【感想・ネタバレ】パワーのレビュー

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Posted by ブクログ

中学3年生の「課題図書」の一つとして紹介された書籍です。

「女性が手から電撃を出せるようになる」という設定ひとつで、ここまで現代社会を風刺した小説を書くことができるのか、という驚きに満ちた読書体験でした。

力を得た女性が、それまで自分たちを征服し、虐げてきた男性社会にたいして叛旗を翻すという流れ自体は想像できるものですが、今の世の中に「当たり前」にあると考えられている「女性ならではのやさしさ」という幻想を打ち破るような激しい攻撃性を目の当たりにすると、私自身、男として居心地の悪さや一抹の恐怖を感じます。

大いなる力には「責任」が伴い、それを無視して濫用すると「歪み」が生まれること。人間は理性よりも感情を優先することがままあること。復讐は復讐しか生まないこと。他者を信じたとしても、その信頼が裏切られることもありえること。この世の中の「不条理」な現実がありありと描き出されているところも、本書の魅力の一つだと思います。


この物語は、女性が男性よりもはるかに強く、女性が男性を「支配」するようになってから数千年を経た時代に、とある男性作家が書いた「過去の男が強かった時代から転換したとき」を描いた歴史ファンタジーという位置づけの小説になります。
この作中の小説を読んだ女性作家からの手紙に「『男性の支配する世界』は……きっといまの世界よりずっと穏やかで、思いやりがあって……」という記述がありましたが、これこそ現代の社会への痛烈な批判でしょう。

現実には女性が、そしてこの作品の中では男性が、その性別ゆえに「生きづらさ」や「恐怖」を感じながら生きてゆかねばらならないという現実があります。もちろん、そのような状況は変えていかねばなりませんが、その前に「どのような困難があるのか」ということを自分事として理解することが必要でしょう。
その助けとして、とくに男性読者にこの本を読んで欲しいと思います。
作中の小説で、一人の男性が次第に「ただ生きているだけなのに男性であるという理由で恐怖を感じるようになる」という描写があります。これが、女性が抱く(抱かされている)恐怖なのだと思いますし、それを追体験することができるというのは、貴重な経験だと思います。

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2023年07月16日

Posted by ブクログ

凄かった。上手く説明できないけど、これは要約ではダメで、読書の体験そのものに意味がある本だと思う。
最初のワクワク感から、どんどん凄惨な方向へ転がっていく。
残虐さに目を背けたくなるシーンは多々あるが、裏返してみれば、これは戦時中や不安定な情勢であれば「よくあること」だ。
ミラーリングというのか、男性であれば「普通」とされていることを女性が行うと、こんな感じ方をするのか。読み終わってからも、この本の色々なシーンを何度も思い出す。

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2023年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

非常に面白かったけれど、これを通してどう受け止めればいいのか少し戸惑う

男が女に行なっている行為を逆転させることで残虐性を男性が感じる それで男性たちに気付きを与えることができるのだろうか 寧ろその残虐性は女性だから、という結論にならないだろうか

寧ろここでこの残虐性は男のものとイコールであると気づく層はそもそもリベラルであって、女性たちの声に対して揶揄する層ではないのでは、と 揶揄する層は恐らくこれらを女性特有の残虐性と取り、やっぱり女性に権力を与えてはいけないみたいな考えになるのではないか(そういう層は読まないかもだが

しかしこの本の中で恐らく言いたいのは作中でもあるように、物事は二元論でない、つまり男がダメだから女という選択肢ではないということだと考える そこに至る解決策があるわけではないが

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2023年08月17日

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