岡本隆司のレビュー一覧
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ネタバレ<目次>
序章 中国は「対の構造」で見る
第1部 「中国」のはじまり~古代から現代まで受け継がれるものとは
第1章 なぜ「一つの中国」をめざすのか
第2章 「皇帝」はどのようにして生まれたのか
第3章 儒教抜きには中国史は語れない
第2部 交わる胡漢、変わる王朝、動く社会~遊牧民の台頭から皇帝独裁へ
第4章 中国史を大きく動かした遊牧民
第5章 唐宋変革による大転換
第6章 「士」と「庶」の二元構造
第3部 現代中国はどのようにして生まれたのか
第7章 現代中国を作り上げた明と清
第8章 官民乖離の「西洋化」と「国民国家」
第9章 「共産主義国家」と -
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シリーズ最終巻。
明清交代を経て、以降清朝は最大の版図を獲得し、中華民国を経て、現在の中華人民共和国へと繋がっていく。
中国の度々の王朝交代を見てきたから、明清交代もそういうものかと思ってきたが、著者は言う、明清交代は、よく考えてみれば、奇蹟ともいえる。明朝は、当時の東アジアで圧倒的な大国であり、人口を比較しただけでも、清朝は1億人の明朝の1%にも満たないし、経済・文化は明朝が凌駕していた。明末の政権、組織がよほど疲弊、頽廃していたわけで、李自成等流賊を鎮圧できなかったのも、その現れである。(確かに!)
明朝の衰退は、明朝の取った朝貢一元体制が、北虜南倭に示される多元勢力との相剋 -
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引用元に不確かなものがあったり、解釈が作者の主観によるものが多い点が気になるが、中国史を西洋からみた視点ではなく、中国人が考える歴史として読み解ける良書。
以下メモ。
特に気候と、経済の視点から人口の増減、時の王朝の興亡に紐付けていく考え方は非常に面白い。
気候変動により、漢の滅亡。遊牧民の南下。以降の多元化の歴史。
また領土という考え方は20世紀に日本の満州統治から学んだという考え方。清朝の他民族に統治方法を任せて、全体の統括をするやり方が、人口増加と、国民国家である西洋国家の侵略により、完全崩壊。皇帝の権力が及ぶところを正確に主張しなくてはいけなくなった。
明朝の時代から人口が増え始め -
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現代中国を理解するためには歴史理解が不可欠であるという観点から、沖縄領有権の主張の根拠、「反日」の起源、権力と腐敗の構造、国内の民族対立問題、そして最後に「「失敗の研究」としての日清戦争」などが論じられる。個人的には中国社会とテクノロジーとの相性の悪さを論じた部分(p.139-148)およびそれに関連した第Ⅲ章。
あと江戸時代に日本が儒教精神を身に付けようとしたが、アレルギー反応を起こして西洋文明に乗り換えたという指摘も重要か。日本経済思想史では江戸時代の儒教の影響を大きく考えすぎなところがあって、違和感を覚えていたが、中国史の専門家からそう言われるとなるほどと思う。 -
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ユーラシアでは、農耕をしながら定住する湿潤地域の人々と、草原を移動しつつ牧畜をする乾燥地域の人々で二分された。
→この人々が混じり合う場所で、文明が発達した。
また、文明が発達し、人々が交流すると契約が生じる→文字の出現
中華とは、中心地、センターの意味。その外には朝貢国がいて、外側に行くにつれて程度の低い野蛮人、「外夷」がいる。
秦の始皇帝の後に成立した漢では、西の匈奴により絶えず圧力をかけられていたが、武帝の時代に匈奴に勝利。その後、平和の時代が訪れる。シルクロードの最東端である漢(和帝)と、最西端であるローマ(トラヤヌス帝)は同時期に平和を享受した。
寒冷化が進み、北の遊牧地では草 -
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これからの国際関係を考えるにあたって、最重要の国ともいえる中国について、ひとまず歴史をざっくり俯瞰しとこうと思って読んだが、これはこれまでにない視点な感じがして面白かった。
どこが新しいかというと、
・世界史全体のなかでの中国
・気候変動とそれにともなう放牧や農業地域の変化
という大きなフレームのなかでみているところで、そういう視点でみると、
・中国何千年の歴史みたいな一貫したものがあるわけでなく
東アジアの地域における多様な民族のせめぎ合いの歴史であること
・オリエントとの交流は歴史の早い段階から存在していたこと(むしろ途中から断絶される)
・近代において多様な民族を国民国家体制への移行に -
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日中・日韓の摩擦は歴史問題が絡むだけに難しいものだが、戦後70年以上たっても未だ尾を引いている現状を見るにつけ、外交論理のみではなく国民文化の違いに眼を向けざるを得ないと思っていたが、本書はそこをわかりやすく教えてくれている。
一般向けの新書にしてはちょっと文章が硬い様にも思えるが、中韓の国民論理が納得は出来なくともそれなりに理解できたように思えた。
本書は、歴史をどう読み解くのかという「歴史学」のエッセンスを堪能させてくれる。あまりみかけないだけに新鮮で、もとがコラムをまとめたものと知り、納得の思いをもった。
本書で着目したのは「考える視座」という論点である。異文化である他国との軋轢を、正当 -
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歴史的アプローチから、一筋縄ではいかない中国の「論理」、すなわち理屈のこね方を考察。
本書の中で特に、中国が西洋化を受け入れる過程においてみられた「附会」という「論理」の指摘が、初めて知ったことで、非常に興味深かった。「附会」とはひらたくいえば「こじつけ」の意味であり、西洋が中国と「異なる」とすれば、それは(中国より)「劣る」ことと同義なので、西洋に倣うのは論外になってしまうため、西洋のすぐれた部分は、「異なる」のではなく、つとに中国の古代・古典に存在したものだと、附会する・こじつけることで、西洋かを正当化しようという論理であるという。
なかなか掴みどころがなく、御しがたい、やっかいな隣国であ