岡本隆司のレビュー一覧
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東洋史の岡本先生と西洋史の君塚先生との対談の第二弾。君主をテーマに、古代から現代までの歴史を語る。
東洋と西洋での、共通点(最初期の君主は自然や宗教などの超自然的な裏付けが必要である点など)や相違点(覆いかぶさる存在として、西洋はキリスト教で中国は儒教・漢文である点など)を、大局的な視点から話し合われていた。こういう語り合いができる事こそが、歴史の楽しみの1番の醍醐味なんだと思った。(自分もそういう極地に達したいし、そういう歴史仲間が欲しいが、おそらく無理か。)
漢字が表意文字で非常に優れており、中国の官僚制度も優れていたが故に、統一が保たれて19世紀まで世界のトップに君臨できていたが、逆にキリスト教が完璧ではなく、十字軍の失敗・ペストの流行などからキリスト教の権威が失墜したことで、ヨーロッパの分立・競走の促進が生じ、19世紀にヨーロッパが逆転した、という事か?(これは本文を参考に個人的に至った考えだが)。宗教改革時のラテン語から各国語への翻訳が固有のアイデンティティを生んだ、という点は、その後の国民国家誕生にとって重要なんだと思った。
対話形式の読みやすさがあり、東洋・西洋を比べながら進行する事で理解しやすくなっていると思う。岡本先生と君塚先生の両先生だからこその、良い対談本だった。第三弾も希望。 -
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まず帝国=悪がウィルソン大統領から来たというのが、なるほどだった。だいたい近現代のおかしいと思うことにはアメリカという珍妙な国家が絡んでいる。
帝国の定義を多民族統治の形態としたとしても、古代以来の帝国と、近代のヨーロッパの帝国は完全に違う形態だし、現代のロシアや中国、アメリカもまた違う。
言いはじめれば、シナ王朝とローマ帝国、オスマントルコなどイスラム帝国も違うが。
私見では、皇帝と臣民だけを考え、民族、宗教をその他の要素とするのが純粋な帝国ではないか。
ヨーロッパの植民地は、国民国家が大きくなっただけで帝国ではないだろう。
オスマントルコは、皇帝の妻が他民族ばかりで、親衛隊のイェニチェリも他民族というのは帝国の典型か。
ソ連邦もスターリンはグルジア人であり、それに近いのかも。
近現代の悲劇は、国民国家肥大化の似非帝国が世界に広がったことと、その結果ナショナリズムが盛り上がり、更にそれを焚き付けるアメリカが力を持ったこと。
宗教にはまだ信仰を選べるが、民族は選べない分ナショナリズムはタチが悪い。
帝国とは民族という縛りから逃れる一つの知恵だったのだが、現代では完全に壊れてしまった。
それでも各種事情で必死で取り繕っているのがロシアや中国。しかし、民族自決という幻想が収まらない限り、難しい道となりそうだ。
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とてもわかりやすくて、専門外の人に中国という国を知ってもらうにはいい本だと思います。なにしろこの本は中国史を
1. 中国のはじまり
というところでは、中国という国は時代によってその範囲も主体も変化しており、バラバラだからこそいつも一つの中国を目指していることを明らかにしています。そして皇帝というのは天子と同じことなので二人いては困ること、そして儒教抜きに中国史は語れないことを丁寧に説明しています。
2.交わる胡漢、変わる王朝、動く社会
では、5胡といわれる遊牧民族と漢民族の関係、ほとんどの時代に遊牧民によって建国されてきた経緯をわかりやすく説明してくれます。中国史のわからないところはここいら辺がモヤモヤしているのですが、唐宋変革についてもわかりやすい。
3.現代中国はどのようにして生まれたのか
明と清はなぜ長く続いた理由だとか、アヘン戦争までの経緯とかとてもgoodです。現代でも変わらない二元構造であり、毛沢東はこの2元構造を破壊しようとし、鄧小平はこの2元構造を利用して経済発展させようとしたこと。そんなことを通して現代の中国を説明しています。
全体として秀逸なのは、論点の区分です。中国全体をわかりやすく説明してくれてます。 -
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470ページあるがやや大きめの文字でスラスラ読め、著者の伝えたいことがわかりやすい。
歴史の細かい事件ではなく、中国人の考え方・行動に影響を与えている事象(中華思想、儒教、エリートと非エリート、等)を説明している。
特に以下の記述は、中国人の行動理解に有益。
・中国の賄賂は必要悪
・中国には、合法、非合法、善悪の境界はない
・中国の主権は国民にはない
例えば、中国では法律は人民の上、共産党の下。
つまり日本では当然視される法治主義は、西洋で生まれた思想であり、日本では適合し当然視されるが、政治システムの歴史の異なる中国では日本と違っても当然との主張は新鮮で、考えさせる。民主主義等の思想も同様である。
中国人の考え方とその成り立ちをざっくり知りたい人にお勧め。事象のさらに詳しいことは、興味に応じて読後にそれぞれの専門書に当たるのが良いと思います。 -
Posted by ブクログ
20290901-0914 中国の歴史書を史記から清史に至るまで概略を解説。著者の語り口がとても良い。まるで講義を受講しているようであった。一つの王朝が終わるとそれを継ぐ王朝がその継続性を正当化するためにも前代の王朝の歴史を書くということか。だとしたら,清帝国を継承するのは中華民国(台湾)?それとも中華人民共和国?現在の中国は「王朝」ではないので、そのような観点で歴史書を作成する必然性はないのだろうか。対して我が国は、東大史料編纂所で史料編纂を行っているという。これは「国史」を作成しているということなのだろうか。1000年くらいいわゆる「史書」を作成していなかったのだから、気の遠くなる作業だよなあ。