岡本隆司のレビュー一覧

  • 教養としての「中国史」の読み方

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    ネタバレ

    興味深く思ったのは漢人王朝よりも元などの王朝のほうが、民衆の生活は安定していたと思われること。明の政治は凄惨だったということ。現在の中国もこれまでの歴史からすれば、変わっているわけではないこと。今の日中関係を念頭に読んでおきたい一冊だった。

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    2025年11月30日
  • 世界史とつなげて学ぶ 中国全史

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    中国を理解するうえでとても良い本です。多くの方にオススメしたい。
    最終ページにこんなことが書かれています。
    「日本人は中国人の言動に、違和感や不快感を覚えることが少なくありません。これは容貌・言語に差異の大きい西洋人に親近感を覚えるのと、まさに対蹠的です
    では、なぜそう感じてしまうのか。」
    私は、この本を読んで少し理解できるようになりました。それは
    「およそ西洋的ではない中国という国家を、頭から異質な存在としてとらえてしまっています。」とのこと。
    「中国は歴史的に多元的な社会構造を持ち、14世紀の寒冷化とモンゴル帝国の崩壊を契機に、統合の困難さが顕在化した。(中略)現在も「一つの中国」と多元性

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    2025年08月02日
  • 帝国で読み解く近現代史

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    岡本隆司、君塚直隆「帝国で読み解く近現代史」(中公新書ラクレ)
    現代では国民国家=善、帝国=悪と捉えられがちだが、19世紀末の世界は帝国だらけだった。イギリスのように本国の中では国民国家だが、海外では帝国という存在もあった。本書では東洋の大帝国の清朝と西洋の帝国である英国との出会いに始まり、産業革命を経て強大化した英国が清にアヘン戦争を仕掛ける迄になること、それに触発された日本が大日本帝国になること、第一次世界大戦でドイツ、オーストリア・ハンガリー、ロシア、トルコ、清という従来の帝国が一掃されたこと、それらに変わりアメリカとソ連が新たな帝国になることなどについて語る。冷戦後の世界でのアメリカ、

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    2025年05月17日
  • 二十四史―『史記』に始まる中国の正史

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    岡本隆司「二十四史」(中公新書)
    中国文明は公的な歴史書(正史)を作ることにもっとも熱心な文明だった。史記、漢書から明史に至る二十四の正史の編纂についての解説。
    史記:前漢時代に司馬遷があらわした神話時代から前漢の武帝の頃までの通史。それまでの歴史書は「春秋」のように年代順に記録を書いていくものだったが、司馬遷は王ごとの年代記(本記)、王以外の歴史上の人物(諸侯から経済人、侠客まで)の伝記(世家、列伝)を組み合わせることで生き生きとした歴史叙述を可能にした。司馬遷自体は儒家ながら、儒家の思想一辺倒でなく世の中を描こうとした。
    漢書:後漢時代に班豹・班固の父子は史記を引き継ぎ、前漢の一時代を切り

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    2025年04月25日
  • 袁世凱 現代中国の出発

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    袁世凱
    現代中国の出発
    著:岡本 隆司
    岩波新書 新赤版1531

    清末の奸雄、袁世凱の一生を記した書。

    河南省の名家に生まれた、袁世凱は、科挙の暗記中心の受験には不向きで、軍人を目指すことになります。
    官僚の世界では、科挙にうかって、任官をすることを、正途、そうせずに官界に入ることを、雑途といっています。つまり、袁世凱は雑途、裏口のルートを目指したのでした。

    当時李鴻章が義勇軍淮軍をもって治安の維持を図っていました。同郷のよしみで、袁世凱は、李鴻章の軍に入隊します

    日本との関係、1870年代から清と日本の衝突を繰り返していた。琉球問題と、台湾出兵で戦争寸前にまで至ります

    壬午変乱 1

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    2024年09月28日
  • 物語 江南の歴史 もうひとつの中国史

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    中国が古代では江南が辺境であり、長く北方に対して優位に立てない歴史が続いたことが良く理解できた。現代でも文化的な差が北と南ではある様な印象があるが、その根拠がこの本に記されていた。

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    2024年07月16日
  • 教養としての「中国史」の読み方

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    中国の歴史を解説するというよりも、中国とはどういう国か、どういう原理で動いてきたのかを解説してくれている。非常に分かりやすくてためになった。

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    2024年05月28日
  • 世界史とつなげて学ぶ 中国全史

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    1725

    262P

    岡本隆司(オカモト タカシ)
    京都府立大学教授。1965年、京都市生まれ。現在、京都府立大学教授。京都大学大学院文学研究科東洋史学博士後期課程満期退学。博士(文学)。宮崎大学助教授を経て、現職。専攻は東洋史・近代アジア史。著書に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会・大平正芳記念賞受賞)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会・サントリー学芸賞受賞)、『世界のなかの日清韓関係史』(講談社選書メチエ)、『李鴻章』『袁世凱』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理』(中公新書)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会・樫山純三賞、アジア太平洋賞受賞)、『清朝の興亡

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    2024年04月16日
  • 悪党たちの中華帝国(新潮選書)

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    第一章 「中華帝国」のあけぼの 大唐帝国
    1 唐の太宗 名君はつくられる
    2 安禄山 「逆臣」か「聖人」か

    第二章 カオスの帝国 五代
    3 馮道(ふうどう) 無節操の時代
    4 後周の世宗 最後の仏敵

    第三章 最強の最小帝国 宋
    5 王安石 「拗ね者宰相」
    6 朱子 封建主義を招いた「道学者先生」
    朱子は東洋のアリストテレスのような人だったのかな。
    それは言い過ぎか。朱子が体系化・理論化したのは儒教のついてだけみたいだし。

    第四章 再生した帝国・変貌する帝国 明
    7 永楽帝 甥殺しの簒奪者
    8 万暦帝 亡国の暗君

    第五章 挫折する近代 明
    9 王陽明 「異端」者の風景
    10 李卓吾 「儒

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    2024年01月15日
  • 近代日本の中国観 石橋湛山・内藤湖南から谷川道雄まで

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    内藤湖南を軸に戦前戦後の知識人の中国観を辿る本書のモチーフは、彼らの中国へのアプローチが、意識的にせよ無意識的にせよ、いかに西欧的な枠組みにとらわれていたかという問題意識である。それは西欧の物差しではかった自己の理想像を中国に投影してきた結果でもある。西欧が我々の到達すべき理想であるならば、中国は克服ないし指導すべき遅れた社会と見做され、逆に西欧が克服すべき堕落であれば、中国は連帯すべき同胞になる。前者においては資本主義の確立、後者においては社会主義の実現が目指されていた。いずれも西欧社会をモデルにした歴史発展の段階論に中国を当てはめて理解しようとする点で変わりない。それでは中国の実像は見えて

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    2023年12月30日
  • 教養としての「中国史」の読み方

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    日本は一つの国と言わなくても一つの国と納得できる。
    確かに中国に実際行ってみて、政治と国民は別だと感じた。

    儒教の話が2016年の著者の本よりわかりやすかった。

    自分の専門分野的にスペシャリストの立ち位置なので、ちょっと詰んだ。p93

    日本人がつくった漢字の単語を中国が逆輸入したのは分かりやすかったからかぁ。別の本にもその話は触れられていたが、本書はより詳しく説明している。面白い。p110あたり

    現在も謎多き遊牧民。
    モンゴルは戦わずして征服したのか。すごい

    いつの世も競争が激しい中国。

    文章の構成は著者の世界史の本と結構似ている。

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    2023年11月09日
  • 中国史とつなげて学ぶ 日本全史

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    日本は客観的にみてどうだったのかがわかる。
    島国発展遅い。文字を使うようになったのは6世紀ごろかぁ。いまもIT化もろもろで遅れをとっている。

    日本が中国をコピーし、中国が日本をコピーする。

    日本がバルブ崩壊後、中国もコロナ後くらいに崩壊している。日本もかつて鎖国をしたが、中国も情報を遮断している。GAFA製のほうが中国のよりもスマートで使いやすいかなと思うので、アメリカのIT技術が中国を完全に侵食してしまったら、中国の経済発展は見込めないだろう。とりあえず歴史は繰り返される。

    福沢諭吉よ。

    とりあえず日本人は日本にいて、中国人は中国にいて矛盾を抱えて生きている人も多いんじゃないかと思う

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    2023年11月04日
  • 「中国」の形成 現代への展望

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    ようやく五冊目終わり。「大分岐」でなぜアジアがヨーロッパに遅れをとったように見えるのかに興味がある。思っていたより中国は多元で、それを一元化しようとしているのが今の中国なのだと理解した。

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    2023年10月25日
  • 世界史とつなげて学ぶ 中国全史

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    ネタバレ

    一般大衆のために分かりやすく書かれていて、ありがたかった。娯楽として歴史を楽しむのに最高の本。

    人々の生活は、環境によって大きく変わるんだなと思えた。
    農耕民⇔遊牧民、気温の急激な変化、大事。
    宗教、金、権力などだんだん複雑化していく...。

    ギリシャ・ローマ→中国→日本の順番で新しいものが来た。日本かなり田舎だな。

    この歴史の流れを知り、実際に中国中心都市に行ってみると中国プライドというものがないのかねという気持ちになる。寿司やサンリオや日本のコンビニなど日本の文化に攻め込まれ終わった感がある。

    四川省は海から遠いから、今も昔も田舎なのか。加油加油

    中国は全体としては、非効率な争い

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    2023年11月20日
  • 中国の論理 歴史から解き明かす

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    中華思想の源流が孔子の教えにあること、史書や科挙を通じてより強固かつ偏狭に固められたこと。非常に納得感のある解説。

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    2023年08月27日
  • 曾国藩 「英雄」と中国史

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    「曾国藩 英雄と中国史」岡本隆司/岩波新書/2022年/880円/卒読。2億弱だった人口の7000万人が死んだ14年続いた内戦-太平天国の乱を清朝側から指揮した政治家。清末の科挙制度、清朝内部、西洋からの侵略と交渉、内戦の発生から終焉まで書かれていて面白かった。袁世凱と李鴻章も読みたくなった。

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    2022年10月17日
  • 世界史とつなげて学ぶ 中国全史

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    オーディブルで聞いた2冊目の本。
    高校で習った世界史は部分ばかりでつまらなかったが、世界の繋がりを意識できて、面白かった。2.5倍速で聞いたら、速すぎたので、眼でも読み直したい。

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    2022年03月01日
  • 中国史とつなげて学ぶ 日本全史

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    ネタバレ

    コンパクトにまとめたが故に、見えてきたものが興味深い。日本列島という地理的条件下にある日本人たちの学習の軌跡とも言える。

    中国や朝鮮と対比すると明確なのは、支配が隅々まで行き届いたまとまった社会であり続けた。特に戦国時代以降その傾向が強まった。
    一方中国は清の時代に下層の人口が膨れ上がった。社会の上層はそれほど増加し無かった。長い目でみると秦の時代に確立した支配論を清の時代まで変えずに来てしまった。だから、支配階層と庶民層の分離が著しい。
    勝手な感想だと、宋の時代まで中国は世界の中でも最先端を行っていた。次の元は、世界史上の画期だった。ユーラシア大陸規模の大商業圏の誕生は凄いことだった。

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    2022年02月12日
  • 中国史とつなげて学ぶ 日本全史

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    今では政治的にも経済的にも不可分な日本と中国。
    ただその関係は常に複雑で、私自身は妙な「しこり」を感じていましたが、本書によって、しこりは大いに小さくなりました。
    日本史・世界史と二分化し、学校教育の中でも不人気になりがちな学問も、このように整理されれば、とても面白く学べると思うのですが…

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    2022年01月24日
  • 中国史とつなげて学ぶ 日本全史

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    日本の歴史を大変緩やかに大きな時間軸で捉える良書。

    冷静に、日本国民が広く西洋を意識し出したのは、江戸時代後半の蘭学以降の、ここ最近のことだし、それが急激に強まったのは、第二次世界大戦以降のアメリカの属国になってのことだ。

    地政学的には、中国・朝鮮半島・沖縄の方が死活的に重要なのは言うまでもなく、文化的にも類似している東洋の視点で日本の歴史を捉え直してみたい方には大変オススメだと思う。

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    2022年01月18日