岡本隆司のレビュー一覧
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中国を理解するうえでとても良い本です。多くの方にオススメしたい。
最終ページにこんなことが書かれています。
「日本人は中国人の言動に、違和感や不快感を覚えることが少なくありません。これは容貌・言語に差異の大きい西洋人に親近感を覚えるのと、まさに対蹠的です
では、なぜそう感じてしまうのか。」
私は、この本を読んで少し理解できるようになりました。それは
「およそ西洋的ではない中国という国家を、頭から異質な存在としてとらえてしまっています。」とのこと。
「中国は歴史的に多元的な社会構造を持ち、14世紀の寒冷化とモンゴル帝国の崩壊を契機に、統合の困難さが顕在化した。(中略)現在も「一つの中国」と多元性 -
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岡本隆司、君塚直隆「帝国で読み解く近現代史」(中公新書ラクレ)
現代では国民国家=善、帝国=悪と捉えられがちだが、19世紀末の世界は帝国だらけだった。イギリスのように本国の中では国民国家だが、海外では帝国という存在もあった。本書では東洋の大帝国の清朝と西洋の帝国である英国との出会いに始まり、産業革命を経て強大化した英国が清にアヘン戦争を仕掛ける迄になること、それに触発された日本が大日本帝国になること、第一次世界大戦でドイツ、オーストリア・ハンガリー、ロシア、トルコ、清という従来の帝国が一掃されたこと、それらに変わりアメリカとソ連が新たな帝国になることなどについて語る。冷戦後の世界でのアメリカ、 -
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岡本隆司「二十四史」(中公新書)
中国文明は公的な歴史書(正史)を作ることにもっとも熱心な文明だった。史記、漢書から明史に至る二十四の正史の編纂についての解説。
史記:前漢時代に司馬遷があらわした神話時代から前漢の武帝の頃までの通史。それまでの歴史書は「春秋」のように年代順に記録を書いていくものだったが、司馬遷は王ごとの年代記(本記)、王以外の歴史上の人物(諸侯から経済人、侠客まで)の伝記(世家、列伝)を組み合わせることで生き生きとした歴史叙述を可能にした。司馬遷自体は儒家ながら、儒家の思想一辺倒でなく世の中を描こうとした。
漢書:後漢時代に班豹・班固の父子は史記を引き継ぎ、前漢の一時代を切り -
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袁世凱
現代中国の出発
著:岡本 隆司
岩波新書 新赤版1531
清末の奸雄、袁世凱の一生を記した書。
河南省の名家に生まれた、袁世凱は、科挙の暗記中心の受験には不向きで、軍人を目指すことになります。
官僚の世界では、科挙にうかって、任官をすることを、正途、そうせずに官界に入ることを、雑途といっています。つまり、袁世凱は雑途、裏口のルートを目指したのでした。
当時李鴻章が義勇軍淮軍をもって治安の維持を図っていました。同郷のよしみで、袁世凱は、李鴻章の軍に入隊します
日本との関係、1870年代から清と日本の衝突を繰り返していた。琉球問題と、台湾出兵で戦争寸前にまで至ります
壬午変乱 1 -
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1725
262P
岡本隆司(オカモト タカシ)
京都府立大学教授。1965年、京都市生まれ。現在、京都府立大学教授。京都大学大学院文学研究科東洋史学博士後期課程満期退学。博士(文学)。宮崎大学助教授を経て、現職。専攻は東洋史・近代アジア史。著書に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会・大平正芳記念賞受賞)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会・サントリー学芸賞受賞)、『世界のなかの日清韓関係史』(講談社選書メチエ)、『李鴻章』『袁世凱』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理』(中公新書)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会・樫山純三賞、アジア太平洋賞受賞)、『清朝の興亡 -
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第一章 「中華帝国」のあけぼの 大唐帝国
1 唐の太宗 名君はつくられる
2 安禄山 「逆臣」か「聖人」か
第二章 カオスの帝国 五代
3 馮道(ふうどう) 無節操の時代
4 後周の世宗 最後の仏敵
第三章 最強の最小帝国 宋
5 王安石 「拗ね者宰相」
6 朱子 封建主義を招いた「道学者先生」
朱子は東洋のアリストテレスのような人だったのかな。
それは言い過ぎか。朱子が体系化・理論化したのは儒教のついてだけみたいだし。
第四章 再生した帝国・変貌する帝国 明
7 永楽帝 甥殺しの簒奪者
8 万暦帝 亡国の暗君
第五章 挫折する近代 明
9 王陽明 「異端」者の風景
10 李卓吾 「儒 -
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内藤湖南を軸に戦前戦後の知識人の中国観を辿る本書のモチーフは、彼らの中国へのアプローチが、意識的にせよ無意識的にせよ、いかに西欧的な枠組みにとらわれていたかという問題意識である。それは西欧の物差しではかった自己の理想像を中国に投影してきた結果でもある。西欧が我々の到達すべき理想であるならば、中国は克服ないし指導すべき遅れた社会と見做され、逆に西欧が克服すべき堕落であれば、中国は連帯すべき同胞になる。前者においては資本主義の確立、後者においては社会主義の実現が目指されていた。いずれも西欧社会をモデルにした歴史発展の段階論に中国を当てはめて理解しようとする点で変わりない。それでは中国の実像は見えて
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日本は客観的にみてどうだったのかがわかる。
島国発展遅い。文字を使うようになったのは6世紀ごろかぁ。いまもIT化もろもろで遅れをとっている。
日本が中国をコピーし、中国が日本をコピーする。
日本がバルブ崩壊後、中国もコロナ後くらいに崩壊している。日本もかつて鎖国をしたが、中国も情報を遮断している。GAFA製のほうが中国のよりもスマートで使いやすいかなと思うので、アメリカのIT技術が中国を完全に侵食してしまったら、中国の経済発展は見込めないだろう。とりあえず歴史は繰り返される。
福沢諭吉よ。
とりあえず日本人は日本にいて、中国人は中国にいて矛盾を抱えて生きている人も多いんじゃないかと思う -
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ネタバレ一般大衆のために分かりやすく書かれていて、ありがたかった。娯楽として歴史を楽しむのに最高の本。
人々の生活は、環境によって大きく変わるんだなと思えた。
農耕民⇔遊牧民、気温の急激な変化、大事。
宗教、金、権力などだんだん複雑化していく...。
ギリシャ・ローマ→中国→日本の順番で新しいものが来た。日本かなり田舎だな。
この歴史の流れを知り、実際に中国中心都市に行ってみると中国プライドというものがないのかねという気持ちになる。寿司やサンリオや日本のコンビニなど日本の文化に攻め込まれ終わった感がある。
四川省は海から遠いから、今も昔も田舎なのか。加油加油
中国は全体としては、非効率な争い -
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ネタバレコンパクトにまとめたが故に、見えてきたものが興味深い。日本列島という地理的条件下にある日本人たちの学習の軌跡とも言える。
中国や朝鮮と対比すると明確なのは、支配が隅々まで行き届いたまとまった社会であり続けた。特に戦国時代以降その傾向が強まった。
一方中国は清の時代に下層の人口が膨れ上がった。社会の上層はそれほど増加し無かった。長い目でみると秦の時代に確立した支配論を清の時代まで変えずに来てしまった。だから、支配階層と庶民層の分離が著しい。
勝手な感想だと、宋の時代まで中国は世界の中でも最先端を行っていた。次の元は、世界史上の画期だった。ユーラシア大陸規模の大商業圏の誕生は凄いことだった。
で