岡本隆司のレビュー一覧

  • 李鴻章 東アジアの近代

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    動乱の清朝末の大政治家で、日清戦争後の講和条約の全権大使をはじめ、この時期のほぼ全ての対外交渉に関わり欧米列強からは「世界稀有の一大人物」とも称されたという李鴻章について。時代背景を丹念に書き込みながらも論点がすっきり整理されており、著者の語りの巧さとともに読ませる本だけれど、どちらかというと人物そのものよりも国内外情勢を中心に描いている。列強の進出により清国が直面した近代的な国際関係と、従来の朝貢関係との折り合いの付け方を、攘夷•排外が優勢だった国内的な要請、中間集団の勢力拡大への対応などとといったこととともに詳しく説明している。

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    2012年06月26日
  • 李鴻章 東アジアの近代

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    高校までの歴史授業で必ず暗記する名前ですが、実態はいまいち知られていない李鴻章。そんな彼の伝記です。

    「日本史」の中で下関条約の全権大使として名前が登場する彼ですが、「世界史」における清末の重大事件にことごとく関わっている彼の業績をたどると衰退したとはいえ広大な領土を統治していた清のパワーの内実が見えてきます。

    特に李鴻章が力を発揮できるに至った清の政治構造や当時の対外情勢について丁寧に記述されているので、あまり清の歴史に詳しくない私でもスラスラと読めました。

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    2012年03月28日
  • 李鴻章 東アジアの近代

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     岡本隆司『李鴻章』(岩波新書 1340)

     李鴻章の伝記的な本。
     知っているようで知らない(二人目 笑)李鴻章の本です。
     日本の近現代史を勉強していると、否が応でも目に入ってくる人ですが、どういう人物なのかはまったくといっていいほど知りませんでした。
     日中近代史を少し囓った事もあり、新書なのでちょうどいいと思って手に取りましたがなかなかいい本でした。
     なるほど、李鴻章は古い時代の比較的新しい人間といったところでしょうか、袁世凱なんかは古い時代の新しい人間ですが。
     陸奥に「大した事はない」と言われ、小村に「でくの坊」と言われた残念なイメージしかありませんでしたが(…)随分と印象が変

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    2012年03月26日
  • 李鴻章 東アジアの近代

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    ●内容
    ・京都府立大准教授の歴史家による評伝
    ・李鴻章は清代末期の中国の政治家で、外交と海防の実力者。
     著者はかれを“落日の孤臣”とし、中央の西太后による院政「垂簾聴政」と、地方軍閥への権限委譲「督撫 重権」を噛み合わせ、安定に導いたと評価。一方で、彼が権勢を失うにしたがって、中央と地方との対立が激化したとする。

    ●感想
    ・ドラマにもなった、浅田次郎『蒼穹の昴』にも登場する”かっこいい爺さん”
     英雄史観で李鴻章の個人スキルに注目するより、社会情勢と絡めて「そうせざるを得なかった」と冷静な評価を行なっており、さすが学者の著作!な雰囲気。
    ・師匠の曽国藩が「大功を立てすぎては返って身の危険を

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    2012年02月11日
  • 李鴻章 東アジアの近代

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     李鴻章の生きた19世紀後半の清朝は,激動の時代。科挙をはじめ,自分が頭角を現す舞台だった古いシステムを打破する必要性を痛感するも,ついにその実現を見ることなく生涯を終えた。それでも彼の働きは決して欠かすことができないものだった。この巨人の人生と,瓦解へ向かう清朝の運命が印象的に描かれる。やはり中国史における王朝末期の物語はドラマチック。
     科挙に受かった典型的エリート官僚だった李鴻章。内憂外患のまっただ中,淮軍を組織して太平天国を平定し,北洋大臣として厳しい外交にあたり「洋務」「海防」に邁進。実務官僚として位人臣を極める。
     淮軍は,曾国藩の湘軍にならって作ったもので,地方の有力な武装集団を

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    2012年02月01日
  • 中国史とつなげて学ぶ 日本全史

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    新たな気づきは以下の点
    ・日本は中国のコピーから始まったが、城壁がないなど、最初からコピーするには無理があるくらい土壌が異なっていた
    ・中国は官民分離、日本は官民一体だった
    ・日本はもともとあまり階級差がなくほぼみんな農民だったが、戦国や江戸時代に支配のために身分ができた。街もこの時代に城下町としてできた。
    ・欧米進出の頃、日本は和魂洋才で海外を積極的に取り入れようとした、一方中国は基本旧態を保とうとした
    ・日本は急に国民国家化して植民地も持とうとして脱アジア思想となった

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    2025年10月26日
  • 倭寇とは何か―中華を揺さぶる「海賊」の正体―(新潮選書)

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    倭寇といっても、所謂前後期倭寇については前半で終わり。海域アジアが独自の統制で動いていたことを倭寇的とする。
    それ以降は、いわゆる中華政府の影響から離れたところで、海外との交流や経済活動を行う「華夷同体」と言う語をキーに中国史における夷界との関わりを語る。
    倭寇を知りたいという狙いとは異なるかも知れない。中国史の一視点。

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    2025年09月15日
  • 中国史とつなげて学ぶ 日本全史

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    日本の歴史を深く知るには外の世界と重ねてみる視点が欠かせない。東アジアという広い舞台から日本をとらえ直す。律令国家の成立も、鎖国も、近代化も――そこには常に中国との関係が影を落としていた。孤立した島国ではなく影響し合う一員としての日本。内向きに語られがちな歴史に外の光をあてることで見えなかった姿が浮かび上がる。歴史は比較してこそ深まるのだ。

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    2025年08月05日
  • サクッとわかる ビジネス教養  中国近現代史

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    近現代史が少しわかった

    中華思想、自分を中心に周りに行くほど野蛮と考える
    中心とその他を明確に分ける

    色々な政治背景や人柄を理解するのに役立つ

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    2025年05月17日
  • 一冊でわかる中国史

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    中国史をざっと見渡すには丁度良い本である。文章も読みやすく、概略を簡単に掴むことが出来る。初心者向けの良質な入門書だ。

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    2025年03月03日
  • 物語 江南の歴史 もうひとつの中国史

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    中国史の中では辺境として扱われる江南(南方)の歴史を辿る。ただ、江南も中国の一部であり、北方や中国全体の動きに連動する。本書を通じて思ったのは、中国全体や北方の話にもそれなりに紙面が割かれていたこと。
    長江下流域は、唐宋以降は経済の一大中心地であり、その帰趨は中国のみならず、世界史的な影響を及ぼしていた。それだけに、長江下流域の士大夫エリート層は政権中枢に対して、複雑な思いを抱えて斜に構える態度を取っていた。それに比べると、四川や湖広は史書に登場するのは早いものの、目立たない役回りだった。福建や広州は中国化されたのは遅かったが、外界とのつながりを持つことで、独自の存在感があったようだ。
    政治の

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    2024年10月07日
  • 曾国藩 「英雄」と中国史

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    中国史の泰斗・岡本隆司による、マジメ一徹の儒教・宋学信者である曾国藩の人物伝。
    「李鴻章」と「袁世凱」にならぶ岩波新書の三部作の一冊。
    曾国藩の人柄には好感が持てて、その生きた歴史も面白く読んだが、前作の李鴻章が面白過ぎたせいで、なんだか物足りなくも。
    やはり近代化の中心を生きた李鴻章の評伝は時勢のスリリングさもあって抜群に面白かった。
    中国が比類のない激動期に突入したその端緒となる太平天国の乱についての興味は新たにしたが、それを平定する側の曾国藩の政治手腕や軍頭指揮は凡庸で全然面白くない。
    ただ、こういうマジメ腐った人間がその後崇拝を受けているのはなんだかアジア的でいいと思った。

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    2024年06月26日
  • サクッとわかる ビジネス教養  中国近現代史

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    歴史の分野にはすごく苦手意識があった為、難しかった。理解できるところはとても面白く感じた。
    貿易関連、香港・台湾などの話はとても興味深くて楽しめた。現代にまで続く問題は勉強になる。
    SNSなどの通信サービスの規制に関しても驚いたし、興味がわいた。

    元々知りたかった中国の文化について知れたので読んで良かった。

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    2024年04月03日
  • 東アジアの論理 日中韓の歴史から読み解く

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    日本の周辺諸国、中国・韓国・北朝鮮に台湾と、歴史も文化も異なるこれらの国々。特に最近(2023年)は北朝鮮が活発にミサイル発射を繰り返し、偵察衛星も打ち上げようとするなど、周辺諸国へ積極的に影響を及ぼそうとしている。当の北朝鮮は確信的に周辺国、特に日本とその背後にいるアメリカを意識しつつも、発射実験を繰り返すのは自国の技術の確立が第一である。中国は相変わらず自国の権威と強引な外交政策により、その経済力があるうちに、一帯一路構想に見られる他国の経済破綻に任せて縛り上げていこうとしている。甘い見通しと追いつかない技術力を過度に全面に押し出しては、鉄道敷設などで日本と競合させて利益を横取りしていく。

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    2023年06月16日
  • 世界史とつなげて学ぶ 中国全史

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    近くて遠い中国

    本書は東洋史の研究者による
    中国の歴史のダイナミックな俯瞰である

    中国史というと、
    夏、殷に始まり、秦の始皇帝で統一されて、
    あとは分裂したり征服されたり…

    このように歴史は、領土、人民がいて統治者が変わる
    流れとして、日本史に慣れた我々は見てしまう

    しかし広大なユーラシア大陸における歴史は
    温暖化寒冷化によるダイナミックな民族移動、
    遊牧民による広域の交易、多数の大宗教により、
    国としての統治自体が困難な状況の中で繰り広げられた

    そういう観点で中国の歴史を知ると
    日本人との価値観の違いの由来を感じて面白い

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    2023年01月15日
  • 曾国藩 「英雄」と中国史

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    太平天国の乱を鎮圧した湘軍の長、曽国藩の生涯。科挙エリートが騒乱を通じて、私兵をまとめ上げて中興の名臣までなる姿が描かれる。中興の名臣とはいえ、与えられた役割を全うしたに過ぎないと思えた。軍事は軍事指揮は振るわず、北京との関係も微妙と苦労は絶えない。また、西洋と現実的に付き合うと、郷紳ら在地エリートからの評判も悪い。
    中国ではよくあることだが、政治的立場によって、死後の評価が著しく変わった。現在の共産党下では、農民運動と評価されている太平天国を鎮圧したことや、蒋介石が高く評価してたことで、否定的に取り扱われている。
    同じ著者の岩波新書で出版されている、李鴻章や袁世凱は読み応えがあったが、業績の

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    2022年12月24日
  • 悪党たちの中華帝国(新潮選書)

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    いわゆるビジネスパーソン向けの雑誌での連載を一冊にまとめたもの。中国史上の12人の悪党の生涯を紹介しているはずだが、あまり悪党という印象がない。企劃意図と内容に違和感あり。

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    2022年10月12日
  • 歴史で読む中国の不可解

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    中華思想から、つまるところ我のみが正しい。我以外は、間違っている。
    とは言っても現実には相対的なもので不安定だから、我が正しいことを証明し続けなければならない。ぶっちゃけ、間違いを認めるわけにはいかない。無謬の存在であることを、暴力を使ってでも認めさせ続けなければならない。
    だから、今度は暴力革命でぶっ倒されるんだな。倒した方が正しいという、究極の野蛮な後付けだ。
    元々、国民国家に馴染まないところに、華夷体制ではまあ、国交のあるところを中華からしたら、属国とか属地とか失礼に言ってたのを、国境線を考えるときに、本来の意味と変わっているはずのその言葉を盾に、うちのもんじゃと言い張ってるわけだ。

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    2022年08月06日
  • 一冊でわかる中国史

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    「中国四千年の歴史」(←かつてのCMで言っていた)を一冊でざーっと概観しようという本。
    最近、世界史を復習しようと思っているのだが、世界史の教科書というのは、国や地域が変わるたび、時代を行ったり来たりするので、通史がわかりにくい。
    それで、各国史や「タテ読み」の世界史本が流行っているようだ。
    手始めに、まず中国史を読んでみる。
    この一冊で、たしかに現代までの王朝の移り変わりはわかる……のだが、やはり地名・人名の羅列で、途中ちょっと……いや、かなり……眠くなってしまった。。。
    ある程度、それらが頭に入っている人なら、効率的に復習できるかもしれない。
    数十年前に受験生だった私のさび付いた記憶では、

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    2022年03月18日
  • サクッとわかる ビジネス教養  中国近現代史

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    学生時代に苦労して暗記した中国史を、サラッと大事なところだけ振り返りなおしていて非常にわかりやすかった。

    一部、色んな謂れがある事実については両方併記してあれば尚良いなと思った。

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    2022年03月11日