【感想・ネタバレ】アメリカ・イン・ジャパン ハーバード講義録のレビュー

あらすじ

一八五四年,日本人に映る世界の見え方は一八〇度転換した.アメリカ人はこれを「ペリー提督の遠征」というが,私たちは「黒船来航」と呼んだ.同様に一九四五年の米軍がおこなった「空爆」を,日本人は「空襲」と呼ぶ.さまざまな出来事や事象を,日本,アメリカそれぞれのまなざしの下にとらえ「日本の中のアメリカ」に迫る.

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Posted by ブクログ

1854年、日本人にとっての黒船来航はアメリカから見ればペリー提督の大遠征であった。その歴史的画期以降の日本と米国のさまざまな事象に焦点を当て、「非対称なクラインの壷」のごとき日米関係に迫る本書は、ハーバード大学でおこなわれた講義をもとに書き下ろされた一書。以下、各章のタイトルを見るだけでも面白そうな講義内容が伝わってくるが、個人的には第3講、第7講、第8講が面白かった。とくに第8講で指摘されているように戦後すぐの最大のインバウンド顧客は米兵だったとの指摘(pp.230-231)の阿部純一郎氏の研究(「<銃後>のツーリズム」『年報社会学論集』31号、2018年)を引いての指摘ははっとさせられた。今、これだけアメリカが注目されるなかで是非とも読まれるべき一書かと思う。

イントロダクション
アメリカ・イン・ジャパン――非対称的なクラインの壺
第1講 ペリーの「遠征」と黒船の「来航」――転位する日本列島
第2講 捕鯨船と漂流者たち――太平洋というコンタクトゾーン
第3講 宣教師と教育の近代――アメリカン・ボードと明治日本
第4講 反転するアメリカニズム――モダンガールとスクリーン上の自己
第5講 空爆する者 空爆された者――野蛮人どもを殺戮する
第6講 マッカーサーと天皇――占領というパフォーマンス
第7講 アトムズ・フォー・ドリーム――被爆国日本に〈核〉の光を
第8講 基地から滲みだすアメリカ――コンタクトゾーンとしての軍都
第9講 アメリカに包まれた日常――星条旗・自由の女神・ディズニーランド

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

境界としての日本を見ることで、侵略という持続不可能なアイデンティティーをもつアメリカと、アイデンティティーを追求せず劣等感を他者に押し付けてきた日本が絡まっていく過程がよくわかった。

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

日本にとってのアメリカの存在。
ペリー来航に始まりジョン万次郎、宣教師たちの大学設立、空襲、占領期、原子力、米軍基地、ディズニーランドと順を追って日米関係に新たな視点を与える、画期的な講義録。

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2025年04月09日

Posted by ブクログ

日本の中のアメリカ、
アメリカの属州ではないかと思うことが様々ある中で、アメリカの独立戦争、西部開拓の歴史、ペリーの浦賀来訪、アメリカの捕鯨活動の基地の必要性、などから、現在までの原子力の平和利用、アメリカ軍基地を巡る、様々な問題、星条旗に対するアメリカ人のナショナリズム、自由の女神、(お台場に行った時に、なんでここに自由の女神があるのだろうか?)と思ったことを思い出した。
ディズニーランドが日本を包み込む、多くの人がディズニーランドに憧れ、アメリカの文化が日本の文化を包み込むことに喜びを感じる。日本人、ドジャースとカブスの開幕戦が東京ドームで行われることに熱狂する多くの日本人の様子をテレビでこれでもか、これでもかと放送することを見ながら本書を読み終えた。
色々と参考になることが多く、このハーバード講義録が白人のアメリカ人が少なく、アジア系、中南米系の学生が多かったとの記述に、ちょっと残念な気がした。

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2025年03月18日

Posted by ブクログ

筆者が2018年春学期にハーバード大学教養学部の東アジア言語文明学科で行った講義をまとめた本です。
1000円ちょっとでハーバード大学の講義を読めるのはお得過ぎます。
ペリーが日本に「遠征」した頃からの日本がアメリカとどのように関わってきたのかを講義しています。
幕末、明治、大正、大戦前、大戦後それぞれの時代でいろいろと知らなかったことが書いてあって面白かったです。
アメリカは西へ西へと開拓(侵略)していって、日本にたどり着いたとか、
明治の頃のアメリカの宣教師の人たちがいろいろな大学の元になっているとか、ほんとうにいろいろあって面白かったです。

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2025年02月04日

Posted by ブクログ

日本の中でアメリカがいかに浸潤しているかを史観で語る。東京大空襲とディズニーランドの部分はアメリカの怖さを感じる。

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2025年11月29日

購入済み

原子力政策は特に必読

アメリカという国が、東海岸の端から、西へ西へと拡がり、ついにこの列島まで飲み込んで行ったことが本当によく分かりました。特に、被爆国なのに、原子力の「平和利用」という虚構を自ら喧伝し、原子力発電所を積極的に作っていったというところは、目を覆いたくなる思いでした。
なお、電子版だけの校正漏れで、一度アプリを閉じたら直っていたのですが、一時期「いかんなく」を「遺憾なく」ではなく、「如何なく」としていたり、また、これは、まだそのままだったのが、小笠原諸島に先に注目したというくだりで、イギリス」の「イ」が抜けて、「ギリス」になっていたりしていた(第2講)、のは、岩波ともあろうものが、と思えました。

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2025年03月31日

Posted by ブクログ

アメリカと日本の関係をアメリカ側から、日本側から見た歴史を、国民性や風俗などを政治と絡めて語っている。
切り口は面白いが、これは、そういう切り口で語られたものとして読まないといけないと思う。ペリー来航に関してもそれまでのポルトガルやオランダとの関係やイエズス会の宣教師との関係もあるわけで。
その辺りの他の国との関係性がわかっていてのこの本の解釈にしないと、またこの本も一面的なものになってしまうだろうと思う。そしてもはやアメリカは世界に播種しているので、そのことも念頭に入れなければならないと思う。

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2025年08月03日

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