柴田哲孝のレビュー一覧
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ネタバレわたしが生まれたのは昭和42年。
当時は「戦争なんて遠い昔の話」と思っていましたが、生まれる二十年ほど前は戦時中でした。
57歳になった今にして思えば、それほど遠い昔のことでもなかったのだと今更ながら驚いています。
そういえば少年時代はテレビドラマや漫画のそこかしこで戦後の重苦しい雰囲気の残り香を嗅いでいたような気がします。
また帝銀事件や下山事件といった未解決事件の情報に触れて、日本の暗部に触れているような何とも言えないおどろおどろしい気分を味わったものです。
下山事件のことは国鉄総裁である下山定則さんが突然行方不明になり、轢死体となって発見されたことくらいしか覚えていませんでした。
下 -
Posted by ブクログ
自らの祖父が深く関わっていた下山事件を、事件関係者からの様々な証言や、読者からの新たな情報などを積み重ね、近親者の証言をも集めて重層的に事件を解いていく過程は強烈に読者を引き込む。
昭和24年という時代背景のなかで起こされた事件は、他殺か自明にも拘らず警察は自殺説を取り、進駐する米軍人の支配下であり、鉄道利権とヤクザ、権力者が集まる亜細亜産業の暗躍。
誰が何を目的としてどの様に下山事件に関わっているのか。
それを解明する為の事件の実態は伏魔殿のように悪事を隠蔽している。
歴史的な事実を元にし綿密に調べ上げたドキュメントだけに、大変説得力があり事件の真相と思われる内容は実に衝撃的なものだった。 -
Posted by ブクログ
2冊続けて同じ著者の本を読んだ。ノンフィクション寄りのフィクション、ということでとても面白かった。主人公が登場するまでは下山事件の本と似たような受け止め方で読みかたで進んだが、その後は推理小説っぽさが出てきてスッキリ読めた。
色々な思想を背景とする思惑がいくつかあって、自分達の思惑を邪魔する力が強大になってくるとその力を消そうとさえする。権力と結びつく影の力とかもあるんだろうとは思うけど、そういう人達も恐らく私利私欲のためだけではないのだろうと思うと、そうやってこの国はバランスをとってきたのかなぁ、とも思う。著者も取材を重ねて得られた真実と、証言、推測や憶測、噂などを組み合わせて創っていく中で -
Posted by ブクログ
一部名前を変えているが、個人や組織が特定できるノンフィクションに近いフィクション。
あまりにもスムーズに描かれるのであの事件の真実はこうだったんだろうな、と思わせられる。
ただでさえ、多くの人が疑問に思っているであろう事件だったので、話を読むと、なんだか答え合わせをしている気分にさえなってくる。
おそらく発行部数でベストセラーになっていることは間違いないが、普通に新聞の書評で評価されることはないだろう。
なぜならば題材がかなりトリッキーだし、著者の命が危ないんじゃないかと思わせる内容だからだ。
それがまた、人気に拍車をかけていることは間違いない。 -
Posted by ブクログ
2022年7月奈良県で元総理が凶弾に倒れた。こんな出だしでストーリーが始まる。どうしても現実に起こったあの事件と重ねてしまう。でも、この小説はフィクションだという。
41歳の男性が現行犯逮捕された。ある宗教団体への恨みがあり、関わりのある元総理へ恨みの矛先が向かったという。ここまでは、現実の世界でも、小説の世界でも同じだ。ただ、その先の展開は、この作品では思いもよらない世界が描かれている。
新聞社襲撃事件、宗教団体、右翼、警察、防衛省、銃、スナイパー、政権与党、公安、ジャーナリスト、奈良、皇室、元号、さまざまな要素が絡み合って、事件の裏側を探っていく。普段の生活では考えの及ばない世界が繰り -
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ネタバレ『WOLF』(柴田哲孝)に引き続き気になった『TENGU』。
作品紹介であらすじを知った時に読もうと思ってから1年経ってようやく読み終えた…。
壮大なスケールのお話の中で感じた内容は以下7点。
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❶DNA鑑定、解析
過去に読んだ『DNA鑑定 犯罪捜査から新種発見、日本人の起源まで』(梅津和夫)の振り返りキッカケになりました。
犯人特定、親から子への遺伝、食品偽装、遺伝性疾患、薬の効き具合、ガンの罹りやすさ、寿命の長さ、死亡年代、遺族と犠牲者照合………奥深すぎてだんだんわからなくなってきた笑
もう一度読み直す必要ありそうだなー。
❷記者
小説