吉見俊哉のレビュー一覧

  • 大学とは何か

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    中世のボローニア、パリ大学に始まり、イギリスのオックスブリッジ、そして19世紀のドイツでナポレオンの仏に押される中で、知の先進国としてのフンベルト大学の隆盛、そして20世紀はジョンズ・ホプキンス大学から米国の時代に。中世から近代にかけて大学が衰退し、近代知のパラダイムが浮上した時代があった!大学が学問的想像力を失い、古臭い機関に成り下がった時代があった!デカルト、パスカルスピノザなどが大学と縁があったのか!との指摘は興味深いものがある。日本の大学がドイツのフンベルト型大学をモデルに帝国大学を導入したとのこと。森有礼の理想、そして戦後は南原繁の考え方とプロテスタンティズムが日本の大学の方向性決定

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    2017年05月30日
  • 大学とは何か

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    ネタバレ

    大学を「コミュニケーションメディア(=媒介)」の一種と捉え、大学再定義を試みる。しかし、大学は「何々である」という普遍的な定義ではない。中世の都市、活版印刷(出版)の出現、近世の国民国家の出現と共に大学の定義は揺らいできた。ネットの出現により、メディアとしての大学の位相も劇的に変化しつつある。現在の最も大きな位相の変化は「国民国家の退潮」である。そして、国民国家の中で設立された旧制大学(特に帝国大学)モデルは、大きな転換が求められている。そのキーワードは「マネジメント力」であるようだ。
    教育面でのマネジメント力の強化のキーワードは、「リベラルアーツ」である。従来の「教養」とは異なる、「リベラ

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    2017年05月02日
  • 「文系学部廃止」の衝撃

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    『大学とは何か』が大学論の基礎文献ならば、この本は現代日本への応用編。キャッチーなタイトルに反して、中味の射程は深い。前半の報道とその反応をめぐる浅薄さは痛快。学問の有用性を問い直す中で、文化にとって根源的な遊戯性の指摘で締めたことが印象的だった。

    ・大学には、学生や保護者への説明責任が大学にはあるのですが、説明責任を負うことと奉仕することは違います。
    ・「教養」は国民国家的な概念。グローバル教養は形容矛盾。
    ・イギリスでは「カレッジ」とは学寮のことで、学生が所属する大学の基本単位。日本でいえば学部。米国では「大学院」と「高校」にはさまれた「学部レベル」の教育課程を意味する。
    ・「教養」がど

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    2016年04月12日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

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    「あとがき」まで読んで、優れた一書であることを痛感。戦後の事件やイベントを巡る解釈や視点じたいが大変、興味深い。しかし、最後の方になって、だからそれがなに?という疑問がふつふつと沸いてきた中で、あとがきで、ガツンと気合いを入れられた感じがした。歴史の脱構築である。

    ・べへいれんのシングルイシュー主義。
    ・<未来>を準拠点にして現在を位置づけることは、近代社会の根幹をなす価値意識。これがなくなりつつある。『現代日本人の意識構造」から
    ・この30年間で地方農村でも社会関係が「都市化」され、全人格的なつきあいは厭われるようになっていった。
    ・石原慎太郎による環境行政の後退。
    ・六ヶ所村は満州、樺太

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    2014年04月10日
  • カルチュラル・スタディーズ

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    「このようなカルチュラル・スタディーズにとって、「文化」の概念と同じように根底的なのは、「ポピュラー」とは何かという点である」 ー 25ページ

    この本を読むまでは、単なる文化研究とカルスタって何が違うのだろう?レベルの理解度だったが、カルチュラル・スタディーズとは何かについて、かなり理解が深められたような気がする。

    文化を自明のものとして考えず、権力やその社会構造との結びつきを捉えることを主眼にしているということが分かれば、なぜカルスタがポピュラーカルチャーとの親和性が高いのかについてもよく理解できる。

    翻って、自分自身の研究をカルスタっぽくやるとどうなるのだろう?とか色々と疑問に浮かぶ

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    2013年06月27日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

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    すごく面白かった!!

    歴史を知ること、社会を知ることってのは、それだけで終わっちゃだめだね。その連続性の延長に、あるいは空間的な社会の形成過程に自分の存在を見なきゃいけない。
    メディアの報道では遠隔地の出来事の「同時性」がむしろそれを画面の中のイベントのように見せるけれども、本当に大事なのは、その出来事のどこに自分がいるかを考えることなんだと思うんだよね。
    そしてそれは歴史も一緒ですな。この本を読んで、この国、この社会の成り立ちと自分との連続性を少し見れた気がするんですよ。とても勉強になりました。

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    2013年01月30日
  • 大学とは何か

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    中世から現代に至る高等教育の歴史を辿った本。
    大学について語るためにまずは歴史から知りたい人にオススメ。
    特に日本の現代史を綴った四章が面白かった。

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    2012年03月08日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    バブルとその後の長期不況、深まる政治不信、そして高まる社会不安。
    列島が酔いしれた高度成長の夢のあと、何が待ち受けていたのか。
    崩れゆく冷戦構造のなかで、この国は次第に周回遅れのランナーとなっていったのではないか。
    六〇年代半ばから現在まで、政治・経済・社会・家族…すべてが変容し崩壊していく過程をたどる。

    [ 目次 ]
    第1章 左翼の終わり
    第2章 豊かさの幻影のなかへ
    第3章 家族は溶解したか
    第4章 地域開発が遺したもの
    第5章 「失われた一〇年」のなかで
    第6章 アジアからのポスト戦後史

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆

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    2011年04月26日
  • 天皇とアメリカ

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    [ 内容 ]
    日本の近現代史を振り返ったとき、天皇は、伝統、宗教、土着、愛国心などを表象し、アメリカは、近代、合理主義、外来文化などの代名詞であったことがわかる。
    しかし、両極端であるはずのこれら二つのキーワード―「日本的なものの象徴・天皇」と「帝国・アメリカ」は、複合的に絡み合いながら日本と東アジアの二〇世紀に関与し続けてきた。
    時に、天皇こそ近代であり、アメリカこそ宗教であるという矛盾の中から、果たしてどのような歴史像が浮かび上がってくるのか?
    二つの奇妙な力の場を拠点に、歴史的想像力の可能性を切り開く。

    [ 目次 ]
    序章 天皇とアメリカの二〇世紀(天皇とアメリカは均等ではない;転換期

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    2014年10月26日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

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    力あんな、この人。

    というのが最初の感想かな。
    タイトルは歴史ですが、社会学といってもよい。筆者は社会学者。社会を如何に見ていくかを含めた歴史ですね。

    このシリーズは良書に始まりました。シリーズの最後は良書で終わるんでしょうか。期待です。

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    2009年10月04日
  • 自己との対話 社会学者、じぶんのAIと戦う

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    ♯100日チャレンジ、と並行して読んだので、AIについて考えさせられた。著者も、険悪なくらい(笑)詰めているが、AIは自信満々で嘘をつく。ふだん、コパイロットなどを使っていても、イラッとするが、新書一冊分の対話を見ていると、恐ろしさも感じてしまう。
    どう付き合っていくのか
    ひとりひとりが考えるためにも
    読むべき本。

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    2026年04月05日
  • 自己との対話 社会学者、じぶんのAIと戦う

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    ネタバレ

    AIに、自分の著作、論文、公開していないノートなどを学習させ、できるだけ、社会学者としての自分に近づけるように訓練して、社会学や社会問題について議論する。AIがどこまで社会学者の自分の分身になっているか、有意義な議論ができるのかを検証した本。

    全体の印象として、AIに対して「戦う」というスタンスで、カッカしているのは吉見氏の方だけで、AIは、淡々と、極めてクールである。AIは、自分の間違いや一貫性のなさをつかれて、恥ずかしいとか嫌だという感情のないことの表れだろう。結局、AI の間違いは、吉見氏の学習のさせ方が足りないからであって、機械に罪はない。とはいえ、ハレーション(幻想、でっち上げ)は

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    2026年03月11日
  • 自己との対話 社会学者、じぶんのAIと戦う

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    現在のAIがこんなにも、人間味あふれる存在だとは思いもよりませんでした。
    小賢しさがあったかと思えば、謙虚さもあり、でも一番驚いたのはその変わり身の早さ、人間にもこんな人いるなあ、と感じながら読みました。
    AIがポジティブ思考というか、楽観主義者であるのはなぜなんでしょうか?
    でも、トランプ大統領をAIがこき下ろしていのには、爆笑しました。その慧眼にまた驚きました。

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    2026年02月22日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

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    ネタバレ

    ポスト戦後社会の始まりは、高度成長の終焉。新自由主義の台頭、冷戦の終結でポスト戦後社会。
    ・理想の時代ーリアルな豊かさ、家族、地域開発、連合赤軍の時代から
    虚構の時代ー虚構の劇場、リゾート、伝統的家族の分解、オウム真理教の時代。
    ・国土計画の対抗軸は、開発vs環境と中央集中(格差拡大)vs地方分散(格差縮小)とする。新全総は開発・地方分散、三全総は環境・地方分散、四全総は新自由主義を背景に開発・中央集中。新全総の大規模工業基地は失敗、三全総は地方が治水・工業団地ととらえ失敗。四全総をわきに置いた民活法・リゾート法も失敗。
    ・2009年刊行であるが、少子高齢化、非正規雇用の拡大、格差社会により、

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    2026年02月06日
  • 自己との対話 社会学者、じぶんのAIと戦う

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    社会学者が自分の論文などをすべて読み込んだ“自分の”AIと対話を進めながら、大学の定義や今後、東京一極集中などについて議論、AIの限界を同時に探る試み。AIに案外間違いが多いこと、間違いを指摘すると素直に認めて節操がないと言いたくなるほど簡単に修正すること、時には回答に固執して反論を試みることなど、議論の中身そのものより議論の仕方を楽しめる。AIだから感情的になることはもちろんなく、ひたすら丁寧に論筋を修正していく。本筋とはずれる感想だが、「確かに」「おっしゃる通り」など、相手の言葉にいったん同意しつつ異なる主張をするディベートは、人間同士の議論にも応用できると同時に、あまりに丁寧に同意と修正

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    2026年01月05日
  • アメリカ・イン・ジャパン ハーバード講義録

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    日本の中でアメリカがいかに浸潤しているかを史観で語る。東京大空襲とディズニーランドの部分はアメリカの怖さを感じる。

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    2025年11月29日
  • 「文系学部廃止」の衝撃

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    半ば反抗的に、文系はいかにして役に立つのかを説いてるように見えてしまった箇所有り。
    視点は違えど、大局的には「役に立つか否か」という土俵で議論を始めたのは主張の本筋からズレている気がした。
    ただそうでもしないと内容の片鱗さえも伝わらないことを危惧した結果なのであれば、分からなくもない。

    理系は何を扱い、文系は何を扱うのか、その説明から丁寧に行えば、自ずと「文系」の存在意義が浮き彫りになるのではと強く思うが、記憶に残っていない(書いてるかもしれないけど)。
    一方、鷲田清一先生が書かれた「文系が危ないのではない。文化が危ないのだ。」という紹介文は極めて的を得ていると思う。

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    2025年11月27日
  • 大学はもう死んでいる? トップユニバーシティーからの問題提起

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    日本は早期後発型の近代社会として、100年以上にわたり母国語で研究教育を行う余裕があり、日本語による独自の知を生み出すことができた。しかしその蓄積が逆に英語化を難しくし、国際社会の周辺に取り残される要因ともなっている。だからこそ今さら無理にグローバル競争に追随するのではなく、日本的な方法で柔軟に適応する道を探るべき。

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    2025年10月01日
  • 東京裏返し 都心・再開発編

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    読み始めてすぐにちょっと私には難しいかも…と思いながらも暗渠という言葉に惹かれて読んでみました。
    暗渠、この言葉を知ったのは他の小説を読んで興味を持ちこの本を読んでみる事に。
    東京は暗渠が沢山あり、歴史に触れながら、街を舞台に話は進んでいきます。
    知らなかった東京、何故今の形になったのかが知れて難しいかもと思っていたのに楽しく読み終えました。
    本書は街歩きガイドと書かれていますが、知らなかった歴史、街作りの課題を知る事で道がただの道ではなくなります。
    知らずに歩いていたのがもったいない気持ちになりました。そしてやっぱり歩いてみたいです。

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    2025年07月06日
  • 大学は何処へ 未来への設計

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    大学論に関する骨太な新書。これより先に出版された『大学とは何か』も持っているのだが、『大学とは何か』は世界における大学の成り立ちや歴史についての内容が多く、積んでしまっていた。本書『大学は何処へ』も買っただけで放置していたのだが、Audibleにあるのを見つけて視聴。出版は2021年で、コロナ禍における大学運営についての記載があったが、コロナ禍が明けた今読んでも十分興味深い内容だった。様々な歴史的失敗やボタンの掛け違い、あるいは日本に深く根付いている年度の区切りの問題など、もはや大学だけではどうにもできなさそうな状況ではあるが、糸口を見つけていかなければいけないだとは思う。順番は逆になってしま

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    2025年07月03日