この本が中国の日本侵略ではなく侵蝕とされているのには理由がある。
あくまでフィクションだけど、柴田作品ではお馴染みの事実を基にしたクライシスノベルとなっている。
まず事実から。
水資源や森林資源などが中国人や中国資本の会社に次々と安い値段で買収されている。日本の法律的にはなんの問題もない。でもこの問題がないということが、日本にとっては実は大問題。原発に近い広大な土地や、自衛隊の基地に隣接した広大な土地を中国資本の会社が所有することに政府は何の文句も言えない。法廷に持ち込んでも政府が負ける。
新潟県に中国総領事館がある。太平洋側に住んでるとなんであんな米どころに?と思うが、新潟港は日本海に面した国際港としては最大のもので、日中貿易における要となる港。そこに治外法権を認められている領事館が広大な敷地とともに建っている。
この後はフィクション、もしくは著者の推測すること。
もし、そこが中国の軍事拠点、諜報拠点となったら、どうするつもり?
というか、中国にその気があるなら、すぐにでもできる。(もうなってる?)
もし、そうなってしまって、中国と戦闘状態になった場合、自衛隊がいくら海や空で人民解放軍を圧倒しても(たぶん、自衛隊の戦力なら正面攻撃に対してならなんなく圧勝する) 、後方から攪乱されたら、被害は甚大なものになる。
中国がそんなことするわけがない、と思うのはあまりに楽観的で、今ほど中国が領土的野心を実行に移している時期はない。小説では、見事に攪乱されて、果たして日本の独立を保てるのか、といったところで尻切れトンボで終わっている。
小説としては物足りなかったけど、考えることは多かった。
日中友好の絆をより深めることはもちろん大切だ。 民間レベルでの交流はますます盛んになり、日本人と中国人は仲はこれからも良くなっていくと思う。
しかし、中国共産党には激しい権力抗争の末に政敵を排除するという、もはや伝統ともいえる歴史があり、ごくわずかな人たちに権力が集中しやすい仕組みになっていることを忘れてはいけない。民主国家ではない。いま権力を掌握している人たちが、どのような野心を持っているのか。国防を論じる際には重要となる。
昨今のニュース映像を見ていると、民間交流と共産党政治を同じレベルで測ろうとしている人が多い気がして、いつももどかしく感じる。(でも、もしかしたら、その単純な見方が戦争を回避する正しい道筋なのかもしれない、とも思ったりもするので、自分の考えはブレまくっている)
安保法制どうなるんだろう…