柴田哲孝のレビュー一覧
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究明に至らず未解決のまま真相が闇に葬られた国鉄三大事件と呼ばれる事件があった。
無人列車が暴走して線路脇の商店街に突っ込み死傷者をだした三鷹事件、
夜間にレールが外され通過中の列車が脱線転覆し乗務員三人が死亡した松川事件、
失踪した初代国鉄総裁下川定則が翌朝に轢死体となって発見された下川事件である。
ある日、著者が親族との宴会の席で酔った大叔母が、兄は下川事件に関わってかもしれないと口走った。
下川事件のことを全く知らない著者は、事件について調べていく。
三越百貨店に運転手を待たせて入店した下山総裁は行方不明となり、翌朝常磐線の北千住綾瀬間で轢死体として発見された。
自 -
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ストーリー的には、基本構造はとても単純。
人を殺し、金を持って逃げる男と、それを追う探偵。
突き詰めてしまうと、それだけ。
そこに、東日本大震災がリアルタイムに絡むことで、
物語にリアリティと奥行きが出て来る。
被災地の描写は、正に我々がリアルタイムで見ていた、
ニュースの中の映像そのもの。
漂う寂寥感と無力感。
そこに、謎の女が絡み、追う者・追われる者・
追うことを依頼した者の思惑が絡んでくる。
が、ストーリーはあくまでシンプルである。
本作は、東日本大震災を経験した者は、
思わず襟を正しながら読んでしまう、
そんな一冊である...というのが全てか。
ただし単純な話ではあるが、著者の -
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柴田哲孝『WOLF』角川文庫。
ノンフィクション作家・有賀雄二郎を主人公にした未確認生物シリーズ。最初に有賀が登場した『KAPPA』から22年、50歳を過ぎた有賀は千葉の海でロングボードを楽しむ健在ぶり。
今回のテーマは非常にリアリティがあり、ロマンが感じられた。
奥秩父で狼らしき謎の動物が家畜や人間に被害を与える事件が頻発する。林野庁の埼玉環境保全担当からの依頼で、有賀はカナダの大学で森林科学を学ぶ息子の雄輝と共に事件の調査に乗り出す。果たして、謎の動物の正体は絶滅したはずのニホンオオカミなのだろうか。
柴田哲孝の作品はフィクションでありながら、ノンフィクションのようなリアリティがあ -
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このところ軽めのものばかり読んでいたので、
久々に「ガツんとした骨太の作品」が読みたくて。
結果的に、期待に違わぬ骨太感。
ストーリー的には派手な展開は何も無い。
警察的には「地味な」変死体発見から物語が始まる。
はっきり言って「面倒くさいから」、
事件性無しで済ませたい上司。
が、ベテラン刑事は何か引っかかるものを感じる。
そのベテランを慕う若いペーペーの刑事。
どちらも仕事の合間を縫って、
警察内部ではもう「処理済み」のこの案件を
個人的に追い続けて行く。
刑事の勘と執念は侮れない。
上司に内緒で有給を使ってまで現地調査をする
二人の前に次々と新しい事実が現れてくる、
最終的には -
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探偵・神山健介シリーズの第五作。相変わらず面白い。物語は東日本大震災の発生した2011年3月11日のいわき市で始まる。同僚の議員秘書を殺害し、6000万円を奪い、逃走した坂井保邦を追って、神山健介は愛犬のカイと共に沿岸の被災地を北上する…
このシリーズはシリーズを重ねるたびにスタイルを変える探偵小説で、今回は大きな社会問題を題材にしている。東日本大震災、原発事故の描写がドキュメンタリー作品のようにリアルであり、現実と虚構の境目が分からなくなるほどだった。
これだけ東日本大震災と原発事故の現実を描いておきながら、最後にどんな答えがあるのか興味深かったが、十分に納得のいく答えが用意されていた。 -
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「事実は小説より奇なり」という言葉があるが、この本を読んでまさにそう思った。どんな推理小説よりも謎めいていて、また圧倒的に面白い。乱歩も横溝もこんな面白い作品は書けないだろう。むろん、ノンフィクションとはいえ著者の主観も入っているから、すべてが「事実」だとは思わない。著者の親族にインタヴュウしているので、そういった点も差し引いて考える必要はあるであろう。ただ、それでもやはり絶対的に面白く、また「途轍もない」作品であることには変わりはない。昔から未解決事件について関心はあったが、これほど深い闇が広がっているとは思いもよらなかった。キイ・パーソンを挙げてみても、一般に名前を知られているだけでも佐藤
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いや、これは...
久々に骨太というか...
読みでがある大作でした(^ ^;
ここんとこずっと「日常の謎」的なミステリばかりで、
こういう固く、太く、重いものとはご無沙汰で。
若い頃は落合信彦とかむさぼり読んでたし、
こういうものも決して嫌いではないのですが...
なかなか頭が着いていかず(^ ^;
とにかく話のスケールがでかい。
戦後国鉄の三大ナゾの事件の一つがテーマで、
GHQやらCIAやら総理大臣やらまで巻き込んで。
さらに満州事変から日中戦争、戦後の安保まで含む
その「大きな歴史の流れ」の裏面に隠されてきた
下山事件の真相に迫るというハラハラドキドキ。
しかもこの下山国鉄総裁 -
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帯によると、事実に基づいたフィクションとのこと。太平洋戦争に秘められた五つの物語。傑作『下山事件 最後の証言』や『GEQ』と同じように事実とフィクションの境界線の無い物語であるようだ。どの物語も悲惨な戦争という史実に隠された真相に迫り、非常に興味深い。
『超空の要塞』では、あの東京大空襲を日本政府は事前に把握していたという驚愕の真相が描かれており、『下山事件 最後の証言』の流れで物語が展開するので、真実味が増している。
『目ン無い千鳥の群れ』も『超空の要塞』からのつながりで、真珠湾攻撃の真相に迫る面白い物語である。アメリカが事前に真珠湾攻撃を知っていたという、今では常識の話ではあるのだが… -
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本書は史実をもとにしたフィクションですが、タイトルに異聞とあるように定説や正史に疑問を投げ掛ける非常に興味深い内容でした。
私には史実とフィクションの境界線が曖昧で何が真実なのか正直分からなくなってしまった。
なので自分なりにどの部分が事実なのか調べてみて愕然とした。
「超空の要塞」
東京大空襲の陰謀論がテーマの話で、作戦指揮を取ったルメイの言葉に耳を疑った。
「日本の反撃は事実上なかった」
えっ日本軍は何をしてたの?と。
ルメイの作戦は非常にリスクの高い作戦にも関わらず米軍の損害は微々たるもので日本は10万人以上の犠牲者を出した。
なぜ日本は無防備だったのか?
私が調べたところによると、 -
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ネタバレ戦後の未解決事件(はっきりとわかってないと言う意味で)の代表とも言える下山事件を亜細亜産業が黒幕という観点で真相に迫ったノンフィクション小説。
事件発生から70年も人々を引きつける不思議さはそれこそがミステリー。アメリカ占領期で今の日本とは違う危うさ、思惑が東京には渦巻いていたと考えれば、時間的にはつながっているけど、他の国の物語のようにも思える。
これまで様々な黒幕説が言われていたけど、ここでは戦前から続く亜細亜産業が黒幕で、作者の祖父も関わっていたのではないかという疑念が発端。これまで長きにわたり、下山事件を調べてきた作者には、著書を出すごとに匿名に近い形で、新たな情報が提供されており