。知らない人と。でもマルタがここにいるってことはきっと必死で戻ってきたんだ。帰りたいと思って七年。
それでなんでこんなに胸が痛いんだ。なんで苦しいんだ。
この一週間のことを思い出す。
懐かしいものを見るようなまなざしや、老人のような微笑や。
ヘンリーのデリを。
僕の紅茶を。
泣きそ -
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“色々あったが、丸太はバーチが好きだった。
あんな男になりたいと、あんまりにもかけ離れていたからそれは思うことはなかったが、それでも尊敬していた。
彼の正体がマリアンナだとわかったけれど、それでも別に問題はなかった。
たとえばマリアンナがどんな姿でも、丸太はもう、マリアンナを忘れられない。
いつの間にこんなに魂の中に彼女が入り込んでいたのかと思う。
デートに誘わなかった悔恨が、彼女への思いを強くさせているのかと考えたが、それならそれで、もう、いい。
バーチがマリアンナなら、バーチも愛する。
それはなんだか滑稽に感じたが、少しの笑いもこみ上げてこない。
蓑崎で七年経って、何にも自分は出来ていない