吉見俊哉のレビュー一覧
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「このようなカルチュラル・スタディーズにとって、「文化」の概念と同じように根底的なのは、「ポピュラー」とは何かという点である」 ー 25ページ
この本を読むまでは、単なる文化研究とカルスタって何が違うのだろう?レベルの理解度だったが、カルチュラル・スタディーズとは何かについて、かなり理解が深められたような気がする。
文化を自明のものとして考えず、権力やその社会構造との結びつきを捉えることを主眼にしているということが分かれば、なぜカルスタがポピュラーカルチャーとの親和性が高いのかについてもよく理解できる。
翻って、自分自身の研究をカルスタっぽくやるとどうなるのだろう?とか色々と疑問に浮かぶ -
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ネタバレ[ 内容 ]
バブルとその後の長期不況、深まる政治不信、そして高まる社会不安。
列島が酔いしれた高度成長の夢のあと、何が待ち受けていたのか。
崩れゆく冷戦構造のなかで、この国は次第に周回遅れのランナーとなっていったのではないか。
六〇年代半ばから現在まで、政治・経済・社会・家族…すべてが変容し崩壊していく過程をたどる。
[ 目次 ]
第1章 左翼の終わり
第2章 豊かさの幻影のなかへ
第3章 家族は溶解したか
第4章 地域開発が遺したもの
第5章 「失われた一〇年」のなかで
第6章 アジアからのポスト戦後史
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆ -
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[ 内容 ]
日本の近現代史を振り返ったとき、天皇は、伝統、宗教、土着、愛国心などを表象し、アメリカは、近代、合理主義、外来文化などの代名詞であったことがわかる。
しかし、両極端であるはずのこれら二つのキーワード―「日本的なものの象徴・天皇」と「帝国・アメリカ」は、複合的に絡み合いながら日本と東アジアの二〇世紀に関与し続けてきた。
時に、天皇こそ近代であり、アメリカこそ宗教であるという矛盾の中から、果たしてどのような歴史像が浮かび上がってくるのか?
二つの奇妙な力の場を拠点に、歴史的想像力の可能性を切り開く。
[ 目次 ]
序章 天皇とアメリカの二〇世紀(天皇とアメリカは均等ではない;転換期 -
- カート
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試し読み
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半ば反抗的に、文系はいかにして役に立つのかを説いてるように見えてしまった箇所有り。
視点は違えど、大局的には「役に立つか否か」という土俵で議論を始めたのは主張の本筋からズレている気がした。
ただそうでもしないと内容の片鱗さえも伝わらないことを危惧した結果なのであれば、分からなくもない。
理系は何を扱い、文系は何を扱うのか、その説明から丁寧に行えば、自ずと「文系」の存在意義が浮き彫りになるのではと強く思うが、記憶に残っていない(書いてるかもしれないけど)。
一方、鷲田清一先生が書かれた「文系が危ないのではない。文化が危ないのだ。」という紹介文は極めて的を得ていると思う。 -
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読み始めてすぐにちょっと私には難しいかも…と思いながらも暗渠という言葉に惹かれて読んでみました。
暗渠、この言葉を知ったのは他の小説を読んで興味を持ちこの本を読んでみる事に。
東京は暗渠が沢山あり、歴史に触れながら、街を舞台に話は進んでいきます。
知らなかった東京、何故今の形になったのかが知れて難しいかもと思っていたのに楽しく読み終えました。
本書は街歩きガイドと書かれていますが、知らなかった歴史、街作りの課題を知る事で道がただの道ではなくなります。
知らずに歩いていたのがもったいない気持ちになりました。そしてやっぱり歩いてみたいです。 -
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大学論に関する骨太な新書。これより先に出版された『大学とは何か』も持っているのだが、『大学とは何か』は世界における大学の成り立ちや歴史についての内容が多く、積んでしまっていた。本書『大学は何処へ』も買っただけで放置していたのだが、Audibleにあるのを見つけて視聴。出版は2021年で、コロナ禍における大学運営についての記載があったが、コロナ禍が明けた今読んでも十分興味深い内容だった。様々な歴史的失敗やボタンの掛け違い、あるいは日本に深く根付いている年度の区切りの問題など、もはや大学だけではどうにもできなさそうな状況ではあるが、糸口を見つけていかなければいけないだとは思う。順番は逆になってしま
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渋谷、六本木、下北沢、代官山、新宿、赤坂などの都心南部の川の暗渠や台地を中心とした都心の街歩き
東京が3度の占領を経験した都市であることを紐解くことで、その時代の権力者たちの思惑や考えが見えてくる。
東京が寺や神社が多い理由。現代と比べて、科学的な裏付けがない時代で神様が身近であることや、人口が増えて行く過程を考えると納得。
特に身近な渋谷や港区の街歩きは、身近に感じました。
家康、薩長、アメリカと3度の支配で、東京はその姿を大きく変える。
戦争に負けると言うことは、自分たちの価値観が根底から変わること。戦後も、アメリカが港区の一等地を占拠するなど、自分の街なのに思い通りにならない現実がある -
- カート
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試し読み
購入済み原子力政策は特に必読
アメリカという国が、東海岸の端から、西へ西へと拡がり、ついにこの列島まで飲み込んで行ったことが本当によく分かりました。特に、被爆国なのに、原子力の「平和利用」という虚構を自ら喧伝し、原子力発電所を積極的に作っていったというところは、目を覆いたくなる思いでした。
なお、電子版だけの校正漏れで、一度アプリを閉じたら直っていたのですが、一時期「いかんなく」を「遺憾なく」ではなく、「如何なく」としていたり、また、これは、まだそのままだったのが、小笠原諸島に先に注目したというくだりで、イギリス」の「イ」が抜けて、「ギリス」になっていたりしていた(第2講)、のは、岩波ともあろうものが、と思えました。
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『一高帝大』って何って思ってたんですよ。
明治や大正、昭和初期の文豪の作品や経歴を見てると、一高-東京帝国大学出身者が異様に多い。『一高』で検索すると後の東京大学教養学部って出てくるけど、一高から東京帝国大学に進学するんじゃないの?東京帝国大学=東大じゃないの?一高があるんだから二高や三高もあるよね?と次々と疑問が湧いてきます。おまけに、専門学校や高等師範学校、予備門とか高等女学校とかもあって、どういうパスで進学するのかとか、それぞれの学生が何歳なのかとか分からないことだらけでした。
本書は近代大学の歴史として、第一章で中世ヨーロッパ型、第二章でアメリカ型、第三章で帝国大学型の3種類の大学制 -
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<目次>
はじめに 街歩きの文明論~狭く、曲がった、下り坂の楽しみ
第1日 駅から丘へ、丘から川へ、渋谷川筋を歩く
第2日 古川流域で高低差を実感し、町殺しの現場に遭遇
第3日 目黒川上流域のふたつの「川」と「まち」の地層
第4日 三田用水沿いに織りなされる軍都と自然
第5日 蟹川と新宿歌舞伎町の「裏」に広がる風景
第6日 青山・六本木・赤坂の川筋に見る軍都東京
第7日 都心の谷間から皇居を裏返す
<内容>
前著の時には感じなかった、東京の変遷を「街歩き」をしながら感じた。ブラタモリや暗渠巡り、近代の東京史などを読んできたか?実際に歩いてみたい。 -
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オリンピックや万博のような国家イベントの開催、成長の時代を再演するものとしてここに作動するメカニズムを、著者は「お祭りドクトリン」と名付けるのだが、多くの日本人が五輪や万博を「国民的なお祭り」として受け止める心性はどのように形成されたのか、それを著者は明らかにしようとする。
第Ⅰ章では、64年東京五輪の<舞台>に焦点が当てられる。軍用地から競技場への、軍都東京からオリンピックシティ東京への変容が論じられる。全国的にもかつての軍事施設が競技場や公園に転換したが、東京オリンピックにおいても軍用施設が主要会場に転用された。そして、代々木のオリンピック競技場及び選手村が作られた場所が米軍施設返還 -
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東京人21年10月号の特集「上野の杜の記憶」で著者とこの本を知る。
東京の東北部を七日間で歩いて過去を思い、感じて、未来を考えることのできる本。
ただし実際に歩くには、この本だけでは新書故の文量制限もあり、情報不足は否めない。特に地元民ではない者は事前の予習や地図アプリ持参などの準備が必要だろう。
第1日 都電荒川線に乗って東京を旅する 鬼子母神~雑司ヶ谷~巣鴨~王子・飛鳥山
第2日 秋葉原-上野ー浅草間に路面電車を復活させる 万世橋・秋葉原~上野~浅草
第3日 動物園を開放し、公園を夜のミュージアムパークに 黒門~上野東照宮~博物館動物園駅~寛永寺~不忍池
第4日 都市にメリハリをつけなが