吉見俊哉のレビュー一覧

  • トランプのアメリカに住む

    Posted by ブクログ

    トランプの切り口と、ハーバードの教育制度との2つの切り口でちょっと、観点がぶれているようにもおもえますが、いろいろな発見がありました。
    東大教授が、トランプ統治下のアメリカで、ハーバードで1年間授業をもったものを扱っています。

    気になったのは以下です。

    ■過去数十年で、日米の教育格差は縮まるどころか広がってきた。アジア、中国の台頭により、日本の役割は大幅に後退している。

    ■トランプのアメリカを理解する上での4つの視点
     ①ポスト真実化 フェーク
     ②階級の次元化 ラストベルトの白人層の支持、
     ③ナショナリズムと人種主義
     ④性差別と暴力の次元

    ■浮上するロシア疑惑
    ・トランプ政権とロ

    0
    2023年07月24日
  • 平成時代

    Posted by ブクログ

    平成の30年を「壮大な失敗の歴史」と捉え、経済、政治、災害、文化、オリンピック、基地問題、人口問題等を取り上げ論じる。希望のかけらもない、ただ失敗の渦巻く時代であったと位置付けている。果たして本当にそうなのか?確かに、ポジティブな要素を見つけようにも、見つけられない・・。私たちはこれらの壮大な失敗から何かを学んで、未来に活かすことができるのだろうか。その展望について知りたくなる。

    0
    2023年07月01日
  • シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会

    Posted by ブクログ

    1970年代後半以降のポスト戦後社会は、それまでに構築されてきた日本近現代の「時間」や「主体」が、自壊していくプロセスだったと言える。

    高度成長期からの開発によって日本列島の自然は深刻なダメージを受け、産業の空洞化も進んだ。
    また郊外化や核家族化の中で、日本人は内的自我を空洞化させていった。
    新自由主義は、豊かさの幻想を打ち砕き、格差社会をまじまじと我々に見せつける。
    これらをさらに促進する効果を持ったのが、グローバリゼーションである。


    ==========


    日本の深刻な有り様から目を逸らすのではなく、それと向き合いながら悲観に陥ることなく希望や展望について思索していきたい。

    0
    2023年02月02日
  • 平成史講義

    Posted by ブクログ

    昭和天皇の死去と平成天皇の即位は、歴史の流れとは全く別の、特定個人の物語であるが、平成の始まりは、冷戦の終結やバブルの崩壊と不思議に重なっており、「平成史」というものを語る根拠となっているように感じる。
    本書は平成の30年間を、色々な論者が、色々な側面(例えば、政治・経済・若者・教育、等)から論じたものを1冊にまとめたものである。1つ1つの論文は興味深いものもあれば、全然面白くないものもあるが、全体として平成時代の動きを想起させてくれる。

    平成とは総じて言えばどういう時代であったのかについて、編者が述べている部分が何カ所かあるので、ここに引用しておきたい。
    ■総じて平成は失敗の30年であった

    0
    2022年10月06日
  • 大学とは何か

    Posted by ブクログ

    半分が西洋の大学の歴史で、残り半分が東大中心の帝国大学の話である。教員養成大学についてはほとんど説明していないので、東大生向きの大学の説明となろう。

    0
    2022年05月29日
  • 大学は何処へ 未来への設計

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    文理の格差は大学の法人化にある

    P.59 東京帝大 第二工学部

    P.62
    …今日の私立工業大学の中核[例えば東京都市・工学院・芝浦工業]は、この戦後末期の工学系大拡張の副産物として生まれているのだ。

    中でも東海大は大規模総合大学に発展した

    P.63
    …明治学院、青山学院、関東学院の三つの「学院」が一校への統合を迫られている。

    …ミッション系ではない私学、たとえば明治大学や中央大学、立命館大学では、むしろこれをチャンスとばかりに工業専門学校を開設し、それが戦後、それぞれの大学において大規模な工学部に発展することになる。

    P.68
    …大綱化のなかで大学の「教養」と「専門」の敷居を取っ払

    0
    2022年01月15日
  • 大学は何処へ 未来への設計

    Posted by ブクログ

    【大学で何をするか、何をしたいか】
    私はもう社会人になるため、私自身に活かせるかは分からない。
    しかし、大学の教育がどうあるべきか以前よりも視野広く考えられたと思う。
    特に今後のオンライン時代は、ミネルバ大学のような例は参考になる。

    ・日本人の興味は大学ではなく、大学入試にある
    就職までのつなぎとしてのみ見られる。
    →中身の薄さ

    ・ミネルバ大学はキャンパスを持たず、学生が4年間で複数の都市を移動し寮に住む。現地の企業やNPOと連携し、多様な環境に実際に触れることで、より実践的な議論をおこなう。
    →机上の空論ではなく、経験をもとに考える

    ・大学での学び
    →少人数での議論
    オンラインでも十分

    0
    2021年09月25日
  • 大学は何処へ 未来への設計

    Posted by ブクログ

    コロナ禍で大学は大変。学生もだが教員も対応に四苦八苦。
    大学はどうなっていくのかを、中世からの大学の成り立ち、世界と日本の大学の違いや、コロナ禍以前からのオンライン化した大学の事例、9月入学の考察など多様な切り口で解き明かしてくれます。
    難読な部類ですが、筋道の通った論説はさすがで納得がいきます。
    今このコロナ禍の状況が、新しい第三世代の大学への一歩だ、という主張に光が見える気がしました。茨の道ではありますが。

    0
    2021年09月23日
  • 平成時代

    Posted by ブクログ

    平成の30年間、日本は坂道を転落した
    1.現在の日本の低迷 GDPのシェアは18%→6%へ(1/3へ)
     世界的視野で捉える
    2.日本の失敗の本質 トータルの総括が出来ていない
     =国債累増により先送り
     高度成長期の体制・制度の改廃が不可欠
     ①グローバル化 内向き・鎖国
     ②デジタル化 ファックス
     ③バブル崩壊
     ④人口減少・高齢化
     ⑤財政逼迫

    0
    2021年09月23日
  • 大学は何処へ 未来への設計

    Posted by ブクログ

    コロナ禍で、ほとんどがオンライン授業に切り替わった、大学の授業。
    大学は窮状に立たされており、10年後には何校が残るかわからない。根本的な原因と、ポストコロナ時代の大学のあり方について。

    0
    2021年09月04日
  • 大学は何処へ 未来への設計

    Posted by ブクログ

    欧州的ユニバーシティと奈良時代から官僚育成のために作られた日本的「大学」はイコールではない。中世旅する知識人のネットワークとして始まった学会。旅する知識人の集積場所、つまり多様性、独立独歩のユニバーシティ。
    その違いがよくわかりました。
    その分析を基に、21世紀ポストコロナの大学こそ、中世ユニバーシティをベンチマークにするべきではないか?と言う問いかけにとても共感しました。
    校舎がなく、4年間半年毎に学生全員が世界を移動しながら学び続けるミネルバ大学。
    経済に国境が無くなった社会を反映するには、大学も移動し続けるのは理にかなっていると思います。高城剛さんが「アイデアの質と量は歩いた距離に比例す

    0
    2021年08月20日
  • 大学は何処へ 未来への設計

    Posted by ブクログ

    東大のことが多いので東大生は自分の大学のこととして読むことが望ましいが、他の国立大学については参考程度である。ただし、東工大については意外と詳しく書いてあるので、東工大生はその部分だけ拾い読みでもいい。
     あまり他書で扱っていない高専と金沢工大についても書いてあるので、高専についておおよそ知っておくためには読むといい。しかし高専が年間300万円の授業料を必要としていたとは思わず、授業料や寮費は無料だと思っていたので、これだけを知るためにも読むといいかもしれない。

    0
    2021年08月07日
  • 平成時代

    Posted by ブクログ

    平成の30年をひとくくりにすると「失敗の時代」という著者の結論は否定できないだけに、笑えない結果である。企業経営、国民経済、そして政治的にも。4つの失敗が➀バブル崩壊、②阪神大震災、③2001年のNYテロ事件、④東日本大震災と福島原発事故がこの時代「日本が壊れていく時代」を象徴する言葉であることは間違いない。そして社会的にも幼女連続殺人の宮崎勤、オウム真理教、酒鬼薔薇聖斗事件なども失敗の時代を増幅するような出来事として書かれており、失敗の一環とのがりを感じざるを得ない。なお企業経営の失敗の中で、山一證券、東芝、シャープなどの事例にはあまりにも衝撃的だった。アルゴリズムによるフィルターバブルの時

    0
    2021年07月29日
  • 大学は何処へ 未来への設計

    Posted by ブクログ

    2020年のコロナ禍が一挙にオンライン授業を進展させ、大学は大きく変革させられたことから始まる。実は海外に比べて遅れていた日本の教育の現状が著者によって深刻な実態として心に迫ってくる。日本の失われた20年というのは経済、政治以上に教育において進んでおり、これは長く続く未来への深刻な影響が心配される。日本学生の海外留学者が減る一方で米国の大学へは中国、インド、韓国、台湾の学生たちが激増しているとは何と恐ろしい実態だろうか。それは若者たち自身の問題ではなく、日本の教育システムに問題があるという著者の深刻な問題告発である。日本の大学問題は入試改革ばかりに注目が集まるということは異常な姿なのだろう。そ

    0
    2021年06月05日
  • 大学は何処へ 未来への設計

    Posted by ブクログ

     あとがきで著者は書く。「日本の「大学」は、実は大学=ユニバーシティではなかったのだ! 」。つまりそういうことである。明治維新、戦後の学制改革を経て、そして現在も永遠と続く「大学改革」は結局日本の「大学」を大学=ユニバーシティとして機能させることにはならなかった。むしろ大学=ユニバーシティから遠ざけることになった。その歴史を辿る。

     オンラインを最大限に生かしたミネルヴァ大学のあり方も、日本の大学が多分今後も強化していくであろうオンライン化と似て非なるものである。現在もそうだが、日本の大学のオンライン化は学生をアパートの個室に閉じ込め、時間も空間も個別化するものであり、ネミルヴァ大学のキャン

    0
    2021年05月23日
  • 東京裏返し 社会学的街歩きガイド

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    <目次>
    はじめに 「モモ」と歩く東京~時間論としての街歩き
    第1日  都電荒川線に乗って東京を旅する
    第2日  秋葉原-上野ー浅草間に路面電車を復活させる
    第3日  動物園を開放し、公園を夜のミュージアムパークに
    第4日  都市にメリハリをつけながら、古い街並みを守る
    第5日  都心北部で大学街としての東京を再生させる
    第6日  武蔵野台地東端で世界の多様な宗教が連帯する
    第7日  未来都市東京を江戸にする

    <内容>
    最初はちょっと小難しいが、東京の再生プランを歴史軸を作りながら観ていこう、という本。今の東京は無機質に発展している。それも西の新宿・渋谷・六本木など。さらにウォーターフロント

    0
    2020年08月27日
  • 大学はもう死んでいる? トップユニバーシティーからの問題提起

    Posted by ブクログ

    大学は知識ではなく思考力を得るところ
    大学はカレッジ、ファカルティー、ユニバーシティが合わさったもの
    積分的思考の文系と微分的思考の理系が合わさって新しい知見が生まれる
    グローバル化を履き違えている日本の大学
    出版と大学による知の再生
    どれも新鮮な視点で、目が覚める様。
    日本の大学の未来は明るくないが、絶望的ではないと思う。

    0
    2020年08月20日
  • 大学とは何か

    Posted by ブクログ

    大学の歴史をなぞるのに役立った。大学は普遍的なようであって実はそうではなく、時代や環境の変化とともに変わっていることは大事な事実だと思う。これからの大学がどうあるべきかは過去の延長上からは定義できないことだけはハッキリしたかも。

    0
    2020年08月09日
  • 平成史講義

    ネタバレ 購入済み

    多角的評論で読ませる

    平成という最早元号で区切ることに、象徴以外での意図がなくなった初めての時代をあえて区切り、変化を評論する一冊。
    正直必ず出てくると思っていたジャンルであり、様々な形でこれからも出てくるだろうが、本書は結論ありきな部分はありながらも、筋道を立てつつ難解なこの時代に名前をつけようとしてくれている。

    平成時代を低迷や失敗が誰の目にも明らかとし、その原因に戦後形成された成功モデルが破綻し次策を構築できない経済や政治、官僚システムを挙げている。昭和後期からの兆候など納得できる点も多いが、あの時代だからこそ成功した特殊モデルであることは強調して欲しかった。無論著者たちは分かっているのだろうが、現在

    0
    2020年06月09日
  • 大学とは何か

    Posted by ブクログ

    ・読み終わって感じたこと
     中世と現代が似ている点について、人の動きやグローバル化の視点から考えるることは面白く感じた。浅い感想になってしまうが、少しずつ変わりながらも大きな流れとしては歴史が繰り返されているように思えた。
     様々な国・時代で理想とした教育や国家像があったことを知ることができた。
     人類的普遍性への意志、というものが、大学を始めとする学問の本質だと理解した。
     

    ・面白かった点
     大学という機関を軸に、中世から近代、近代から現代にかけてのヨーロッパやアメリカ、日本の歴史を知ることができ、歴史物としても面白かった。
     学生運動により、学生が真面目になったという話も面白く感じた。

    0
    2020年05月16日