吉見俊哉のレビュー一覧

  • 東京裏返し 社会学的街歩きガイド

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    大変面白かった。渋沢栄一と川の関係性に唸る。コロナ禍が落ち着いたら、この本を片手に歩いてみたい。地形を知ることで歴史を学び、自分の足で感じることで、街の見え方が変わってきそう。

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    2021年05月07日
  • トランプのアメリカに住む

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    アメリカの現状を細かに解説した読み応えのある好著だ.ライシャワー パラダイムの論考、非軍事的ナショナリズム/デモクラシー/日米安保体制を軸に戦後の日米関係の基礎を築いた由.「ハミルトン」が大好評なのは聞いていたが、就任前のペンス副大統領へのブーイングは面白い.菅総理へのブーイングはあるかな.TVドラマで復活版「ロザンヌ」でロザンヌ・バーが不適切なtweetで一夜にして首になった話も楽しめた.大学教育でハーバード大学のシラバスの素晴らしさとTA(Teaching Assistant)との連携が、密度の高い講義を創り出しているとの考察は多くの大学人に知らせるべきだと感じた.「日本のなかのアメリカ」

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    2020年11月30日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

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    「東日本大震災」という大きな出来事が起こる前の著作ではあるが、90年代までの日本現代史を概観するのにうってつけの一冊ではないだろうか。
    いわゆる編年体の書物ではなく、社会学的な視点から日本(人)の歩みを記している。10年前の著作であるため、最終章のJカルチャー輸出の記述はやや古くなっている。

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    2020年05月11日
  • 「文系学部廃止」の衝撃

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    巷で耳にする"そんなん学んで何になるの"という言説に漠然とした不安を抱えている文系学習者にお勧めしたい一冊。文系の知が役に立つことを述べてくれるだけでなく、個人的には文系の論文の構成について詳しく述べているので、論文作成時にも役立つと思う。
    吉見先生のゼミ、時間があれば参加してみたいな〜!今期のシラバスも凄かったそうな

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    2020年04月09日
  • 平成時代

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    まず1章で、世界の財界のことも、日本の財界のことも、私があまりに無知であることに呆れた。特に製造業のことが。
    政治や社会、文化についての章は、知識としては知っていても、それが何を意味するのか、という記述は私を内省へと導く。

    失敗からしか学べない。
    危機からしか変われない。
    著者の姿勢は、読む者を暗澹たる気持ちにさせるが、ここから強靱な思索が営めるかどうかが今、問われている。

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    2020年02月28日
  • 大学はもう死んでいる? トップユニバーシティーからの問題提起

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    ネタバレ

    2020/1/22 喜久屋書店北神戸店で購入。
    2020/1/27〜1/30

    読む順リストを大幅に飛ばして読む。
    東大とオクスフォード大の教授お二人による対談形式で日本の大学と欧米の大学についての分析と批評が繰り広げられる。欧米がすべて良いわけではないが、文科省主導の日本の大学改革が良い方向に向かっていないのは明らかで、そのあたりの現状分析は鋭い。また、分析するだけでなく、対策なども議論されており、非常に優れた内容。順番を飛ばして読んだ価値があった。

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    2020年01月30日
  • 平成時代

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    日本の平成30年は失敗の歴史だった。のっけから強烈なメッセージを発する著者。そして、その失敗の具体例があげられる。

    グローバル社会、ネット社会に乗り遅れた日本企業たち。特に金融や家電業界では縮小、倒産が連鎖した。政治の世界では政権交代を繰り返しつつも、結局は与党一極集中と極端なポピュリズムだけが生き残った。さらに大企業と正社員に富が集中し、拡大する格差社会とそれに伴う少子化。そして、2つの大震災。

    こうしてながめてみると、たしかに平成はろくでもない時代だった。が、それなら平成後のネクスト安倍政権や東京オリンピック、消費増税などに希望があるのかと問われると、心もとない。

    批判的な眼で見れば

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    2019年10月22日
  • 平成時代

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    【一九八九年から二〇一九年までの「平成」の三〇年間は、一言でいえば「失敗の時代」だった】(文中より引用)

    タイトルずばり,平成とはいかなる時代だったのかを詳述した作品。特にその時代の「失敗」に焦点を当て,ポスト平成に求められるものとは何かにつき検討を重ねていきます。著者は,『トランプのアメリカに住む』等の著作で知られる吉見俊哉。

    かなり厳しい平成評であるため,著者があとがきで記しているように読んでいてかなり気分が重くなりました。しかしその厳しさ故に勉強となる教訓についても多く触れられており,平成以後を考える上で大変参考になる一冊だと思います。

    平成本は数多く発売されていますが☆5つ

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    2019年10月04日
  • 都市のドラマトゥルギー

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    【エキサイティングな都市社会論】

    ・きっかけ
    都市論の名著ということで東京史のおさらいもと思って積読状態に。

    ・要約
    東京の盛り場の形成と変遷を、そこに集まる人々による「上演」という視点で背後にある空間形成戦略と社会構造から読み解く。
    上京者のアイデンティティと未来性という軸から語る。

    ・感想
    いわゆる衒学的なきらいはあったが、関心分野だったので知的な興奮を覚えながら一気に読める。
    社会学的なアプローチとして、先人の議論の援用と膨大な資料による論証の作法は参考になる。
    都市空間を舞台とし、人々を演者ととらえ、さらにメディアの視点も交えつつ、丁寧に出来事をたどっていく作業。修論がベースとい

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    2019年05月15日
  • トランプのアメリカに住む

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    アメリカをめぐるさまざまな視点の中で、アメリカが壊れてきていることを論じている。ロシア疑惑、ワインスタイン、ロザンヌ、メキシコ、など切り口は多岐にわたるが、トランプの存在がその象徴として中央に存在することは間違いない。東アジアにおける日本も同様のアプローチが可能と思われるが、日本に出口はあるのでしょうか?

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    2018年12月29日
  • トランプのアメリカに住む

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    ネタバレ

    著者がハーバード大学で教えるためにアメリカはマサチューセッツ州ケンブリッジに滞在した、2017年9月から2018年7月までの間の滞在記である。時はトランプ大統領の就任1年目から2年目にあたる。当初の滞在目的は「あくまでハーバードの教育システムを内部に入り、それがどのように廻っているかを体験」することであったが、トランプ政権誕生で事情が変わった。この書もハーバードの教育システムにも触れるが、アメリカで次々と発生した「ポスト真実」「ラストベルト」「人種差別」「セクハラ」「銃乱射」といった問題に向き合い、アメリカの今を映し出すルポとなっている。
    興味深かったのは、ハーバード大学を扱った第3章、ラスト

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    2018年11月04日
  • 「文系学部廃止」の衝撃

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    タイトルがキャッチーすぎて、コアな人文系の人々が敬遠するのではないかと心配してしまうけれど、とても読みごたえのある良い本だった。

    教養とリベラルアーツの違い、文・理の区別の歴史的背景、文系は社会にとって長期的に役に立つということ、未来の大学像などなど、文学部の学生としては興味深い話題ばかり。

    日本の文系軽視の問題だけでなく、現代において「学ぶこと」の価値とは何かというところまで深く掘り下げているので、文系や大学関係者だけでなく、あらゆる人に読んでほしい。

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    2017年11月13日
  • 大学とは何か

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    中世のボローニア、パリ大学に始まり、イギリスのオックスブリッジ、そして19世紀のドイツでナポレオンの仏に押される中で、知の先進国としてのフンベルト大学の隆盛、そして20世紀はジョンズ・ホプキンス大学から米国の時代に。中世から近代にかけて大学が衰退し、近代知のパラダイムが浮上した時代があった!大学が学問的想像力を失い、古臭い機関に成り下がった時代があった!デカルト、パスカルスピノザなどが大学と縁があったのか!との指摘は興味深いものがある。日本の大学がドイツのフンベルト型大学をモデルに帝国大学を導入したとのこと。森有礼の理想、そして戦後は南原繁の考え方とプロテスタンティズムが日本の大学の方向性決定

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    2017年05月30日
  • 大学とは何か

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    ネタバレ

    大学を「コミュニケーションメディア(=媒介)」の一種と捉え、大学再定義を試みる。しかし、大学は「何々である」という普遍的な定義ではない。中世の都市、活版印刷(出版)の出現、近世の国民国家の出現と共に大学の定義は揺らいできた。ネットの出現により、メディアとしての大学の位相も劇的に変化しつつある。現在の最も大きな位相の変化は「国民国家の退潮」である。そして、国民国家の中で設立された旧制大学(特に帝国大学)モデルは、大きな転換が求められている。そのキーワードは「マネジメント力」であるようだ。
    教育面でのマネジメント力の強化のキーワードは、「リベラルアーツ」である。従来の「教養」とは異なる、「リベラ

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    2017年05月02日
  • 「文系学部廃止」の衝撃

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    『大学とは何か』が大学論の基礎文献ならば、この本は現代日本への応用編。キャッチーなタイトルに反して、中味の射程は深い。前半の報道とその反応をめぐる浅薄さは痛快。学問の有用性を問い直す中で、文化にとって根源的な遊戯性の指摘で締めたことが印象的だった。

    ・大学には、学生や保護者への説明責任が大学にはあるのですが、説明責任を負うことと奉仕することは違います。
    ・「教養」は国民国家的な概念。グローバル教養は形容矛盾。
    ・イギリスでは「カレッジ」とは学寮のことで、学生が所属する大学の基本単位。日本でいえば学部。米国では「大学院」と「高校」にはさまれた「学部レベル」の教育課程を意味する。
    ・「教養」がど

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    2016年04月12日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

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    「あとがき」まで読んで、優れた一書であることを痛感。戦後の事件やイベントを巡る解釈や視点じたいが大変、興味深い。しかし、最後の方になって、だからそれがなに?という疑問がふつふつと沸いてきた中で、あとがきで、ガツンと気合いを入れられた感じがした。歴史の脱構築である。

    ・べへいれんのシングルイシュー主義。
    ・<未来>を準拠点にして現在を位置づけることは、近代社会の根幹をなす価値意識。これがなくなりつつある。『現代日本人の意識構造」から
    ・この30年間で地方農村でも社会関係が「都市化」され、全人格的なつきあいは厭われるようになっていった。
    ・石原慎太郎による環境行政の後退。
    ・六ヶ所村は満州、樺太

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    2014年04月10日
  • カルチュラル・スタディーズ

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    「このようなカルチュラル・スタディーズにとって、「文化」の概念と同じように根底的なのは、「ポピュラー」とは何かという点である」 ー 25ページ

    この本を読むまでは、単なる文化研究とカルスタって何が違うのだろう?レベルの理解度だったが、カルチュラル・スタディーズとは何かについて、かなり理解が深められたような気がする。

    文化を自明のものとして考えず、権力やその社会構造との結びつきを捉えることを主眼にしているということが分かれば、なぜカルスタがポピュラーカルチャーとの親和性が高いのかについてもよく理解できる。

    翻って、自分自身の研究をカルスタっぽくやるとどうなるのだろう?とか色々と疑問に浮かぶ

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    2013年06月27日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

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    すごく面白かった!!

    歴史を知ること、社会を知ることってのは、それだけで終わっちゃだめだね。その連続性の延長に、あるいは空間的な社会の形成過程に自分の存在を見なきゃいけない。
    メディアの報道では遠隔地の出来事の「同時性」がむしろそれを画面の中のイベントのように見せるけれども、本当に大事なのは、その出来事のどこに自分がいるかを考えることなんだと思うんだよね。
    そしてそれは歴史も一緒ですな。この本を読んで、この国、この社会の成り立ちと自分との連続性を少し見れた気がするんですよ。とても勉強になりました。

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    2013年01月30日
  • 大学とは何か

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    中世から現代に至る高等教育の歴史を辿った本。
    大学について語るためにまずは歴史から知りたい人にオススメ。
    特に日本の現代史を綴った四章が面白かった。

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    2012年03月08日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    バブルとその後の長期不況、深まる政治不信、そして高まる社会不安。
    列島が酔いしれた高度成長の夢のあと、何が待ち受けていたのか。
    崩れゆく冷戦構造のなかで、この国は次第に周回遅れのランナーとなっていったのではないか。
    六〇年代半ばから現在まで、政治・経済・社会・家族…すべてが変容し崩壊していく過程をたどる。

    [ 目次 ]
    第1章 左翼の終わり
    第2章 豊かさの幻影のなかへ
    第3章 家族は溶解したか
    第4章 地域開発が遺したもの
    第5章 「失われた一〇年」のなかで
    第6章 アジアからのポスト戦後史

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    2011年04月26日