あらすじ
“私”の中で、事件は終わったと思っていた。
だが、そうではなかった――。
ベストセラー『下山事件 最後の証言』から20年。
殺害現場を特定し、首謀者に迫る――。
いまだからこそ書ける、著者渾身のノンフィクション!
1949年、失踪した初代国鉄総裁下山定則が、線路上で死体となって発見された。この“昭和史最大のミステリー”に挑んだ大著『下山事件 最後の証言』(2005年祥伝社刊)は、日本推理作家協会賞を受賞するなど世に衝撃を与えた。
あれから20年――。新たに発見された資料・証言・写真をもとに、戦後史最凶の共謀殺のさらなる深層に迫る。
下山総裁は誰に、どこで、どのように殺されたのか? 現場付近で目撃された“替え玉”の正体とは? そして、首謀者 “X”の思惑とは――
GHQの特務機関員だった祖父を持つ著者畢生の探究、ここに結実!
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Posted by ブクログ
国鉄三大事件のうち、最も不可解なのが「下山事件」。
戦後の初代国鉄総裁が三越デパートで白昼に行方不明となり、翌日に常磐線と東武線の交差付近の土手で轢死体となって発見される。
これを警視庁は早々に自殺と断定し事件は闇に葬られた。
著者の作品群で下山事件の再発掘を読んできたが、それらは誰が事件を起こしたかの推定であり、なぜ事件が起きたのかが抜けていた。
その点がモヤモヤしていたが、本作では事件の発生原因に切り込んでいる。
76年前の未解決事件に対し、コツコツ証言を積み上げて真相に迫っていくノンフィクション。
Posted by ブクログ
自らの祖父が深く関わっていた下山事件を、事件関係者からの様々な証言や、読者からの新たな情報などを積み重ね、近親者の証言をも集めて重層的に事件を解いていく過程は強烈に読者を引き込む。
昭和24年という時代背景のなかで起こされた事件は、他殺か自明にも拘らず警察は自殺説を取り、進駐する米軍人の支配下であり、鉄道利権とヤクザ、権力者が集まる亜細亜産業の暗躍。
誰が何を目的としてどの様に下山事件に関わっているのか。
それを解明する為の事件の実態は伏魔殿のように悪事を隠蔽している。
歴史的な事実を元にし綿密に調べ上げたドキュメントだけに、大変説得力があり事件の真相と思われる内容は実に衝撃的なものだった。
Posted by ブクログ
情報量がものすごく多くて、頭がついて行かず、かなり苦労しながら読んできたし、たぶん3割程度しか理解していないだろう。しかし、清廉潔白な下山総裁が残虐な拷問の末に暗殺され、それに関わったと考えられる右翼グループが何ら罪を問われることなく権力の座に留まり続けたことを思うと心が痛む。金と権力のために人の命などろくに顧みない人たちが、日本の権力の中枢にいたし、今もいるということがわかる。著者の長年にわたる調査考察は敬意に値するし、彼がそこから導き出した結論は、納得のいくものだった。
Posted by ブクログ
前作「下山事件 最後の証言」から大幅にアップデートされ、ついに真相を明確に書いた(書いてしまった)。X氏、Y氏、Z氏と名前は伏せているものの、前後の文脈から実行犯の特定は容易で、まさに「真相」に足る内容。最高に面白かった。今後も昭和の怪事件を色々と読んでみたい。
Posted by ブクログ
予約の順番が来るのを楽しみにしていたので一気読み。
前回の著作から新たに分かった事実を補完している。
前著を読んでいまだに関係者から情報が集まるのはすごい。
実行犯は亜細亜産業で決定的だなと思った。
他殺も決定的で、国鉄汚職や利権を奪われた人の恨みを買われた説が今や有力となっているが、GHQ陰謀説や共産主義主犯説など当時の社会情勢が複雑に絡み合っているからこの事件の複雑さがある。
...のではあるけれど真犯人はそういった社会情勢だからこそ、犯行動機がマスクされるのではと実行したふうにも解釈できる。
満足度★★★★。
実名を挙げないのはやはり裁判沙汰を避けるためなのかな?
Posted by ブクログ
真の真相が語られているのか、一つの可能性が語られてるのか?しかし、著者の家族が深く関わっていることは間違いなく、そこから推察される事は正しいと思われる。
下山事件はその事件の不可解さに着目しすぎて、下山さん本人のことにあまり関心が無かったが、巻頭にある下山さんの写真を見て、人柄の良さそうなこの方がなぜ殺されなければならなかったのか、大きな陰謀では無く、些末で利己的で感情的なことで殺められてしまったのではないか。それが故にこの事件は不可解になってしまったのではなかろうか。
Posted by ブクログ
いろいろなレビューを読んで読み始めたが、予備知識のない読者にとっては、なかなか手ごわい。
途中から、事件の再現部分になると、少しは楽に読みすすめられたが、、、。
元々事件に興味のある人には、おすすめです。