柴田哲孝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
戦後最悪の首相は誰か。記憶に新しいところでは原発対応を失敗した菅直人だとか、いや、格差社会を助長した小泉純一郎だとか、ちょっと戻って派閥金権政治の象徴である田中角栄だとか、いろいろ意見はあるだろう。しかし多くの国民を見殺しにしたという点においては、間違いなく村山富一だ。
1995年1月17日未明に阪神淡路地方を襲った未曾有の大地震。真冬の寒さのなかで倒壊した建物の下敷きになり救助を待つ人に、襲いかかったのは大規模な火災だった。道路は寸断され、消防車は行く手を阻まれ、消化活動ができない。このような大規模災害時において救助活動ができる能力があるのは自衛隊だけだが、自衛隊は出動要請が来なければ -
Posted by ブクログ
私立探偵 神山 健介シリーズ第一作。
柴田節炸裂の「今どき」ハードボイルド。
銃をぶっぱなしたり、
大がかりな悪の組織と闘ったりという
「荒唐無稽」な話ではない。
酔っぱらったところを襲われれば骨折もするし、
車で飲みに行った帰りは代行を呼んだりと、
細かいリアリティが感情移入を手助けする。
が、あくまでハードボイルドである。
主人公は女にもて、ボクシングの経験があり
ジムで体を鍛え、車の運転も玄人はだしと、
男の子があこがれる「格好いい男像」は
きっちりと押さえている。
伏線の張り方も巧みだし、ミスリードも自然。
最後のどんでん返しは、若干予定調和っぽいか。
でも何より「平和なシー -
Posted by ブクログ
阪神・淡路大震災の影に、実は国際的な陰謀が蠢いていた。阪神、東京、アメリカ、北京五輪を控える中国を舞台に、日系米国人のジャーナリスト、ジョージ松永が真相に迫る。
ノンフィクションも手がける著者の柴田哲孝氏だけに、事実を織り込みながら読者を惹きつける。
阪神大震災では、法律的な手順の問題などから、自衛隊の出動が遅れ、災害派遣法が改正された。この時、重点的に変えられたのは原子力災害への派遣規定だった、という。
少し長いが引用する。
「松永は、胸騒ぎを覚えた。阪神淡路大震災の教訓を踏まえた自衛隊法の改正であるはずなのに、なぜ”原子力災害”なのか。当たり前に考えれば、原子力発電所の事故に対応す -
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
柴田哲孝『蒼い水の女 刑事・片倉康孝 大井川鐵道殺人事件』光文社文庫。
片倉康孝刑事シリーズ第5弾。西村京太郎の旅情ミステリー小説かと思うようなタイトルに、柴田哲孝の旧作を改題した作品かと思ったら、新作の文庫化作品であった。
バキバキの警察小説である。しかし、真犯人の動機がどうにも理解出来ないし、どうしてこんなに手の混んだ犯罪を犯したのか納得出来ないのだ。先のシリーズ4作は全てそこそこ面白かったと思うのだが、一体どうしたことだろう。
石神井公園の三宝寺池で男性の水死体が発見される。遺体の肺の中からは三宝寺池の水とは異なる水質の水が検出され、警察は男性が違う場所で溺死させられ、三宝寺池に -
Posted by ブクログ
『Mの暗号』の続編と言って良いだろうか。
著者の名著でもある『下山事件』とも絡んでくる本作。
諸々と所感を述べたいところなのだが、初めて読む読者の方々には、ぜひネタバレせずサラの状態で読んで欲しいので、多くを語るのはやめておこう。
ぜひ、各作品を読んでいただきたい。
さて、とはいえ本作はダイヤモンドについてめぐる作品であるが、ダイヤモンドの評価であるGIAのグレーディングレポートはかなり近年であり、戦時中の供出の時代は国内での評価基準は優良可だったように記憶している。
私自身、帝国ホテルの日本最古の宝飾店に勤めていたが、かつてGHQの本部も近く、当時は進駐軍がよく銀器やパールを求めたも