安原和見のレビュー一覧
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地図にしか存在しない街が、実は存在する、という設定の、男女七人夏物語。
地図上にあれば存在することになるのか、実際にはあるけど地図になければ存在しないことになるのか、とある種の認知論みたいな話になってくる。
登場人物のセリフでもあるが、実際、我々は街を歩くとき、スマホの地図ばかり見て、眼の前の状況をあまり見ていない。そしてスマホ上で到着したとき、初めて到着した気になっている。これは発展すると、自分で認識した情報より、外部から与えられた情報を信じてしまうのはどうなんだっけ、ということにつながると思う。
とはいうものの、登場人物が全員、他人と協調できない、他人に相談する事ができずに暴走するバカ -
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◼️ ダグラス・アダムズ
「銀河ヒッチハイク・ガイド」
ハチャメチャなSFコメディ。思い切って飛ぶ先行きにお笑いと文芸的期待をする。
もはや古典ともいえる1979年の作品で、シリーズもあるとのこと。いやー寡聞にして存じませんでした。ズバン、と展開が早い。
地元ラジオ局で働いている青年、アーサー・デントは友人で地球人に身をやつしているベテルギウス系惑星人のフォード・プリーフェクトに連れられ、地球から宇宙へと脱出する。還るべき地球はヴォゴン星人の手によりほとんど瞬時に消滅させられてしまったー。
最初、アーサーはバイパス道路建設のため、住んでいる家をブルドーザーで撤去しようとする役所に対抗 -
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人生、宇宙、万物の究極の答えとは何なのか? この本はそうした人間の根源的な苦悩を笑い飛ばす。といっても、単に茶化しているだけではないのかも。終始続くナンセンスな文章を禅問答と捉えれば、その先にあるものは悟り、である。宇宙の真理とはナンセンスの極みなのかもしれない。
この話の元は1978年のイギリスのラジオドラマだそうで、当時は荒唐無稽な SF だったのだろうが、昨今の現実社会で AI を妄信している人たちを見ていると、妙なリアリティを感じてしまう。社会風刺としても現役だ。
難をいえば、文章がふざけ過ぎか。日本人が翻訳で読んだのでは、ブリティッシュ・ジョークは理解できないのかもしれないが… -
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ネタバレ著者が続編を急かされて3週間で書いたらしい本書。著者が当時恋愛中なのもあって、反映されたのか?今作はSF要素少なめでアーサーとフェンチャーチのやりとりがメイン。
破壊されたはずの地球が復活しており、アーサーの家も元のまま存在し、旧友との再開、ガイドにも地球が復活。
しかし何やら、地球が爆発したような幻覚を見たとみんながいう。フェンチャーチは、イルカも消えたという。p156
ゼイフォードやマーヴィンのやりとりが好きだったため、物足りなかった。
終わり際に突然マーヴィンが登場したかと思えば、スっと退場した。
ビスケットの話は実体験らしい笑p144 -
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ナオミ・オルダーマンの小説。
ベイリーズ賞を2017年に受賞。
女性が男性よりも権力を握るようになった世界において、ニールという作家が考古学説をベースに創作した小説を、本書の作者であるナオミがレビューするという設定になっている。
小説では、ある日突然女性が手から強力な電流を放電できるようになり、既存の男性優位の社会を塗り替えはじめた「大変動」時代が描かれる。
その中で特に大きな役割を担う4人の人物の視点を切り替えながらストーリーが進む。
キリスト教の新しい亜流を立ち上げて教祖として信仰を集めていくアリー、マフィアの娘で最強の放電能力を持つロクシー、アメリカで勢力を増していく政治家のマーガ -
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ネタバレヒッチハイクガイドに続き。
マーヴィンの扱いが酷い。
さてタイトルなのだが、英語では『The restaurant at the end of the universe』と言うことで確かに『宇宙の果てのレストラン』なのだが、日本語だと物理的な果てに思えてしまう。物語上では時間的なEndで物理的移動はしていないので、ややミスリードな気が。
前作より★が一つ少ないのは、何となく全体的にネガティブだった印象があるため。正確にいうと、ネガティブというより、マーヴィンはじめあらゆる登場人物に不幸が襲いかかって救いがない点。プライベートで嫌なことでもあったんだろうか、というくらい救いがない。
一応コメ -
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「明るい世界をよしとする人々と同様の生活をしつつ、その一方で暗黒面に走りがちな人たちがもしいたら、社会一般にどう受け止められるか」p.8
あーこれまさに私の好みを的確に説明してくれてるわー。what we do in the shadowとか。アイロニカルなコメディー共通の美点。
・アダムスファミリーは、1940-50sという品行方正でAmerican dream的な家族像の時代のもう一つの写し鏡かも。
・21歳で早くも代表作により成功してるなどスヌーピーのシュルツさんとも重なる。
→国民的作品とすれば、サザエさん(スヌーピー)⇔いじわるばあさん(アダムスファミリー)的な対比かしら。つまり国