成田龍一のレビュー一覧

  • 近現代日本史と歴史学 書き替えられてきた過去

    Posted by ブクログ

    歴史像を記す歴史家は、自らが生きる時代の影響を受けながら歴史を解釈する。本書を読みながらそんなことを考えた。

    相当な量の近現代史研究の著作が紹介される。中には、その評価について意見が大きく割れたものもある。正直な所、近現代史の歴史学を通史として見せるにあたって妥当であるのか否か判断に迷った。

    歴史学以外の政治学、経済学、社会学、女性学などの著作も紹介されているが、バランスのとれた選び方なのか、こちらも評価が難しい。この人の著作を紹介するなら、なぜ、あの人の著作は取り上げられないのか不思議に感じる点もあった。

    意図的に紹介していないのではと思う学者が数名頭に浮かんだ。また、私の感覚では大事

    0
    2013年04月07日
  • 近現代日本史と歴史学 書き替えられてきた過去

    Posted by ブクログ

     「開国」「倒幕」「維新政権」「自由民権」「大日本帝国論」「日清・日露戦争」「大正デモクラシー期」「アジア・太平洋戦争」「戦後社会論」の9つの時期区分・テーマ別の戦後近現代史学史概説。

     戦後の歴史学研究の潮流を、第1期(敗戦-1950年代~)=「社会経済史(マルクス主義・近代主義)」、第2期(1960年代~)=「民衆史」、第3期(1970年代後半~)=「社会史」と区分けし、それらが重層的に日本近現代史研究を規定しているという見方を前提に、代表的な研究業績をそれぞれの時代状況との緊張関係の中に位置づける。大学の歴史教育の講義が元になっているので、初学者のための研究入門テキストと言える(そのま

    0
    2018年08月16日
  • 近現代日本史と歴史学 書き替えられてきた過去

    Posted by ブクログ

     タイトルでは何の本かわからなかったが、成田さんの本は好感をもっていたので購入。

     日本の近現代史が、様々な歴史かからどのように批判され、今、どの位置にあるか、という過程を分析した本。

     歴史学発展過程論のようなもの。都市計画の世界で『都市計画の理論と系譜』という大著があるが、その歴史学版。

     雑学のようなもんだが、なるほどと思った点。

    (1)戦後は、マルクス主義にベースをおいた遠山茂樹先生の考え方が、随分、日本史の教科書にも反映されていること。

    (2)鈴木裕子氏に対して、上野千鶴子氏が「戦後の位相から女性リーダーの言動を批判している」と批判していること。(p224)

     上野さんも

    0
    2012年04月15日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

    Posted by ブクログ

    岩波新書の「シリーズ日本近現代史」のなかの1冊。以前、『ネオ・リベラリズムの精神分析』で著者の言葉として紹介したように、近年はマクドナルドや吉野家、ユニクロといった安値競争が激化しているなか、アカデミズム出版業界も単価が安い新書への充実が図られている。そんななか、岩波新書でもこのシリーズが全10巻で企画されていたことを最近知った。
    私事だが、最近引越しをした。未読の本も含めほとんどをダンボールに積めてしまい、読書中の本も引越し当日前に読み終えてしまい、あまり大きくない本をということで、急遽購入したもの。本当は同じシリーズの吉見俊哉『ポスト戦後社会』が欲しかったのだが、職場近くの書店にあったのは

    0
    2011年08月10日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

    Posted by ブクログ

    タイトル通り、大正デモクラシーの概説書。民衆にスポットをあて大正期の社会運動について当時を生きた「一般」の人びとの声を拾いながら時代の雰囲気を描写しています。著者自身が「民衆」や「社会」を研究の対象としているため内容がそちら側に偏重しており、当該時代の政治や経済についてはほとんど触れられていません。ですので狭い意味での「日本近現代史の概説書」「大正時代史」を期待して読んでしまうととまどってしまいます。しかし、先にも述べたとおり当時の一般人の雰囲気を感じるのには最適の本ではないでしょうか。

    0
    2009年10月04日