【感想・ネタバレ】近現代日本史との対話【幕末・維新―戦前編】のレビュー

あらすじ

これまでの通史の多くは、国家としての日本が辿ってきた道筋を軸に記述してきた。それに対し本書は、人びとの動きがつくり出す一つの流れ――人間関係から社会の仕組みまで――を「システム」として捉え、その変遷を軸に近現代日本の歴史を叙述する。本書は、“幕末・維新―戦前編”として、システムA1(国民国家の形成)・システムA2(帝国主義への展開)とシステムB1(戦争への動員体制)を軸に、そのシステムのもとでの人びとの経験とその意味を考える。システムの推移を追うことで、さまざまな出来事が、その力学の中で作用し合っていることが見えてくる。“いま”を知るための手掛かりとなる近現代日本史の決定版。高校の新必修科目「歴史総合」にも対応! 【目次】はじめに/第一部 国民国家の形成/第一章 幕末・維新(一八五三―一八七七年)/第二章 民権と憲法(一八七七―一八九四年)/第二部 帝国主義への展開/第一章 日清・日露の時代(一八九四―一九一〇年)/第二章 デモクラシーと「改造」(一九〇五―一九三〇年)/第三部 恐慌と戦争/第一章 恐慌と事変(一九三〇年前後)/参考文献/略年表

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Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
第1部  国民国家の形成
 第1章  幕末・維新(1853~1877)
 第2章  民権と憲法(1877~1894)
第2部  帝国主義への展開
 第3章  日清・日露の時代(1894~1910)
 第4章  デモクラシーと「改造」(1905~1930)
第3部  恐慌と戦争
 第5章  恐慌と事変(1930年前後)

<内容>
近現代の通史であるが、「政治」とか「経済」とかをたどるのではなく、「システムとそのもとでの人々の経験」をベースとする通史である。したがって、”厚い”(新書で465ページ)。これは前半で、後半も同じくらい厚い。そして、読んでいてよくわかる。語られることは、著者の主観的な部分もあるが、読んでいて面白い。ちゃんとした読み物である。 

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2019年03月28日

Posted by ブクログ

幕末から第二次世界大戦前の日本の歴史。アジアの一国でしかなかった日本が明治維新、日清日露戦争を経てヨーロッパの列強に肩を並べていく。歴史では1925年に普通選挙とありましたが、そこに辿り着くまでに困難な道があったこと。また農村と都市部では経済格差があったこと。植民地を獲得していくなかで、帝国主義の元で郡部が暴走していく過程など。ちなみに大日本帝国憲法が日本の本国のみにしか適用されていなかったことをはじめてしりました。

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2019年03月18日

Posted by ブクログ

 長らく歴史叙述のあり方をメタ的に考察してきた著者による近代日本を貫く通史。まさに「成田史学」の集大成で、国際関係と政治経済と庶民生活を(事実の羅列ではなく)同一のフレームで立体的に描くという離れ業を行っているが、立脚する理論が「国民国家論」や「総力戦体制論」であるため(いずれも歴史学界では必ずしも支持されていない)、専門家からは批判が予想される。近代世界の変容を「システム」の重層的変化として捉えているが、その「システム」に固有名詞を与えず(例えば「国民国家」システムとか「帝国」システムというような)、あえて「システムA」とか「システムB」という抽象的な概念規定を行っている点も問題となろう。

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2019年12月25日

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