金森修のレビュー一覧

  • 病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー

    Posted by ブクログ

    コロナ禍の時に発売された理由がわかった。
    付箋をしながら読んだ本。
    これはかなりの勉強になりました。
    知らずに人に病気をうつしている……無症状のコロナ患者さんもいたよね。

    0
    2024年02月25日
  • ベルクソン 人は過去の奴隷なのだろうか

    Posted by ブクログ

    感動したかと言われれば、かなり感動した。
    著者の息遣いを感じる。

    ベルクソン初学で読み、唯物論的世界観に生きながら唯物論的ではない世界観に触れた。金森ーベルクソンの「唯心論」は現実的、常識的に感じる。全て数式で説明付けられるとは、必ずしも言えない、というのは僕には痒い所に手が届く意見。「必ずしも言えない」という控えめな主張に留め、科学的説明の価値は認める知的誠実さを残して、しかしその万能性に疑いを挟む。たしかに測定できる時間ではない時間感覚があるように思えるし、数字に置き換えられない瞬間瞬間の変化を自分に感じる。実体験に基づいて感じるところを起点とすると、唯物論よりも納得がいくオルタナティブ

    0
    2021年04月24日
  • 病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー

    Posted by ブクログ

    公衆衛生と個人の自由の問題は難しい.この本はチフスのメアリーとして世界中に固有名詞のように知れ渡った女性個人に光を当て,健康ではあるが保菌者であったために35年間も隔離されて生きたことについて問題提議し.読者に問いかけている.新型コロナウィルスの脅威にさらされている今,切実な問題だ.文章もわかりやすく簡潔でしかも奥深い.たくさんの人に読んで欲しいと思った.

    0
    2021年02月12日
  • 病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー

    Posted by ブクログ

    「チフスのメアリー」症例がステレオタイプ化されてゆく過程をていねいに追ったモノグラフ。今回のコロナウイルス禍をうけて再版されたようだが、たしかに、いま読む意義は大きい。内容はポイントを押さえ、深いが、プリマ—新書のフォームで平易かつ簡潔、コンパクトにまとめられている。

    二〇世紀初頭、アメリカ。移民のお手伝い女性メアリーが、チフスキャリアである可能性が判明し、自由を制限されて隔離される。当時の公衆衛生的状況もあいまって、キャリアであることがスティグマ化され、患者がひとりの個人であるという事実が消えてゆく。


    これをみてなんとなく思い出すのは、最近のラノベなどで見かける著名作家などを用いた歴史

    0
    2020年05月31日
  • 科学の危機

    Posted by ブクログ

    哲学者の考える科学の話だが,教えさせられる点が多い.科学者の仕事が個人で完結した時代から,次第に社会との接触が始まり,さらに社会から規制される過程を克明に描写している.「古典的規範」がCUDOS,さらにはPLACEになっていく.多くの科学者の事例を取り上げていることも理解しやすい構成だ.国家が主導する不適切な科学政策への抵抗として,P211に挙げている次のパラグラフが良い.「国家の中枢でなされる決定に参加できる成功した大科学者が,審議会や学術会議などの発言機会を利用して,自分の優雅な老後や帰属領域のことだけを考えるのではなく,科学の古典的規範に照らした上で少しでも健全な知識生産体制を整備するた

    0
    2015年12月01日
  • 高校生と考える日本の問題点 桐光学園大学訪問授業

    Posted by ブクログ

    最近受験生の我が息子は、少し遠くの塾に
    日曜日の夜間に通っています。(そんなに必死に
    受験勉強しているわけではないのですが)
    そこで、夫婦も揃って息子を送り届けて
    塾が終わるまで二人でスタバに行って2時間
    くらい待っています。私はじっくり本を読める時間
    なので割と気に入っています。そこで読み終わった
    今回のこの本。
    川崎の桐光学園高校に様々な
    論客(日本のトップクラス)が特別の授業をする
    らしいのですがその授業の内容が本になっている内容。
    こんな高校生はとても幸せだと思いますが
    多分自分が高校生だったときはあまり興味を
    覚えなかっただろうなあと思います。
    でも、それでもそういうことを言っていた

    0
    2015年06月28日
  • 動物に魂はあるのか 生命を見つめる哲学

    Posted by ブクログ

    『動物霊魂論』と『動物機械論』を対比させながら、文化や文明について考察されている。一般に人は人以外の動植物に対して、優位性を担保している。だから、犬が言うことを聞かずとも許せる。
    しかし、その優位性は何を根拠にしているのだろう。
    本書はそのことには触れてはいない。しかし、人以外を人がどう扱うのかを歴史をたどりながら解説されている。
    そして、思想と哲学の違いを本書によって更に深く考えさせられた。そのことについては、ここでは触れないが。
    非常に興味深い書物だった。

    0
    2013年03月22日
  • 動物に魂はあるのか 生命を見つめる哲学

    Posted by ブクログ

    とても面白かった。例えば医薬品開発に不可欠な動物実験と、肉食との違いはどこにあるのかなど、改めて考えさせられたことは多い。
    また、動物機械論が、生物体の中で、人間をどのように位置付けるのか、という思想的課題の歴史的動向の中で生まれてきたものであることがよく理解できた。
    筆者の文体も読みやすく、終章の独白的な文章も面白いものであった。

    0
    2012年12月31日
  • 動物に魂はあるのか 生命を見つめる哲学

    Posted by ブクログ

    とても衝撃的な内容だった。難しい箇所も多くあり内容を大まかに説明することはできない。しかしそれでも読み進めた先にはきっと多くを得ると思う。

    0
    2021年09月13日
  • 病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー

    Posted by ブクログ

    本書が初出版されたのは2006年とのこと。某新型ウイルスが猛威を奮っている2021年現在にこの本を知った。まるで予言書のように感じた。しかし読み進めると予言書などではなく、いつだってこの地球には感染症が身近になる可能性はあるということが書かれている。歴史は繰り返すのだ。現代の「チフスのメアリー」に自分がなるかもしれない(あるいはなっている)ということを理解していれば感染者の人権を無視して社会から隔離することしか頭にないような頭の固い人間にはならないはずなのに…。

    0
    2021年06月22日
  • 病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー

    Posted by ブクログ

    「チフスのメアリー」と呼ばれた女性をご存知だろうか。
    メアリー・マローン。1869年生まれ、アイルランド系移民。少女の頃にアメリカに移住し、大人になってからは賄い婦として働いた。料理はうまく、子供の面倒見もよかった。勤め先は何度か変わったが、雇い主からは総じて、よい評価を得ていた。
    だが、37歳の時、彼女の人生は急転する。1900年初頭、腸チフスが流行しており、死者もかなり出ていた。公衆衛生の専門家が腸チフス患者を複数出したある一家を調べていたところ、1人の賄い婦の関与が疑われた。その足取りをたどると、彼女が務めた先々でチフスの発生があったことが判明した。その賄い婦こそ、メアリー・マローンだっ

    0
    2021年05月18日
  • 病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー

    Posted by ブクログ

    近所の本屋さんの特集の中の一冊。
    ちくまプリマーだし気軽に読めそうと購入。

    「病気になった人も一人の人間なんだから、必要以上に責めちゃいけないよ」ということだけど、今のコロナ禍にずいぶん合致していて驚いた。14年前の本なのに。
    驚いたということは、少なくともメアリーがいた19世紀から、人の感情は大した変わっていないんだなぁ。国内外関わらず。

    0
    2020年10月04日
  • 病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー

    Posted by ブクログ

    新型コロナウイルスの感染が拡大し続けている昨今、無症状での保菌者(キャリア)がどこにいるかはわからず、不安に駆られることも多いと思います。
    特に、感染しながらも外出したり会食したりして(故意に)感染を拡大させていると考えられ、批判される人々も少なくありません。

    そういった、多数の感染者を生むキャリアとして初めて歴史に名を残したのが、腸チフスを広めたメアリ、「チフスのメアリー」でした。

    彼女は、社会の感染拡大を防ぐためとして、その半生を隔離されて過ごします。彼女以外にもキャリアと断定された患者もいましたが、彼女だけが「病原菌を垂れ流す悪魔」として非難され、隔離され続けたのです。
    そこには、自

    0
    2020年07月26日
  • 病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー

    Posted by ブクログ

    「チフスのメアリー」が気になって読みました。

    1人の女性がある日、腸チフスのキャリアの可能性を告げられる。
    自覚症状はないので、女性は戸惑い、混乱する。
    検査への協力を拒否したことで、捕らえられ、長い時間を監禁された環境の中で暮らすことになり、そこで人生を終えることになる。

    公衆衛生の観点と、個人の自由という観点と。

    腸チフスのキャリアは彼女1人ではなかったのに、なぜ彼女だけが長期間監禁されることになったのか。

    そこにある社会的な背景。当時の、世間の眼差し。

    新型コロナの感染予防対策が求められる今、1人の人を「人」としてみることの大切さを改めて考えさせられました。


    0
    2020年06月19日
  • 病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー

    Posted by ブクログ

    チフスのメアリーは無自覚の感染者。今回の新型コロナウイルスのことをあてはめて読んでしまう。この本では無自覚の感染者が決して悪ではないって言っている。ゼロ号患者についても色々かんがえさせられた。個人の自由をしばって隔離するなら補償が必要だってことも納得する。メアリーは普通の女の人だったと思うから。

    0
    2020年06月05日
  • 動物に魂はあるのか 生命を見つめる哲学

    Posted by ブクログ

    動物に魂があるかどうかの話をしていない(0_0)

    話しているのは「人間が」動物の地位についてどう考えてきたかということ。それにペタッと「魂」というサブテーマを貼ってあるような感じだった。
    メインテーマは動物機械論。この動物機械論というのが、動物たちの喜びも苦痛もすべて単なる機械的な反応であり、意に介する必要のまったくないもの、というかなり人でなし感ふんぷんのゲス理論。マルブランシュ許せない。


    序章。著者が以前は昆虫についてほとんど機械のようなものだと考えていたこと、ゆえに昆虫は「死んだ」ではなく「壊れた」と述べても良いのだ、と自分の講義で発言して反感を買ったエピソードを読んで、自分もこの

    0
    2017年09月01日
  • 高校生と考える日本の問題点 桐光学園大学訪問授業

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読書途中。20人の講師による。一人90分の講演会の収録である。一気に読めるはずもなく、じわじわと読んだ。
    姜尚中の講演のなかで、夏目漱石が奥さんをなぐっていたエピソードがあった。ノイローゼであったらしい。私は夏目漱石になれないけど、夏目漱石よりましだなと少し思った。考えかたとしてまちがっているのかな?どんな偉い人もほんとうにいろいろな苦しみにもがいていきているのだと思い直した。
    20名全て役に立つわけでないが、中には、気に入る人もいるかもしれないとのことだろうか?3.11後の話など考えさせられたり。光触媒の話は興味を覚えた。文学、美術に関心を持った。宇宙論や素粒子の話は、わからないので、もうい

    0
    2017年01月01日
  • ベルクソン 人は過去の奴隷なのだろうか

    Posted by ブクログ

    ベルクソンの哲学を「純粋持続」をキーワードに読みほどく。薄いけれども単なる要約ではなく、大変わかりやすく、また読んでいると明るい気持ちになる。個人的には記憶が身体に蓄積されているというふつうの空間的イメージを否定しているところが面白かった。それならどこにどう存在しているのか、それはいろいろ想像の余地があるのがよい。

    0
    2016年12月05日
  • ベルクソン 人は過去の奴隷なのだろうか

    Posted by ブクログ

    とても平易な解説だし、著者の熱い思いがあふれ出してきそうな良書。
    哲学というとただ形而上の小難しい概念を小難しい顔してこねくり回しているという印象があるかもしれないけど、本来はこんなふうに、熱い衝動から生まれるべきものなのだと思う。

    が、しかし。。。
    それでも僕には「純粋持続」の概念がわからない。いったいこれはなんなんだーー!!

    0
    2015年01月22日
  • 動物に魂はあるのか 生命を見つめる哲学

    Posted by ブクログ

    デカルトの <動物機械論>に始まり、それに対抗して出てきた<動物霊魂論>の歴史を詳細に述べている.フランスの哲学文献が主流だが、膨大な資料を駆使しているにもかかわらず、読みやすい論考になっているのは、著者のこのテーマに関する理解力が只者ではないことを示していると感じた.

    0
    2013年01月18日