岡本隆司のレビュー一覧

  • 袁世凱 現代中国の出発

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    反革命、皇帝を僭称したと何かと嫌われる袁世凱。彼の再評価 の動きもあるようだ。
    北洋軍の一員から始まり、朝鮮、天津とキャリアを積み上げていく。北洋軍の軍事力を背景に李鴻章に代わる実力者としてキャステイングボートを握る立場までのし上がる。ただ、清末・共和国草創期の混乱からすれば彼もまた時代の波に飲まれる一人だったということか。

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    2019年07月28日
  • 近代日本の中国観 石橋湛山・内藤湖南から谷川道雄まで

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    いま現在の中国理解を深めるためにも、困難な日中関係に苦悩し、中国をみつめつづけた(近代日本の)先人たちがどう中国を認識してきたかを探ってみることが重要との問題意識から、石橋湛山、矢野仁一、内藤湖南、橘樸、谷川道雄などを取り上げ、その著作を引用紹介しつつ、彼らの中国観を批判的に検討している。
    石橋湛山や橘樸、戦後の時代区分論争に関わった東洋史学者など多くの近代日本人は、「中国の政治・社会を西洋・日本と同一視したうえで、西洋を基準として対比する」形で中国を認識しており、「「中国社会の構造を論ずることができ」ない「近代主義」・西洋思想で中国に向きあって」いたと批判し、中国に対する内在的な理解を試みて

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    2019年07月21日
  • 世界史序説 ──アジア史から一望する

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    ネタバレ

    20190325〜0412 傍らに世界地図を置きながら読むとよいかも。頭の中の世界史地図が半回転位したような感覚で読んでいた。ソグディアナやイスファハンという地名を聞くとシルクロードシリーズ(漫画もNHKスぺも)を読み返したくなる。

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    2019年04月19日
  • 近代中国史

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    中国史を専門とする学者による近代中国史についてまとめたもの。緻密な研究に基づく詳細な記述がなされている。特に統治や経済のシステムの分析は詳しく、説得力がある。極めて論理的かつ学術的な良書。
    「(日本に比べれば)中国は行政上の都市化率がはるかに低い。つまり権力のコントロールがゆきとどいていないのである」p50
    「現代中国の歳入規模は、日本円に換算しておよそ90兆円、税収がその9割をしめる。GDPに大差のない日本では、税収は37兆円くらい。政府組織の差異や公債の発行を考慮に入れていないので、厳密な比較にならないものの、納税負担は中国が倍以上大きい計算である」p59
    「(モース)中国の官僚は、自己

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    2018年11月04日
  • 中国の論理 歴史から解き明かす

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    単なる嫌中本とは一線を画す労作。中国近代化の過程で伝統的な中国の観念がどのように変容したか、あるいはしなかったか、という点が類書にはない点と思います。中国と付き合う上では必読。

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    2017年04月19日
  • 日中関係史 「政冷経熱」の千五百年

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    古代から日中戦争まで両国はどのような関係にあったのかを辿る。歴史を知ったうえで両国関係を認識する必要がある。

    好き嫌いといった感情論だけで語るべきではない。教養を身につける意味でも良書と思う。

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    2017年03月09日
  • 中国の論理 歴史から解き明かす

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    予想外に面白かったな。
    中国という国のようで国でなはい文明を理解するのに、歴史を辿るのは正しい視点だろう。中国の歴史を勉強してきた人には当たり前のことかもしれないが、なるほど感がある。
    なぜ中華思想なんてものが生まれて、社会主義市場経済なんてものが成立するのか。

    日本て、本当に怖いところにあるよ。

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    2017年02月19日
  • 近代中国史

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    ・「いまの日本で、どんな職業・地位のものであれ、中国のことをまったく知らずに自由にふるまってよい、というのは軽率に失する」
    というようなことがこの本のあとがきにあって、いやはやごもっとも、
    と考えてしまうほど、日を追うごとに日本に差す中国の影がどんどん大きくなっています。

    ・「伝統」経済とは、つまり中国独自の社会趨勢や経済観に依拠した弾力的な構造であり、
    すなわち根本的に、中国人の価値観・行動原理に深く根刺しています。
    そしてそれはやはり、現代の中国人のなかにも脈々とうけつがれているようです(別の本も合わせて読んだ感想ですが…)

    ・どうして日本と中国は違うのか?という些細な問いにヒントをく

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    2017年02月05日
  • 中国の論理 歴史から解き明かす

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    非常にわかりやすい。

    中国の立場から歴史をひもといてみれば、現在の中国の有りようがよくわかる。

    西洋的尺度で見ると、中国は巨大なガラパゴスであって、現在でもそれは色濃く残っている。

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    2017年02月03日
  • 中国の論理 歴史から解き明かす

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    著者の岡本隆司氏は、中国近代史を専門とする歴史学者。
    我々日本人にとって一見不可解な中国(人)の思考・発言・行動に通底している論理について、「いわゆる理屈のこね方・論理のパターンは、一朝一夕にはできあがらない。時間をかけて身に染みついた、いわば歴史的な所産である。目前にあらわれる言動から観察するより、論理の形成過程にそって考えるほうが、中国の謎の理解にたどりつく捷径になると信じる」と述べる著者が、歴史的なアプローチによって考察したものである。そうした意味では、社会・政治・国際関係の根底にある考え方を軸に見た、中国の古代から現代までの通史にもなっている。
    著者は、その根本を貫いているものを以下の

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    2016年09月11日
  • 袁世凱 現代中国の出発

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    袁世凱という人物については当然あまり良い印象がなかったのだが、この本を読んで好き嫌いは別に中国現代史の「鑑」であることがよくわかった。つまり、本書は袁世凱その人の評伝というよりは、袁世凱を通じて見た激動の中国現代史の本であり、非常に面白い本だということ。勉強になった。

    2箇所、キャスティングボートと書かねばならないところがキャスティングボードになっていた。よくある間違いだが、ちょっといただけない。

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    2016年06月15日
  • 袁世凱 現代中国の出発

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    100年前の1914/5/9袁世凱政権は対華21ヶ条要求を受け入れた。袁世凱はこの弱腰な態度に加えその翌年に自ら皇帝になろうとしたことなどから中国でも嫌われている。著者の岡本氏にしてから「まだ若いころ、少し知って、嫌いになり、立ち入って調べて、いよいよ嫌いになった。」と述べている。

    当時の日本から見た一般的な袁世凱の見方はこうだ。辛亥革命で清から寝返り中華民国の臨時大統領となり要求を受け入れながら、その日を国恥記念日に指定し排日運動を裏でけしかけた信義なき俗物と。ではなぜそんな人物が皇帝に即位するところまで登りつめたのか。その時代背景を描写しながら、「日本人こぞって嫌中の時代である。嫌いなの

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    2016年01月02日
  • 日中関係史 「政冷経熱」の千五百年

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    日中関係が難しい局面にある現在において、過去の日中関係を振り返り、中国に対する「完全な認識」を得ようとすることは意義あることであると思われる。その点で、本書は、古代から近代までの日中関係の歴史を大局的に把握できる良書である。ただし、本書ではあえて1920年代以降の日中関係に触れていないので、その部分は他書による補完が必要である。
    本書によると、日本と中国は地理的に近く、要所要所では関係を取り結んでいたものの、基本的にずっと疎遠な関係が続いていた。また、「政冷経熱」という現今の現象は、日中関係の長い歴史に一貫したモチーフにほかならず、政治と経済が噛み合わないのが歴史的な構造だったという。江戸時代

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    2015年11月15日
  • 袁世凱 現代中国の出発

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    袁世凱というと、辛亥革命の結果を簒奪したということぐらいの知識しかありませんでしたが、彼がどのようにしてその権力を握るに至ったかの過程を知ることが出来て面白かったです。
    もう少し、袁世凱という人物の性格まで掘り下げて知りたかったという点でマイナス1点ですが、新書という形式上これ以上のページ数は難しいというところもあり、致し方ないところですかね。

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    2015年06月01日
  • 袁世凱 現代中国の出発

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    袁世凱を通した清末民国初期史として非常に秀逸。文章も格調高い。中国での中央と地方のせめぎ合いという現代にもつながる問題がよくわかった。ただ、実直な官僚だったという著者の指摘にはうなずくものの、袁世凱自身が結局どういう人物だったのかというのはあまりよく伝わってこなかったという読後感ももった。

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    2015年05月01日
  • 世界のなかの日清韓関係史 交隣と属国、自主と独立

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    東アジアの国際政治を朝鮮半島を中心とした視点で解説した本。冒頭は16世紀の明朝との朝貢に基づく宗属関係の解説。従来は「夷狄」であった北方民族による清朝が成立したあとの清との関係を詳述。さらにロシアの南下、日本の大陸進出により、清・ロ・日のせめぎ合いの中心には常に朝鮮半島があったことが書かれている。また、周囲の大国のパワーバランスの中で、朝鮮の国内政治は、それら諸外国のシンパごとに分断された状態であることが常態化していることも。カタチを変えてはいるが、東アジアの国際関係において朝鮮は常に緊張の源泉であるのは今も一緒。勉強になる本だった。

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    2014年09月04日
  • 李鴻章 東アジアの近代

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    近代世界に入る清朝の困難な舵取りをした政治家・李鴻章(1823-1901).旧式の科挙官僚だった彼は,太平天国の平定に貢献することで実務官僚の第一人者に登りつめ,「洋務」と「海防」を主導する.そして外国列強と渡り合うも,敗北を強いられる.清朝末期の時代と社会とともにその生涯を描き出す評伝.

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    2019年03月15日
  • 近代中国史

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    明・清・中華民国期の経済・政治空間の有り様を描く。「官」と「民」の乖離。その橋渡しをする郷紳と彼らが中心となった中間団体。この存在にスポットをあてて、近代中国社会の動きをとらえようとする。著者によれば、「官」の力の及ばない「民」の世界が、欧米や日本より大きいのが中国の特徴、とのこと。それを大きく変えたのが毛沢東による革命、との評価。ならば、やはり毛沢東時代に、経済・政治空間が具体的にどのように変わっていったのか、そして改革開放後のそれがまたどう変わったのか。そここそ知りたくなる。(現代の中国社会が、単に毛沢東以前に戻ったわけではもちろんないだろう)。著者による続刊を望む。

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    2013年09月10日
  • 李鴻章 東アジアの近代

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    李鴻章を通じて清末を記した一冊。
    清朝から見た対外、対内政策が分かりやすくまとめられており、
    当時李鴻章が果たした役割の大きさに驚かされる。
    特に明治維新時の対日観、日清修好条規に込められた狙いなど
    大変興味深く、視点の高さを感じた。

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    2012年09月18日
  • 世界のなかの日清韓関係史 交隣と属国、自主と独立

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    朝鮮と清朝の関係は陸続きで国境を接しているだけに微妙である。隣国とはいえ我が国と両国との関係とは大差がある。

     朝鮮王朝が清朝に対していかに苦労したかが見えるようにわかった。「属国自主」を掲げ、朝鮮は清に対して儀礼的朝貢はする「属国」であるが、政治的には「自主」であることを貫こうとする。それに対し清は徐々に干渉を強めていく。そしてそこに日本が介入しなければならなくなっていく。

     教科書では教えてくれない、日清戦争へ向かう経緯などがよくわかり、近代の日清韓関係を知るのにとても良い著作だと思った。また、この手の著作は偏向する傾向があるらしいが、本著は大変中立的立場で書かれていると思われた。

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    2012年07月01日