成田龍一のレビュー一覧

  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

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    1910ごろから1930ごろまでの大衆社会、政治、文化、マイノリティの変遷を概観しながら、大正デモクラシーというものについて整理する一冊。大衆運動、社会主義、帝国主義、民本主義など思想的にも錯綜し、なかなか全体像を見通すことのできない大正時代を捉えるにあたって最適な一冊である。
    この時代についてのある程度の知識があれば、それがうまく整理されてきて気持ちいい読後感を味わえるだろう。

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    2012年03月19日
  • 近現代日本史と歴史学 書き替えられてきた過去

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    ネタバレ

    教科書を使って普段授業をしているが、扱っている歴史像も「絶対」ではなく、相対的に捉える必要がある。その認識を踏まえたうえで、では、どのように歴史像が書き換えられたり、注目される歴史事象が変化してきたのかという点に関して、従来の研究史やさまざまな私たちが読む歴史出版物を整理し、状況分析を行った著作。著者の関心は特に近現代ということで、日本近現代がどのように描かれてきたかを述べている。
     私たちが自明のように語ったり、「利用している」歴史の色々な人物イメージ・評価や事件のそれも実は絶対的なものではなく、社会情勢や政治情勢の影響を受けイメージ・評価が上下するものである。そのことを強く認識するきっかけ

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    2012年03月17日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

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    日露戦争後に爛熟期を迎えた日本社会の様相を、「帝国」という枠組の中での国民の形成、そして国民による運動に焦点を絞りながら明らかにしている。なかでも、植民地に対する国民の意識や、女性の社会進出・政治参加に関する記述などは、概説書の中でも白眉。

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    2011年12月31日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

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    [ 内容 ]
    多彩な言論や社会運動が花開き、政党内閣の成立へと結実した大正デモクラシーの時代。
    それは、植民地支配が展開する時代でもあった。
    帝国のもとでの「民衆」の動きは、どんな可能性と限界をはらんでいたか。
    日比谷焼打ち事件から大正政変、米騒動、普通選挙の実施、そして満州事変前夜に至る二五年の歩みを、「社会」を主人公にして描く。

    [ 目次 ]
    第1章 民本主義と都市民衆
    第2章 第一次世界大戦と社会の変容
    第3章 米騒動・政党政治・改造の運動
    第4章 植民地の光景
    第5章 モダニズムの社会空間
    第6章 恐慌下の既成政党と無産勢力

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆

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    2011年05月15日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

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    日比谷焼打ち事件に象徴される幾多の騒擾に始まり、満州事変、五・一五事件の中で終焉を遂げる「大正デモクラシー」の歴史像。

    「主婦之友」1927年5月号の中で、すでに夫婦の性的生活がトピックになっているという話は面白かった。「セックス特集」なるものを編み、性生活を赤裸々に露わす風潮は、現代の女性誌特有の傾向なのかと思っていたら、80年前からやっとるんかい……。また、「太陽」1924年1月号ではすでに内地在住朝鮮人への参政権付与の是非を尋ねていて、韓国併合当時からこの問題が存在していたことが判る。そして、大正デモクラシーを終焉に導いた原因として、「東京朝日新聞」は「第一に腐敗、第二に無能である」と

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    2010年09月05日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

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    成田龍一『大正デモクラシー』(岩波書店)

     「大正デモクラシー」が、第一次と第二次の世界大戦間の一時期を画する歴史事象であることは、よく知られている。
     明治期の「殖産興業」「富国強兵」、戦前の「十五年戦争」にはさまれて、「自由」、「政党政治」、「穏健」のキーワードが思い浮かぶ。

     1905年の「日比谷焼き討ち事件」。「雑業者」と「旦那衆」。日露戦後の講和をめぐる評価をめぐる意思表示。「雑業者」と「旦那衆」による「東京騒擾」が発生する。

     大正デモクラシーといえば、民主主義の用語の前に「民本主義」。吉野作造の名が浮かぶ。民本主義には、国内で主張される「政権にもとめる自由、主権」と、政権と

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    2009年10月04日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

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    近現代史シリーズの第四弾。大正デモクラシーを中心に大正時代、さらには満州事変前夜までの流れが書かれている。

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    2009年10月04日
  • ドリトライ 1

    匿名

    ネタバレ 無料版購入済み

    何度でも心の強さで立ち上がり前に進む
    ド級のリトライ ドリトライだ!

    ご愛読ありがとうございました。雲母坂盾先生の次回作にご期待下さい。

    #笑える

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    2023年12月17日
  • 世界史の考え方

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    vi
    「歴史知識万能論による…」
    歴史認識
    ・事実の認識 歴史実証
    ・事実関係の解釈 歴史解釈
    ・解釈の意味の検討 歴史批評
    ・研究成果の表現 歴史叙述
    +歴史対話
    +歴史創造(歴史主体としての社会参画)

    23
    川北の世界史学

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    2023年06月01日
  • 歴史像を伝える 「歴史叙述」と「歴史実践」

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    第2集は「歴史を学ぶ営み=歴史像を伝える」について様々な資料を題材に検討する。「歴史総合」の歴史像はどうなるのかを多角的に考察する。とっても面白いのだが。
    疑問が一つ。そもそもこのシリーズって高校に新しく導入される「歴史総合」って科目を検証するものでは? だとするとここでの検討は高校生の実力とは乖離しすぎているのでは? こういう科目であって欲しい、こういう切り口もあるのでは、というのは分かるけど、「中学生にメジャーリーガーの投手を打て」とサインを出すようなもんじゃないのかな。

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    2022年08月19日
  • 世界史の考え方

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    歴史総合の授業に向けて読んだが、この手の本の基本的な読書量が足りず、イマイチ理解できなかった。再読しなければいけないが、手が伸びるかどうか・・・

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    2022年07月18日
  • 歴史像を伝える 「歴史叙述」と「歴史実践」

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    ネタバレ

    <目次>
    はじめに~三つの「手」
    第1部  「歴史叙述」と「歴史実践」
      序章   歴史像を伝える
      第1章  明治維新の「歴史像」
    第2部   「歴史総合」の歴史像を伝える
      第2章  「近代化」の歴史像
      第3章  「大衆化」の歴史像
      第4章  「グローバル化」の歴史像
    むすびにかえて~「戦後歴史教育」の軌跡のなかで

    <内容>
    歴史学者が、日本の戦後歴史教育の問題点と現在の注意点を挙げているのだが、難しい。言いたいことはわかるが、この「歴史実践」をするために、まず「思想」を理解することと、何を題材にできるかの「思考力」、そしてそれを教材化するためにどれくらいの準備が必要なのか

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    2022年07月17日
  • 近現代日本史との対話【幕末・維新―戦前編】

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     長らく歴史叙述のあり方をメタ的に考察してきた著者による近代日本を貫く通史。まさに「成田史学」の集大成で、国際関係と政治経済と庶民生活を(事実の羅列ではなく)同一のフレームで立体的に描くという離れ業を行っているが、立脚する理論が「国民国家論」や「総力戦体制論」であるため(いずれも歴史学界では必ずしも支持されていない)、専門家からは批判が予想される。近代世界の変容を「システム」の重層的変化として捉えているが、その「システム」に固有名詞を与えず(例えば「国民国家」システムとか「帝国」システムというような)、あえて「システムA」とか「システムB」という抽象的な概念規定を行っている点も問題となろう。

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    2019年12月25日
  • 戦後史入門

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    若い読者に向けて、戦後の日本の歩みを語りかけた本です。とくに歴史のさまざまな見方があることを、ていねいに解説していることが印象的です。

    沖縄や女性、在日コリアンなどの視点によって、一枚岩のように見なされている戦後史が、じつは一定の解釈の視点にもとづいて構築されたものであることを読者に気づかせるような工夫がなされています。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』にえがかれた「古き良き時代」の裏で起こっていた事実に目を向けることで相対化を試みるなど、興味深い切り口から歴史について学ぶことの意義を考えさせる入門書だと思います。

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    2019年08月23日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

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    とてもおもしろいとか、ものすごく新しい知見があったということはなかったが、とりあえず、最後まで興味をもって読むことが出来た。当たり前といえば当たり前なのだが、このシリーズの前巻があまりに読むのがつらかったので、それだけでうれしい。そろそろ、柳田国男や、小林秀雄、江戸川乱歩など、知った名前がでてきたり、レコードやラジオが登場し、「そうかなるほど、明治から見ていくと、こういうタイプスパンなのか」と、時間の幅が実感できたのがよかった。""

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    2018年11月06日
  • 戦後史入門

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     高校生向けに書かれた戦後史の本。わかりやすいが、最近戦後史(昭和史)に興味を持っているためか、あらかたの知識がすでにあり、新鮮みはなかった。良い復習はできた気がする。

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    2017年07月15日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

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    ネタバレ

    当時の市井の人々はどのように思って生きていたのか分かりませんが、現在から振り返ってとても暗い時代だったように感じます。第二次世界大戦の戦場で亡くなった人も圧倒的に大正生まれの人たちだったように思います。大正天皇も若くして薨去されました。韓国併合や第一次世界大戦、米騒動そして関東大震災と塗炭の苦しみを生きたように想います。この平成の世は100年後の世から振り返ったとき、どのような時代だったと評価されるのでしょうか。

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    2016年10月23日
  • 近現代日本史と歴史学 書き替えられてきた過去

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    本書でわかることは、歴史学がイデオロギーの学問であることだ。
    戦後しばらくは経済発展の理論に基づいて開国以降を論じ、何の出来事がどの段階にあるのか論争をするという不毛な議論があった。
    やっと以上の議論が不毛であると気づいたのか2期と3期には民衆や女性からみた歴史に重点が置かれるなどしている。
    これはそもそもの歴史学の枠組みの転換であろう。国史から日本史への意識の転換だといえる。例えるならこれまでの国語の教科内容が古文・漢文・現代文だったところに、生成文法が追加されたようなものではないか。
    本書では以下の記述は無いが、このはっきりしたパラダイムの変更はマルクス主義がその滅亡において舵を切ってきた

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    2017年08月14日
  • 近現代日本史と歴史学 書き替えられてきた過去

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    幕末〜敗戦後までの時期を扱った日本史史(歴史学の歴史学)。本書は1950年台〜2000年台の日本史学を3期に分けて、各テーマごとにどのような蓄積や発展を経てきたのかを解説するものです。

    内容的にとくに印象的な部分だとか、面白い部分があるだとかいうことはなので、若干退屈なものになってしまうのですが、戦後日本史学界の歴史と各テーマとのマトリクスを淡々と解説していくという性質上、これはもうどうしようもないことだとは思います。

    第1期〜第3期までの各時期には、それぞれの時代背景に起因する固有の問題意識や方法論の共有があり、それにより各時期の歴史学が近現代の「日本」について表象してみせた「歴史像」に

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    2013年11月02日
  • シリーズ日本近現代史 4 大正デモクラシー

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    少々物足りなさを否定できないが、それは叙述が時間の不可逆性に対する感度が低い”オーソドックスな”スタイルであることにも起因していると思う。
    まぁシリーズものだから内容が総花的にならざるを得ない面も多々あるのだろうが、現在そして将来の日本を考えるにあたり、個人的にはこの時代、つまり日本人にとってデモクラシーとは本当に腑に落ちている思想なのか?の検討が最も重要だと思うので、評価も厳しくならざるをえない訳で。

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    2013年04月20日