柴田哲孝のレビュー一覧
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何処までが史実で、どこからがフィクションなのか。
太平洋戦争の広く知られた知識が、どんでん返しを食らうような連作5話。
『異聞 東京大空襲』
3.10の東京大空襲が、すでに3月5日の時点で知っていた日本人がいたとは。しかも、一方の米軍も日本から反撃に出ないとわかっていて、無防備のまま低空で爆弾を投下したと。
日米のなれ合いの空襲?
死んでいった何十万人の民間人の死は何だったのか。国家の非情さを痛感させられる。
『異聞 真珠湾攻撃』
12.8の日本軍による真珠湾攻撃も、アメリカ側では事前に感知されていたことは、ある程度知られた話でもある。
日本の歌「目ん無い千鳥」が奇襲攻撃の暗号であり、米軍側も察知していた日米合作の謀略と。「真珠湾奇襲攻撃作戦は、最初から馴れ合いだった」。
また、真珠湾という浅瀬の場所を奇襲に選んだ日本側特に山本五十六の判断、さらに攻撃対象にしたのは旧式の船舶ばかりで肝心の燃料の備蓄タンクと修理ドックを攻撃しなかったという疑問。
山本の言葉通り1年か1年半で終わらせる予定だった日米の思惑を狂わせたのは、ソビエトの存在。これは、次の『異聞 海軍甲事件』にもつながる。
前線視察中だった連合艦隊司令長官山本五十六の搭乗機が、米軍戦闘機に撃墜され、戦死した事件。
機上即死との軍部の発表には、隠された事実があると。
検視では、墜落後しばらく生きていた山本が、軍部によって殺された可能性が。
何故なら、山本は密かにアメリカへの亡命を企てていたからとか。
軍人の象徴的存在だった山本元帥にそんなことがあったとは、まさにどこまでが真実か衝撃的である。
『異聞 久米島事件』
久米島での凄惨な出来事は、読むのもおぞましい。戦争は、人間をここまで鬼にしてしまうのか。
『ノモンハン事件』
国境を局地的に譲ってもなんということもないノモンハンで、何故紛争が起きたのか。その原因が、そこにあるというチンギス・ハーンの墓にあり、古書によるとチンギス・ハーンは源義経だったと。
清王朝がチンギス・ハーンの後裔であったなら、日本が承認した満州国を世界が認めないわけにはいかなくなる。満州はそもそも日本の国土だった・・・・。
まことに、どこまでが真実でどこからがフィクションか。
「歴史とは常に、後世の権力者によって都合良く捏造された架空の物語なのだよ」 -
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巻頭で「この物語はフィクションである」と述べられているが、安倍元首相狙撃事件と旧統一教会を題材にしていることは、明らか。
また、フィクションであると断らなければ、ここまでリアルに描ききれなかっただろう。
現実世界では、旧統一教会がらみの宗教二世による単独犯説と認定されているが、この小説ではその見解に異を唱え、宗教二世の容疑者以外にプロの狙撃者がいたという説を採っている。
なにしろ、壇上に立った被害者を低い位置から狙撃したはずが、解剖をした担当医の所見では、致命傷になったのは逆方向からの高い位置からの着弾によると。
事件現場となった演説会場は、他に比べていかにも狙撃しやすい場所であり、その場所の選び方にも何か作為があったのでは記されている。警察幹部も巻き込んだ暗殺計画なのか。
その背景には、元首相がトランプと口約束してしまったトマホークの購入だったり、”令和”年号問題だったり、東京オリンピックの利権も絡んでいると。
さらには、”国葬”の理由や、元首相と宮内庁の間には、以前から対立があったとの記述も。
1987年の赤報隊による朝日新聞阪神支局襲撃事件から説き起こしたこの”小説”、どこからがフィクションでどこまでが事実なのか、考察の虫が掻き立てられる問題作。 -
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今年の1月に奈良地裁で検察の求刑通り無期懲役が山上被告に下された安倍元首相銃撃事件をベースにしたフィクション。
「小説だからどうとでも書けるでしょ」と言い切れるか?国を守るためにある情報機関や警察組織が時として隠し事をする自由主義国家におけるブラックボックスであることを知っていれば、J.F.K.暗殺と同様の疑惑が生まれて不思議はない、と私は思う。
著者も、安倍元首相銃撃事件の公式発表に強い違和感を持ったので、本書を書いたようで、ノンフィクションとして纏めるには情報が(おそらくは、かなり)不足していたためフィクションにしたようである(池上冬樹氏の解説から推測)。
小説として面白く読めるし、自由主義国家における闇を知ることもできるので、一読して損はない、と思う。 -
Posted by ブクログ
安倍元総理銃撃事件をもとにしたフィクション。
二〇二二年七月八日。田布施博之元総理が奈良県の近鉄大和西大寺駅前で演説中に凶弾に倒れ死亡した。
実行犯は奈良市内に住む上沼卓也 四十一歳。男は警察の取り調べに対し
「母親が “ある団体” に入会した影響で家庭生活がめちゃくちゃになった。その団体を成敗しなくてはならないと思い、その団体と関係が深い田布施元首相を狙った…」と供述した──。
スゴイものを読んでしまった。
タイトルが もう『暗殺』だし…。
“フィクション”と謳われているから
“フィクション”と思って読んでいるけれど 現実の事件と あまりにもリンクしているので 読んでいて現実とフィクションの境界が曖昧になってくるような気さえする。
第一部、第二部で語られるのは
長年にわたり政財界で暗躍してきた
フィクサーの逆鱗に触れた 新元号
“令和” がもつ隠された意図。
そしてそれがキッカケで作られた一連のシナリオ。
実行犯の上沼は “オズワルド”の役だ─。
年数をかけ 着実に舞台の準備がされていき 事件当日を迎える。
第三部、第四部では 上沼卓也の単独犯で解決を急ごうとする警察に不信感を持った雑紙記者の一ノ瀬が 独自に事件の調査をはじめる。
“消えた弾丸” と 謎が残る “射角” ─。
実際、この問題は現実の事件でも取り沙汰されたらしい。 気になってネットで調べたら 一応 説明はついているということだった。一応ね…。
本当にスゴイものを読んでしまった。まだ熱に浮かされている感じ。
いったい この国を動かしているのは誰なんだ!
虎の尾には気をつけましょう(^_^;)
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本書は史実をもとにしたフィクションですが、タイトルに異聞とあるように定説や正史に疑問を投げ掛ける非常に興味深い内容でした。
私には史実とフィクションの境界線が曖昧で何が真実なのか正直分からなくなってしまった。
なので自分なりにどの部分が事実なのか調べてみて愕然とした。
「超空の要塞」
東京大空襲の陰謀論がテーマの話で、作戦指揮を取ったルメイの言葉に耳を疑った。
「日本の反撃は事実上なかった」
えっ日本軍は何をしてたの?と。
ルメイの作戦は非常にリスクの高い作戦にも関わらず米軍の損害は微々たるもので日本は10万人以上の犠牲者を出した。
なぜ日本は無防備だったのか?
私が調べたところによると、本土決戦に向け戦力温存と夜間迎撃機と高射砲を所持していなかった。
そしてB-29の接近を数時間前に知りながら空襲警報を出したのは爆撃の開始数分後で、実質「軍と政府に見捨てられた」といっても過言ではない。
そして、なぜ東京が攻撃の対象になったのか?日本の首都というだけでなく、戦争早期決着の為の幾つかの理由があった。
本書はそんな謎(反撃がないことを知っていた)に政治的意図、陰謀が介在したのではないか、少し突飛的な見解ではあるが当時の政府、軍の隠蔽体質を考えると有り得なくもないと思わされる。
衝撃的だったのが、沖縄久米島の話。
日本軍による住民虐殺事件の顛末、読んでいてとても辛かった。
何かと軍命、非国民、スパイという言葉で住民を脅し暴行、殺害、偏見、差別といった理不尽のオンパレード。。本来、国民、国を守るための組織のはずなのに……まるで鬼畜の所業だ。
以前読んだ「ひめゆりの塔」に沖縄住民は「米軍より日本兵の方が怖かった」といっていたのを思い出した。
その他、真珠湾攻撃、山本五十六の戦死の謎についても頷けるところが多く、ひとつの可能性として充分有り得る話ではないかと感じた。
結局歴史の正史なんて実際、何が嘘で何が真実なのかなんてわからない。
二・二六事件を扱った著書『雪はよごれていた』でも重要な書類があまりにも都合良く紛失している。
責任逃れ、「臭いものには蓋をする」体質が多くの謎と矛盾を生んでいる。
歴史は「勝者、一握りの権力者の手によって、いかようにも書き換えられ得る」
今私たちが生きている現代の社会、政治もその体質は変わらず生き残っている。
本書はそんな社会に対するアラートのような気がしてならない。
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ネタバレ戦後の未解決事件(はっきりとわかってないと言う意味で)の代表とも言える下山事件を亜細亜産業が黒幕という観点で真相に迫ったノンフィクション小説。
事件発生から70年も人々を引きつける不思議さはそれこそがミステリー。アメリカ占領期で今の日本とは違う危うさ、思惑が東京には渦巻いていたと考えれば、時間的にはつながっているけど、他の国の物語のようにも思える。
これまで様々な黒幕説が言われていたけど、ここでは戦前から続く亜細亜産業が黒幕で、作者の祖父も関わっていたのではないかという疑念が発端。これまで長きにわたり、下山事件を調べてきた作者には、著書を出すごとに匿名に近い形で、新たな情報が提供されており、一次情報に裏打ちされているところが(その一次情報が真実と仮定して)納得感を思わせてくれる。
これまで多くの本やテレビで取り上げられており、それらを含めて違うところや疑念をもって自身の考えを提示しているところはオリジナリティもあって面白い。もちろん、私がそれら全てを読んでこれを書いてるわけではないけど。
下山事件は浦沢直樹氏のビリーバットの1巻で取り上げられて初めて知った。あれを読んでからもう10年だから、私も下山事件にとりつかれた一人なのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ予約の順番が来るのを楽しみにしていたので一気読み。
前回の著作から新たに分かった事実を補完している。
前著を読んでいまだに関係者から情報が集まるのはすごい。
実行犯は亜細亜産業で決定的だなと思った。
他殺も決定的で、国鉄汚職や利権を奪われた人の恨みを買われた説が今や有力となっているが、GHQ陰謀説や共産主義主犯説など当時の社会情勢が複雑に絡み合っているからこの事件の複雑さがある。
...のではあるけれど真犯人はそういった社会情勢だからこそ、犯行動機がマスクされるのではと実行したふうにも解釈できる。
満足度★★★★。
実名を挙げないのはやはり裁判沙汰を避けるためなのかな?