岡本隆司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前著「世界史とつなげて学ぶ中国全史」が面白かったので、読んでみた。
最近、昭和史の本を読んで、どうして日本は中国や米国との戦争に向かったのかというところを学んでいて、一つ一つの事件に含まれるなかなかに現実の複雑性を味わっているところで、いわばかなりミクロの視点を見ていたところ。
で、この本は、「日本全史」というロングスケールの時間軸で、かつ中国史、および中国との関係史のなかでの超マクロな視点で、その辺のところを論じている。
前著と同様に、だれがどう判断したとかみたいな話しではなくて、気候、人口、経済とかのマクロな要因を中心に世界史との関連のなかで議論が進んでいく。
なるほど、日本が中国 -
Posted by ブクログ
<目次>
まえがき
第1章 日本史は中国の”コピー”から始まった…【古代~平安時代】
第2章 アジア・システムからの離脱…【平安時代~鎌倉時代】
第3章 「日本全体が入れ替わった」時代…【室町時代~戦国時代】
第4章 「国家」の成立…【江戸時代~元禄・享保時代】
第5章 「凝集」する日本…【享保時代~開国前夜】
第6章 開国と日中友好のはじまり…【幕末~明治維新】
第7章 朝鮮半島をめぐる外交と戦争…【明治時代】
第8章 アイデンティティの破滅へ…【大正時代~昭和時代初期】
結 現代への展望
<内容>
専門は中国近代史。その泰斗が中国を踏まえての日本史を描く -
Posted by ブクログ
おおむね、序盤1/3が奈良時代から江戸時代まで、中盤の1/3が江戸時代、終盤1/3が明治から第二次大戦まで
細かい知識の羅列はなく、著者の考えが分かりやすく展開されているので、読みやすい
序盤1/3の記述はあっさり 遣隋使、遣唐使を通じて中国の知見を積極的に取り入れてたんじゃないの? 日本の仏教文化はこの時代に形成されたんじゃないの?と習った気がするので少し物足りない
中盤以降が著者の分析が面白くなってくる 戦国時代から江戸時代にかけての日本国内の経済状況、農村と都市の発展の拡大、幕府の経済政策など、とても説得的感じられる
終盤は日本と中国との関係に絞って江戸幕府・明治政府と清朝との関係 -
Posted by ブクログ
遊牧民族と農耕民族との関係を軸に、中国の歴史を俯瞰する
大学受験の時に勉強した事件や制度の名前、人物名の説明が少ないので、大まかな流れは分かり易い 受験勉強とは全く違う視点で中国史を理解できる気がして、とても面白かった
宋代の三大発明とそのヨーロッパにおける影響は、有名すぎてあえて外したのか?
帯に「現代中国を理解する最高の入門書」と書いてあったが、現代中国については「多元的で日本人には分かりづらい」ことしかわからなかった 清朝から中華民国、中華人民共和国への流れ、特に清朝末期からの他の国との関係に関する記載も物足りないのが残念
著者の専門分野だと思うけど、あえて控えめの記述にとどめたの -
Posted by ブクログ
ネタバレ中国というと我々の多くのイメージは中国共産党とか、共産主義とか、中華料理とか、門切り型のイメージを持っていることが多いと思います。
本作はそのような通り一辺倒な中国のイメージを壊すとともに、作品名にある通り、日本やその他の諸国の歴史と関連付けることで中国史をより理解しやすくする作品と言えます。
本書を読んで一番感じたのは、中国はとにかく多民族だということです。元という国がモンゴル系ということは皆さん日本史で習ったと思いますが、後の清も実はツングース系民族の王朝であり、漢民族のものではありません。4-5世紀を五胡十六国時代と言いますが、この五胡も5つの胡族の国ということであり胡族とは華人 -
Posted by ブクログ
歴史的に見れば、中国全体が統一国家であった時期は短く、むしろ、各地域ごとに群雄割拠し(多元化)、とくに明朝以後は時の政権が掌握できたのは一部の上層階級だけで庶民は政権と没交渉であった(上下乖離)と著者は説く。これは国全体の均一性が高く国としてのまとまりが強い日本や欧州とは異なるのだという。
本書は中国通史の概説だが、「世界史とつなげて学ぶ」とあるように、周辺あるいはシルクロードなどを通じた中近東・欧州とのつながりや、そうした地域と中国とのシンクロについても語られている。その関連で突厥やウイグルといったトルコ系の民族が中国北方からどんどん西進していったことなども分かって面白かった。 -
Posted by ブクログ
「西洋の衝撃」(ウェスタン・インパクト)に対して、東アジアの国々はどう対処したのか。開国から明治維新を経た日本においては、明治以降の近代化の過程として捉えられてきたが、隣国の中国(清朝)では、どうだったのか。
本書において著者は、中国と日本の関係について、互いの統治構造や社会構造、経済・財政面がいかに違っているか対比しながら、特に明朝以降の歴史的な推移を叙述していく。
そういった意味では、特に、第一部第3章「明から清へ」、第4章「マクロな動向」は、中国の統治の在り方、社会の流動性が高かったこと、中間団体の特性など重要なポイントを明快に説いており、非常に興味深かった。
そして、第二