成田龍一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2022年から高校で「歴史総合」という新しい科目の授業は始まることを受けて、歴史家の先生方の議論をまとめたユニークな著書だ.課題図書に相当する本を選択して、それをベースに議論を進めるという形だが、文系の方々には違和感のないものらしいが、専門分野が違う先生方が盛り上がる議論を展開させていることに驚いた.日本史と世界史を分けないで総合的に学んでいく方法は面白いと感じた.包括的な捉え方でなく、個人ベースの事実を基にした歴史の構築を目指しているのだと理解した.気になったキーワードは、複合革命論、鉱物依存型経済、門衛国家、りドレス運動、無限定性、植民地責任、アフラシア.
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Posted by ブクログ
高校で「歴史総合」という科目が登場するということだ。その「歴史総合」なるモノを念頭に、「考える材料」というような内容のシリーズが出ているようで、本書はその一冊であるのだということだ。「高校の科目」というようなことになると、自身で直接に関与していたのは「余りにも昔」で最近の様子は余り判らない。それはそれとして、「歴史総合」という科目は本当に「これから」という代物であるようだ。
歴史上の様々な事実が示され「それを如何思う?」ということに関しては、そういう問いを投げかけられた人の数だけ回答案が在るように思うのだが、とりあえずそういうことを「科目」にして行くのが「歴史総合」というモノであるらしい。が、 -
Posted by ブクログ
2022年4月から高校新科目「歴史総合」が始まる。これを契機に歴史の捉え方を歴史叙述を通して前近代から現代まで深めていくという試み。私が高校性の時は世界史・日本史と区分されていて、しかも古代から現代までを通時的に、個々のイベントを単に暗記していくという授業しかなく、一方そのころ日本or世界では?という俯瞰したものはとか複合的な視点で読み解くなんてものはなかったな。さらにいうと、近代以降ってそんな重点置かれていなかった気がする。
通俗的に持っている印象とは異なる視点を提供してくれている、多面的な視点で過去から現代、未来を歴史学を通して想像する、そういった力が必要なのだな。
フランス革命や世界大 -
Posted by ブクログ
日露戦役後、坂を登りきった日本の25年を内に立憲主義、外に帝国主義のコントラストで描く。世界的には第一次大戦の規模からもわかるようにグローバル化の深化がある時代である。本書では国内的に大衆社会化が進展する様子を様々な切り口で解説する。(ただ、民俗学の常民のくだりだけは本書から浮いているように見える)
原敬日記「将来、民主主義の勃興は実に恐るべし、是れ余も官僚も同様に心配する所なるが、只官僚は此潮流を遮断せんと欲し、余らは之を激盛せしめずして相当に流通して大害を起こさざらん事を欲するの差あり」とある。1905日比谷事件、1918米騒動、1923関東大震災の虐殺と、もはや逆行することのできない大衆 -