【感想・ネタバレ】異聞 太平洋戦記のレビュー

あらすじ

東京大空襲、真珠湾攻撃、海軍甲事件、久米島事件、ノモンハン事件――五つの戦争の舞台を通じて、定説に挑む“異聞”を重層的に描く事実に基づいたフィクション。真実を暴く筆を持つ著者が史実の裏側に潜む可能性を照らし、「事実と虚構のあわい」に迫る。読む者の常識を揺さぶる戦記の新たな地平。光文社文庫 柴田哲孝三カ月連続刊行 第三弾!!

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Posted by ブクログ

本書は史実をもとにしたフィクションですが、タイトルに異聞とあるように定説や正史に疑問を投げ掛ける非常に興味深い内容でした。
私には史実とフィクションの境界線が曖昧で何が真実なのか正直分からなくなってしまった。
なので自分なりにどの部分が事実なのか調べてみて愕然とした。

「超空の要塞」 
東京大空襲の陰謀論がテーマの話で、作戦指揮を取ったルメイの言葉に耳を疑った。
「日本の反撃は事実上なかった」
えっ日本軍は何をしてたの?と。
ルメイの作戦は非常にリスクの高い作戦にも関わらず米軍の損害は微々たるもので日本は10万人以上の犠牲者を出した。
なぜ日本は無防備だったのか?
私が調べたところによると、本土決戦に向け戦力温存と夜間迎撃機と高射砲を所持していなかった。
そしてB-29の接近を数時間前に知りながら空襲警報を出したのは爆撃の開始数分後で、実質「軍と政府に見捨てられた」といっても過言ではない。
そして、なぜ東京が攻撃の対象になったのか?日本の首都というだけでなく、戦争早期決着の為の幾つかの理由があった。
本書はそんな謎(反撃がないことを知っていた)に政治的意図、陰謀が介在したのではないか、少し突飛的な見解ではあるが当時の政府、軍の隠蔽体質を考えると有り得なくもないと思わされる。

衝撃的だったのが、沖縄久米島の話。
日本軍による住民虐殺事件の顛末、読んでいてとても辛かった。
何かと軍命、非国民、スパイという言葉で住民を脅し暴行、殺害、偏見、差別といった理不尽のオンパレード。。本来、国民、国を守るための組織のはずなのに……まるで鬼畜の所業だ。
以前読んだ「ひめゆりの塔」に沖縄住民は「米軍より日本兵の方が怖かった」といっていたのを思い出した。

その他、真珠湾攻撃、山本五十六の戦死の謎についても頷けるところが多く、ひとつの可能性として充分有り得る話ではないかと感じた。

結局歴史の正史なんて実際、何が嘘で何が真実なのかなんてわからない。 
二・二六事件を扱った著書『雪はよごれていた』でも重要な書類があまりにも都合良く紛失している。
責任逃れ、「臭いものには蓋をする」体質が多くの謎と矛盾を生んでいる。
歴史は「勝者、一握りの権力者の手によって、いかようにも書き換えられ得る」
今私たちが生きている現代の社会、政治もその体質は変わらず生き残っている。
本書はそんな社会に対するアラートのような気がしてならない。

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2026年01月16日

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